死神と艦娘の物語   作:ゆーなぎー

12 / 20
chapter 3-4 死神と波乱の艦娘達

「それよりいつまでも響さんを立たせたままはどうなんですの?」

 

そういえば放置してた。ずっと突っ立たままは可哀想だし座らせるか。

 

「ああ、そうだな響好きな所に座っていいぞ」

「Спасибо」

 

…?何故にロシア語?しかもスパススィーバって言ったのか?

ロシア語なんて最近だと病院で見舞いに来た時の元『死神部隊』の隊員としか話してないから不安だな。

 

取りあえず、私は執務机の椅子に座った。

 

…なぜか響は私の膝の上に座った。

 

ほら、先輩と熊野驚いてるよ。

熊野なんてなんてはしたないとか言ってるよ!

別にはしたない事してないからね熊野さん!

 

「あの、響さん?」

「なんだい提督?」

「何故に私の膝の上に座ったんだい?」

「そんな事かい?それはね」

「それは?」

「私が司令官の事をこうやって背中を預けられる人だと思ったからさ」

 

…はい?背中を預けるってこんな風に?

背中を預けるって椅子のようにかい?

 

「わかりやすくいおうか?私は司令官に惚れたんだよ」

 

先輩が冷めた紅茶を噴き出した。

熊野は顔を真っ赤にしてわなわな震えて「何でそんなに真っ直ぐ言えるんですの」とか言ってる。

多分先輩と恋仲になるのに苦労したのかな。いや夫婦関係か。

 

「「なんですってー!!!」」

 

ドアから何か異常に興奮した天津風と大和が入ってきた。

お前ら早くね!?絶対ドアの所にいたよね!?

 

「あなたそんな小さい子に手を出すつもり!?」

「そうです提督!ロリコンの称号を与えられてもいいのですか!?」

「そうよ!ロリコン提督なんて言われていいの?!」

 

いやそれは嫌だけど。手を出すって話が飛躍しすぎてないか?

それにまぁアレだろ?小さい子がちょっといい言葉聞いてその人を気に言ったとかそんな事だろ?

後、天津風お前もロリギリギリだ。見た目的に小学生と中学生の狭間だし。

 

「いや、まぁ、うん。響よ。その感情は憧れとしてだろ?外でオレが言った言葉聞いてこの人いい人だな~て思っただけだろ?」

「いやこれは恋だよ」

「いやあの…」

「多分言葉の件もあるけど、これは間違いなく一目ぼれさ」

 

昔から子供の扱い上手かったから、近所の子に「生希お兄ちゃんのお嫁さんになる!」って言われたことはあったけど、ここまで最速は無かったぞ。

 

「証拠が欲しいかい?」

 

そう言うなり響は帽子を脱ぎ、オレの膝の上に膝立ちになり向き合う形になった。

可愛らしい響の顔がオレの視界いっぱいに映る。他の何者も写すことを許さないとばかりだ。

そして、目を閉じた響が近づいていき

オレの頬に唇を落とした。

 

「「あー!!!」」

 

二人の絶叫に似た声が聞こえた。

オレは超絶ポカーンとしている。

熊野は皆の前でキスという中々衝撃的な場面を見て石になった。

先輩は何故か俯いて笑いを堪えている。

 

「これが私の気持ちさ」

 

響は顔を真っ赤にして、膝の上にまた座り直しオレの手を自分の頭の上にのせた。

オレは無意識に響の頭をなでなでしていた。

 

「ふふふ、撫でるの上手いね司令官。少し眠くなってきたよ…」

「そうかならよかったよ。眠たいのなら眠るといいさ」

 

響は多分幸せそうに目を細めているだろう。

何かさっきいい意味でショッキングな事があったのかもしれないけど気にしないように―――――

って無理無理流石に気にしないことができないって!!!!

いや、まさかこんな事になろうとは。

 

「ちょっと響何てことを!」

「?いいじゃないか頬にしただけだよ?」

「そういう問題じゃないんです!!」

 

何か二人が必死になってる。もうなんだこれ。

熊野は何かを期待しているかのごとく先輩をチラッチラッと見てるし、先輩は何か腹を抱えて笑ってる。

何だこの状況?

天国なのか?それとも地獄なのか?

 

「いいから離れなさいよ!」

「そうです!!提督が内心重いっていやがってますよ!!」

 

いや思ってないし、いいじゃん別に。響の体温高くていい感じだし。

響湯たんぽか。いいな、それ。妖精さんたちに作って貰おうかな。

あ、やっぱ別に形は響を模して無くていいです。

アレ?普通の湯たんぽじゃね?

むしろサイズでかいから邪魔じゃね?

 

「離れる理由が無いね天津風。それに大和、君よりは断然軽いよ」

「「な、何ですってー!!!!」」

 

何か危険を察知したのか響はまたオレと向き直ってしがみついてきた。

二人が響の両サイドに展開し、二人で響の襟首を掴み引きはがそうとする。

 

「や、やめろ!馬鹿!馬鹿!」

「提督もう少しの辛抱です!今からこの小娘に恋愛とは何かをしっかりと叩き込みますから!!!」

 

何それ怖すぎる。オレ昼ドラそんな好きじゃないのに

いやちがうそんな事の心配じゃないって!

助けを求める為に視線を動かす。そうだ先輩がいた!

その先輩が何か熊野といちゃらぶしていた。

その光景+さっき何故か笑われたのに腹が立ったので近くにあった朱肉ケースのふたを投げつけた。

 

「んげ?!」

 

ビューティホー

見事に命中!先輩に2,147,483,647ダメージ!

先輩は気絶した!

熊野は先輩が気絶したことに驚いて、まるで目の前で彼氏が殺された演技をしている女優みたいな感じの事をしてる。

 

その光景を見て内心ガッツポーズを決めた所で目の前の現実を振り返る。

かなりデッドヒートしておりオレの心配事が現実になりそうだ。

 

「お、おい!もうよしてくれ!」

「大丈夫よあなた。もうそろそろこの子に恋の厳しさを認識させてあげるから」

「だからこわいって!」

「ふっふっふっ。その程度で私と私の司令官の愛の絆を引き離そうといったってそうはいかないよ」

「だれが『私の』司令官ですか!」

「だからもうやめろって!」

「私の心配はいらいよ司令官。何度中を引き裂かれようと不死鳥のようにまた結ばれるはずさ」

 

違うお前らの事じゃない

オレが心配しているのは―――

 

ブチィ

 

「「「あっ」」」

 

三人の声が被る。

オレの視界にはボタンが何故か宙に浮かぶ二つのボタンが。

心配してたことが現実になった…。

 

「………」

 

そして流れる沈黙。

響はいつの間にか膝の上から降りて、三人とも横一列に並んでいる。

 

「えっと…」

「「「ごめんなさい(Извините)」」」

 

三人同時に頭を下げて謝った。

 

「縫うのは大和がやりますので…」

「なっ!大和は色々合って疲れてるでしょ?私がやるわ!」

「いや私が」

「私よ!」

 

何かまた火花を散らしてるんだけどどういうことなの。

折角落ち着けると思ったのに。

ここで響を見てみる。

響は俯いて拳をぎゅっと握っている。

…多分裁縫出来ないんだろうな。

そうやって静かに悔しがっている響が可愛く見えたのでポンポンと頭を撫でた。

 

いい加減このよくわからない争いを収める為に一つの提案を下す

 

「オレが縫う。依存は無いな?」

「「でも…」」

「これは命令だ。いいな?」

「「はい…」」

 

二人がシュンと項垂れて罪悪感が少し湧いてきたが押さえつけてゴミ箱にシュゥゥゥゥゥゥウウウ!!!!した。

超気分爽快!!…何か違う気がするがまぁいい。

もうこれでよくわからん争いはいいだろう。

 

「んじゃ話も纏まった事だし。今日の業務は他に何がありま…」

 

先輩の方に向きかえるとまだ気絶したままだった。

熊野が必死で「大智さん!大智さん!」と先輩の体を揺すっている。

 

「ううう…」

 

先輩が目覚めた。ひどく苦しげな感じだ。

 

「大智さん!」

 

熊野が口元を抑え目を涙でいっぱいにしながら先輩の名を呼ぶ。

 

「熊野…俺はもう…ダメだ」

「大智さんそんなこと言わないで!貴方が死んだら私達はどうすればいいんですの!」

「大丈夫だお前たちならどこでもやっていけるさ…。幸いそこに優秀すぎる後輩もいる」

「大智さんいかないで…いかないでくださいまし!」

「熊野今までありがとうな…。お前の事ずっと愛してるからな…。できれば80年位後に向こうに来てくれ」

 

先輩はゆっくりと瞼を閉じる。

その様子は愛した人にこの言葉を伝える為に全てをつぎ込んだようだ。

 

「大智さん!嫌、嫌あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

熊野の痛烈な叫びを上げる。

天津風はその二人から背を向け、大和はハンカチで口元を抑え、響は帽子で目元を隠し表情を隠している。

オレは先輩のそばに近づき、

 

「ふん!」

「ぶるぁあ!?」

 

腹を軽く踏みつけた。

先輩は復活した。

 

「痛えじゃねぇか!もう少し手加減しろ!」

「もう茶番はいいでしょ!早く仕事です!!もう夕方なんですよ!!夜遅くまでやるの嫌ですからね!!」

 

只今の時刻は1747。

色々あってこの時間帯となった。

ちなみに今の所出撃は正午近くに行っている。

いつもお昼ご飯を食べる時間が早いのだ。今日はおやつも無いしおなかが減った。

 

 

先輩は腹を抑えながら立ち上がる。

ちょっとやりすぎたかもしれない。

 

「仕事はもうないぞ。しいていうならお前の艦娘達に秘書艦の業務を教えるくらいだな」

「そうだったんですか。じゃあもう一回寝ます?」

 

少しイライラしていた上これ以上ふざけられても困るので、懐にあるFive-seveNをちらつかせる。

中身は暴徒鎮圧用のゴム弾なので死にはしない。

ちょっと気絶する位だ。

 

「よ、よーしさっそく秘書艦のお仕事教えようか!熊野頼んだぞ!」

「ええではお願いしますね」

 

先輩は茫然としてる艦娘達に指示を下し、オレはその光景をほほえましく見守る。

 

今日もなんやかんやで平和だな!

 

その後、今更かもしれないが、響は戦場で見つかった所属不明艦としてこの鎮守府に加わった事がわかった(通称ドロップというらしい)

戦場で見つかった艦娘は、こちらと対立するつもりはないらしいからこうやって艦娘達を増やしていくらしい。

先輩曰くよくある事だから覚えとけとのこと。

 

因みに秘書艦としての処理速度は大和がダントツだったので大和にこれから頼もうとしたら、響と天津風がものすごい剣幕でその提案を却下したのでやめた。

秘書艦は交代制となった。

 

因みに因みに今日の資材の支出を見た結果、大和は暫く出撃は禁止になった。

だって燃料と鋼材が一桁だったんですよ…。

今のままじゃ破産してしまうって。

自腹切ってなんとか資材元にもどしたけどさ…。

こんまんまじゃ運用できなくなるって…。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。