ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:しにかけ/あかいひと

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徐々にエンジンかけていきまぁす!


その7-考察×喧嘩×降参

 

考えられる最悪の事態を想定したとして…………というか間違いなく今回の件に『SEED』…………いやDFが関わってる。

 

『ダークファルス』…………グラール太陽系に降り注ぎ、甚大な被害をもたらした未確認生命体SEEDの親玉。暗黒神とも称される、破滅の化身と言うべき存在。グラール太陽系では旧文明時代に1回、SEEDが飛来してから1回、2年後にグラール太陽系各地に飛び散った欠片を統合したときに1回現れている。旧文明時代のDF衛生型レリクスであるリュクロスに封印され、SEED襲来時に復活したところを討滅し封印、そして封印されてるのにも関わらず、欠片という形で悪意が漏れ、統合してまた復活したところを今度はDF封印の為に建造された旧文明時代の産物である『聖櫃クロウリィ』にて今度こそ封印された…………はず。

 

…………『聖櫃クロウリィ』を作った、今は亡きワイナールの腕を疑うわけではないけど、グラール太陽系での封印と復活の繰り返しを鑑みるに、もう一度封印の合間を縫って復活されても不思議ではない恐ろしさが、DFにはある。

それに、どうもグラール太陽系に現れたDFとは別に、異世界にもDFが現れるかもしれないという可能性があることを、俺は知っている。

もとはレリクスであった暗黒惑星リュクロスにあったデータの中にあったとある異世界。エミリアの製作した亜空間航行装置で行ったら、明らかにグラールではない場所と…………そこにあった遺跡の深奥に、DFの性質に極めて酷似した巨大生物がいた。しかも、人を依代としていたという強烈な共通点も含めて。偶然の一致では済まされない、なにせリュクロスに記録がある時点で真っ黒もいいところだ。駄目押しで、飲み仲間だったガーディアンズの英雄様が、DFを倒したときに異様な光景がフラッシュバックしたと言う。しかも、のちにそのリュクロスで記録されていた異世界を模したVRで『似たような場所をあの時見た』などと言うのだから。

 

異世界にもDFは存在しうる…………それどころかそれぞれの個体で記臆を共有している可能性も出てきた。下手したら、DFが…………DFに対するSEEDの様に、何かとてつもない存在の端末でしかないのではないか…………?

 

ありえない、とその場で言うことはできる。でも、そう考えると今の状況に説明がつけられてしまうのだ。

 

封印した筈のDFらしきものが、コカビエルに接触したらしいことも。

コカビエルが、前世の俺の名を恨み節で呟いていたらしいことも。

 

…………何より、今俺がここにいることも。

 

「つくづく思うよ。縁がありすぎだろ、『ダークファルス』」

 

携帯の通話を切った俺は、そう言わずにはいられなかった。

 

 

◇◇◇

 

 

奴ら様一行が駒王町に到着するまでの予測があと5日間。相手がDFになるかもしれないということが判明した為、俺は学校を休んで寮の研究室にこもっていた。

皆に幾ら訝しげな目を向けられようと、俺は研究室に引きこもってひたすら擬似フォトンの研究…………正確には、擬似フォトン武具の製作を行った。

 

何も説明しない俺に、家族も仲間もみんな心配していることだろう。だが、言うわけにもいくまい。何せ、『前世からの因縁が〜』なんて言えるわけがない。木場だけには、あいつの復讐に影響が出るかもしれねぇから説明はしたが…………。

 

「くそッ……どれもこれも出力が安定しねぇ……!!」

 

フォトンに幾ら酷似した性質を持つ擬似フォトンでも、やはりと言うべきか根本は別物。フォトン製武具の製作もできる俺でも、全くの手探り状態だ。

低出力のものなら既に製作済みだ、ハゲとメガネ、俺が使ってるのがソレだしな。

でも、対SEED、対DFで使うとなると…………並みの武具では侵食されかねず、まともなダメージすら期待できない。最低でも前世で言うAランク相当の出力がある武器とシールドラインが欲しいところだ…………。

本来研究気質ではない俺は、己の限界を感じていた。だが、諦められない。一歩間違えば起こるかもしれない前世の故郷に降り注いだ大災害…………それは、何としても避けなければ…………ッ!!!

 

 

 

 

 

『ドゴンッ!!!!』

 

 

 

 

 

「兄…………いつまで引きこもる?」

「…………エーナてめぇ、どうやって場所を特定した」

 

家族にも知られてない俺だけの研究室…………俺の気配が漏れないようにした上で寮の敷地内、その地下に作った俺の研究室の天井に、見事な穴が空いていた。

 

その穴から降り立った妹様が、まるで俺をダメな兄貴を見るような死んだ目で見下ろしていた。

 

「ドライグに、聞いた。…………最後まで渋ってたけど」

『俺はなるべく相棒の味方で在りたいからな。…………流石にそろそろ危ないかもしれんと思って、言ったわけだが』

「下手人はお前かよ…………」

 

思わず頭を抱える。時間がないのだ、せめて、せめてAランク程度の武具を揃えないと、DFには太刀打ちできない。俺だけなら未だしも、みんなの命がかかってるこの状況で、妨害を受けてる暇なんて─────ッ!!!

 

「悪いが帰ってくれ。これは誰の問題でもなく俺の問題だ。心配してくれるのは素直に嬉しいが…………放っておいてくれ」

「………言いたいこと、それだけ?」

「ああ、帰ってくれ」

「…………そう」

 

そう言ってエーナは……………ッ!!!

 

 

 

『ギャィィィイイインッ!!!』

 

 

 

「どういうつもりだ……エーナァッ!!!」

「どうも、こうも、こういうこと。無理矢理…………引き摺り出すッ!!!」

 

斬り結ぶ、赤い剣と赫い剣。エーナはこともあろうに、俺に対して本気で殺気を向けてきている。

 

意識が無理矢理切り替えさせられる…………目の前にいるのは妹ではあるけれど、世界最強の無限の龍神(ウロボロス)

単純な力では敵わない、力を逸らして逃げて、体制を整える。

 

「チィッ、強情な!!」

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』

「兄が……馬鹿兄が言うなッ!!」

 

俺は戦闘装束を纏い、エーナは赫い大剣に火を纏わせる。

双方共にエンジンがかかり始め、本当の本気で戦闘が始まる。

 

此処で暴れるわけにはいかない。研究成果を喪失する前に、背中から翼を広げ、地上へと抜けようとする。

そしてそれを追いかけるように、エーナも俺の背を追い、大剣を振りかざす。

 

『Gear Armament:Model Sword!!!!』

 

軽い得物では弾かれる、手甲の宝玉から長めの長剣を出し、飛びながらまた斬り結ぶ。

 

「────ッッッ!!!」

「…………ッッッ!!!」

 

嗚呼強い、箆棒に強い。まともに打ち合えばやはり俺は負ける。

 

だが、しかしッ!!!

 

「ゥゥゥゥウウウウウオオオラァッ!!!」

「……ッ!?」

 

力を抜いて、刃でエーナの力を向きをズラし、頭上に流す。同じく飛んでるのなら、受け流すのも容易。そのままフォトンを剣に纏わせ、振り上げる。

 

反応はできた、だが受け止め切れなかったエーナ。弾かれたように頭上にある穴の出口へと飛んでいく。

 

此処で引き返してもまたやってこられるだけだ、せめて兄妹喧嘩に決着をつけなければ。

 

「────ッ!!!」

 

身体に負荷がかかるのも気にせず、人の限界を超えた速度で地上を目指す。

 

地上に降り立てば…………心配そうな顔をした家族と、やはりまだ剣を構えているエーナがいた。

 

「…………兄、まだやる?」

「そりゃあこっちのセリフだッ!!」

 

水のフォトンを纏わせた剣を構え、脚に思い切り力を込めて蹴りだす。

 

認識出来ないほど素早く流れる景色、音も風を切る音ばっかりで何も聴こえやしない。

ある意味で、暗闇に放り込まれるに等しい。でも、妹だけは見えた。それで充分。

 

「ッ、ラァァァァァァアアアアアアアッ!!!」

 

渾身の突き。おそらく、グレートレッドの爪で出来た赫い大剣でも貫けるだろう。

 

剣の切っ先が、残り1メートル。余波で周囲が切り刻まれる。

 

剣の切っ先が、残り50センチ。エーナは構えるだけで動かない。

 

剣の切っ先が、残り25センチ。もう喉元に刺さりそうなのに。

 

剣の切っ先が、残り1センチ。…………気力を振り絞って、剣を止めた。

 

急に止めた弊害か、右腕が悲鳴を上げ、血が噴き出す。

痛む右腕をダラリと落とし、長剣は地面に落ち、消える。

 

『Burst』

 

身体に異常なまでにかかっていた倍加の恩恵が消え、その脱力のまま前に倒れこむ。

 

「……なんで、止めた?」

「…………家族に必殺を向けるのは死んでもゴメンだ。例えお前が、俺の攻撃を受けるつもりだったとしても」

「……分かってた?」

「妹のことだぞ、分からいでか。ついでに言うと、俺を地上に連れ出した時点で俺は負けてるも同然だ」

 

どうせ、バレてたんだ。死ぬ一歩手前みたいな顔して頑張ってりゃ、そりゃ前世のことを疑われる。なにせ、家族には全て話してしまったのだから。

家族の制止を振り切って物も食わず3日も部屋に篭り続けたら、心配するよな。

 

まあ、それにしたって研究室をめちゃくちゃにしてくれたのは結構頭にきてるけど…………まあ、おあいこってことでいいよな。

 

「大方、俺の刃は無限の龍神に届き得るから、何が起きても問題無いって言いたかったんだろう? それにしたってやり過ぎな気もするけどよ」

「…………」

 

さすがに右腕が痛いので、杖を出して回復テクニック:レスタを唱える。治ったところで仰向けになるよう転がり、大の字になって完全に脱力する。

 

「はぁ…………やっぱり今も昔も1人じゃ何にもできねーや。なんてーの、身の程知らずって言うか」

「違う、兄は」

「違うことはない。だからまあ…………アレだ」

 

恥ずかしく思いつつも、今更何をとも思いつつも、口を開く。

 

「エーナに、みんな。ダメな息子でダメな兄貴に、力を貸してはくれないか?」

 

なお、俺のこの言葉に箍が外れた我が家族たちの暴走っぷりは、語る必要はないだろう。

 




【ネタバレ】
コカビーはDF
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