魔法先生ネギま! 星を司る魔法使い   作:osero

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第二話『麻帆良学園』

「そろそろかのぉ~」

 

 外の景色を眺めながら顎髭を摩りそう零すのは麻帆良学園を取り仕切る老人、近衛 近右衛門。

 

 表向きは麻帆良学園の学園長。その実。裏の顔は日本での関東魔法協会の理事を勤める魔法使い。

 

 高位の魔法使いであり、学園最強と謳われる世界でも凄腕の魔法使いである。

 

 そんな人物の零した言葉に反応する女性が一人。

 

「ネギさんの他に誰か来るのですか?」

 

「優秀な人物がのう。ネギ君一人だけじゃなにかと大変じゃろうと思ってな」

 

 フォフォフォと笑い声を上げながら嬉々と答える学園長。

 

「では副担任ですか?」

 

「そうじゃよしずな君」

 

 しずなと呼ばれた人物は眼鏡をかけ母性溢れる知的な女性であった。彼女もれっきとした魔法使いである。

 

「授業は始まってますが、遅刻しているのですか?」

 

「彼は色々忙しい身でな。そろそろ来る時間帯なんだがの……噂をすれば来たようじゃ」

 

 二回、三回ドアが叩かれ許可を出し入室を許す。そして入ってきたのは一人の青年。

 

「失礼する。任務の概要を聞きに来たユーキだ」

 

「フォッフォッフォ。良く来たのう」

 

「この方が……」

 

「お前が呼んどいてよく言う。それよりさっさと依頼を言え、受けるか受けないかを決めるからな」

 

 ユーキの姿は黒いスーツに身を包み手にも同色の黒の薄い手袋を嵌めていた。異様に似合う服装であった。来て早々、腕を組み壁に背を預けるユーキの姿にしずなは戸惑い学園長は笑う。だがすぐさまその目は真剣な目付きになる。

 

「お主には教師として副担任を受けて貰いたいんじゃ」

 

「それが依頼なら俺は帰るぞ?」

 

「まぁそうはやまるではない。近頃、ここを狙うやからが増えてきてな。こちらも対応しているのじゃが、先生達の負担が大きくなってきての」

 

「まぁここは世界樹があるからな。あれだけのやつがあればそれを狙うやつもいるか……だが結界が張ってあるんじゃないのか?」

 

 世界樹、正式名称「神木・蟠桃(しんぼく・ばんとう)」。この学園の中央に聳え立つ、樹高270mという世界に類を見ない巨木。その木には内部にとてつもない魔力が蓄えられており、それを利用したいと考える輩が多いのである。人による魔物や妖怪の召喚もあるため、それを殲滅するために魔法先生が存在していた。

 

「高位の妖怪・魔物は結界でいいのじゃが……小さいのが沸いてくるのじゃよ。まぁ、色んな組織がこちらにちょっかいをかけているのじゃよ。ここの教員は皆レベルが高いのじゃが最近数が多くての、負担が大きくなってきたから変わりに呼んだのじゃ」

 

 嫌がらせを受けている身の癖してどこか楽しそうに朗らかに笑う学園長。相変わらずの人間性に呆れながら、ユーキは口を開く。

 

「……いいだろう。ただし、あちらから任務が入った場合はそれを優先するからな」

 

「フォフォフォ。それでもかまわんよ。むしろ貴君が受けてくれて感謝してるくらいじゃよ」

 

「まぁ、もともとこの案件はあの人にも頼まれていたからな……」

 

魔帆良学園は小・中・高・大と様々な学年に魔法教師が存在するが、魔法使いとして学園以外にも魔物や妖怪退治に様々な場所へと出張という仮の理由で借り出されるためかなり多忙であった。まぁその分人数もかなりの数がいるのだが、何人も数を呼ぶより強い人間を一人呼んだ方が効率がいいという理由でユーキが選ばれたのであった。

 

 ユーキ自身、自分の祖父に頼まれこうしてはるばる日本にやって来た次第であった。

 

 話が落ち着いた頃合いを見計らってシズナはユーキに声をかける。

 

「始めましてユーキさん私は源しずなといいます。こちらが貴方が福担当を受け持つ名簿です」

 

 ここに来てようやくユーキはしずなの存在に気づき挨拶をかわす。

 

「すまない。自分のことはユーキと呼んでくれ。ちなみに担任は誰か受け持っているんだ?」

 

 貰った名簿を開き一人一人の人物に目を通しながら自分が手伝う教師の名前を聞く。しかし直後にしずなが答えた名前を聞いてユーキの手がピクリと止まる。

 

「はい。担任はネギ・スプリングフィールド。10歳の子供ですがとても良い子ですよ」

 

「……糞爺。どういうことだ」

 

 一瞬の沈黙の後に呟いた吐きは威圧感を伴う。

 

 明らかにユーキは態度は一変して嫌悪感を示していた。 

 

「どういうことも何も、ネギ・スプリングフィールドはキミの弟ではないかのう。手伝うのは兄として当然ではないのかのう?ユーキ・スプリングフィールド君」

 

 あえて名前を強調する当たり人の悪さが滲み出ている。

 

「その苗字で呼ぶな……反吐が出る。爺……からかうのも対外にしろよ」

 

 威圧感が更に増し、鋭い視線が近右衛門を貫く。暖かい風が学園長室に靡く。

 

 その風の原因は勿論ユーキ自身から滲み出る魔力。

 

(からかいすぎたかの。殺気がヒリヒリするし……魔力が怒りで滲み出てるわい)

 

 顎を摺りながらも目を細め笑う学園長ではあるが、内心では冷や汗をかく。少し力量を測って見たいと興味が出て煽って見たがやぶ蛇であった。殺気も大した物でありながら滲みでる魔力を見て心配はきうだと気づいた。

 

「すまんのう~そちらの実力を測りたかっただけじゃ。噂でしか耳にしてなかったからのぉ」 

 

「……次は無いぞ?それより、何故アイツの尻拭いを俺がしなければならない」

 

「君が父嫌いなのは聞いていたが、弟もとは知らなかったと言えばいいかのう。君を紹介した人物から昨日聞いたばかりじゃったしな……」

 

「……なら別にいい。わざとだったら潰していたがな」

 

 すぐさま魔力は掻き消え、やる気のなさそうな彼に戻る。

 

 学園最強の魔法使いにたいしての言葉遣いは勿論、潰す発言にシズナは驚く表情を浮かべる。

 

(学園長は高位の魔法使いとして名をはせている魔法使いですよ!?)

 

 実際に実力を見たことあるしずなからすればその学園長に喧嘩を売るなど馬鹿らしいとしか思えなかった。内心そう思うも、しかしそれを学園長本人が肯定と言う意味で頷いた。

 

「確かに主が本気を出せば洒落にならんからのう。そうならず助かったわい」

 

 思わず、驚きのあまり声を漏らしそうになった。それぐらい驚愕である。そんなシズナを置いて二人は会話していた。

 

(まぁこれぐらい釘をさして置けばむやみにこちらをからかうことはないだろう)

 

 今の学園長が言ったことはすべてユーキにとっては事実であり、嫌ってはいたがここまでここまであからさまに怒ったのもわざとであり、釘を指すためであった。

 

 それは学園長の性格に起因があった。人の嫌がることをすることで有名な学園長なため余計な詮索をされたくなかったのだ。そう考えるユーキを余所に、学園長はしかし問題があるぞと指を立て口を開いた。 

 

「魔物退治をするときにお主を紹介するときにどうせ名前は出すのじゃ、ここでそう言っても仕方ないじゃろうおて」

 

 

「わざわざ、今言う必要もなかったはずだが?大方、刺激が欲しくてこちらをからかったんだろうが」

 

「仕方ないのじゃ、年をとるとのう刺激が欲しくて興味があるとすぐ知りたがるのじゃ」

 

 悪気がちっともないその発言にユーキも怒りを通り越して思わず呆れる。めんどくさい爺だと罵りさっさとこれからのことを話せと催促する。

 

 落ち着いた雰囲気のしずな先生もやっとの思いで現実に戻ったが、さすがにこの2人のやり取りにはおろおろしていた。といっても当人達はお互い腹の中をある程度把握しているためにじゃれあい程度の馴れ合いである。それからは必要事項を話し合った。

 

「そうじゃのう。今から2-A組に向かって貰うかのう。しずな先生案内して貰えますかな」

 

「え、えぇ分かりました。ユーキさん今から案内しますので着いて来てください」

 

 教員の証明書とその他の物を受け取りユーキとしずなは学園長室から出る。

 

 廊下を歩くユーキとしずなだが、互いに会話はなく沈黙が漂う。

 

 先ほどのが原因なんだろうなと思いつつも彼はフォローするつもりは微塵も無い。自分の嫌いな話題をわざわざぶり返すのも面倒極まりなかった。しずなの方は年の功で、この話題は明らかにタブーだと理解しているので無闇に突こうとはせず自分の与えられた仕事を全うしていた。それがこの静かな状況を生み出す結果となる。授業中のため辺りは静寂であり靴音だけがカツカツと鳴り響く。

 

 時折見える各教室は女子一色。魔帆良女子中等部なのだから女子しかいないのはごく当たり前で自然的なのだがユーキにとってはとても珍しいものであり、慣れない場所に来たと自覚し思わず溜め息を吐く。こそこそと先生の目を盗み雑談する生徒や、真面目に授業を取り組んだりとなんて理想的で平和な絵なのだろう。

 

 平和すぎて、眩し過ぎて思わず目を逸らしたくなる物が目の前にはあった。

 

 過去の思い出が一瞬飛来して顔を歪める。

 

「顔色が優れませんが大丈夫ですか?」

 

「……なんでもない。気にしないでくれ」

 

 溢れ出る何かに蓋をして、先ほどの表情が嘘のようにユーキは先を促す。

 

「そうですか……」

 

 ユーキの返事を笑みで返しながら。その笑みとは裏腹に彼女の心は疑問でいっぱいだった。

 

 初対面で彼を見たときのしずなの第一印象は磨耗しきった枯れ木。見た目上では17ぐらいの少年に感じるにはありえない印象。まるで数十年生きて生きるのに疲れ果て諦観を受け入れた老人のそれである。

 

 青年であるはずの彼がそういうふうにしずなには目に映るのだ。心が磨耗していると感じて。黒い眼を見れば、悲観的な瞳。どこまでも暗く、黒く、直視が出来ないほど瞳には光が宿っていないように感じた。自分より年下のはずが、自分より年上に見えるという矛盾さえおかしい。

 

 それがシズナを悩ませていたが、されど詮索は野暮だと思い、保留にして彼女は彼の案内という役割を果たすべく教室に向かう。後をユーキが着いていき教室を目指すのであった。

 

 

 

 

 魔帆良学園。中等部二年A組。10歳という異例の新任教師。ユーキ・スプリングフィールドの弟にして、わずかこの年で主席で卒業しなおかつ飛び級とあらゆる才に恵まれたと言っても良い天才児。名をネギ・スプリングフィールド。

 

 偉大なる魔法使い(マギステルマギ)になるための一環として教師をする試練を課せられそれを実行するべくこの学校に来たのだ。

 

 挨拶前に黒板消しやら、女子中学生特有の数々のいたずらの洗礼を受けたがその子供っぽさと愛嬌で最初から生徒の心を掴み良い雰囲気を作りだしていた。おかげで最初の授業からも微笑ましく見守られており、ネギにとっては最高の出だしといっていいだろう。今も授業どころではなく、お祭り騒ぎなのが難点であるが。

 

「ネギ君、可愛いよね……」

 

「何よあんなやつ。ただの餓鬼よ」

 

 皆がネギにたいしての評価を改めているとドアが叩かれ先ほど教室を出て行ったはずのしずな先生がドアから入ってきていた。それに皆が疑問が頭に浮かんだ。何故と。

 

「えっっと……しずな先生どうかしましたか?」

 

「そうですね。それは皆さんと一緒に教えますから」

 

 皆の思いをネギが代弁しそれを置いといて、しずな先生は机の前まで行きパンパンと両手で手を叩いて生徒を静かにさせる。静かになったのを確認して笑顔で頷きネギの疑問の問いに答えた」

 

「ハイ。皆さんにはもう一人の先生を紹介します」

 

「え!?もう一人も来るの?」

 

「えぇ~もしかして今度はイケメン君かも!?」

 

 彼女の発言に皆が驚愕し期待に包まれる。それを宥めながらしずな先生は続きを話す。

 

「ネギ君一人じゃ大変だと学園長が急遽、用意してくれた副担任です。ユーキさん入って下さい」 

 

「え……!?ユーキって……」

 

 彼女の発言にネギは心当たりがあるのか、驚いた顔を浮かべていた。驚くネギを余所にドアが開かれ靴音を鳴らしながら彼は机の前に立ち自己紹介を始める。

 

「ユーキ・スプリングフィールドだ。ここの副担任として来た。年は17才だが、教員免許はしっかり持っているので安心してくれ。あくまで担任の補助の立場なのであまり授業をすることは少ないがよろしく頼む」

 

 自己紹介を終え、頭を下げるユーキ。一瞬沈黙が漂うがすぐさま女子達はある一点の言葉に反応した。

 

「スプリングフィールドって……」

 

「まさか、ネギ君のお兄さん!?」

 

「そう言えば似てるかも。髪の色が違うけど」

 

 苗字が一緒というだけあってやはり皆が考えることは一緒であった。飛び出す質問の嵐を事前にこういうことは予測出来ていたのでユーキはあくまで冷静に答える。

 

「一応……血の繋がった兄だ。が、あまり詮索しないでくれると助かる」

 

 あまり空気を悪くしたくないため軽く、申し訳なさそうにお願いするユーキの態度に女子達は兄弟同士あまり仲良くないのかな程度で終息する。

 

「ネギ君は可愛いけどユーキさんはクール系だよね」

 

「私、タイプかも。ちょっと鋭い視線がまたそういう雰囲気醸し出してるよね!?」

 

 ユーキの話題で盛り上がる女子一同。それもそのはずユーキの容姿は本人は自覚していないが、端整な顔立ちをしていた。吸い込まれるような漆黒の髪、目の色は髪と同じ黒。しかし本人はこの容姿が嫌いであった。よく父に似ていると言われるため自分の顔には嫌悪しかしなかったのだ。

 

 そんなユーキの思いとは裏腹に盛り上がる女子達のそんな中でユーキの姿を見て違う反応を示した人物が5人いた。

 

(なかなか出来るでござるな……)

 

(立ち振る舞いが一般人のそれじゃないアルネ)

 

(面白いことになりそうだ……)

 

 二人の人物はユーキに只者じゃない何かを感じ取り、残りの二人の内、一人は懐かしむ者を見るような目でユーキを捉えていた。もう一人は思わず机を叩き立ち上がっていた。驚愕とありえない者を見るような目で。皆の注目が集まる。普段からあまり目立たない人物がこのような行為をしたため回りは疑問だらけであった。

 

「あ……」

 

 本人すらも立ったことすら気づかなかったのだろう。自分の行動に心底驚いていた。

 

「どうかしたか、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル……だったか」

 

「……なんでもない」

 

 名簿の名前をもう覚えてるユーキは名前を呼ぶが本人は見つめること数分。暫く、ユーキを見つめる生徒だったが何事もなくやがて素直に着席。

 

 謎の行動に首を傾げるユーキだったが気にせず、次々と来る質問に淡々と答えていくが最中に授業の終了を知らせるベルが鳴り響き、ユーキの自己紹介が無事終わった。

 

 

 

 

 あれから授業がすべて終了し、放課後を迎えていた。ユーキは外を歩きながら今日の出来事を振り返っていた。

 

「疲れたな……」

 

 10歳の教師とあってやはりまだ生徒をきつく叱れないだけあってユーキが変わりに生徒を注意していたが中学生の女子のパワーと言うのは凄まじく授業を見守るだけの仕事なのだが、どっと精神が疲労し思わず肩を落とす。

 

 さっさと帰ろうと思い歩き出す彼だったが一人の人物が目に入り止る。

 

「あれは、たしか……」

 

 ユーキの視線の先には、確か、と頭をようやくその人物が浮かんだ。クラスの出席番号27番宮崎のどか。特徴的な顔を隠す前髪ですぐに分かる。それだけならいいのだが気になったのは彼女の今の状況であった。ふらふらと揺れながら沢山の本を持ち歩いており、如何にも危なそうである。

 

(あれは危ないな……)

 

 ユーキの予想通り彼女が足を滑らせそしてそれが現実になる。

 

 

 あろうことか彼女はその場所から足が跪き、体が倒れ階段に真っ逆さまに落下していく。このままでは大怪我をするのは目に見えた。

 

「やばいな」

 

 ユーキは悲鳴を上げながら落下するのどかに向かい疾走する。しかしこのままでは間に合わないと判断したユーキは瞬時に足に魔力を込めて速度をあげようとした所で魔力反応を感じ視線を向ければ杖を向け魔法を唱えるネギの姿が目に入った。

 

(あれは風の魔法か……ならこの速度のままで大丈夫か)

 

 その判断は的確で、のどかの落ちるスピードが減速しそれをお姫様抱っこで受け止める。もちろんしっかりと衝撃を膝で流し負担を彼女にかけないよう細心の注意を払って。

 

 「大丈夫か」

 

 「え、えと、はい」

 

 恐怖で必死に目を瞑っていたのどかはユーキの声で恐る恐る目を開く。目の前には今日来た教師の姿。状況が分からず呆然と至近距離のユーキの顔を見つめていた。が、やがて今のお姫様抱っこと見詰め合う状況を理解し顔を真っ赤に染めた。すぐにすいません。すいません。と謝るのどかにユーキは落ち着けと答えて優しく頭を撫でる。撫でられ羞恥でより顔が赤くなるが、同時に心地よさも感じて不思議な気持ちだった。

 

 次第に落ち着きを取り戻す。恐る恐るといった表情でユーキの顔を見上げるのどか。それに対してユーキは怪我の確認をする。

 

「別に謝らなくていい。それより怪我はないか?」

 

「い、いえ、大丈夫です。た、立てます!……ッッ!」

 

 今の状態の恥ずかしさにすぐ立とうとしたのどか。しかし足に鋭い痛みが走りまたこけそうになる。それをユーキが支えて座らせる。

 

「無理をするな。怪我の具合を確かめるために確認するが大丈夫か?」

 

「は、はい……」

 

 真剣な表情でのどかの靴と靴下を脱がし怪我の具合を見るユーキ。見ればのどかの足はかなり腫れていた。

 

「かなり腫れてるな……少し触るぞ、痛いならすぐ言え」

 

「ッッ……少し痛いです」

 

 のどかは今の状況に頭がぼおっとしていた。足の痛みはもちろんだが異性に、自分の足を触られていることに余計に自身の体温が上がるのを感じられた。

 

 どうしよう……触られてる。恥ずかしい。

 

 そんな感情で頭がいっぱいになり、のどかはどうしていいかわからずあたふたしながら今のこの状況を頬を染め見守るしかなかった。

 

「そうだな。歩けそうにないな……保健室に連れて行くしかないな」

 

 よっと掛け声と共にユーキはのどかをお姫様抱っこをする。早く治療しなければと考えての行動。しかし彼女は突然のことに、はぅ!と唸る。なんで?どうして?と展開についていけない。

 

「あの……ユーキ先生……これは、は、恥ずかしいです」

 

「足が腫れてるから歩けないだろう。なるべく早く冷やした方がいい」

 

「でも……」

 

 言い訳は後で聞こうとのどかの言葉をわたり、ユーキは本を近くの生徒に頼みのどかを保健室へ運ぶべく歩き出す。ユーキに運ばれる彼女は終始羞恥に晒されていた。

 

 

 

 

 のどかの治療が無事に終わり、時間にして夕日が空に輝く頃。ユーキは寮には帰らずのどかと二人で教室に向かって歩を進めていた。本来なら一直線に寮に帰ろうと思ったユーキだったが、生徒ののどかに一緒に教室来てくれませんか。と頼まれたため、足の怪我のこともあり一緒に着いてきていた。

 

 教室に入るなり、ユーキは驚く。クラス全員がお祭り騒ぎであり、今朝あったしずな先生や、知り合いの人物を見つけたからだ。知り合いも気づいたのかこちらに近づく。

 

「やぁユーキ久しぶりだね」

 

「まさか、ここで先生をしていたとはな……タカミチ」

 

 ハハハと笑いながら握手をかわすタカミチ。ユーキとタカミチが知り合いなのは小さい頃からであり、ユーキ本人からしてもタカミチは気が緩む仲であった。幼少の頃からお世話になったこともあるが、一番の理由をあげるなら互いに魔法の才能が無い同士という共通点があったのが最も大きかった。

 

「ユーキもまさかこの学園の教師になるとは思わなかったよ」

 

「祖父に頼まれてな……一応お世話になった身としての恩返しのつもりだ」

 

「積もる話もあるけど、今日はユーキとネギ君の歓迎会だから楽しみなさい。まぁ君はこういうのが苦手なのは知ってるから、あまり無理もしないようにね」

 

「あぁ、そう言ってもらえると助かる」

 

 それはユーキに起きた過去を多少知っているからの言葉でありそれがユーキにはありがたい言葉であった。お礼を言い、なるべく目立たないよう壁に寄りかかる。そんなユーキに気づいた二人の生徒が声をかけた。

 

「ユーキさん。話は聞きました。のどかを運んでくれてありがとうございます」

 

「そうそう。ついでに保険医が不在だったから治療もしてくれたんだって?」

 

 敬語で話しかけたのは出席番号4番の垂れ目が特徴的の綾瀬夕映。フランクな喋り方のもう一人は14番の早乙女ハルナ。アホ毛が特徴的である。

 

 気にするなと肩を竦めるユーキ。本人からすれば教師として当たり前の行動だしな、と言う。

 

「ほら、のどか頑張って!」

 

「のどか……頑張るです」

 

「あ、あの……本当に今日はありがとうございました。こ、これはお礼です――――図書券です!」

 

 綾瀬とハルナ二人に背中を押されて先ほど治療したばかりののどかがユーキの前に立ちぺこりと頭を下げながらチケットを差し出す。

 

 精一杯勇気を振り絞ったのだろう。手はプルプルと増えており緊張していると言うのがすぐ分かる。そんな生徒の勇気をユーキは好ましく思い、お礼を言いチケットを受け取る。それより……と、身を屈みのどかの目を見ながら、

 

「あんまり無理をするなよ。あれだけの本の数運べば今日みたいに怪我するからな……誰かを頼るのも大事だぞ。もし誰もいないなら自分を誘えばいい。副担任だから仕事は少ないからな」

 

 ほのかに頬を赤くしながらハイ。と笑顔で嬉しそうに答えるのどか。しかし周りは今の一連の行動を見て勘違いする。

 

「あー本屋がもうユーキ先生にアタックしてるよ!」

 

「ほんとだ、ずるいずるい」

 

  違いますよとぶんぶん手を振って必死に否定するのどかとアハハと笑い合う女子生徒達。

 

 その様子に仲慎ましいなと思うユーキ。だが、これだけでは終わらず次から次へと声がかかり対応に困る。私も私もと双子の鳴滝姉妹に抱きつかれ、振り回され珍しく慌てるユーキを遠目で見ていたタカミチは安心する。

 

(良かった。心配はきうだったようだね)

 

 ユーキの過去を知っているため人と馴れ合うのが苦手な彼がこうして触れ合っているのを見て微笑ましい物だった。

 

「ユーキさんを見ているのですか?」

 

「まぁね。彼はあまり人を近づけさせない雰囲気を出すからね。無事馴染めたみたいで一安心だよ」

 

 しずなの問いかけにそう返すタカミチ。弟を見守る兄のような心境なのだろう。だが、しずなから学園長室での出来事を一通り教えて貰うと苦笑いを零しざるおえなかった。

 

 




最近他の小説が上手く出来ないので息抜きのつもりで上げました。

とりあえず気まぐれ更新です。

とりあえず、アドバイスなどが欲しいのでどんどん意見が欲しいです。

どこが悪いのかどこがいいのかそこらへんの意見がもらえたら嬉しいです。
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