死神と艦娘の物語   作:ゆーなぎー

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豪華二本立てです。




chapter 1-2 死神と先輩 死神と初期艦

 運転手が目的地に着いたことを告げドアを開けてくれた。

 運転手に見送られ鎮守府の門の前で憲兵さんに、挨拶をして門を開けてもらった。

 門をくぐると、学生が着るようなブレザーの女の子がいた。上品な佇まい、風に柔らかくたなびく茶色の髪も目を引くが、何よりも美人だった。

 私がその女性に見とれていると、柔らかく微笑み礼をした。

「初めまして、私熊野と申します。貴方が志崎様ですね。以後、お見知りおきを」

 軍ではそこまで見られなかった女性の上品な佇まいに呆けてしまっていると、熊野に「ふふふっ」と口元を抑えて上品に笑われてしまった。私は慌てて自己紹介を返す。

「私は志崎生希だ。階級は少佐。よろしく頼むよ」

「承りましてよ。では、来客室までの案内をさせて貰う傍ら、この鎮守府内の説明をさせて頂きますわ」

 熊野はゆっくりとした動作で優しく髪を抑え私から背を向け歩き出した。その時に軽く風が吹き髪が優しく揺れていてとても綺麗な光景だった。

 私は門の前で私に敬礼し続ける憲兵に敬礼を返し、熊野後を追った。

 

 

 

 

 

 軽く施設について説明してもらいながら案内して貰っている内に、来客室についてしまったようだ。

 歩いている時に、指導者は誰なのかと聞いてみたが「内緒ですわ」「それは着いてからのお楽しみですわ」と教えて貰えてなかった。そんなんだから不安いっぱいだ。一体誰なのだろう?上手くやっていける人だといいけど。

 そんな物思いに耽っていると、熊野がドアをノックしてしまっていた。あ、あのまだ覚悟が決まって…ええい、知るか!やるしかないんだよ!

「熊野です。例の見習いさんをお連れしました」

「おう。ありがとな熊野。入っていいぞ」

 中から応答の声がする。アレ?この声まさか。そんなこと思う間もなく熊野がドアを開けて入るよう促してきた。

「よう!久しぶりだな志崎。といっても一、二ヶ月か前に訓練所でも会ったけどな。」

「せ、先輩!」

 驚いた。本当に驚いた。まさか新巻大智(あらまきだいち)先輩だったとは。

 先輩は軍学校でも結構世話を焼いてくれた方だったし、戦争に参加して生還した方だ。お見舞いに来てくださった時、確かに今指揮官をしていると言っていたが艦隊の指揮をしていたとは!

「お見舞い、それに訓練に訓練に付き合って頂き誠にありがたく」

「はははっ。そこまでかしこまんなって。」

「で、ですが、目上の方には」

「そうだったなぁ。意外と固いところあったもんな」

 先輩は苦笑いを浮かべてソファから立ち上がり私の頭をポンポンと叩いてソファに座り直した。続いて私もソファに座る。先輩の隣には熊野が座っている。

「そういえば『アレ』してないんだな。道理で前髪長いと思ったぞ」

「『アレ』しないのか?なんかあん時もしてたしないと調子が少し狂うな」

 あん時というのは、軍学校時代と戦時中のことだろう。

「付けていいならつけますが?」

「じゃあ頼むよ。志崎も付けて無いとなんか気合でないだろ?」

 そうか、車内で書類ばっかりで頭が痛かったのも、指導者がわかんなくて無駄にドキドキしてたのも『アレ』が無いせいか!私は何か色んな責任を『アレ』のせいにして、帽子を脱ぎ、鞄から『アレ』をとりだして額から頭の後ろまでぐるりと巻いて結んだ。

「やっぱそいつがあった方があった方がお前らしいよ。うん」

 そう『アレ』とは、ズバリ、鉢巻だ。オレは戦場だろうと訓練だろうと授業中だろうと鉢巻を巻いていた。まぁ、鉢巻をする理由としてはちょっとした物があるけど伏せておく。あまり『軍人としての私』に関係ないと思うし。

「私もこいつを付けてた方がしっくりきますよ」

 恥ずかしくなって少しだけ頬を掻く。

「ええ、お似合いですわよ」

 さっきから会話に参加できなくて、頬を膨らませてた熊野が褒めてくれた。あ~あ、ふくれっ面可愛かったのに。

「ありがとう」

「その…鉢巻を付けるのは何か意味がおありで?」

 今脳内で思い返すつもり無かったけど、まさかもう言うことになりそうになるとは…。因みに鉢巻の色は日替わりだ。今日は赤。

「妹がくれたんだよ。だから、つけないとうるさくってね」

 まぁ、少しお洒落したいだけさ。とだけ言っておいた。

「まぁ、そうなんですの。良い妹さんですわね」

 お嬢様特有(?)の柔らかくお上品な笑みを浮かべた。

 ほら、あなたもお洒落してみたらいかがですの?と先輩を小突きながら意地悪く熊野は言った。先輩は少しバツが悪そうな顔をした後、何かを思い浮かんだかのように私に話題を振った。

「そういえば、こいつ俺が指導者だってこと、ここに来る前に言わなかったよな?」

「?ええ、おかげでずっと誰かわからず緊張してましたよ」

 苦笑しながら答える私を見た後、先輩はわしゃわしゃと乱暴に熊野の髪を撫でた。

「きゃあ!なにするんですの!せっかく整えてくださった髪が乱れてしまいますわ!」

「いいじゃないか~。きちっと約束守ったご褒美だってば。お前、おっちょこちゃいな所あるしさ」

「だ、だれがおっちょこちょいですの~!」

 熊野は反抗的な言葉とは裏腹に嬉しそうだし、抵抗もしていない。顔も蒸気が出てるんじゃないかと思うほど真っ赤にしている。凄いこの先輩目の前でいちゃついてくる!リア充爆…おっと失敬。

「…何か物騒な事考えて無いか?」

「いえ全く」

 危ない危ない。こんな事先輩にばれたら私が年齢=彼女いない歴だとばれてしまう(もう先輩は知っているかもしれないが)。

「お前もこんな風に接することができる艦娘ができるようがんばれよ」

 まぁ、お前はモテる方だし大丈夫だろ。という訳のわからないことを言いなが先輩は高笑いをしている。この空間つらい憲兵さん呼ぼう…。

 私がそんな事思っていると一つ引っかかるものがあることに気付いた。艦娘だって…

「その娘が艦娘なのですか?」

 疑問気な顔を浮かべた後、納得した顔となりほうほうと頷いた。

「そうかあの人も意地悪だね。まさか彼女たちを見せないとは」

「全くです。でも本当に艦娘なのですか?資料にあったような艤装などはしてないですけど」

「ああ、彼女たちは自分たちの意志で艤装を出すことができるんだよ。熊野見せてあげてよ」

 熊野は先輩が撫でるのをやめた事で、ハッとした顔となり咳払いをして立ち上がった。

「いいこと?一回しか見せませんのでしかとその目に焼き付けてくださいまし」

 熊野は目を瞑る。そう、まるで精神力を統一しているかのよう。そしてカッと目を開き高めた精神力を解放すると、熊野から光が発生し包まれた。そして光のベールが剥がれると全身に艤装を装備した熊野が現れた。

「おお!すげえ!」

 オレは凄く興奮した。それはもう初めて特撮ヒーロー物の変身をを見たような気持ちになったさ!だって変身ですよ変身!男の子ならただのベルトをライダーベルトの代わりにして変身の真似した筈だよ!そして後にCGという技術により作られた演出だとわかりがっかりしたけどさ。その男の憧れの変身が今目の前で

「お、落ち着いてくださいな。そんなに喜んで頂けると少々照れますわね」

「そうそう落ち着け志崎。初めて特撮ヒーローの変身を見た子供見たいな目をしてたぞ」

「だって先輩。変身ですよ変身。先輩だって一度は憧れたでしょ!」

「ああ、わかるとも!」

「何を隠そう最初この変身を見たとき俺も滅茶苦茶興奮して飛び上がったくらいだ!」

「流石先輩!やっぱり話が合いますね!」

「ああ!俺もこんなに良い後輩を持てて幸せだ!」

 オレと先輩はパアァン!と強く手を叩いた後、強くひしと抱きしめ合った。やっぱりいい先輩だよこの人!

「ははは!今日は朝まで飲むか兄弟!」

「何言ってるんですの!今から志崎さんのご指導をするんじゃありませんの!」

「ホントですよ何言ってるんですか先輩!オレも先輩も酔いやすいでしょ!」

「酔ったら熊野に介抱して貰えばいいじゃないか!」

「そんな事しませんわよ!」

「いいですね。こんな美人の娘の膝枕とか最高ですね!」

「貴方も何をおっしゃているんですの!」

「ははは!だが熊野はやらんぞ!こいつは俺の熊野だからな!」

「全く羨ましいですよ!こんな可愛い子が彼女で!」

「彼女じゃない嫁だ!」

 ガハハとアメリカのコメディものみたいに笑いあうオレらと、無視された怒りや恥ずかしい事いわれた事やら色んな理由で顔を真っ赤に染まる熊野。物凄いカオスな空間だが気にしない。この空間がオレらにとってのベストプレイスだからさ!

  

 後に聞いたことだが、この変身は普段こんなに派手じゃないらしい。残念だ…。 

 

 

 

 

死神と初期艦

 

 だが、このカオスな空間をぶち破るように廊下から足音が聞こえてきた。

 流石にこんな宴会のような馬鹿騒ぎを聞かれてしまうのは恥ずかしいし、先輩が慌てたようにすぐさま椅子に座り、熊野も姿勢を正して座り直したので、私も急いでソファに座り直す。

「そ、そうだ。お前に一つ言い忘れるところだった」

「な、なんですか?」

 お互いどもってしまう。さっきまであんな馬鹿騒ぎしてたのが恥ずかしくて皆目を合わせられないのだ。だが後悔はしてない男のロマンとは恥を押し殺した先にあったりもするからだ。

「今日お前の部下となる艦娘が来る。多分もうすぐ到着する筈だ。」

 だから慌ててたのか。いやあの足音が誰であっても慌てるだろうけど。

 そんな事考えてるうちにドアがノックされた。先輩は私に返事をするように促した。

「入っていいぞ」

 少し偉ぶって応答した。何か偉そうな感じするな。悪印象を与えないといいけど。

「失礼します」

 しっかりとした挨拶だ。良い娘だといいな。

 ドアが開き挨拶の主が入ってくる。

「陽炎型 9番艦天津風ただいま到着しました。」

 入ってきたのは腰まである長い銀髪のツインテールの女の子だ。丈の長いこげ茶のワンピースに黒のニーソックスをガーターベルトで吊っていて絶対領域が眩しい。その女の子が敬礼しながら挨拶をしてくれた。

「私が志崎生希だ。今日から君の指揮をさせて貰う。よろしくな」

 柔らかく微笑み手を差し出す。天津風は少し恥ずかしそうに手を差し出す。

「ええ、こちらこそ。よろしくお願いするわ」

「君は私が初めて指揮をする艦娘だ。初めてで荒削りかもしれないがお手柔らかに頼むよ」

「ふふふっ。期待してるわね」

 うん、凄くいい子そうだ。これは将来安泰だな。

 こんなのんきな事を考えているがオレはこの時気づいて無かったのだ。これから恐ろしいほど賑やかな提督生活を送ることになることを…。

 




…本当にテンション高いなぁこの頃。
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