ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman 作:しにかけ/あかいひと
その1-親友×死亡×絶望
ようやく終わった
日常は終わりを告げ、異界の英雄が心の何処かで望んでいた非日常が、幕を開ける。
しかしその始まりが、
「畜生…………俺は…………!!!」
鮮血に彩られたものだとは…………
[ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman]
[第1章-闇夜の幕開け]
◇◇◇
[
種族:デューマン(ドラゴン)
性別:男
性格:戦闘狂、軽度のヘタレ
特技:戦闘、斬ること
備考:今代の赤龍帝、元異世界人
…………まあ、俺のことだ。あ、今更言わなくても分かってるって? ですよねー。
さて…………俺はこれまで、前世も含めて、女っ気のない人生を歩んできました(あ、仲間とか同僚はノーカンな!)。
モテたいとは思いつつも、そんな人生を送ってきたせいで、モテる為にどんなことをすればいいのか分かりませんでした。オマケにヘタレなモンで、女子に話しかけられても緊張しちゃって軽く仏頂面になるし。さらにさらに、腕っ節が強いことで有名になったもんだから、不良と勘違いされてビビられることも多く、そもそも見た目が、幽霊のように白い肌と、紅と黒のオッドアイという恐怖を与える見た目をしていまして…………。
ううぅ…………ファッション雑誌を買って勉強したり、緊張しないように練習もしていたのに、効果なんて全く出てねー。むしろ逆に遠巻きから見られるようになったわ!!!
…………ゴホン。
とまあそんな感じで、彼女どころか女友達すらできそうもない俺であった。
がッ!!!
どんな奇跡が起きたのかは知らないが、俺に春がやって来た!
告白してきたのは、天野夕麻ちゃんというめちゃくちゃ可愛い黒髪でスレンダーぼでーの女の子!(堕天使っぽいけど向こうから言ってこなかったのでスルーしてる)
どうも好きになった理由が、不良から守ってもらったことがきっかけらしい。星の数程あってどの時のことかは分からないけど、俺にとっちゃ問題なかった。
嗚呼、我が世の春が来たとはこういうことを指すのだろう。
親友達は、死ぬ程悔しそうにしていたが、それでも祝福してくれたよ。ありがとう、みんな。もしお前らに好きな人ができたら、全力で応援してやるから。てか、元ちゃんに関しては既に色々(役に立つかは分からないけど)アドバイスしてるし。
父さんと母さんは、驚いてはいたけれど喜んでたね。脅したり催眠かけたりしてないよな? なんて冗談混じりに言われたけど。
ドライグとエーナは、矢鱈と渋い顔をしていた。
『我、心配。兄、お人好し。悪い虫、危惧』
『ああ、どうにもきな臭くて仕方がない』
どうも、夕麻ちゃんが悪女なのではないかと不安みたいだ。数度話してそんな感じはしなかったので、特に問題はないと思うとは言ったけどね。
『…………ドライグ。兄の目、』
『いつもならこんなことはあるはずないが、浮かれ過ぎて節穴になってる可能性は否定できない』
『無事、祈るしか…………』
『…………今は幸せでも、本当は不憫なヤツではあるからな。なるべく相棒の意に沿うように、何かあればサポートするようにしよう』
『うん。我、頑張る』
…………とりあえず、その時の会話は忘れることにしよう。
◇◇◇
さて、そんなこんなで人生初の彼女ができたわけだが。
今ここに最大の壁が突如として俺の前に現れた。
『デート』
…………標的を殺す為の作戦や、未開地を探索する為のスケジュールを立てたりするのは得意だったのだが、こういうことに関してはからっきしである。以前、エミリアやチェルシー師匠にはそのことですんごい怒られたものだ。曰く、『女の子とのお出かけで訓練場とか、ないとか言う以前に、終わってる』とのこと。
しかし、しかしだ。
これでも昔、最高のデートスペースとまで言われたクラッド6のリゾートエリアを整えた男なのだ。そりゃアドバイスはたくさん貰ったけど、俺だってその時に色々勉強したし、ウルスラさんのお墨付きをもらったアイデアも出せるようになった。押し付けられたとはいえ、クラッド6の艦長たる者、このぐらいはできないとダメなのだ。
だから、今の俺ならいけるんじゃないんだろうか…………という考えは甘かった。
「ぜ、全然思いつかねぇ………!!? デート明日なのに全然思いつかねぇ………!!?」
無駄にあれこれ考えてしまい、逆に考えがまとまらない。アカン、これはアカン流れや。
本当だったらあいつらにアドバイスを貰うところなんだろうが、これ以上あいつらの傷口に塩を塗り込むのは勘弁だ。ただでさえ俺に彼女ができたことで憔悴してんのに。
「ど、どどど、どうしようどうしよう!!?」
そんな中、救いの声は左腕から響いてきた。
『相棒、インターネットで調べたりはしないのか?』
「…………! その手があったか!!」
『…………ハァ。無理な話かもしれんが落ち着け。と、言うか』
これ以上ないジト目で睨んでる様を幻視しながら、俺は続くドライグの言葉を待つ。
『今の貴様は見るに堪えないぞ、兵藤一誠。降って湧いた幸運に縋り付く、哀れな男にしか見えん。俺の知っているお前は、これしきのことで自分を見失う様な人間ではなかった』
冷水を浴びせられるとは、こういうことを言うのか。
とにかく、ドライグは今の俺がらしくないと言う。
『もう一度、考えてみろ。その上で、そういう答えを出すのならば、俺はその件に関しては口は出さん』
…………もう一度、考えてみろ。
ドライグがそう言うのなら、何かがあるというのは間違い無いのだろう。
冷えた頭で思考を始めながら、ふと気になることが浮かんできた。
(俺が助けたヤツの中に…………『天野夕麻』は本当にいた? あんな目の覚める美人、会ったら記憶に留めておくぐらいはしているはずなのに、まるっきりの初対面だ)
というかそもそも、堕天使が人間相手に遅れをとるか?
…………となると。
(堕天使は、『
…………あれ、俺ってばもしかして、殺されたりするわけ?
あ、しかも堕天使に殺される理由にもう一つ心当たりがあるわ。小学生の時にリンチにあってた母娘を助けた時に、幹部クラスの堕天使に勘違いされてたわ。その勘違いが終わってないのならば、下っ端使って殺しにかかるってこともあり得る。
…………冷静になって考えればよく分かることなのに、全く俺という奴は望外の喜びに浮かれ過ぎていたらしい。相棒が情けないと言ってきたことに、何一つ反論できねぇ。
「…………あーあ。やっぱ俺はモテねーか」
『それはそれで鈍感が過ぎるというものだが…………まあ、いつも通りのお前だな、安心した』
「あーはーん!? てめーまたお決まりの『ドラゴンは力や女などを引き寄せる(キリッ』とかでも言うつもりかよ!? 俺の場合明らか力とか敵しか引っ張ってこねーじゃんかよ!!」
『…………ハァ。今は何も言うまい』
しかし、待ち合わせはもうしちゃってんだよなぁ。
「うーん、適当にファミレスかなんかでメシ食って、適当にショッピングモールウロチョロして、最後に公園で決戦でいいか」
『サラッと考えた割にはマトモだな』
案外、こういうことは適当にやっちゃった方がいいのかもな。
◇◇◇
翌日。
いつ戦闘が起きてもいいように、あらゆる準備をしつつ迎えた今日のこの日。待ち合わせの場所にも2時間前には到着済み。途中、怪しげなチラシを配られたが、見たところ研究用で使えそうなので、適当に服のポケットに入れておく。
そうこうしているうちに、彼女がやってきた。待ち合わせの時間の5分前である。
「あ、イッセーくん! 早いね、もう来てたんだ」
「あー、うん。まあ楽しみにしてたしな」
普通なら『今来たところ』っていうんだろうが、もし監視されていた可能性も考慮してそう言っておく。仮に向こうに俺をどうこうする意図がなかったとしても、『楽しみだった』というニュアンスを前面に押し出しておけば悪い気はしないだろう。
そこから先は、傍目から見ると初々しく手を繋ぐ、ありふれたカップルのデートだったに違いない。学校近くのショッピングモールでウィンドウショッピングを楽しんだり、ファミレスで昼をとったりして。(まあ最初で最後だろうと思って奢りにしたから財布にはかなりの打撃だったが)
…………しかしなぁ。楽しいのは楽しいんだが、言葉を交わすに連れて、だんだん彼女の内面が透けてくるのがなんともね。一応、そうじゃない期待はしていたんだが、その望みは薄そうだ。
「あれ、イッセーくんどうかした?」
「ん? あ、別になんでも。ただ、美味しそうにパフェ食べるなーって」
「むぅ…………あんまりジロジロ見るものじゃないよ」
まあ、そんなこんなで夕暮れ時。
場所は移って町外れにある、大きめの公園。
途中人払いなどの術式がチラリと見えていたからなのか、今公園には俺と彼女以外の誰もいない。
握っていた手を解き、彼女は俺の前に出た。
「今日は、楽しかったね」
「うん。久しぶりに普通の若者らしいことした気がするぜ」
うん、間違いじゃないよ。だって普通の若者は剣や斧握って訓練という名の戦闘に明け暮れたりはしないもの。
「ねぇ、イッセーくん。記念すべき初デートってことで、お願いを聞いてくれないかな?」
「ん? 無茶な願いじゃなければいいぜ?」
そう、例えば…………
「「死んでくれないかな」」
とかさッ!!
「ッ!!?」
驚いている隙に距離を取り、鞄からナノトランサーを取り出し、鞄と入れ替えに
「ちーとばかし浮かれポンチだったけど、冷静になれば堕天使が人間なんざ相手にするはずないって分かるもんだよなぁ。いやぁ、ガキのお飯事に付き合わせて悪かった」
「チッ…………最初からお見通しだったのね」
清純そうに見せていた彼女の仮面が剥がれ、悪そうな笑みが顔を見せた。
「でも、あまり大したことはなさそうで良かったわ。危険な神器を持っている可能性がある、と聞かされていたのだけど、それを見る限りただの刀剣型の神器だったのね」
「やっぱ、それが理由か」
とは言えイクザムは神器じゃなくてただの片手剣なんですが。まあ、勘違いしてくれてるならそれに越したことはないね。
「そーれで? 圭太と塔矢はいつまでデバガメ決め込んでんだよ」
視線を向けずに、後ろの気配に声をかけると、ガサガサと茂みから2人の人間が出てくる音がした。
「なに、心配なことがあったから尾けていただけだ」
「少なくとも俺の記憶には、『天野夕麻』なんてヤツを助けた覚えはなくてな」
「ハッ! 考えることは同じってか!」
そんな掛け合いをしている内に、俺の隣に圭太と塔矢の2人が並ぶ。貸し出していたナックルとハンドガンを構えた状態で。
「な…………まだ、
「お生憎様。さしもの堕天使サマでも、これは無理だろ?」
ちょっとばかし、人間なめ過ぎでねーかい? ホンモノの人外サマよ!!
「塔矢、牽制! その間に俺と圭太で距離を詰めて一気に潰す!!」
「「応ッ!!」」
脚に力を入れて、一気に地面を踏み抜く。全身にかかる負荷が、急加速に成功している証拠。
「クッ…………所詮翼も持たない人間如きが!!」
そう言って堕天使は背中に翼を広げ飛び上がり、手に光の槍を形成し始める。
「死になさいッ!!」
振り下ろされると同時に空中から放たれた槍は、現在唯一飛び道具を持っている塔矢に向かう。
「甘い」
その間ハンドガンの銃口に、擬似フォトンの輝きが集まっていた。つまり、チャージショットの準備が整っている。
そのまま放たれた光弾は、その小さな銃身に見合わぬ大きな弾…………そう、堕天使の放った光の槍と追突してなお消滅しない程度には。
威力は削がれど、当たればそれなりの被害を受けると分かったのだろう、堕天使は回避を試みる。
が、
「空は飛べなくても、跳ぶことはできるんだぜッ!?」
回避した先にいたのは、空中で大きく右腕を振りかぶっていた圭太。
「なっ!? グッ…………!!!」
瞬時に防御態勢をとったとは言え、それなりの威力である圭太の一撃に、体勢を整えることもできず、墜落する。
「おーおー見事に這い蹲ってるなぁ。堕ちた天使にお似合いの姿ですよぉ?」
「き、貴様…………!!!」
煽る、という行為も立派な戦略である。常に冷静な判断が求められる戦場で、思考回路まで熱くさせるのは自殺行為なのだから。
「うーん、思ってたよりもよえーな。これじゃエーナちゃんと遊んでる方が訓練になるって」
「推定、下級から中級の堕天使。まあ、こんなものだろう」
さてと、あんまり時間を掛けるのもアレだし、とっととケリを着けようか。
と、思っていたのだが。
「…………フフフ」
堕天使が、笑っていた。
俺らを見て? いや違う、この視線の先は…………ッッッ!!!!
「お前ら伏せ──────」
俺が注意を促す前に、2人の胸から光の槍が、突き出ていた。
「ガッ…………ガハッ!!?」
「ッッッ!!?」
消える光。噴き出る赤。崩れ落ちる2人。
「随分と手間取っていると思ったのだが、こういうことだったのかレイナーレ」
「ええ…………正直なところ助かったわ、ドーナシーク」
背後から現れたのは、黒いスーツ姿の堕天使。
「さて、行きましょう。神器の確認ができた以上問題はないわ」
「承知した」
あまりのことに、思考が追いつけていない俺は、堕天使共が飛び去っていくのを、見逃してしまった。
◇◇◇
追いかけることもできたが、今はそれどころじゃあない。
「圭太…………!!! 塔矢…………!!!」
治療テクニック:レスタを掛け、軍手で2人の自然治癒力に倍加譲渡して応急処置を行うことで精一杯だった。
それでも、思うように傷が塞がらない…………血が、血が流れ出て行く。
脳裏に浮かぶのは、いつかの光景。
目の前で、家族が、友が、空から降ってきた悪意に押し潰されたあの悪夢。
「畜生…………!! 俺は…………!! 俺はまた…………!!!」
何も、できないのか。
友すら、救うことができないのか。
嫌だ…………嫌だ!!
なんのために俺は…………なんのために俺は、強くなったんだ!!! 大切な人を、今度こそ守るためだった筈だろう!!!?
「は、ははっ…………なんて顔してやがる…………」
「らしく…………ない、ぞ」
「喋るな…………!!! 絶対なんとかしてやるから、喋るな…………!!!」
喋られると、ただでさえ望み薄なのに、血が…………血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が──────
「もういい…………もういいんだイッセー…………」
「流石に…………もう限界だというのは…………理解できる」
「限界だなんていうな…………!! これからだろう、俺たちは…………!!!」
そうだ、まだやってないことだってたくさんあるんだ…………!! 彼女欲しいとか、エロいことしたいとか言ってたじゃないか…………!! いろいろやり残したことあるだろうが…………!! なのに、なんでそんな風に満足したように笑ってんだよ畜生…………!!!
「あばよ…………イッセー…………」
「お前とバカやれて…………楽しかった…………」
2人から、力が抜けた。
「…………あ、」
満足そうに笑いながら、目を閉じた。
「…………ああ、」
あ、ああ、ああああ───────
「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!!!」
意識を失う前に、視界に入ったのは…………紅い、紅い光だった。
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