ライブラの一員がダンジョンに潜るのは間違っているだろうか   作:空の丼

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この世界の住人達は原作とはちょっとだけ設定が違うかもしれないのです!!

主に料理スキル的な意味で。




食罰だソーニャ

 

 異界の住人を目撃した次の日、僕は『青の薬舗』に向かわずにホームのソファに身を沈めていた。

 言っておくけどサボりじゃない。そりゃあ昨日の件で色々動揺してるのはあるけど。

 

 昨日、午後からの売込みは身が入らなくて全然売れなかったが、それでも師匠にはめちゃくちゃ褒められた。

 

『ハイ・ポーションを売ってくるなんて、しかも定価より高く売ってくるなんて……、レオ、ウチのファミリアに入らない?』

 

 今までに見たことがないくらい尻尾を振り回してたよ。

 

 もちろん丁重にお断りさせていただいた。

 

 それでその後、

 

「レオ、明日は来なくていいから」

 

 そんなことを言われたのだ。理由を聞いては見たけど「明日は用事があるから」と言葉を濁された。

 まあバイトの身だしファミリアの事情に頭を突っ込むのもどうかと思ったから、それ以上は聞かなかったけど。

 

 そういうわけで今日は特訓もバイトも休み。

 

 

 

「うぁー、ベルー、退屈だー」

 

「……そうだねぇ」

 

 ちなみにベルも今日は休み。僕と同じで、最近一緒にダンジョンに潜っているリリから「明日は用事で潜れない」と言われたらしい。

 

 ここのところダンジョンに通いっぱなしだったからいい休息、だなんて言ってたけど明らかに何か考え込んでいる。今日も朝からずーっとベッドに横になって溜息ばかりついてるし。

 

 

 ……って、僕も人のこと言えないか。

 

 

 まずいなー。明らかにこの部屋負のオーラが充満しちゃってるよ。ヘスティア様ですら気まずそうにしながら逃げるように出勤したし。

 

 時刻はもうすぐお昼時。あんまり食欲は湧いてない。多分ベルも同じだろう。

 

 でも、このままじゃ駄目だ。このままこんなドンヨリした部屋に籠ってたらヘスティア様が帰ってくる頃には頭にキノコでも生えてしまう!

 

「……ベル、昼飯食べに行こうっ」

 

 ガバッとソファから身を起こしベルに提案する。

 

「うーん、今日は食欲ないんだよね。僕のことはいいから食べに行ってきていいよ」

 

「駄目だ。ベルも一緒に来るんだっ」

 

「ぅわっ!?」

 

 案の定ベルは断ってきたが、関係ない。

 僕はベッドで横になっているベルの腕をひっぱり強引に立たせる。

 

「昼飯をおざなりにするなんて! そんなことをしては食神様のお怒りを買ってしまうかもしれないからね」

 

「それ誰のこと……?」

 

 そういえばこの世界は神様が普通に下界で暮らしてるんだった。じゃあ大丈夫じゃないか……?

 

 思わず考え込んでしまいそうになるが、そこでふと棚の上に置かれたバスケットが目に入る。

 

「……ベルさ、シルさんのとこに返しに行ってないの?」

 

「え? ……あ」

 

 今日の昼飯は『豊饒の女主人』に決定した。

 

 

 

 

 

 

「本っ当っに、ごめんなさいっっ!」

 

「あははは……」

 

 返してないことを思い出し顔を青くしたベルは、すぐに『豊饒の女主人』に駆け込みシルさんに両手を合わせ勢いよく頭を下げていた。

 

 シルさんはそれを見て少し困ったような安心したような顔をしている。

 連絡手段が発達してないこの世界じゃ中々安否の確認が出来ない。数日とは言えいきなり顔も見せなくなれば心配にもなるだろう。

 

 二人が会話しているのを尻目に僕は先に近くの席に座る。部屋で動かない間は食欲も湧かなかったがやっぱり外に出るとお腹が空いてくる。

 

 そういえばここでコーヒーは飲んだことはあるけどご飯は食べたことなかったなぁ。ベルはおいしいって言ってたし期待してもいいかな。

 

 そんなことを思いながら周りを見渡すと僕らのほかにお客さんがいないことに気付いた。まだ開店したばかりだろうからそれだけならなんとも思わないんだけど、なんだか店員の人たちの動きもおかしい。ソワソワしてるというか慌ててるというか。

 

「ご、ご注文は決まったかニャ……?」

 

 疑問に思っていると、茶髪の猫耳娘、たしかアーニャさんがギリギリな感じの営業スマイルを浮かべて注文を取りに来た。凄い冷や汗を流してらっしゃる。

 

「あ、はい、えーっと……じゃあサンドイッチと、あとブレンドコーヒーで」

 

 メニュー表をひと通り見て適当に決める。

 

「りょ、了解ニャ……」

 

 僕から注文を取った後、アーニャさんはベルとの話が終わったシルさんの元へ向かい、なにやらヒソヒソと話を始める。

 

「ベル、ここって昼はいつもこんな感じ? 夜は凄い賑やかだった気がするんだけど……」

 

「うーん、僕もお昼はそんなに寄ったことないんだけど……あ、僕もレオと同じのをお願いします」

 

 席に着いたベルも訝しげな顔をしている。一体どうしたんだろう?

 

「でも今開いたばかりみたいだし、こういう時もあるんじゃないかな?」

 

「そうだよね……」

 

 ベルもあんまり気にしないようにしてるみたいだし、僕も気にしない方がいいか。ただ昼飯食うだけだし。

 

 

 

 

 

「お待たせしました。サンドイッチとブレンドコーヒーになります」

 

「「…………」」

 

 前言を撤回しよう。これは気にしなきゃ駄目だ。

 

 シルさんとリューさんが僕らの前にサンドイッチを持ってきた。

 

 一括りにサンドイッチと言っても種類はたくさんある。僕ら二人の前に置かれたサンドイッチが違う種類なのは別にいい。気にはならない。

 もっと言うとベルの方に置かれたサンドイッチも気にはならない。若干具材の色がおかしい気もするが大方シルさんが作ったものだろう。

 

 

 

 問題は僕の前に置かれたサンドイッチ、というか食パンに携帯食料を挟んだ奇妙な料理だ。

 

「……あの、これなんです?」

 

 いつもの涼しげな表情が若干崩れているエルフの店員さんに尋ねる。

 

「サンドイッチです」

 

 ほほう、これがベル君オススメ『豊饒の女主人』特製サンドイッチですか。すごい独創的な料理ですね。

 

 

 

 

「ってなるかァァアアアアア! 何で携帯食料!? 何で食パン!? こんなモン食ったら口の中パッサパサになるわ!」

 

 

 

 

 携帯食料作りには自信がありますじゃないですよリューさん!? これもはや嫌がらせじゃないですか!

 

「ま、待つニャ待つニャ!? これには海よりも深~い理由があるニャ!!」

 

 カウンターの奥で覗いていたクロエさん達が慌てて僕らの所まで駆け寄ってくる。

 

「……聞こうじゃないか」

 

 目くじらを立てる僕と苦笑いをしているベルは店員さん達の話を聞くことにした。

 

 店員さん達は同時に、喋りたいように喋るため話を理解するのに時間がかかってしまったが、まとめるとこういうことらしい。

 

 

「実は今日ミアお母さんが朝から夕方まで用事でいないんです。その間よろしく頼むと言われてまして……」

 

「と言っても私らは接客で、料理作るのはコックの仕事だから問題ないはずだったんだけど」

 

「何故か今日に限ってウチのコックたちが次々と急用や病気を訴え、一人も来れなくなってしまったのニャ」

 

「残念なことに私たちの中で料理が出来るのはクラネルさんに毎日弁当を渡しているシルだけだ」

 

「でも店を閉めるわけにもいかないニャ! ミャー達だけで頑張るしかないのニャ!」

 

 

 ちなみに唯一料理が出来るというシルさんも味は怪しいらしい。絶体絶命じゃないか。というかそんな状態なら店を開かなきゃいいでしょうに。

 

 

「二人とも! 恥を偲んでお願いするニャ! ミャー達の代わりに料理を作ってほしいニャ!」

 

「「ええええええええええええ!?」」

 

 アーニャさんのとんでもない発言に声を上げる僕とベル。

 

「いやいや無理ですよ! 僕、神様と暮らすようになって少し料理が出来るようになった程度ですよ!?」

 

「僕もベルと一緒ですっ。お客さんに出せるような料理は作れませんってば!」

 

「少しは出来るのよね!? じゃあ大丈夫! 私たちは全然できないから」

 

 それ大丈夫じゃないですよね!?

 

「なあ少年よ、いつもシルに貢がせておいてまさかこの店の危機にミャー達を見捨てるなんてことはしないよニャ?」

 

「うぐっ!?」

 

 クロエさんがベルの肩に手をまわしてイヤらしい手口を使い始める。

 

「で、でも、それとこれは話が違うというか……」

 

 そうだベル! 負けるな! 断るんだ! これは僕らの手に負えることじゃない!

 

「ベルさん……」

 

「シ、シルさん?」

 

「お願いします。助けてくださいっ」

 

「……ハイ」

 

 上目使いの魔女っ娘シルさんの前にベル君あっさり陥落。

 

「さあ、糸目の冒険者君も観念するんだ。大丈夫、昼は簡単なメニューしかないし食える程度に作ってくれればそれでいいから!」

 

 ルノアさんが物凄い良い笑顔で手をワキワキさせる。後ろを見るとリューさんが何気なく出入り口への道をふさいでいる。チクショー。

 

 

 

 

 

 

「それでは、シルとクラネルさん、ウォッチさんは食堂をお願いします」

 

 大分強引な感じで了承させられてしまった僕らはエプロンをつけてシルさんと3人、食堂に移動した。

 シルさんによれば今日は曜日的に客は少ない日だけど、それでもこれから客が増えてくるとのこと。

 

「うぅ、なんでこんなことに」

 

「アハハ、ごめんなさい。お礼は必ずしますから、ね?」

 

 ベルはこういう無茶ぶりに慣れていないのか今にも泣きそうな顔をしている。でもシルさんが隣にいるわけだし、きっと頑張ってくれるはず。

 

 メニュー表を見た感じ、ルノアさんが言ったことは本当のようで僕らでもなんとか作れそうな料理ばかりだった。食材はふんだんに用意されてるし、女将さんが帰ってくるまでの辛抱だ! 頑張るぞ!

 

 

 間もなくして一人目の客が入ってきた。人間の女性で線が細く、小食そうな印象だ。多分飲み物くらいしか頼まないんじゃないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鰆の山椒焼き、春キャベツのピューレ添えをお願いね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 いきなり聞いたことないメニューきたァァアアアアアア!?

 

「ど、どうするんですか!? ていうかメニュー表にそんなのありませんでしたよね!?」

 

「いえ! あの料理名は……お母さんと昔からお付き合いがある常連さんにしか伝わっていない裏メニューの一つです……! まさかこんな時に注文が来るなんて……!」

 

 僕と同じく動揺しているベルに「不覚です……!!」とか言いながらシルさんが深刻な顔をして答える。

 

「少年! さわらの根性焼き、春キャベツのパール締め一つニャ!」

 

「イヤイヤ裏メニューなんて聞いてないから! アーニャさん断ってきてくださいよ! てかメニュー名盛大に間違ってます!」

 

「む、無理ニャ!? お世話ににゃってるお得意様の注文を断るなんて無礼千万ニャ!?」

 

 見当違いな料理持っていく方が無礼でしょーが!!

 

「ニュフフ、慌てるにゃよ少年。ミャーはその料理が作られてるところを見たことがあるニャ」

 

 厨房で騒ぐ僕らの元にクロエさんが余裕の表情で現れる。

 

「本当ですかクロエさんっ?」

 

 ベルの顔がパァっと明るくなる。

 

 しかし僕も含め他の面子の表情は晴れない。いやだって、ねぇ……。

 

「ミャーに任せるにゃ! まずはさわらを用意っ。コレにゃ!!」

 

 そう言うとクロエさんは大きな冷蔵庫からギョロっとしたデカイ眼が特徴的な、刺々しい鱗を持った謎の魚を取り出す。……なにその魚!?

 

「絶対違うから!? 鰆がどんなのだったか僕もイマイチ覚えてないけどソレだけは絶対にないから!?」

 

「ちゃんと見るニャ。魚が置いてあった場所に名前が書いてあるニャ」

 

「……マジで?」

 

 恐る恐る近づいて冷蔵庫の中を見る。するとその魚が置いてあったと思しき場所に一枚のメモがあった。

 

 

 

 

『刺割羅』

 

 

 

 

「…………いや確かにさわらと読めなくはないけども。禍々しすぎるでしょコレ」

 

「でも、確かにコレはサワラです。クロエ、これでいきましょう」

 

 正気ですかリューさん!?

 

「と、とりあえず私は春キャベツを用意してきます! ベルさん、レオさん、その魚の調理頼みましたっ」

 

「ちょっと待ってくださいシルさーん!?」

 

 逃げるように去っていくシルさん。

 

 しかしこの魚を僕らで捌けと……?

 

 いや、ベルはこれでも冒険者。しかもナイフ使いじゃないか!

 

「ベル、頼んだ!」

 

「ええええええええええええ!? ムリムリムリムリ絶対無理!」

 

「大丈夫だって。ベルはもっと凶暴な魔物を相手にしてるんだろ? これぐらいやって見せないとアイズさんに追いつかないぞ」

 

「僕やってみるよ!」

 

 扱いやすくて助かるよベル君。

 

 漢の顔になったベルは《ヘスティア・ナイフ》を取り出し、魚に切りかかる。

 

「ほぉおおおおおお!! って痛った!? 鱗がすごい痛い!」

 

 奇声をあげて取り掛かった割になかなか作業が進まないベル君。刺割羅の名前は伊達じゃないらしい。

 

「うー、貸すニャ少年! 根性焼きっていうくらいだからきっと丸焼きニャ! ミャーに任せるニャ!!」

 

 根性焼きじゃなくて山椒焼きって言ってんでしょうが!

 

 ベルから魚を取り上げたアーニャさんは大きなフライパンの上に魚を乗せ凄まじい火力で熱する。

 

 

 

 

 すると、その焼き方が正解だったのか魚の堅い鱗が弾けて取れる!

 

「おお!!」

 

 

 

 

 しかし、火力が強すぎて露わになった身の部分が一瞬で黒く染まる!

 

「おお……」

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、春キャベツの準備が完了しました!」

 

「そっちはどう!?」

 

 キャベツの調理に向かったシルさんとルノアさんが帰ってきた。

 

 シルさんが持つ皿の上には一口大に刻んだキャベツが見た目いい感じに盛ってある。ただこころなしかそのキャベツ赤くないですか……?

 

「ピューレがよく分かんなかったから、目を瞑って適当に手に取った調味料をかけておいたよ!」

 

「適当過ぎでしょルノアさん!?」

 

 せめて知ってる調味料選ぼうよ!? ああ、味見したベルが「か、辛……!?」って言いながら悶えてる……!

 

「くっ……、もうかなり待たせちゃってるし、これでいきましょう!!」

 

 とりあえずこの刺割羅は焦げてるところが比較的少ないところを切り取って……、キャベツでちょっと覆って隠しとこう。

 

 

 

 

 

 

 あ、あれ……? なんかこの料理、思った以上にいい香りがするぞ……?

 

 

 

 

 

 

「こ、これはもしかしてミャー達天才なんじゃないかニャ!?」

 

 

 なんかイケる気がしてきた!

 

 

 リューさんが料理を女性の所まで持っていく。

 

「お待たせしました。鰆の山椒焼き、春キャベツのピューレ添えになります」

 

「なかなか時間かかったじゃないの。……あら? いつもよりいい香りが漂ってるわね? これは期待しちゃおうかしら」

 

 これは期待しちゃったりしちゃってもいいんじゃないか!?

 

 女性は魚の身をほぐし、キャベツと一緒に口に運ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まっずぅぅぅううううううううううううううう!?」

 

 

 

 

 

 

 

 そして先程までの上品さが消し飛ぶ叫び声を上げて倒れた。

 

「………………」

 

 シーンと静まり返る店内。僕らが作っている間に増えていたお客さんたちが目を見開いてその女性と料理を見ている。

 

 やっちまった……。いや、予想は出来てたけど。

 

「う、『ウッマぁぁぁあああああああああ』だって!! いやぁ困っちゃいますよね、こんなオーバーリアクションしちゃって。アハ、アハハハハハハ!!」

 

 僕はとりあえず誤魔化しを口にしながら、女性を店の奥まで運ぶ。

 

「……そうですね、困ったものです。美味しすぎるというのもまた罪なのかもしれません」

 

 さすがに誤魔化せないかと諦めかけていたが、リューさんが料理を片付けながら僕のフォローに回ってくれる。

 

「え、いやでもその女性、まずいって―――」

 

「何か?」

 

「……ナンデモナイデス」

 

 近くにいた男性の反論をリューさん渾身の一睨みで完封。ナイスだリューさん!!

 

 そもそもこの店の店員がメチャクチャ強いってことは周知の事実なので、それ以上の反論はなくお客さんたちは無理やり談笑を再開する。

 

「いや、なんとかなるもんだニャ。これで一息つけるニャ」

 

「いや……完っ全に問題を先送りにしただけッスよね。この女性どうするんですか?」

 

「……」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 まあそんなこんなで大変なこともあったけどそれ以降裏メニューなんてものを注文する人は居らず平和だった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――なんてことはなかった。

 

 

 普通のメニューでも僕らには難しくて悪戦苦闘するし、元々ここのコックの作った料理の味を知っている客からはクレームが殺到するし、その度にリューさんに睨んでもらって撃退して店の空気が凍えるしで、最後まで大変でした。

 

 途中からアーニャさんとクロエさんが「手伝うニャ!」などと言って厨房に入ってきて、作った料理で客をまた数人昏倒させて、結局店員さんたちが普段使っているベッドが全部埋まってしまうことに。

 

 ただ不幸中の幸いだったのは、あまりの味の衝撃に倒れた客が誰一人として料理を食べた記憶を持っていなかったことですね。おかげでなんとか誤魔化して事なきを得ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――と、これが今日起こった全てです。……女将さん」

 

 

 今僕らは全員奥の廊下で横一列に並び正座をさせられている。

 

 帰ってきた女将さんはホールと厨房の惨状を見るや否や獲物を取り出し、僕らを集めて鬼のような顔で何があったのかを聞いてきた。

 

「……なるほど。つまりアンタ達はアンタ達なりに店をどうにかしようと頑張ったってことだね」

 

「「そ、そうニャ!」」

 

「で、坊主たちもこいつ等に手伝わされて真剣に手助けしてくれたってことかい」

 

「「はい! その通りでございます!」」

 

「それじゃあ、私がとやかく言うのは無粋ってもんだ。アンタ達は悪くないよ」

 

 フッと笑う女将さん。皆女将さんを女神様を見るかのような目で見る。そうか! 救いはあったんだ!

 

 

 

 

 

「……なんて言うと思ったかい!!! このボケナス共がぁぁぁぁあああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 やっぱり救いなんてなかった。

 

 日が沈み薄暗くなる空の下、女将さんの怒号と僕らの絶叫は大通りに響き渡る。

 これ以降、この日のことは近くで絶叫を聞いた神たちによって『酒場の魔女たちの狂宴』と呼ばれ、オラリオ七不思議にも数えられることになった。

 

 

 しかし、そこで行われた体罰について僕らが語ることは一生ないだろう。あの時の経験は墓場まで持っていく……、いや、墓場に行く頃には忘れたいなぁ。

 

 

 





血界戦線みたいなはっちゃけた話が書きたくてやってしまいました。ちなみに料理の方は食戟のソーマから、ノリは銀魂意識で書いてみましたがいかがだったでしょうか。

反省はしています。後悔はしていません。

ただ、『豊饒の女主人』キャラ及びにベルとレオのファンの皆様方へ一言申しておきます。



スミマセンでしたァァァアアアアアア!!!!



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