ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:しにかけ/あかいひと

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その9-禁忌×禁忌×禁忌

 

いつだったか、言ったことがある。

 

『どうして、みんなが』

 

何故俺が死ななかったのか。

何故皆が死んでしまったのか。

 

その思いは、答えを得た後でも変わらない。

 

だからこそ、俺は思った。

 

 

 

 

『理不尽を斬り潰すだけの、強さが欲しい』

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

俺は俺でけじめをつけたい奴がいる。

あいつらはあいつらで、けじめをつけたい奴がいる。

 

そんなわけで、綺麗に役割分担された結果、俺がレイナーレ&地下の敵で、あいつらがそれ以外&ドーナシークと呼ばれた堕天使ということに。

 

「今頃アーシアちゃんが攫われたってことで大騒ぎだろうし、狙いやすいっちゃあ狙いやすいが」

「こりゃアレか、脳筋宜しく正面突破か?」

「まあ、分かりやすくていいが」

 

そんなこんなで、上空で廃教会を捕捉している俺たち。少し耳を澄ましてみれば、中で少々騒がしいことになっているみたいで。

 

「じゃあま、地上は任せとけ!」

「覚悟は決めてる。だから心配なんて間違ってもしないでくれ」

「了解!」

 

立派に育った…………否、育ってしまった親友達を置いてけぼりに、俺は急降下して着陸する。

 

結構な振動に、おそらく中の連中は気がついたことだろう。

 

「さあて、ドライグ。鎧の準備の程は?」

『無論、いつでもいける。…………しかし相棒、何故わざわざアレを持ち出すのだ? 相棒には、相棒の為の禁手が、既に発現しているであろうに』

 

確かにそうだ。本来なら亜種発現した神器、禁手も亜種だった。でも、無理を言って、本来の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の禁手である鎧を用意してもらった。

 

でも、理由は簡単。

 

「誰を敵に回したのか、理解してもらうためだ」

 

先輩方にも見せてもらった、あの赤い鎧。ドライグは封じられて尚、神器という形で猛威を振るった。その、象徴とも言える鎧。

 

見れば誰もが分かるだろう。敵に回したのが誰なのか。誰の怒りを買ったのか。最期に、自分がどうなるか。

 

「下手に亜種禁手して、舐められても困るからな」

『成る程。ならば存分に見せ付けてやろうぞ! あの烏共に、赤き龍帝の暴威をッ!!!』

 

ドライグも、相当腹に据えかねていたらしい。その声音に怒りをこれでもかとのせて、あの声が響く。

 

 

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』

 

 

 

 

赤龍帝の象徴。赤い全身鎧に緑の宝玉。

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)

 

ガチャガチャとして動き辛いと思わないでもないが、そこはやはり最強龍の一角の鎧。実によく馴染む。俺の亜種禁手とは比べ物にならない位に正統派だ。

 

「さぁて、久しぶりにやりますか」

 

偶には掃討戦も、悪くない。

 

 

◇◇◇

 

 

背中を任された扱いになるのか?

 

赤い鎧を着けて教会の中に消えていく親友を見ながら、『ハゲ』の名で親しまれる俺、松田圭太は急降下をする最中、そんなことを考えていた。なお、イッセーは『オバケ』、塔矢は『メガネ』、元ちゃんは『チンピラ』である。

 

「圭太、言わなくても分かるだろうが」

「あいつの邪魔はさせないって? 分かってるっつーの」

 

もう大分動かし慣れた悪魔の身体をフルに使い、蝙蝠のような翼を盛大に震わせて、罰当たりにも教会の窓から襲撃する。軽く映画のワンシーンみたいだ、と感動したのは余談である。

 

「おっとと、思った以上に荒れてないな」

「俺たちには理解できないが…………『赤龍帝』というのは、こういうことなのだろう」

 

俺たちの乱入で、ようやっと硬直の解けたような神父擬き達に、数人の堕天使は、間違いなく今地下に向かって侵攻中のあいつの背中を見て、固まっていた。中には失禁している奴もいる。

俺としちゃあ、ドライグもイッセーも恐怖の対象ではないんだが、さっきも塔矢が言った通り、これが『赤龍帝』なんだろう。

 

まあなんだ、赤龍帝は止められないかもしれないが、俺たちはマシだとでも思ったのだろう。一斉にこちらに殺意と共に視線が向く。

 

「腹立たしいなァオイ」

「嗚呼、全くもって腹立たしい」

 

中にはあからさまな安堵を浮かべた奴もいる。ドーナシークと、堕天使レイナーレに呼ばれていた野郎だ。まあ無理もない、何せ奴は俺たちを1度、殺しているわけだからな。

 

「フン、赤龍帝の後に現れるから誰かと思えば。ありふれた神器を持っただけの、あの時の小僧共か」

「神器?」

「惚けるな、お前達が今身につけているそれだ」

 

これは、イッセーが俺たちに武器として寄こしてくれただけの、神器なんて大層なもんじゃないんだが。まあ、向こうがそう思ってるなら、それでいいか。

 

「しかし、無知というのは恐ろしいものだな。1度ならず2度も─────」

 

その堕天使の言葉は、最後まで聞こえることはなかった。

 

答えは単純。塔矢がフォトン銃で腹を撃ち抜き、よろけたところを俺が腕にはめた鋼拳で頭を殴り潰したからだ。

 

床に散らばる血と体液と脳症。顔も潰れ、こいつが殴り潰した相手でなければ、さっきのドヤ顔かましていた堕天使と同一人物には思えない程、見事に潰せた。

 

石榴のように、という表現は適切ではないことを、込み上げる吐き気と罪悪感を押し殺しながら思い知りながら、そうとは見せず威圧する。

 

俺たちは、自分が殺された復讐を、向こうもやってきた不意打ちという形で達成することに成功した。

 

「能書き垂れてねーでさっさと殺しに来いや」

「これでも多少は腕は立つ。そこらの悪魔と一緒にしないでもらおうか」

 

またもや恐怖に支配された廃教会の中で、俺たちは雄叫びを上げながら、戦いを始めるのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

上で鳴り始めた戦闘音。ま、今回に関して言えばあまり心配をしていないので任せておく。

 

こっちもこっちで、大体終わってしまい、本当にいざとなればサポートに入れるからこそ、なのかもしれないけど。

 

「ひ、ひぃぃぃいいいいっっ!!!!?」

 

ガクガクと眼前にて震える、斬撃痕がこれでもかと刻まれている女。その周りには、女を治療していたと思われる人間達が、死屍累々と斃れている。

 

「オーラにあてられて気絶、っていうのは、中々つまらないとは思わないか、レイナーレ」

「な、なな、なんで赤龍帝が、私のな、名前を……ッッ!!!?」

「悲しいなぁ……俺にとって初めての彼女だったのに」

「そ、そんな……ま、まま、まさか貴様、兵藤一誠!!!?」

 

答えの代わりに、鎧の兜の部分を消すことで答える。

彼女の眼に映ったのはなんであろうか。ただの神器持ちの人間だと思った相手に、いいようにされている屈辱か、それとも後悔か。

 

「確かに貴女は正しかった。俺が持っていたのは危険な神器。それも、『神滅具(ロンギヌス):赤龍帝の籠手』。中級クラスの神滅具とはいえ、まあ神滅具である時点でもう危険度は天元突破さ。なーんであの剣を神器って勘違いしちゃうんだか」

「そ、そんな馬鹿な…………こんな、こんな人間にこんなモノが…………!!!!」

 

こんな人間に、か。むしろ、こんな人間だからこそ、と思ってしまうのは俺だけだろうか? ま、今はそんなことはどうでもいい。

 

「さて、俺は今から貴女を殺そうと思う。否とは言わせない。貴女は龍の逆鱗を、これでもかと逆撫でしたんだ」

「い、いぃぃいいい、嫌だっ!!! 私は死にたくないっ!!!!」

 

そう言って、飛び上がり、逃げようとするレイナーレの翼を、倍加によって威力の跳ねあげられた、ただの魔力弾で撃ち抜き、墜とす。

 

ぐしゃり、と墜ちる彼女は、骨こそ折れていないものの、俺が先程刻んだ傷が開き、赤い液体を流し始める。

 

「死にたくない、か。同じく死にたくなかったであろう彼女を、神器を抜き取るという形で殺そうとしたのは、何処の誰だったか…………まあ、他人のことは言えんね。俺もこれから、立派なヒト殺しだ」

 

いや、そもそも前世も含めて考えたら、それこそ眼前の女より残酷なことをしているのだ。今更感は、否めない。

 

「い、嫌だ嫌だ嫌だっ! 私は死にたくない!! お願いよイッセーくん、本当は私、貴方のことが─────」

「ドライグ」

『……応』

 

鎧の胸部から、砲口が現れる。

 

本来ならばこの状態では使えない。だが、俺の持つデューマンとしての規格外の攻撃性と、赤龍帝の倍加能力、更には身体がドラゴンへと変質したことによって成し得た、禁忌の一撃。

反動を抑えるために背部から翼が現れ、力を吸い込むように砲口にエネルギーが溜まっていく。

 

「消し飛べ、ロンギヌス・スマッシャー」

『Longinus Smasher!!!!!』

 

拳を打つける価値もなかった。

剣で斬りつける価値もなかった。

 

こともあろうにこの女、命乞いであんな真似を。

 

胸の砲口から放たれた、赤い赤い光は、目の前の堕天使を、消し去った。

 

後に残るのは、吹っ飛ばされた人間、不自然に深い穴が開き、余波でボロボロになった地下祭壇。

 

そして、

 

「……胸糞悪っ」

『…………相棒』

 

この惨状を作り出した、俺だった。

 

 




…………やっちゃったぜ☆
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