死神と艦娘の物語   作:ゆーなぎー

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chapter 4-2 死神と演習

 今日の朝食は、まぁ忙しかった。

 また、響がオレの膝の上に座ったため、また二人が騒ぎ出し、また響を膝の上から引きずりおろそうとした。

 

 そして響は昨日のことで反省したのか今度はズボンに引っ付いてきた。

 ちなみにその時オレは紅茶の入ったティーカップを持っていた。

 

 まぁ大体この後のことは予想がつくだろう。

 響がしがみ付いてきたことで下半身がとんでもなくシェイクされ紅茶をこぼしかけてしまった。

 それで皆に紅茶をかけないように受け皿で何とかこぼさないようにしていたのだが、結局こぼれて制服についてしまった。

 

 せっかく昨日ボタンを縫い直したのに今度は紅茶がついてしまったのだ。

 ちなみにその時、手にもかかっていたのだが根性で耐えていた。

 

 その後、皆すぐに制服の惨状に皆気づきこの謎の争いが収まった。

 取りあえず響が膝の上に座ることを自重するよう言ってくれと言われたので、とりあえず『食事中』は止めてくれと言った。

 

 大和と天津風の顔はまだ不満気味だったので、「こんなに小さいんだからいいじゃん。甘えたい年頃なんだよな?」とか言いったら、二人から謎の怖いオーラを感じたのですぐに「やっぱり。時と場所は考えるべきだよな!」とすぐに弁明した。

 オレってこんな感じの性格だったかなぁ…

 

 正直、二日目で平和な朝食が壊れると思わなかった。

 というか予測できないだろこんなの!?

 

 

 さて、今日の業務だ。

 今日は演習を行うらしい。

 

 制服は脱いで今はワイシャツだけの状態だ。

 あの制服はクリーニング出すことにした。

 流石にシャツだけだとラフすぎるのでワイシャツだけになっている。

 

 ちなみに今日着任した艦娘は三隻も来た。

 三隻もだ。

 まさか一気にこんなに来るとは!

 

 三隻が多いというべきかわからないが私にとっては多い。

 なんせ駆け出しがもう六隻も揃えれたのだ。

 立派な艦隊になった。

 提督の練度などによって日に日に着任する艦娘が増えるらしい。

 今回来たのは、夕張、木曾、祥鳳の三隻だ。

 この三人のつながりがわからないがとりあえず来てくれたのは喜ばしい事だ。

 うん。本当にね。

 

 取り敢えず、三人と挨拶を交わし大和、響、天津風を加えて皆でミーティングを行った。

 

 先輩に今日は近くで演習を行うと言われたので、演習を行うことになった。

 

 演習の相手は勝手に決めらるとのこと。

 そしてお互いに同意を得た後、時間を決め、近場の演習場に移動しそこで演習を行う。

 

 演習では模擬弾を用いるので傷を負う心配はまずない。

 大破などの判定は艦娘達にライト付きのブザーを付け、ブザーに付けられたライトの色とブザーの音でダメージを把握し、ブザーが大音量で鳴ったとき轟沈判定となるシステムだ。

 便利なシステムだと感心するばかりである。

 

 予めこちらと相手の編成は決めておかなければならないのもルールだ。

 相手がどのような艦種で来てどのような戦術で有利不利に持っていくか、自分が不利な編成でどこまで優勢でいられるか、ということを学べということらしい。

 

 だが装備はどのような装備かは決めておかなくていいので不利な編成から装備で逆転も可能という訳だ。

 駆逐艦VS戦艦になったときは回避率を装備で上げ昼の砲雷撃戦を生き延び、夜戦で有利に持っていくというのがいいれいかもしれない。

 

 

 まぁ、他にも言うべきことがあるけど割愛。

 

 簡単に言うと減るのはあ資材だけで、経験値ががっぽりと貰えるということだ。

 

 演習の相手は初戦は先輩、次に全く知らない提督だ。

 

 こちらの陣営は今いる全員だ。

 先輩の編成は駆逐艦2隻(村雨、睦月)、軽巡二隻(長良、天龍)、そして鈴熊コンビだ。

 

 勝てる気がしないのは気のせいじゃないだろう。

 だって、見ただけでわかるけど、練度が違いすぎるのだ。

 前からいる三人は敵の動きについて議論を行っている。

 今日きた艦娘達の反応はというと、

 木曾は「面白い!」とか言いながら同じ眼帯の天龍に敵対心を燃やしてるし、夕張は先輩の艦隊の装備が気になって仕方無いみたいだし、祥鳳はしっかりと装備を確認している。

 

 悪くない空気だと思うがこれじゃ駄目だ。

 これは個人戦じゃない、チーム戦だ。

 この三人にもしっかりと作戦を考えて貰わないと。

 手をパンパンと叩いて私に注目させる。

 

「ほら新任たち、君らも作戦考えて。」

「木曾、対抗心燃やしても勝てなきゃ意味ないぞ、」

「夕張、装備が気になるのはわかるが今は作戦に集中すること。装備で何かアドバイスができるなら言ってくれ」

「翔鳳、装備を確認するのはいいが、いい装備でも計画がしっかりして無いと意味をなさないぞ」

 

「そうだな。協力は大事だよな。」

「ええ、装備に関しては任せてください!」

「そうですね。一生懸命考えます!」

 

 こうして皆加わり、作戦会議は始まった。

 演習の時間は20分後。短時間でどれだけ綿密に作戦を練るかも重要な課題だ。

 

 皆で出した作戦はこうだった。

 祥鳳が制空権を維持し、大和の弾着観測射撃で熊野と鈴谷を轟沈判定に持ち込ませる。

 二人を轟沈判定に追い込ませるまで、響、天津風で大和を護衛する。

 そして、木曾が前線に出てで他の艦娘特に駆逐艦を抑え、夕張は木曾に注意を向かわせている内に側面から駆逐艦を攻撃し撃沈判定にさせる。

 木曾が囮になっている間、翔鳳は制空権の維持と夕張の援護をお願いした。

 その後残った軽巡をみんなで叩くという訳だ。

 

 

 

 さて、どこまで上手く行くだろうか。

 全て上手く行くとは限らない。

 だから、他のプランも考え、メインが失敗した場合そちらに移れるようにもした。

 だが、私は皆に勝って貰う。

 

 出来るだけこちらでも指示を飛ばし対応できるようにする。

 最善は尽くす。

 結果は彼女たち次第だ。

 

 私は指揮官だ。画面越しにしか状況がわからない。

 私の把握能力と対応力、そして彼女たちに対する信頼が今の私の武器だ。

 まだ、指揮官としての心構えが未熟かもしれないが、これが今の私なのだ。

 だから今の私にできることをするただそれだけだ。

 

「じゃあ、皆勝って来てくれよな!」

「「「「「「はい(おう(了解))!!!」」」」」」

 

 いい返事が聞けた。

 

 皆が部屋から出ていく姿を見送る。

 

 さてどこまで通用するだろうか…。

 少し燃えてきている。

 

 自分たちがどこまで通用するかわかるのだ。

 演習も悪くは無いと思う。

 

 

 

 

 結果は、先輩の戦術的勝利に終わった。

 最初のうちは良かった。

 翔鳳が制空権を確保できたので大和で観測射撃を行い鈴熊コンビを中破まで追い込んだが、鈴熊の嵐のような砲撃で護衛組みがやられてしまった。

 敵の駆逐艦をいち早く轟沈まで追い込ませた木曾が、次の大和の砲撃までの間、時間を稼ごうとしたが軽巡組みに足止めされてしまい、撃退されてしまった。

 そして護衛がいなくなった大和は鈴谷と熊野の集中砲火を浴びながらも鈴谷を轟沈まで追い込み相打ちとなった。

 その後、熊野は翔鳳を倒し。軽巡組は夕張を追い詰め熊野が止めを刺した。

 

 判定としては紙一重だったらしいがそれは嘘だ。

 先輩ももっと作戦を練れたはずだが、今回はこちらの作戦に乗ってきたうえ正面突破してきた。

 やはり練度の差が勝負を分けたのだ。

 

 皆が帰投してきた。

 

 皆沈んだ顔だ。

 オレは帰投してきた皆に声をかける。

 

「よくやった皆!勝てはしなかったがおしい所だったな」

 

 オレは笑顔で皆を迎え入れる。

 皆驚いた顔だ。

 怒られるとでも思ったのか?

 そんなことはしないっての。

 

 

「なんで…」

 

 祥鳳が小さく呟く。

 それは怒られると想像して縮こまっていた子供みたいな目をしていた。

 

「何でオレらを責めないんだよ!!!」

 

 木曾は突っかかってくる。

 彼女は大和をカバーが間に合わなかったことについて責任を感じていたのかも知れない。

 

「そうです!私のアドバイスも全然役に立ってませんでした…」

 

 夕張は言葉は段々小さくなっていた。

 彼女も装備についてアドバイスをくれた。簡潔に言うと相手の艦隊からして対空は薄めで物量で押してくるだろうという予測だった。

 この予測はそこまで外れていなかったが、観測射撃は安定しなかった。

 そのせいで勝てなかったのだと思っているのだろう。 

 

「それに私たちの護衛もすぐに潰されちゃったし…」

 

 天津風の言葉に無言で響がうなずく。

 

「いえ、彼女たちのせいでは無いですよ…。作戦のメインであった私の砲撃が上手く行かなかったのがいけないんです」

 

 大和が俯き加減に言う。

 

 私は思わず笑みが漏れてしまう。

 この子はいい子達だと。

 

「っ!何がおかしいんだよ!!」

 

 木曾が噛みついてきた。

 

「いや。可笑しいわけじゃ無いよ。ただ皆いい子だと思ったことだ」

「なっ!?」

 

 木曾が顔を真っ赤にしている。

 こんな事言われると思わなかったんだろうな。

 

「君たちはそれぞれ自分の落ち度を自覚しているだろ?」

「どうせ、君たちはここに来るまで皆でずっと「私の責任だー」って言い合ってたんだろ?」

「だから思ったんだいい子達だなってな」

 

「だからと言って、それとこれとは関係ないだろ!!」

 

「関係あるさ。責任を自覚しているからこそ君たちはかばい合っていたんだろ?」

「自分の責任を自覚してもその責任の重さに耐えきれずに押し付けたりするやつもいるからな」

「そんな奴と比べると、君たちはとても強くていい子なんだよ」

「だけど、一つ叱っておかないとな」

 

 場の空気が変わる。

 皆私の目を見ていることを確認してから、咳払いをして私の気持ちも整える。

 

「責任を感じるのはいい。だがその事重く引きずるな」

 

 皆の表情が変わる。意味が分かったかのように俯くような子もいるが、意味が分からないという子もいる。

 

 私は苦笑いを浮かべてしまった。

 

「簡単に言ってしまえば責任感じてることはいいことだけど、一人で抱えるなってことだ」

「私たちはチームだ。その成功も失敗も報酬も罰もチーム全員の物だ」

「だから一人で抱え込むのは許さないって事さ」

「ケーキ1ホール皆で分けろって言われた時、形や大きさが不揃いだと嫌だろ?」

「だから、良かったことも悪かった事も皆で分け合おうぜって所だな」

 

 皆がこちらを見つめている。

 私も、何か言ってて恥ずかしくなったので響とかがやってるように帽子で表情を隠そうとしたが、無かったのでバンダナで目を隠した。

 って

 

「うわ。何やってんだオレ!?ちょっとカッコつけようとしたのに何でここまでしめがカッコつかないかな?!」

 

 何とも間抜けな行動をさらしてしまった。死にたい…。

 

「ふふっ、ははははは!!!」

 

 なんか夕張がお腹を抱えて笑ってる、気がする…。

 そんな雰囲気じゃないのにいきなりこんなコメディチックなこうどうされたらな…。

 

「何やってるの貴方、はははは!!!」

 

 天津風にも笑われた。

 なんとなく気配で響は帽子で顔を隠しながら静かに笑っている気がする。

 

「そうですよ提督、ぷくく」

「ふふっ、そ、そうですよ提と、くっふふ」

 

 大和は何とか笑いを堪えていると思うがちょっと漏れている。

 祥鳳も笑いを収めようとしているがまた噴き出しそうだ。

 

「あー、死にたい…」

 

 バンダナを額に戻し、項垂れる。

 

「それは困るな。お前はオレらの指揮官なんだからな」

 

 木曾は何とも思っていないのだろうか…。

 いや、思ってる。凄い苦笑いになってる。

 

「すまない。無様な姿を晒した…」

「全くだな」

 

 木曾が肯定する。なおさら死にたくなってきた。

 

「だけど、お前のような奴も悪くないと思うぜ」

「オレ達はまだまだ未熟でさっきのような無様な姿をまた晒すかもな」

「だけど、お前の言葉とそのふざけた行動を見てたら、深く気負いすぎるのも馬鹿馬鹿しいと思ってな。」

「だからこんな未熟な奴には、お前のような未熟な指揮官が丁度いい」

「だから、これからもよろしくな提督」

 

 木曾がそう言って手を差し出してくる。

 残念ながら木曾よ。私はこう見えて軍人経験は6年だ。

 一年ちょっとは訓練期間だったが後の五年は実戦だ。

 だけど、今言ったらそれは強がりのように聞こえるだろうから黙る。

 

 私は木曾の手を強く握り返した。

 

「いい顔だ」

 

 木曾は柔らかく微笑みながら言った。

 オレが思ってた事言われたけど、もういいです。

 

「お前こそな」

 

 木曾も強く握り返す。

 今まで笑ってた筈の周りの奴らが拍手してきた。

 オレは一気に苦笑いを浮かべた。

 

「お、おい!茶化すなよ!!」

 

 木曾が真っ赤になって言い放つ。

 ちなみに今も握手したままだ。

 オレは全然力を込めてないから早く離せばいいのに。

 オレが離せって?いや無理ですよ。

 だって、木曾の手結構スベスベで握ってて気持ちいいですし。

 

「お前もさっさと離せ!」

 

 そんな事思っていたら怒られた。スンマセン…

 

「はいは!お疲れ~。じゃますんぞ~」

 

 先輩が部屋のドアの蹴破るような勢いで開けてきた。

 バゴンッ!っていってましたけど?!

 

「もう!お下品ですわよ!」

「いいじゃん。どうせ落ち込んでいるだろうしその空気をぶち壊す為に…ってアレ?」

 

 熊野に窘められながらも先輩は部屋に入ってきてその雰囲気に驚いたようだ。

 もっと沈んでると思ったのだろう。

 だが実際は作戦会議をする前までより明るくなっていたのかもしれない。

 

「へ~。皆いい雰囲気だな。こりゃ悪かった」

「だから言ったんですのよ。あのこ達は大丈夫ですって」

 

 先輩はあまり反省していない雰囲気で軽く謝り、熊野はその様子に呆れている。

 いつも思うが、先輩と熊野はちょっとでこぼこなコンビだと思っている。

 先輩の近くにいる熊野はからかわれたり、いじられたりしてばかりの姿ばっかりだ。

 でも二人は深く心を通わせ、深く結びついている。

 本当に人とは不思議なものだ。

 

「んじゃ、ここから先はお前らの反省会だ。熊野、お前からも反省点をあげてやれ」

「了解しました。じゃあ、皆座ってくれ。オレはホワイトボード持ってくるから――」

「いえ、私が持ってきます」

「ありがとう。大和助かるよ。じゃあ、大和が席に着いたら始めよう。次の演習は――」

「一時間半後ですね提督」

「ありがとう祥鳳。夕張は後で皆の装備のメンテナンスも頼む」

「了解です。任せてください!」

「天津風先輩達の椅子持ってきてくれてありがとう。響、今回オレは進行役として立ってるからずっと座る予定はないぞ。残念だったな」

「この位大したことじゃないわ」

「そうか残念だよ…。じゃあ私は司令官の椅子を温めておくよ」

 

 と、突然目の前にペットボトルのスポーツドリンクが差し出された。

 これは、皆が帰って来たとき疲れているだろうからと、みんなの帰投中に買ってきたものだ。

 

「ほら、お前も指示飛ばしてたしのど乾いているだろ?こいつ、飲むか?」

「ありがとう木曾。助かる」

 

 画して、会議の準備は整い反省会は始まった。

 

 会議中に響から「木曾と間接キス…」という声が聞こえたが気にしないようにした。

 

 何か気にしたら負けのような気がしたからな。(他の奴らに聞こえてなさそうで助かった…。)

 というかお前は頬にしてきただろ。

 

 

 

 

 

次の演習はオレ達と同じように新米だ。

編成を見てみると、低速艦が多くこちらの高速艦達の機動力をいかした作戦となった。

更に先輩との戦いの反省を経てより綿密で現場でも作戦計画に縛られ過ぎないものにした。

 

結果は大勝利。

皆軽くダメージを受けただけですんだ。

 

余りにも嬉しかったので、甘味処で奢ることにしたのだが皆滅茶苦茶頼んだうえ何故か先輩たちの分も奢る羽目になった。

まぁ、いいや。

スキンシップは大事だよな。

実はお金滅茶苦茶あるんだよなぁ。

 

だからと言って、使いすぎるのはよくないけどな。

 

みんなも調子に乗って使いすぎるなよ!

お年玉とかは大事にな!

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