死神と艦娘の物語   作:ゆーなぎー

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クソ長くなりました 注意デース。


chapter 6-2 死神の一日 午後

 1230

 

 この時間は昼食の時間だ。

 

 え?午前にやった演習と出撃の指揮について書けって?

 勝ったから特にいうこと無いです。

 書類に書くことが増えただけなんで。つまんないですよ?

 

 昼食は秘書艦が作ってくれたりもするが、仕事や場合によっては出撃なんかもさせるわけで。

 だから、あまり負担をかけないためにも一緒に食堂に行って食べることが多い。

 

 そんなわけで、今日も食堂で昼食を取ろうとしているわけです。

 

 食堂も基本的に三、四種類の日替わりランチから選ぶことになっているが、ちょっとしたおかずが欲しいとかいうとすぐに作ってくれる。

 でも、あんまりそういう事はしないけどね。

 

 折角決めてくれたメニュに―にケチつけるみたいだし。

 

 今日は、Bランチに白身魚のフライがあるな。

 これにするか。

 カウンターに行って注文する。

 

「間宮、Bランチ頼むよ」

「は~い!少々お待ちくださいね~」

 

 気が抜けるような感じの間宮の返事がきた。

 

「ご飯はいつものように大盛りでいいですよね?」

「キャベツも大盛りで頼むよ」

「わかってますって」

 

 伊良湖は人懐っこい笑みを浮かべていつものようにでいいかと聞いてきた。

 だから、私も笑顔で返すと、伊良湖は大盛りのご飯をよそった茶碗をお盆に乗っける。

 

「フライ上がったからよろしくね伊良湖さん」

「了解です!」

 

 揚げたてのフライが乗ったお皿に大盛りのキャベツを盛りつけ、お盆に乗っける。

 続いて、味噌汁、漬物をお盆に乗っける。

 

「お待たせしました。Bランチです」

「ありがとう。頂くよ」

「はい。美味しく召し上がってくださいね。あっ、でもソースとかはかけすぎないように、ですよ?」

「わかってるよ。というか私がソースあまりかけないの知っているだろ?」

「ふふふ、そうでした」

 

 いたずらっぽい笑みを浮かべる伊良湖。

 何かその笑顔には敵わないなといつも感じる。

 

「伊良湖さん、おしゃべりもいいけどそろそろ次の人に…」

「はいぃ!そうでした!では、提督さんごゆっくり!」

「ああ、ありがとう。間宮、伊良湖」

 

 厨房の二人に礼を言ってからカウンターを離れる。

 

 席は今ほぼ満席だが、いくらか空いているテーブルもある。

 なので、まだだれも座っていないテーブルに座る。

 だって、自分から相席していいか聞くのって結構恥ずかしいじゃん。

 

「提督、お待たせしました」

 

 大和がハンバーグがメインのAランチを持って右隣に座った。

 

 大和型は、成人男性の私より食べる量が多いのだ。

 ご飯は、私のより大きいし、ハンバーグだってお皿からはみ出そうだ。

 

 このように食堂では、それぞれの艦種に合わせた量の食事が出てくる。

 下手に食事を抜いて実戦時に実力が出ないなんていう事態を避けるためだ。

 

 朝食だって、実は戦艦と空母が私より食べてたりする。

 ウィンナーなんて、一袋分をぺろりと食べている。というかそれより多いかも。

 

「どうしました提督?」

 

 大和の昼食をじっと見ていたので不審に思われてしまった。

 

「いや、何でもないさ。相変わらずよく食べるなって思っただけだよ」

「提督はたくさん食べる女性は嫌いですか」

 

 大和が落ち込んだように俯いて聞いてくる。

 何で、私の女性のちょっとした好みを聞いてくるんだろう…。

 まぁいいや。答えない理由もないし。

 

「私は、たくさん食べる女性は好きだぞ。こんなご時世だが無理して食事抜いて辛そうにされるより、おいしそうに食事を食べている方がこちらも嬉しいし。まぁ食べすぎはよくないと思うが―――」

「そうですか!」

 

 大和が顔を上げ、私の事を見てくる。

 その時の、太陽のような笑顔はとても綺麗な物だった。

 

「じゃあ、私無理なんかしなくていいんですね!」

「言った通りだろう大和。そんなくだらない心配するなと」

 

 私達の背後から突如声が聞こえてきた。

 

「武蔵!?」

 

 大和が声の主に驚いた声を上げる。

 背後にいたのは、相変わらず際どい恰好の武蔵だ。

 祥鳳だって、鎮守府にいる時は、上着来ているぞ。

 戦闘時は、金さんみたいなスタイルになるけど。

 武蔵は演習組の旗艦になって貰っていたので、艤装のメンテが終わって今さっき食堂に来たのだろう。

 

「提督。隣失礼するぞ」

「おう。武蔵演習ご苦労様。いい活躍だったな。まさか大破状態から相手を無理矢理轟沈判定に持ち込むとは思わなかったぞ」

「フッ、日頃の経験と指揮のおかげだ。感謝するぞ相棒」

 

 そう言って、武蔵は麦茶を口に含む。

 

「まぁ、その指揮を無視して突撃した結果だけどな」

「うっ!?ゲホッゴホッ!?」

 

 武蔵は麦茶を喉に詰まらせてしまった。

 私は慌てて武蔵の背中をさする。

 武蔵の突かれたくないところを突いてしまったようだ。

 どのみち、後で注意する予定だったし丁度いい。

 

「お、おい!大丈夫か?」

「だ、大丈夫だ。でも結果的には良かっただろう」

「良くはないさ。あの後、轟沈判定になったくせに」

「だが―――」

「本当の戦場にIFも過去も無いんだよ。死んだら終わり。残されたものはその事を反省し前に進むしかない。それはよくわかっているだろ?もしもにならないように作戦も指揮も綿密に立てて、その可能性を潰すんだ。それこそ、予想外の事があったら迅速に対応できるようにして、計画通りに事を進める。わかっているだろう?」

 

 作戦とはそういうものだ。

 何度も経験したからわかっている。

 どんなに完璧だと思える計画でも結局は、ちょっとしたひび割れから崩れてしまうのだ。

 だから、予想外の事が起きても自分と仲間で意思疎通し『予想外の時の対応』をできるようにするのだ。

 

 今回は皆が、武蔵の無茶な突撃と言う、予想外の事にすぐさま対応できたからよかった。

 もし皆が、武蔵のせいで崩れた陣形を正せず次々と武蔵のように無茶な突撃して、負けていたのかもしれない。

 今回の演習は、オレと旗艦の機転で、武蔵の援護に回るという事で、犠牲は命令違反をした武蔵だけですんだ。

 その後は、元のプランに従い作戦勝ち(?)をした。

 

 作戦会議の時も誰が危機に陥ったらこの行動に移るとか、割と細かくやっていたりもする。

 まぁ、細かすぎても良くないからプランは3~5個位になってるけど。

 どのプランでも、最悪大破だけで済ますというプランだけどね。

 

 武蔵もそこの所は理解していると思う。

 

 この子、護る事に対して責任感が強いからな。

 ここに来たのも最近だし、仕方ないとは少し思うけどさ。

 多分、味方が大破したのを見て周りが見えなくなったんだと思う。

 

 今回が演習で本当に良かったよ…。

 

「…ああ。すまなかった」

「宜しい。でもお前のそういうやんちゃな所オレは嫌いじゃないんだぞ?だから、下らない事で命を落とすようなマネすんなよ?」

 

 怒っているわけでは無い。だから、武蔵の頭を撫でて安心させてやる。

 はははっ。武人気質だからこういう身嗜みとか気にしない方かと勝手に思ってたけど、柔らかくていい髪してるな。

 

 武蔵は俯いてしまった。

 

「そうか。…そうか」

「そうよ武蔵。無茶は駄目。確かに自分で考える事は大事だけど、あれは周りが見えなくなっていただけ。あの戦闘はあの無茶をしなくても勝てたわ」

 

 大和が武蔵に近づき、武蔵の手を握りながらしゃがみこんで武蔵を見上げる。

 こういうの見ると姉妹って感じするよな。

 やんちゃな妹に注意するお姉ちゃんって感じで。

 実際その通りなんだが。

 

「……うん」

「演習だから良かったけど。あんな無茶しちゃだめよ?貴方がいなくなって悲しむ子は沢山いるんだから」

 

 武蔵もその武人気質と面倒見の良さで、駆逐艦の子達から慕われている。

 だから、武蔵がいなくなった鎮守府なんて想像したくもない。

 皆悲しむし、オレも悲しむ。

 

 そして、オレも皆も泣くだろう。

 泣くのは嫌いだ。

 泣くのは勘弁だしな。

 

「演習では、ある程度無茶をしてもいい。だけど、実戦で無茶はするな?わかったか?」

 

 そう言って、武蔵に小指を突き出す。

 

「…それは」

「ほれ、ゆびきりだよ。知っているだろ?」

「いくら大事な約束事だからと言ってそれは…」

「武蔵。こういうのは形が大事なんだよ。こうやって言葉と一緒に行動も記憶に残しておくといいんだ。わかる?」

「そういうものなのか?」

「そういうものですぜ」

 

 武蔵は納得がいかなそうな顔で小指を絡める。

 まぁ、こんな子供っぽい事気に入らないだろうな。

 でもこういうのは、形を残しておくのも大事だとオレは思っている。

 

 

「ゆびきりげんまん―――」

「待て歌うのか!私もべき歌うのか!?」

「勿論。出ないと意味ないだろ?」

「しかし―――」

「しかしも透かしも無いんだよ。ほれ、やんぞ」

「わ、わかった!わかったからちょっとまってくれ!」

 

 武蔵は胸に手を置いて息を吸って吐いてを繰り返した。

 やがて覚悟が決まったのか、目つきが良くなった。

 

「よし、来い!」

「よし行くぞ」

「「指きりげんまん嘘ついたら針千本飲~ます、指きった!!」」

 

 大和が小さく拍手をしてる。

 何故か目じりに涙を浮かべて。

 そんなに感動する場面だったのか。

 まぁ、重要な場面だけどさ。

 

「武蔵無茶をしたらダメだからね?」

「ああ…」

「約束破るなよ」

「ああ……」

 

 そういうと、武蔵はオレと絡めた指どこか愛しそうに撫でる。

 …まぁ、気のせいだと思うけど。

 

「この武蔵が約束をやぶると思うなよ?」

 

 そして、いつもの武人らしい誇り高い笑みを浮かべる。

 

「じゃあ、昼ごはんちょっと冷めちゃったけどいい加減食べようぜ?」

「ええ、そうですね」

「ここの飯は冷めても旨いから大丈夫だろう」

「じゃあ、食べましょうかね?」

 

 皆で手を合わせて言う。

 

「「「頂きます!!」」」

 

 少し時間がたってしまったが、私達の昼食が始まった。

 

 

 

 

 1310

 

 

 この時間は、皆のお昼休憩だ。

 

 勿論、オレも含めて。

 

 この時間は、仕事の時間じゃないから、一人称はオレになるぞ。

 

 基本この時間は、駆逐艦の子たちと遊んだり、執務室に籠って本を読んだりする。

 オレは乱読家だから色々と読んだりする。

 最近読んでいるのは、艦隊これ○しょんという名のあちこちの鎮守府の事を題材にしたラノベを読んでるが割愛。

 こいつは高校の時の悪友からダンボールで送られてきたものだ。

 

 添付されていた手紙には、

 

『いっちー!お前もこんな生活送っているのか!?何ともうらやま――ゲフン!けしからん』

 

 と、筆ペンで書いてあった。

 

 何か突っ込みたい事いっぱいあったが、メールで返事として、

 

 

『還れ。本は預かっといてやるから』

 

 とだけ返した。

 

 まぁ、悪態じゃなくていつものやりとりみたいな感じだ。

 

 後、還れは誤字じゃない。そのままの意味だ。

 

 さて、話が逸れた。

 

 今日は、お昼の時に夕立達に遊ぼうと言われたので中庭に行く。

 

 天気は、晴れ。冬だが結構暖かいのだから遊ばなきゃ損だろう。

 

 動きづらいので、上着は脱いでウィンドブレイカーを着てから向かう。

 

「提督さんこっちこっち」

 

 中庭に向かうと夕立の元気な声が聞こえた。

 

「今行くぞ」

「早く!早く!」

 

 夕立の急かす声が聞こえたので小走りで夕立達の所に行く。

 

「おっそーい!提督、私はもっと速いよ!」

 

 何故か隣に島風がいた。しかも、煽り付きだ。

 その島風は、スピードを上げてオレの事を引き離そうとしてくる。

 

 オレはため息をつきながら隣で走っている島風のペースに合わせる。

 

「やるね提督!どんどんスピード上げるからね!」

「いいぜ。夕立達の所まで競争だ。今日こそ勝ってみせろよ」

 

 島風との突然なかけっこ勝負は、9勝0敗一分けだ。

 ずっと、勝っている。

 

 水上なら絶対に勝てないが、ここは陸地。

 ましてや島風は、駆逐艦だ。

 いくら速度が速くても海上での話。

 陸上なら、勝てる奴は何人かはいる。

 まぁ、同年代ならだれも島風の相手にならないのは事実だし、全国大会行くくらいじゃないと島風には勝てないだろうけどな。

 

 残り30m。

 

 いつの間にか、睦月と天津風がゴールテープを広げていた。

 

 残り20m。

 

 島風が、更にスピードを上げるがオレは歩幅を大きくすることで隣に並ぶ。

 まだまだ、余裕と言う笑みを島風に浮かべる。

 

 残り10m。

 

 ここからは、オレも本気。

 腕の振り方を適当な振り方から、大きく素早くに変える。

 このまま、風と一体化するように走り切るのだ。

 

 残り、5m。

 

 僅かながら、オレの優勢。

 このまま維持する。

 だが、油断はしない。

 島風の爆発力は侮れない。

 

 残り、1m。

 

 オレは足はゴールに届きかけているが、胸部はまだゴールから遠い。

 だが、島風は飛び込むような走りを見せ、ゴールテープに飛びつこうとした。

 

「「ゴーーーール!」」

 

 村雨と天津風の声が、風を切る音に混じって聞こえたのでスピードを落とした。

 

 オレは、膝に手を置いて呼吸を整える。

 正直、上着を脱いだとは言え、制服のズボンのままなのだ。地味に動きづらい。

 とはいっても、負けてもこれを言い訳にはしない。

 勝負を受けたのはオレ自身の意志だからだ。

 

 島風はぺたんと地面にへたり込んで息を整えている。

 

 オレ達から見ると、同着のゴールだった果たして、

 

「「判定は!!」」

 

 オレと島風の声がハモる。

 

「ちょっと待っててね」

 

 時雨がゴールで構えてたビデオカメラの映像を確認する。

 

「結果が出たよ」

 

 少し時間が立って時雨と一緒に判定をしていた響が白露耳打ちする。

 

 白露が、オレと立ち上がった島風の間に立ち腕を持つ。

 

「さーあ、果たして一番は?」

 

 村雨、陽炎、雷が結果発表の時のドラムロールの音マネをする。

 

「一番は!!!志崎生希提督です!!!!」

 

 白露が、オレの腕を空高く掲げた。

 

「よっしゃあ!!!!」

 

 勝利とはたとえ小さなものでも嬉しく感じるものだ。

 それに、歳や性別など関係しない。

 なので、オレは大声で勝利の雄叫びを上げている。

 

「また、負けっちゃったか~。でも次は負けないからね!」

「おう、また何度でも勝負を挑んで来いよ。また、受けて立つからさ」

「うん!!!」

 

 勝者と敗者、今その隔たりを無くし、好敵手として認め合った者同士としての握手を交わす。

 周りからは、歓声と島風とオレによく頑張ったという声をかけてきた。

 だが、このかけっこだけで、昼休みは終わらない。

 

「夕立またせたな。早く遊ぼう」

「ううん。大丈夫っぽい!」

「今日は何するんだ」

「今日は、ドッヂボールをするのです」

 

 ドッヂボールか懐かしいな。

 高校生の時にやったのが最後だったな。

 上手くなげれるかな…。

 

 いつの間にか、オレらの周りに白線が引かれていた事に気が付いた。

 

「良いよ。早くやろう」

 

「はーい。じゃあ、皆近くの人とじゃんけんしてねー。じゃんけんの勝ちチームと負けチームに分かれるからねー!」

 

 村雨の言葉で皆近くにいた子とじゃんけんを始める。

 オレは近くにいた暁とじゃんけんしてパーで負けたので負けチームとなった。

 

「じゃあ、始めっぽい!」

 

 夕立の元気な声を合図としてドッヂボールが始まった。

 結果として、オレらのチームは僅差で負けた。

 

 オレは最後の方まで生き残っていたのだが、壮絶なフェイント合戦と言う名の読み合いに負けてしまい当たってしまった。

 何回か外野から当てて戻ったりしたんだけどな。

 やっぱり、現場で背中預け合っている奴らにはかなわないのかもなぁ。

 

 

 

 

 

 1400

 

 

 

「――督、起きてください。提督」

 

 優しく、気遣われるような揺れで私は目を覚ました。

 顔を上げて、バンダナの位置を軽く直す。

 ここでやっと大和が肩を揺すって起こしてくれたことがわかった。

 

「んあ?あ、おはよう大和」

 

 欠伸を噛み殺して挨拶をする。

 また瞼が閉じそうになったので、目を擦る。

 

「おはようじゃありません。もう休憩は終わりましたよ」

 

 時計を見ると1400だった。

 

 お昼休憩は、1300から1350までだ。

 

 ドッヂボールは、1315から始まり、1340で終わった。

 

 少し手持無沙汰になったので執務室で腕を枕にして机で寝てたという訳だ。

 

 何故1400に起こされたかと言うと、1350から1400までは午後の業務に移るための艤装の点検やら準備やらの時間だからだ。

 だから、既に準備を終えていたりする奴らには暇な時間で、準備時間の10分は休憩時間の延長みたいなものだ。

 なので私もその暇な一人だ。

 だって、執務室で書類やる準備すればもう終わりだし。

 

「提督涎が垂れていますよ」

 

 大和がハンカチを取り出して、私の頬に優しく触れる。

 そして、そのまま何か冷たく感じていた部分にハンカチが触れたようだ。

 

「少しは身嗜みも気にしてくださいね」

 

 ふふふっと優しいお姉さんな笑みに目を奪われそうになったが、伸びをして平常心を取り戻す。

 

「はいはい。ごめんな大和」

「全く子供なんですから」

 

 またもやあの優しい笑みを見せてくれた。

 本日二回も子供と言われたことに、バツが悪くなったことにして頬を掻いた。

 

「そう子供扱いするなって。私は昔はこれでも現地指揮官だったんだぞ?」

「知ってますよ。でもいいじゃないですか。指揮官がそんな面を持ってたって」

「そんなもんかねぇ」

「そんなものです」

 

 そんなもんかねぇと、いまいち納得のいかない顔を浮かべる私に大和は苦笑いだ。

 何か、すっかり私も丸くなったのかもな。

 

「でも、しっかり皆が無事に帰るための作戦を立ててくれる素晴らしい指揮官だと思ってますよ」

「そうですよ」

「そうです。多分みんな思ってますよ」

「大井はよく作戦が悪いだの言ってくるぞ?」

「それもわかってます。大井もしっかりと提督の事わかってくれていると思いますよ」

「そうかな」

「そうですよ。提督も反省会に毎回参加しているじゃないですか。提督の誠意はわかってくれてますよ」

 

 こ、この大和と言う娘は女神か何かなのか!?

 何でこんなに、お姉さん系が好みと勝手に私に聞く台詞ばっか言ってくるのだ!?

 クソ!私キラーの属性があるのか!?

 現地潜入でも下手な誘惑に負けたこと無かったのに。

 

「あ、ありがとう…」

「はい。提督がわかってくれれば宜しいです。あなたは私達の指揮官なのですからもっと胸を張ってください」

「お、おう、助かるよ」

「どういたしまして」

 

 すんごく恥ずかしくなったので大和から顔背ける。

 何か、頬が熱い気がする。

 

「提督って可愛い所ありますよね」

「う、うるさい。軍人に可愛さなんて不要だ!」

「ほら、そういうところ。何でしょう?私のお姉さんな所がくすぐられるのでしょうか?」

「うるさいうるさいうるさいうるさーーーーい!!!!!」

 

 うー。やっぱりお姉さん属性に甘えたい一面が出てしまうのか。

 

 何とかしないと。

 

 でも、あまり治す気はしないけどな。

 

 

 

 

 1530

 

 

 大和と書類について相談し合っていると、突然扉がバーーンと開かれる。

 

 私と大和は特に気にも留めず相談を続ける。

 

「HEY!テイトクゥ~!」

「私達とお茶会にしましょう!」

「書類仕事もお疲れですよね?」

「休憩も大事だと思いますよ?」

 

 突入してきたのは金剛型の四姉妹だ。

 彼女は、茶器の入ったバスケットとお菓子の入ったバスケットを持っている。

 

 大和は彼女たちの方に向き直ると

 

「帰ってください」

 

 とひきつった笑みを浮かべて彼女たちの誘いを断った。

 

「大和さん、貴方には聞いてません」

「そうです。私達は提督にお聞きしたんです」

 

 霧島の言葉に、榛名が同意する。

 

 大和に青筋が浮かんでいる気がする。

 ヤバい。絶対ヤバい。

 

「何ですって!!!」

「ヤマト、そんなに怒っちゃNOですヨ」

「お姉さまの言う通りです。怒ると小皺が増えちゃいます」

 

 金剛の言葉を比叡が笑顔で毒を吐くことでアシスト。

 大和が笑顔で持っていた書類をくしゃくしゃにしてる。

 別に目を通すだけの奴だからいいけど。

 ヤバい。ヤバいって!

 

「大和さんは今日は秘書艦として、提督とずっといるじゃないですか」

「そうです。大和さんは提督を独占しているようなものじゃないですか!」

 

 霧島の言葉に、比叡が続ける。

 

 いや独占も何も秘書艦だから当たり前じゃないか。

 

「提督もお疲れの筈です。休憩も必要ですよ」

「だから、ワタシ達とTea timeにするデス!」

 

 榛名の気遣いの言葉に、金剛が同意しお茶会の開催を大和に要求する。

 

 だが、大和も引かないだろう。

 

「必要ないです!提督が喉が渇いたと言ったら、大和が用意しますしお茶菓子も完備しています!」

 

 大和さんやそこまで否定しなくても…。

 

 別に今日の業務は多い方じゃないし、お茶会してもいいと思うけど。

 

「和菓子ばかりだと、提督も飽きてしまいますよ」

「だから、お姉さまと私達でスコーンやクッキーも用意しました」

「それに書類ばっかりで変化なしではつまらないでしょう?」

「今日は英国のRoyal family御用達のteaもありマース」

 

 そういうと、金剛は幸せそうな顔でバスケットの中から茶葉の入った缶を取り出した。

 

 王族御用達の紅茶。興味がある。

 緑茶も好きだったが、イギリスの空母に世話になっていた時に飲んだ紅茶がきっかけで紅茶もかなり好きになっている。

 

 今更だがクッキーにも紅茶が練りこまれているのだろう。

 

 室内が紅茶の匂いで満たされていることに気が付いた。

 

「別にいいんじゃないか?」

「て、提督!ですけど…」

「Oh!流石、テイトク!」

「そのかわり大和も入れてやる事。それが条件」

「榛名は構いません」

「私も大丈夫です」

「さっきは突っかかってしまいましたが、もとよりそのつもりですよ」

「YES!皆でやるデス!」

 

 何とか場の空気も落ち着いたか。

 折衷案出すの遅かったら拙かったかもしれないな…。

 決して、紅茶につられてわけじゃないぞ!

 そこは間違えるなよ!

 

 金剛達はてきぱきと来客用のテーブルにお茶会の準備を進める。

 

「大丈夫ですか提督…」

「まぁ、大丈夫だろ。…どんだけ居座るかが問題だけどさ」

「その時は、大和が何とかしますのでご安心を」

 

 大和が何やら黒いオーラを纏って返事をしてきた。

 すごく、怖いです。

 

「提督。準備が出来ましたのでどうぞこちらに」

 

 榛名に促されたので、私と大和は来客用の席に座る。

 

 画して、お茶会が始まった。

 

 王族御用達の紅茶はやっぱり美味しかった。

 何だろう、香りも良いしちょっとした苦味もおいしさとして受け入れられる味だった。

 

 金剛達お手製の洋菓子も美味しかったので文句なし。

 丁度良いお茶請けだった。

 

(ヤマトもいましたケド)

(お茶会計画は成功ですねお姉さま!提督の胃袋もがっちりです!)

(強いて失敗を言うとしたら)

(((榛名がちゃっかり提督の横に座っている事ですね(デス))))

 

「…?どうした金剛、霧島、比叡?」

 

 こそこそ話している三人が気になったので声をかける。

 

「「「いえ、何でも」」」

 

 オレの中の疑問は解消されなかったけどまあいいや、隣で幸せそうに駆逐艦の子達と遊んだ時の事を榛名に視線を戻した。

 

「それで、その時吹雪ちゃんがですね――――」

「ああ、吹雪はああ見えて結構芯が強いから――――」

「そうですか!提督もわかってくれますか!」

「ああ、もちろん。ああいう子達の頑張る姿を見るのは楽しいからな」

「ふっふー。テイトク、ワタシも頑張ってますヨ?」

「ああ、知っている。訓練の監督ありがとうな」

「私もお姉さまみたいに頑張ってます」

「ああ、金剛の良い所はいっぱいあるが、比叡は比叡だ。比叡らしいのが一番だぞ。無理はせずにな」

「霧島も作戦の内容いつも考えさせていただいてます」

「わかっているよ。ありがとう霧島。君の手伝いのおかげでこうして仕事の合間にお茶会ができる」

「もう、大和だってがんばっているのに」

「わかってる。大和には練度の低い子達の艦隊の旗艦を任せているからな。とても心強く思っているよ」

 

 何かいいかもな。

 たまには皆にこうして感謝の言葉を言うのも。

 私は別にこういう言葉をかけるのは恥ずかしく思わない。

 私達はいつ死ぬかわからない。

 勿論、誰一人として勝手に逝かせる気は無いけどな。

 だから、こういった言葉はしっかりかけておかないと。

 皆には感謝してもしたりないから。

 

 私は、深海棲艦にまともに太刀打ち出来ない、ただの提督でしかないのだから。

 

 優しい紅茶の匂いに包まれた憩いのお茶会は幕を閉じ、私と大和は業務を再開した。

 

 

 

 1820

 

 

 

「本日の業務は終了。お疲れ大和」

「はい。お疲れ様です提督」

 

 今日も無事に業務を終えることが出来た。

 

 幸い今日の書類の数は少ないしもう事務に提出した、出撃も練度の低い艦娘達を近い海域に出撃するだけなのでそんなに忙しく無かった。

 遠征も資材は潤沢だから必要なし。

 よって、今日の業務はすべて終わりだ。

 

 大和と共に執務室を出て鍵をかけた。

 

「提督これからどちらに向かうのですか?」

「オレの部屋。今日は格闘術の指導するからな。道着着ないとな」

「そうですか…。提督と夕ご飯一緒に食べれると思ったのですが…」

「悪いな。また今度一緒に食べよう」

「ええ、約束ですよ?」

「ああ、その時は大和が夕ご飯作ってくれないか?大和のごはん美味しいからさ」

「その時は腕によりをかけて作りますね」

「うん。ありがとう。お疲れ様」

「お疲れ様です」

 

 大和に手を振って別れる。

 大和は笑顔で見送ってくれた。

 

「んじゃあ、早く弟子共の相手しないとな」

 

 肩を回し、指の関節をパキパキとならす。

 まだ、指導は始まって無いがもう気分が高揚している。

 何せ、提督になってから唯一暴れられる時間と言っていいのだ。

 

 ははは。早く道着に着替えないとな。

 

 少し、歩くペースを速めて私室に向かった。

 

 

 1920

 

 

「長門!もっと踏み込め!川内!掴むならもっと懐に入ってから掴め!」

「心得た」

「了解っ!」

 

 只今、格技場にて指導中。

 今日の弟子は、長門、武蔵、川内、神通、日向、加賀、利根、祥鳳、木曾、不知火、の10人だ。

 

 皆道着に着替えている

 基本参加は自由だし、強制もしない。

 習いたい奴だけが習う感じだ。

 

 オレは、叔父さんから神尾流古武術と父さんの方のじいちゃんから名黒流殺人武術を習ってた。

 

 オレの母さんの家系にのみ伝わる神尾流、これは敵を制圧するだけの柔術系の格闘術だ。

 オレの父さんに伝わる名黒流暗殺術は、志崎の家系の本家と言われる名黒が大陸を渡り歩いて極めたいわば殺人空手みたいなものだ。

 

 相対する二つの武術だが、この二つを上手く組み合わせてオレの物にしている。

 

 本来両方とも自分の親族にしか伝承してはいけないのだがある程度は教える事を認めている。

 

 家系だけに伝えたらいつか流派が衰退してしまうからとの事。

 

 殺人武術とか言っているけど特にご心配なく。

 今はある程度マイルドになっているらしいので。

 まぁ、そっちの物はあまり教えるつもりは無い。

 普通に危険で命奪える技とか沢山あるし。

 

 だから、主に神尾流の方を教えているわけです。

 

 因みに、オレは二つとも師範まで行ってます。

 

 叔父さんは名誉師範です。

 普通におかしい人です。

 何だよ名誉師範って。何したんだよ。

 

 只今、皆で組手中。

 急所を狙うのは無しだけど、投げも関節技もありにしてる。

 但し、明日の業務に響くような傷は負わないようにさせることが条件だ。

 

「ふっ、流石は長門中々いい拳だ」

「武蔵こそ。不格好だがいい蹴りだ。お前がしっかりとした蹴りをうてるのを楽しみにしているよ」

 

 長門の拳を武蔵が掌で受け止めてそのまま流し、蹴りを喰らわそうとしたが不格好故長門に足を掴まれそのまま片足で武蔵が硬直している図。

 

 長門は、武蔵の脛に下段前蹴りを喰らわせ前のめりにダウンさせた。

 すぐさま武蔵の背中に乗り右のひじの関節に武蔵の顎を乗せ、顔を腕で固定し武蔵の額の近くで左腕を交差させ、武蔵の顔面を拘束した。

 そのまま、ゆっくりと左周りに顔を動かしていく。

 

 終わりだな。

 武蔵は上手く抵抗できて無い。

 両手は長門の足に抑えつけられていて上手く動かせないからだ。

 武蔵は辛そうに息を吐き始めた。

 

「長門、止めてやれ」

「了解した」

 

 流石にそれ以上やると、あらぬ方向に顔が行ってしまうで止めるように促す・

 長門も拘束を外し、武蔵の上から立ち上がる。

 

 武蔵も立ち上がり息を整える。

 

「流石、長門。教えていた期間が一番長いだけはある」

「当然だ。私をなめるなよ?」

 

 長門は得意げな笑みを浮かべる。

 

「でも、アームロックはやりすぎ。両腕を背中で拘束するか腕ひしぎ何かで良かった。わざわざアームロックするな」

「むぅ、すまない」

「武蔵は下手に隙を見せすぎ。狙いが露骨。褒められたものじゃないけど、防御を無理矢理崩せる力があるのはいいかもな」

「そうか。でもまだまだということか」

 

 長門は、弟子1号だから今いる奴らの中でも強い部類だ。

 武蔵は最近着任したので、まだまだ動きは不格好、だからと言って手加減してやれとは言わないけど。

 

「そう。もう一回長門の相手を務めてやってくれ」

「心得た」

「武蔵も長門の動きから学べる所は学んでくれ」

「わかった。では長門、頼むぞ」

「ああ、こちらこそ」

 

 二人はちょんっと拳を合わすとまた構えを取り組手を始める。

 

 

 さて、次の子は、

 

「神通ちゃん、遠慮はいらないから早く来なよ」

「その通りだ神通。下手に遠慮はしなくていい。甘えは隙を生む」

「……はい!」

 

 川内は、割と最初期からいた。神通は一か月前位だ。

 

 川内の胸部にパンチを打ち込もうとするが、川内は神通の腕を掴み自分の背を神通の腹部に当てそのまま投げる。

 神通は受け身を取って衝撃を緩和する。

 

「綺麗な動作だな川内」

「ふふふ、甘いよ神通ちゃん。そんなんじゃいつまでたっても私に勝てないよ」

「まだ…いけます!」

「良い眼だ神通。華の二水戦旗艦の力その程度じゃないだろう?」

「はい!」

 

 そして、川内、神通はまたにらみ合った。

 

 ここも大丈夫かな。

 

「なぁ、何でお前らも来てるの?」

「それは―――」

「私達はまだまだだと自覚しているからです。だから本日も参加した次第です。」

 

 さっきから高度な読み合いを続ける日向と加賀が答える。

 

 二人とも最初期のメンバーで、弟子2,3号位かな。

 

 正直この二人はここに通わなくても十分強い。

 

 毎朝鍛錬を怠ってないのは知っているし、オレも普通に苦戦する位には強い。

 負けることは無いけど。

 だから、正直後は朝練組で高め合っているだけでも十分なのだ。

 

 今でも十分綺麗な動きをしているのでオレの教える武術で余計な動きを加えたくないのが本心だけど。

 

「まぁ、いいや。そうやって頼ってくれるのは嬉しいし」

「では、別に構わないだろう」

「いやそうだけど。お前たちの綺麗な動きに別の流派の動きを混ぜて下手に崩したくないんだが」

「二つの流派を組み合わせた動きをしている貴方が言えた事で無いでしょう」

「ぐっ!?まぁそうだけど」

「まぁ、そうなるな。下手な言い訳はよすことだ」

「言い訳じゃ無くて割と本心なんだけど」

「さぁ、早く再開しましょう」

「ああ、そうだな」

 

 二人は再び構え直す。

 

「そう言えば。この前、こっそりと提督と二人っきりで剣術の特訓をしていたらしいけど本当なのかしら?」

「君こそ、この前提督に逆セクハラまがいの事をしながら弓術を教えていたらしいじゃないか」

「さぁ、何の事かしら?」

「そうか、それなら私も身に覚えがないな」

 

 お互いあまり表情を変えることが無いのに何だろう二人の無表情がとても怖く感じる。

 

「ふふふっ、気分が高揚します」

「ふっ、こちらこそ興が乗って来た所だ」

 

 そして、二人が激突した。

 

 もうこいつらは心配するだけ損な気がする。

 

 とはいえ、オレの教えでどんどん無駄に強くなっているのは事実だけど。

 

 さぁ、次は、

 

「さぁ来い。吾輩は逃げも隠れもしないぞ」

「はい。よろしくお願いします」

 

 利根は、弟子5号だ。

 祥鳳も割と最近習いに来た子だな。

 

 利根は妹の筑摩に甘えっぱなしだと思われることが多いが、うちの利根は結構姉御肌である。

 新しく来た子に教えるのも上手いから助かっている。

 

「利根、祥鳳はどうだ?」

「うむ。筋は悪くない。正直吾輩としても教えることが無くなってきているほどじゃ」

「いえ。私なんかまだまだですよ」

「そういう謙虚な姿勢もいいところじゃ。後はひたすら経験を積むといったところだ」

「だってさ。頑張れ祥鳳」

「はい!ありがとうございます!」

 

 祥鳳は一度利根に礼をしてから構え直し、利根に掴みかかった。

 

 ここも心配いらないかな。

 

 次は、

 

「言いねぇ。その蹴り痺れるよ不知火」

「あまりなめてかかると寝首をかかれますよ?」

 

 おー、怖い怖い何か不知火が殺気だってるよ。

 木曾は飄々と不知火の攻撃を捌いたり躱したりしているが、不知火は攻撃が当たらずいらだっているようだ。

 

 木曾は弟子6号だな。

 不知火は1か月前から武術を習いに来た。

 

 木曾は空手の殴り合いが得意だ。

 こちらとしても空手の技術は教える手間があまりかからないので助かっている。

 

「不知火、あまり何も考えずに殴るのはよくない。動きが単調になってるぞ」

「っ!はい!」

「木曾たまには反撃しろ」

「そうか。じゃあ」

 

 木曾は躱すのを止め不知火に前蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐっ!」

 

 不知火は畳の上に膝をつき、お腹を押さえてうずくまる。

 いい蹴りだった。木曾が躱すのに専念していると思わせてからの前蹴り。

 中々に躱しづらいものがあるのだ。

 

「甘いぞ不知火。そんな調子じゃいつまでたっても俺に勝てないぞ」

「うっ……。なめるなぁ!」

 

 猟犬のような眼で木曾を睨みつける。

 俗に言う、戦艦並の眼光という奴だが。

 木曾は軽く肩をすくめるだけでその眼を恐れたりはしない。

 不知火は、立ち上がると木曾に掴みかかるが、すぐさま振りほどかれてしまう。

 

「頭に血が上りすぎだ不知火。もう少し落ち着いて戦況を分析しろ」

「すいません司令官」

 

 不知火は一旦木曾から離れ、深呼吸を繰り返して平常心を取り戻した。

 

「見苦しい所をお見せしました木曾さん。」

「平気だ。それより落ち着いたか?」

「はい。何とか…」

「じゃあ、楽しもうぜ?」

「ええ。今度は簡単には行きません」

 

 二人は、好戦的な笑みを浮かべて睨みあい、やがて激突した。

 

 オレは皆の様子が見られるところで正座し組手の様子を見守ることにした。

 

 ―――――――

 

 その後も、組手の相手を変えたりしてつづけた。

 オレは組手に参加したかと言うと、最後の一回だけ参加した。

 何故、一回しか参加しなかったかと言うと

 艦娘達は入渠施設に行けば早い時間で傷が治るがオレは人間だ。

 残念ながら、怪我なんかしたら次の業務に響くし、完治には結構な日にちがかかってしまう。

 本当は皆と組手したいのだが、こういった理由で、艦娘達から手加減されるのも嫌なので、一回だけ参加する事にしている。

 

 あーあ、オレも艦娘みたいな強化が受けられたらいいのに。

 そうしたら、こいつらと戦場で暴れまわれるのに…。

 楽しそうだなぁ。戦場に楽しさを求めるのは戦士としての性なのかもな。

 

 

 だからと言って、ニューハーフにはなる気はないからな!

 なったところで、艦娘に慣れる保証もないしな!

 と言うか、オレは男でいいからな!

 

 

 

 

 

 

 2000

 

 

「じゃあ、今日の稽古は終わりとする。次の稽古までに各々の課題に取り組むこと。わかったか?」

 皆「押忍!!!!ありがとうございました!!!!!!!」

 

 やっぱり、武道の掛け声は押忍だよなー。

 オレも教えて貰っていた時これだったし。

 

「提督。次の開催はいつですか?」

 

 不知火がタオルで汗を拭いながら聞いてきた。

 この稽古は、不定期なので、次やるのは何日だとかはあまり言えない。

 

 不定期の理由は、オレの業務は基本的に忙しいからだ。

 だから、今日みたいに仕事が少ない日にしか出来ない。

 仕事の多さは書類次第だしさ。

 今日は、偶々書類少ないの知ってたから朝長門に言えたけど。

 

 長門を師範代に任命するのは早くても6~8年先だと思うし。

 師範代がいればいいんだけどね。

 そうすれば、オレの都合に左右されにくくなるし。

 

「悪いけど、わからないな。また、連絡するよ」

「そうですか…」

 

 不知火はがっくりした顔で俯く。

 不知火なりにこの稽古の時間を楽しんでくれているのかな?

 そうだといいけどな。

 

「次の開催を楽しみにしてますね」

 

 神通が儚げな笑顔を浮かべて言ってきた。

 神通も楽しんでくれているようだ。

 こうやって、行ってくれる子がいるからやりがいがあると言えるだろう。

 

「じゃあ。格技場閉めるからみんな早く出てくれ」

 

 皆が格技場からでていった事を確認し、格技場の鍵を閉めた。

 

「ねぇ。提督一緒に夕ご飯食べない?」

 

 鍵を閉めた所で川内に夕食に誘われた。

 まぁ、大和との約束は今度夕食作ってもらう約束だし。

 

「まぁ、いいぞ」

 

 オレの返事を聞いた川内は嬉しそうに顔を綻ばせる。

 

「やった!神通ちゃんも一緒に行こ?」

「ええ、じゃあ那珂ちゃんも呼びましょうか」

「オレは何人いようと構わないぞ」

「ありがとうございます提督」

 

 食事は一人だとつまらないしな。

 やっぱり大人数で話したりしながら食べるのが一番だな。

 行儀は良くないかも知れないが、そっちの方がご飯も美味しく感じるし。

 

「後、それとさ…」

 

 川内がちょっともじもじしながら聞いてくる。

 そして、神通から隠すようにオレの耳に手を当てて言ってきた。

 

「今日も一緒に寝ていい?」

 

 ちょっと待ってくれ。

 この忍者何と言った?

 今日『も』?

 そうか、そういう事か。

 お前か夜戦忍者。

 今日の朝、起きるの早かった原因は。

 

「駄目だ。お前今日布団に潜り込んでいたんだろ」

「いいじゃん。ケチ~」

「姉さん?提督に迷惑をかけてはいけないといいましたよね?」

 

 何か神通が駆逐艦たちの訓練の時以上に怖いオーラを纏っている。

 しかも、神通特有の儚げな笑顔なままだから尚更怖さに拍車をかけている。

 

「わー!!待った!落ち着いて神通ちゃん!」

「姉さん。私はとっても落ち着いていますよ?」

 

 うわー。黒いオーラが更に黒くなってる。

 さっきの稽古中にもそのくらいの気迫出してくれればいいんだけどな。

 そうすれば、逆に川内に勝てるだろうに。

 そんなこと思いながら二人の仲睦まじい姿を傍観してると追い詰められた川内がこんな提案をしてきた。

 

「そ、そうだ。神通ちゃんも一緒にどう?勿論、那珂ちゃんも一緒にさ!」

「おい、2日続けて安眠妨害は止めろ!」

「いいじゃん。減るもんじゃないし」

「減るんだよ!オレの大切な何かが」

「て、提督と添い寝…」

 

 神通はオレと眠る事を想像してか、顔をほんのり赤くして顔を振っている。

 

「ほら、提督。神通ちゃんも満更じゃないみたいだよ?」

「やん!提督そんなところ…」

「神通戻って来い!変な想像すんなって!」

 

 この後、結局二人に押し切られ、一緒に寝る羽目となった。

 しかもオレの部屋で、だ。

 逃げ場が無い…。

 助けて。何でこんな事になったんだ…。

 

 

 

 

 2320

 

 

 稽古の後、それぞれの入浴場にて汗を流し、川内型姉妹はオレの部屋に来た。

 その後、姉妹で料理を振る舞ってくれた。

 

 凄く美味しかった。

 前も料理を作ってくれたけどまた腕を上げたようだ。

 

 その後は、ゲームをしたりテレビを見たりトランプをしたり、興が乗ったので少しだけトランプを使った手品を披露したりした。

 

 そして今は、その手品が終わったところだ。

 

「凄いね。どうしてわかったの?」

 

 川内が聞いてくる。

 

「秘密だ。考えれば結構簡単な物だ」

 

 今回行った手品は、スペード、ハート、ダイヤ、クローバーの1を使った物だ。

 

「うー。那珂ちゃんわかんないよー!神通ちゃんはわかった?」

「いえ、全く…」

 

 どうやら、皆わかって無いご様子。

 まぁ、そう簡単にわかられても面白くないから迷って貰って結構。

 

「迷え、迷え。そういう顔とか見るの楽しいしな」

「うー、提督のイジワル」

「何とでも言うがいいさ那珂よ。言った所でタネは教えないがな」

 

 おー良い反応。

 こいつは今度の手品ショーで使えるな。

 

 オレの鎮守府では月に何回かオレの手品ショーをやることになっている。

 

 元々は響が秘書艦の仕事終わって、他の暁型の子と一緒に暇だとごねてきたときに手品を披露したのが始まり。

 その後も本当に稀に色んな子に披露してたけど、皆がもっとたくさんやってほしいと言ってきたので手品ショーをやる羽目となった。

 手品ショーでは、難易度レベル1~3までのマジックを行い、タネが解った奴からオレに手品を再現する。

 そして、再現できた手品によってご褒美を与えるというシステムだ。

 期限は夕飯までだ。

 

 レベル1の報酬が、オレの手作りのお菓子をあげる。

 レベル2が間宮達の甘味処の限定スイーツが食べれるチケットをあげる。

 レベル3が、オレが同意できるレベルで「何でもいう事を聞く」というものだ。

 

 何でもと言うのは、休暇が欲しいとか、どこどこに行きたいとかでもオッケー。

 他の要望も叶えられそうなら聞くというもの。

 

 まぁ、レベル3は結構難しいからあんまり達成できた奴はいないけど。

 でも、達成したこもいるけどね。

 あれは、驚いた。

 どんな要求をされるのかとビクついたが意外とあっさりとした要求だった事にも驚いた。

 

 今披露した手品は、レベル2.5相当かな?

 

 ちょっと難しいかな。

 何せ、川内が引いたカードが悪かったかもしれない。

 まさか、ダイヤを引くとは…

 

「ほら、シンキングタイム終了だ」

「え~もうちょっと待ってよ」

「ね、姉さん。いくらなんでも…」

「わかった。神通もそんな寂しそうな顔すんなって。後5分待ってあげよう」

「ねー提督。もう一回やってよ」

「よしきた。じゃあ、今度こそ見破ってみせろよ?」

「うん!」

 

 おー、いい那珂ちゃんスマイルだ。

 いつもの那珂ちゃんスマイルもこんな風な笑顔だったら色んな子がライブを見に来るだろうに。

 

「じゃあ行くぞ?」

 

 スペード、ハート、ダイヤ、クローバーの1を裏面にしてシャッフルする。

 

「私にもやらせてよ」

「いいぞ川内」

 

 この時のシャッフルを怪しまれたのか、川内にシャッフルさせろと言われたが問題ない。

 気の済むまでシャッフルできたのか得意げな顔で山札を渡してきた。

 

「はい。取りあえず怪しい所は無いかな」

「よし。じゃあ、神通この中から一枚を選んでくれ」

 

 トランプをテーブルの上に広げる。

 たった4枚だが、素早く綺麗に扇形に広げる。

 魅せは手品師の重要なポイントだ。

 

 ほら、那珂の目がきらきら光っているぞ。

 二人もおぉーと関心の声を上げる。

 

「ほらほら。神通早く」

「すっ、すみません。ではこれを」

 

 ちょっとぼおっとしていたのが恥ずかしかったのか、耳を赤くしてカードを取る。

 

「じゃあ、オレは残りのカードは後ろ手に持って見えないようにするから、神通の選んだカードを覚えてくれ」

「ふむふむ、なるほど」

 

 川内が含みのある笑みを浮かべてこちらを見るが、オレは涼しい笑みを浮かべえるだけ。

 眼も川内から離さない。

 目は口ほどに物を言う。離すと返って怪しまれる。

 まぁ、目を見ても無駄なんだけどね。

 

 ずっと、見つめ合ってて恥ずかしくなったのか少し頬を赤くして川内が目を逸らした。

 おーおー、うい奴じゃのう。

 

「そろそろいいだろう。じゃあ、カードを好きな所に戻してくれ」

「はい。ではここに」

 

 そう言って、おずおずと神通は一番下にカードを戻した。

 

「じゃあ、那珂。山札を切ってくれ」

「えっ!?大丈夫なの?」

「おう、平気だ。だからやってみ?」

 

 那珂はオレから山札を受け取ると、元気に1、2、3と言いながら山札を切る。

 神通が訝しげな眼を浮かべてきたが、知らんぷり。

 だって、本当に大丈夫だし。

 

 十分切れたと判断した那珂が山札を返してきた。

 

「じゃあ、カードを広げるよ」

 

 そして、カードをまた鮮やかに広げた後、全て表面にする。

 

「さぁ、提督!私達が選んだカード当てて見せてよ!」

 

 どこか自信ありげな、表情の川内。

 

「じゃあ、行くぞ。皆オレの目を見てくれ」

 

 本当はちょっとした前口上があるのだが割愛。

 さっき言ったからテンポが悪くなるだけだし。

 

 そして、川内、神通、那珂の目を見た後、カードを手に取る。

 

「貴方達が選んだカードは…」

 

 三人とも緊張している表情だ。

 川内はぎこちない笑みを浮かべてる。

 神通は心配性な表情。

 那珂ちゃんは那珂ちゃんスマイルで悟られまいとしている。

 

 対するオレは――――

 

「これだ!」

 

 勿論、余裕の笑みだけどな。

 オレが手に持ったのは又してもダイヤの1。

 三人は驚愕の表情を浮かべている。

 

 いやー。愉快愉快

 

「どうだ。わかったか?」

「いや~。無理だねお手上げだよ」

「私も…わかりません」

「う~ん。全然掴めないよぉ」

 

 三人ともやっぱりわからないと、がっくりした表情を浮かべる。

 

「コイツは次の時にレベル3で発表するか」

 

 からからと笑みを浮かべながら言う。

 

 三人は何とも言えない表情だ。

 

「レベル3だったのか。それは難しい訳だね」

「私達、レベル3を再現できたことありませんし…」

「でも今みせて貰ったからちょっとだけ有利になったよ!」

 

 落ち込んだ表情を浮かべる姉たちと違い、妹の那珂はきらきらとした表情だ。

 

「その通りだ。次の発表はいつか分からないしその時までに考えればいい」

「そっか。その通りだね!」

「はい!この謎必ずや解き明かします!」

「じゃあ、次までに頑張ろう!」

 

 三人はハイタッチをして、タネを明かす決意を固めた。

 

「じゃあ、意気投合しているところ悪いけど。そろそろ寝るぞ」

「え~。夜はこれからだよ。まだまだ遊ぼーよー」

「姉さん。明日の秘書官が私だという事、わかってますよね」

「わーごめんなさい神通ちゃん!早く寝ないとだめだよね!」

「あはは、神通ちゃんこわーい」

 

 必死に許しを請う川内、またもやはかなげな笑顔で黒オーラを纏う神通、そして苦笑を浮かべる那珂が只今の図。

 

 偶に姉が誰だかわからなくなるのがこの姉妹だ。

 今だに姉が誰か迷うのは睦月達だけど。

 

「じゃあ、歯磨いて寝るぞ」

「はーい」

「わかりました」

「じゃあ、行って来まーす」

 

 それぞれ返事をすると洗面所に向かった。

 

 オレは川内達に出してたお茶やお菓子を片づけてから向かった。

 

 

 

 2350

 

 

 

 さて、只今の状況を言おう。

 川内型三姉妹がオレに抱き付いて寝ている。以上だ。

 

 って!そうじゃねぇよ!また、この時間だよ!

 先週は、暁達でこの体験したよ!

 

 こうなったら、緊張やらこの子達の体の柔らかさやら、シャンプーや女性特有の甘い匂いで眠気が失せる。

 おかしい…。さっきまで眠くて仕方が無かった筈なのに!

 

 川内止めろ。そんなに頬ずりすんな。

 神通どうしたそんなにオレの右腕を抱きしめて…。神通らしからぬ行動力じゃないか。

 那珂ちゃんよすんだ。そんな風に心臓の音を聞かれるとはずかしいから!

 

「ねえ提督。今日はこんなお願い聞いてくれてありがとう」

 

 川内が耳元で言ってくる。

 止めなさいぞわぞわするから!

 

「夜の僅かな時間だったとは言え楽しかったです」

 

 神通が更に力強く抱きしめる。

 止めるんだ。更に体の感触がわかってしまうだろ!

 

「那珂ちゃん達ね、提督と過ごす時間すっごく大好きだよ!」

 

 那珂が胸に顔を埋めてくる。

 凄く、恥ずかしい感じがする。

 

「今度、手品再現出来たらまた添い寝をお願いしようかな」

「川内ちゃん!那珂ちゃん達も入れてよね!」

「勿論だよ。神通ちゃんも那珂ちゃんも一緒。私だけで独占なんかしないから」

「そうですか。ありがとうございます姉さん」

「だって私達提督の事好きだからさ」

 

 皆の抱きしめる力が強くなる。

 ちょっと痛い位だ。

 

「すまん。ちょっと痛い」

「ああ、ごめんね。でも皆それほど思いが強いって事。ねー皆?」

「はい!」

「うん!」

 

 二ヶ月経って変わった事がもう一つあった。

 それは、オレに好意をぶつける艦娘が増えたこと。

 

 何でオレがこんなにモテているかは不明。

 男は整備士や憲兵もいるし。

 オレなんか、偶に皆と遊んだり、出来るだけ姉妹で出撃できるように工夫したり、皆が無事に帰れるように作戦を立てたり、皆が快適に過ごせるように努力したりとか、上官としてできて当たり前の事しかやってないのに。

 

 でも、出来て当たり前の事が出来てるから、こうやって深く信頼してくれていると思うと嬉しいかな。

 

「皆ありがとうな」

「いいの。いいの」

「ええ構いません」

「那珂ちゃんもそうやってお礼を言われるのは嬉しいかな」

「でも、いつかはちゃんと答えを聞かせてほしいな」

「何に対してのだ」

「もう、わかっているでしょ!」

「意地悪はよくないですよ」

 

 那珂が強く胸を叩き、神通はキリキリと腕を締め上げる。

 

「痛い痛い!わかった!わかったから!」

「わかればいいんです」

「皆待っているからね!」

 

 皆の頭を撫でながら苦笑を浮かべる。

 

 答えか…

 軽く目を瞑る。

 瞼の裏に映っていたのっは、涙を流している男の子。

 この男の子を見ると胸が痛くなる。

 思わず泣いてしまいそうになる。

 その男の子の正体が何かわかっているからだろう。

 

「悪いな…」

 

 答えが出るのは当分先だ――――

 

「ん?何か言った?」

「いやなんでも無い。気にするな」

 

 クエッスチョンマークを浮かべた表情の川内に適当な事を言ってはぐらかす。

 

 オレは欠損しているのだ。

 あのころからオレには無くなってしまった…

 大切だった何かが…

 そして今も持っているはずの何かが…

 本当は何かわかっているのかもしれない。

 だけど、その答えと向き合えるのは当分先だろう。

 

「それより早く寝よう。明日に響くぞ」

「うん。そうだね早く寝よっか」

「はい。おやすみなさい提督」

「おやすみなさーい」

 

 二人から返事が聞こえた後優しい寝息が聞こえた。

 神通が抱きしめたままの右手で那珂の頭を、左腕で神通の頭を撫でる。

 

「むっ。私は撫でてくれないの」

 

 また川内が耳元で言ってくる。

 ぞわぞわするから止めてって。

 

「二人がちゃんと寝てからな」

「じゃあ、我慢してあげる」

 

 そういうと川内は自分の頬をさらにひっつけた。

 

「川内さん苦しいでひゅ」

「だーめ。やめて欲しかったら早く二人が寝る事を祈る事だよ」

 

 上手く言葉になってくれないからでしゅ口調になってる。

 頼む二人とも早く寝てくれ!

 オレの安眠の為に!

 

 

 

 その後、二人はあっさり寝て、川内もいつの間にか寝ていたがオレは寝れなかった。

 何故寝れなかったって?そりゃわかっているだろ?

 戦い抜いていたのさ。漢の戦場をな。

 

 結局寝れたのは深夜の3時位だった気がする。

 オレの体内時計が正しかったらの話だが。

 

 次の日、前日秘書艦だった大和が起こしに来た。

 後の事はお察しの通り、オレだけ怒られた。

 解せぬ。

 

 怒られた理由は、そんな簡単に女の子と寝ちゃいけませんだとかそんな事。

 何か語弊があるがいかがわしい事はしていない。

 大和はそこの所わかっているはずだし。

 …わかってるよね!?

 

 その日は、翔鶴瑞鶴姉妹に添い寝を要求された。

 もう寝不足は嫌なのだが…。

 

 

 

 

 まぁ、こんな鎮守府だ。

 悪くは無いだろう?

 

 オレは毎日が楽しくて、充実している。

 

 そして今日もオレの提督生活が幕を開ける。

 

 さあ、皆で暁の水平線に勝利を刻むとしますか!!!


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