ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:しにかけ/あかいひと

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その6-完遂×偶然×因縁

 

 

生き急ぐことは止めにした。

 

生き残ってしまった以上、俺は今までの罪を償わねばならない。それに、皆の忘れ形見である自分を大事にしないとあの世で会わせる顔がない。

 

そんなわけで、あの時みたく無力な思いをしない様、過去にとらわれ過ぎない様、強くなった。その流れで軽く戦闘狂になってしまったのはご愛嬌である。

 

『今度はもう、間違えない』

 

そんな覚悟と実力を得た頃には、押しも押されぬ最強傭兵となっていて。気が付けば仲間も『家族』もできちゃって、胸の答えの思うままに刃を振るえば、家族どころか世界まで救っちゃって。

 

失くしたもの以上のものを、いろんな人から注がれた。もうこれ以上を望む必要はない。

 

…………と、思っていたのだけど。

 

「ったく。どーも、貴様と俺とでは妙な因縁があるらしいな…………ダーク・ファルス」

 

俺らの先祖、ワイナールの精神体を依代に復活した、諸悪の根源。戦闘狂:ショウ・ウォーカーの始まりの日、あのガキから全てを奪った仇が、形を変えて俺の前に再び降臨した。

 

思うところはある。全てを奪っておきながら、またも俺から大切を奪おうとするのだから。

 

…………でも、だ。

 

「……………………よし」

 

過去の因縁はこの場では関係ない。俺はただ、大切を守った上で…………ついでにグラールを救って仕舞えばいい。

 

いろいろ腹を括りながら、剣を構え直し、ゆらりと立ち上がった背後の剣士に声を掛ける。

 

「よぅナギサ。情けなくも自分の覚悟をフイにされた気分は如何だ?」

「…………酷いことを言う。さっきみっともなく泣いてしまったのが答えみたいなものだろう」

「ならいい。まだ世界には楽しいことがたくさんだ。知らぬまま、逝かせる訳にもいくまいし、」

 

ギャインッ!! と刃を鳴らして戦闘態勢に移る。

 

「もうアレに『大切』は奪わせない。…………つか、仲間守るのに理由は要らねーよな」

 

だから見てろナギサ。

お前よりもどうしようもなかったあの日のガキが、お前を守るヒーローになってやる。

 

 

◇◇◇

 

 

「お待たせ〜」

「ううん、そんなに待ってないわ」

 

結局最後はどんな風に復讐を完遂したのかは説明せずに(というかもう復讐云々の前に、アレ倒さないと仲間が死んでた)、教会コンビが羽を休めていた空き教室に入る。

イリナちゃんはさっき戦ったばかりとは思えない程疲労の色が見えない。対照的に、クァルタさんは壁にもたれかかって真っ白に燃え尽きた状態だ。死んでないよな? 寝てるだけだよな?

 

と、そんな心配をしていると、イリナちゃんが俺の後ろにいた木場に目をやって…………口の端を釣り上げて、妖しく笑った。

 

「……へぇ? 凄くいい顔になってるじゃない」

「…………復讐はやめないし、エクスカリバーを壊そうという気持ちに変わりはない。でも、それと同じぐらい大切なものに気付かされただけだ」

「それで良いと思うわ。はっきり言って、教会が…………正確にはあの計画があなた達に下した処分は、はっきり言って道を外していた。だからあなたは教会を許さなくていい」

「……………………やはりイッセーくんの友達だけあって、随分と変わったシスターだね」

 

うるせいやい。イリナちゃんに関しては教会の半分ぐらいに見切りをつけてるからだ、俺のせいじゃない。

 

「まあこれなら安心して話せるわ。今から伝える情報は、あなたにとっては劇薬だもの」

「……なに?」

「『聖剣計画』の首謀者。正しくあなたの仇に関する話よ」

「「ッ!!!」」

 

思わず木場と俺は息を飲んだ。

しかも、その言葉でいろいろなことを理解してしまう。まさか、いやそれしか考えられない。

 

「…………今回のエクスカリバー強奪に、その首謀者が関わってるの?」

「その通り。聖剣計画にて起こした罪から『皆殺しの大司教』と呼ばれた男。今は堕天使側にいるそいつの名前は『バルパー・ガリレイ』」

「そいつが…………僕らの」

「ええ。結果を出せなかったあなたを含めた子供達を殺す判断を下したのはこの男。そして、今回この男が堕天使コカビエルの指示で動いていることも把握済みよ」

「…………情報提供、感謝するよ」

 

血が滲むぐらい拳を握りしめている木場だが…………とりあえずは自制できているようで助かった。黒歴史を話した甲斐があるというものだ。

 

「あと、実はもう1人厄介なのがいるのよね…………」

「え?」

「元教会の最年少エクソシストとして活躍していた男もまた、今回の事件に関わっているらしいのよ…………というか来る途中で戦っちゃった」

 

…………あれ、なんだろう。凄く嫌な予感がする。

 

「名前はフリード・セルゼン。悪魔を討滅していく過程で同胞にまで手をかけ、異端者として追放されたのだけど…………」

「なにやってんのフリードォ!!?」

 

思わず近くの壁に頭を振り下ろした。凄く痛いがそうでもしないとやってられん!

 

「…………うそ、まさか彼も感染者?」

「感染者とはなんだ感染者って!」

「いやぁ、どおりで強かったなぁって。話に聞いてた限りだと殺戮に快楽を見出す狂人ってことらしかったんだけど、思った以上に真摯に戦うもんだから火照っちゃって」

「…………イッセーくん。君なにしてるのさ」

 

知らん知らん!! ヤツが暴走したのは管轄外だ!! …………とは言わないけど。

 

「………まあ、フリードの人格矯正並びに訓練のヒント、スパイの名目で『神の子を見張る者』に送り返したのは俺だ。例の教会に巣くってた数人の堕天使と逸れ悪魔祓いの軍団のグループにいたんだよ」

「あ、例のアーシアさんが向かわされたって言う? なんにせよ、それなら彼は私達とは敵にならないとみていいのかしら?」

「そういう風に言えば、無闇に襲撃はしてこないと思うよ。…………とは言えバレると厄介だし、遭遇したら適度に交戦するようには言っておかないと」

 

とりあえず、あいつとの定期連絡増やさないとな…………むぅ、戦闘狂のまま放置したのが悪かったのか。

 

「ふぅ。これで伝えるべき情報は伝えられたわね。表向きは私達とあなた達は別行動で。まあ同じ相手を追えばいずれはかち合うだろうからその時はよろしくね!」

「…………分かっているとは思うけど」

「ええ、大丈夫よ木場祐斗くん。少なくともバルパー・ガリレイに関しては積極的には狙わないことを約束するわ」

 

そう言ってイリナちゃんは、未だ真っ白に燃え尽きたクァルタさんを背負って、教室を出て行った。

 

「……とりあえず、木場。今から連絡とって大方の場所だけ聞くから、それから動くでいい?」

「うん。…………ありがとうね、イッセーくん」

 

礼を言われる覚えはない。第二を俺を量産されないためだ。

 

 

◇◇◇

 

 

「…………つーわけで、なんで配属変わった上にこっち来るって連絡がなかったのさ」

『仕方ないっスよアニキィ、こっちはこっちで散々だったんスから』

「まあいい…………で、何が散々だったんだよ」

『今のウチのボスが、ヤバげなモノに手ェ出したんスよ…………最早アレ、堕天使じゃなくなってるっス』

「何? どういうことだ?」

『いやぁ、こうなってしまったら殺してでも止めるべきかと思ったんスけど…………もう次元が違うっていうか。とにかく、コカビエルはなんか()()()()()に身体を侵食されて、無駄に強くなったとしか』

「…………ちょっと待て、黒いなにか?」

『それ以外に表現の仕方が分かんねぇス。後は…………時折うわ言のようにつぶやいてやがります』

 

 

 

 

 

『『ショウ・ウォーカー。貴様という光を消すまでは』…………誰なんスかね、そのショウ・ウォーカーっての』

 

 

 

 

 

「……………………マジかよ」

『え、アニキ心当たりあるんスか? できれば俺っちの好奇心を満たすために教えてほしーかなーなんて』

「いや、勘違いかもしれん。とにかく、コカビエルの監視を続けてくれ。なんなら、殺してくれたって構わない」

『ちぇー。まあいいっスけど。とりあえず、このままいけば例の廃教会を拠点にすることになりそうなんで、良い感じに準備ヨロっス!』

「分かった。ヘマすんじゃねーぞ」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 

 

 

 

「………………………………つくづく思うよ。縁がありすぎだろ、『ダーク・ファルス』」

 

 

 

 

 

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