ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:しにかけ/あかいひと

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その12-『そして英雄は……』

 

◆◆◆

 

 

「違う……ッ!! 俺が望んだのは、こんな物ではない……ッ!!」

『否、それを望んだのは間違いなく貴様の心の『闇』である』

 

 

◆◆◆

 

 

即席元コカビエル討伐コンビを結成したところで互いのスタイルを確認したところで、私たちは奴の気配を追っていた。

 

「……ちょっと待ちなさい、もしかして奴がいるのは」

「思ってる通りで間違いねーと思うぜ。奴さん、駒王学園にいるはずだ」

 

流石にふざける余裕がなくなってきたのか、フリードも表情を固くしながら言う。

 

「狙いは間違っちゃいない。此処にいる、殺せば戦争の火種になるヤツらを誘い出すにはもってこいな場所なんだからよ」

「……………………」

 

なんだろう、こいつが真面目に喋るだけでイッセー君の姿がめちゃくちゃチラつく。別に顔が似てるわけじゃないんだけど、(真面目な時の)話し方が、肌と目の色とかと相まって、似てない兄弟みたいに見える。

 

それはそうと、フリードの言う通りだ。なにせ、この学園には現魔王の妹である上級悪魔が2人通っているのだ。その学園が襲われるかもとなれば、高確率で出張ってくるだろう。そして、ヤツを追ってきた私達、あと戦闘家族兵藤家。

 

誰か1人でも死ねば戦争開始だ。それだけは絶対に避けねばならない。非常に不本意ではあるが、我が天界並びに教会陣営含め、聖書勢力は戦争が次の戦争が始まってしまったが最後、滅びは避けられないだろう。

 

「なんにせよ、少し遠くにあったバケモンの気配も消えちまった。てことは、おそらく兄貴達もじきにこっちゃに来ちまう。…………なんとしても、それまでにケリをつけてーところだ」

「…………本当に大丈夫なんでしょうね? 信じるわよ?」

 

控えめに言って私は強いが、カタログスペックだけで見るならばフリードは、限定的な状況下に限るが、私以上。下手すればイッセー君ですらぶっとばせるかもしれない切り札を保有していた。私が弾切れ無しの丈夫なマシンガンだとすると、ICBMとでも言おうか…………準備に時間はかかるし使い所が限られてしまうが、強力無比の一言だ。…………重ねて言うが、カタログスペックだけを見るならば。

 

まあ、バケモノ連中と比べたら決め手に欠ける私としては助かるから、諸手を上げはせずとも喜ばしいことだ。手数で削り切るタイプなのよね、私。

 

「魔王サンこそ、発動するまでちゃんと身体張ってくれよ? そうでもしねーと万が一の可能性すら消えちまう」

「言われなくとも、よ」

 

性にこそ合わないが、小太刀は守りに向いている武器だ。先程同様『簡易教会(オーバーロード:チャーチ)』を使えば更にドン! だ。性に合わないけど。大事だから2回言った。

 

…………そも、あの戦闘狂に影響受けて守りに向く戦闘時性格になるヤツがいるのだろうか。実際に戦う時はともかく絶対イケイケゴーゴーな感じになるはず。だから私、悪くない。

 

「……おーこえー。魔王サン、今すんげぇ顔してるぜ」

「え、そう?」

「自分の命かかってんのに、『今からが楽しみで仕方がない』って感じのドス黒い満面の笑みっつー感じだ。まさに魔王」

「自重するけど魔王は止めろ」

 

得物の所為かはたまた普段の行いなのか…………私の異名はいつでもどこでも私を苦しめるのだった…………。

 

 

◆◆◆

 

 

駒王学園の校庭。その中心に佇むのは、白い鎧を纏った6対の黒翼を風に靡かせる堕天使。月明かりに照らされるそれは、一見幻想的な光景だろう。

 

「……来たか」

 

だが、放つオーラは余りにも退廃的…………世界を終わりへと導くような、悪魔よりも悍ましいなにか。まあ、神ならざるこの身には理解できないということで共通はしているのだろうけど。

 

「ええ、来たわよ。悪いわね、イッセー君じゃなくて」

「フン、貴様も我が認めた敵。闘争を喜びこそすれ、煩わしく思うなどありえん」

 

……何というか、こういうところは真面目な武人なのよね。嫌いじゃないわ、潰すけど。

 

「しかし、いずれこうなると思っていたが…………貴様も立ちはだかるか、フリード」

「へっへ……堕天使辞める前のボスなら何処までもついて行っても良かったんすけどね。幾ら戦争できねぇからって、『ソレ』はダメっすわ。残念ですよ、すんごく気があってただけに」

 

そう言うや否や、ガチャリと重たい金属音を響かせながら、フリードが砲身が6本のガトリング砲を構えた。これだけなら見掛け倒しの只々重たい前時代の遺物。…………その砲口の大きさに目を瞑れば。どうあがいても、弾丸の直径が20ミリを超すであろうそれは、艦艇用近接防御火器システムのガトリング砲そのものである。

 

「んじゃまぁ不意打ちファイアッ!!!」

「ッ!!!?」

 

目視で追いきれない程の速度で回転を始める砲身。傍目で見ても反動も重そうなソレを抱え、円を描く様に駆けながら撃つフリード。サラッと計算しただけでも秒間250もの弾丸が、6つの筒から飛び出し、取り囲むようにコカビエルを襲う。

 

「そんな、神秘の欠片もない攻撃如きでッ!!」

 

不意打ちには驚いたものの、所詮ただの銃火器と判断したのだろう。ヤツは多数の光の矢を展開し、迎撃させるべく飛ばす。

 

元々のコカビエルという上級堕天使は、弱かったわけではない。寧ろ堕天使の中では真っ当なスタイルで戦う、いい意味で正統派強者だった。

そこをさらに黒い何かで凶悪化しているヤツが、弾速と弾数が桁外れなだけの、銃弾を撃ち落とすなどわけもない。

 

…………まあ、それが狙いなんだけど。

 

「ヌッ!!?」

 

最初に撃ち落とした弾丸が、ドゴンッ!! と轟音をたてて爆発。そしてそれは皮切りに過ぎず、連鎖的にばら撒かれた弾丸が弾けていく。

 

「俺っち特製『聖炎弾』、爆発してから10分程度はその場で聖炎を爆ぜ続けさせるぜ」

 

その言葉通り、不本意ながら…………誠に不本意ながら、爆ぜて消えゆく筈の爆炎は、聖なる気配を濃密に漂わせ、それがヤツの周囲を取りかこみつつ、残留していた。

 

そして聖なる炎は、堕天使だったヤツならいざ知らず、今はもう悪魔よりも悍ましい何かに堕ちたヤツには多少なりとも効くことは、聖剣で黒い生物を潰した時に察しはついてる。

そして…………『簡易教会』を纏った私には、何の影響も及ぼさない見掛け倒しであることは実証済みである。

 

「んじゃ、こっちは準備始めんぜ! ヘマすんじゃねーぞッ!!」

「言われなくともッ!!」

 

愛刀を逆手に持ち、コカビエルの方へ…………白い闇の方へ走り跳ぶ。

 

見えない敵に突っ込むのは無謀、しかし気配なら読める!

 

「ゼアァァァアアアアッッッ!!!」

 

聖炎の、白い闇から抜けた先に、苦しそうに悶えるヤツがいた。

 

跳び出した勢いそのままに、爆炎を突き抜けたと同時にその聖炎を纏った『薬研藤四郎』を握る右腕を大きく振りかぶる。

 

「『() () 突 き』ッ!!!!」

 

拳が空気の壁を突き破り、愛刀が同じくそれを斬り抜く。

祝福儀礼の施された小太刀、最低限の教会の機能を得た私、2つの要素があって使える、私の必殺。

 

そしてその威力を、

 

「ヌゥ…………ッ!!」

 

知らしめることなく、さっきの戦闘で私の一撃を避けた時の如く、蜃気楼の様に揺らぎ、消えた。

 

だが、しかしッ!!

 

「これも織り込み済み、だァ!!!! 『裏 ()』ッ!!!!」

 

振り抜いた勢いを、回転に利用。今度は『不動行光』を握った左腕を背後に振り抜く。

 

「グッ!!?!?!?」

 

逆手に握ったが故に、モロに突き刺す形となっただろう。肉を断ち、裂く感触が刃から通して伝わってくる。

が、それも急に霧消。今度は、私の目の前に現れ、黒い液体が溢れる胸を押さえながら、苦しそうに…………しかし、愉しそうに、私を睨んでいた。

 

「やってくれたな……ッ!! 今のは少しだけ効いたぞ……!!」

「戦闘パターンって程じゃないけど、さっきのを踏まえて対策するだけの脳はあんのよ。…………そんでもって」

 

右の拳を突き付けながら、私は宣言する。

 

「大体アンタの特性も察しが付いたわ。ダークファルス【堕天】などと宣ってたから、堕天使に関する何かの能力だと思ったんだけど…………アテが外れたわね。恐らくアンタは『空』、『空気』。それらに該当する能力を持ってるんじゃないかしら?」

 

揺らいで、消える。

最初はいろんな意味での『波』を思い浮かべたけど…………聖炎で、空気が聖なるオーラで焼かれたところで予想以上に苦しんでいるヤツを見て考えが変わった。正直、あの程度なら余裕で回避するとも思ったのだ。大方、大気への影響力が弱まったとか、そんなところか。

 

「ご明察、だ!」

 

苦しげな顔を、喜色に歪めながら、黒い光を束ねた様な槍を握って、ヤツは突撃しながら、肯定。

人知を超えた速度で振り下ろされるソレを、半ば勘に従いながら左の刃で逸らしつつ、右の刃を振り上げて弾く。

 

「我は『空』を支配するッ! 故にッ!!!」

「─────ッ!!!?」

 

弾いた筈の槍が、胸のど真ん中から突き出た。こみ上げる吐き気を抑えられないで血を吐きながら、何故こうなったのかと頭を回す。が、

 

「どこにでも……地上ならば、偏在できるというわけだ」

「ガフッ…………早々にネタバラシしてんじゃないわよ」

 

槍は消えた。が、コカビエルの周囲にはゆらゆらとヤツに似た影が揺らめいている。おそらく、周りが聖炎の壁になってなきゃ、その姿はハッキリとしたものだったものだろう。ある意味では、救われたか。

 

とにかく、聖書の1ページを破いて押し付ける。増血がこの場ではできないからこそ、止血のために傷を塞ぐのは必須である。

 

「にしても、1対多ねぇ…………」

 

しかも、その全てが格上と来たもんだ。なんて絶望的で…………

 

「甘美な響き…………♪」

 

 

◇◇◇

 

 

恍惚な声を漏らしたイリナを見て、コカビエルだった者は顔を顰める。

 

一目置いた戦士ではある。その刃は己の身に届き得る。

しかし、その地力には隔たりがある筈。

 

だが、今の彼女から漂うのは、底知れなさ。

 

「(方向性はまるで違うが…………『◼︎◼︎◼︎◼︎』の様な────ッ!!?)」

 

自身にとっての、しかも己を変質させた存在の様な、と思ってしまった彼は、ここに至ってまずいと思ったのか、己の影に彼女を襲わせた。

 

しかし、その判断を下すには、いささか時間が遅かった。

 

「『我、悪魔より人を護りし守護天使を望む者』」

「『人の世を曇らせる悪に、正義の鉄槌を』」

 

彼女の持つ聖書が燃え上がり、その灰が彼女の周りを漂い、影を吹き飛ばし、消える。

 

「『天使術式(オーバーロード:エンジェル)』」

 

瞬間、イリナを中心に風が巻き起こり、光が集まる。

 

巻き上げられた風は形をなし、柔らかさの欠片も見えない異質な翼を形作り。

集められた光は、真円とも呼べず、凹凸に塗れた醜い光の輪を形成する。

 

「─────『転生悪魔』って、どうやって人間を悪魔にしてるのかしら」

「変質させると言っても、無い物は持ってこれないわ。人間には驚異的な力もないし、悠久の時を過ごせる寿命も備わっていない。魔力と、術だけではどうしようもできない筈」

「ならば、代わりに捧げている物があると思うの。生物として、より優れた存在に変わる為に、何かを」

「私は、1つの仮定を立ててみた」

「『可能性』」

「ほら、よく言うじゃない…………『人間の可能性は無限大』って」

「人間程、可能性に満ちた存在は居ないと思うわ。ならばソレを対価にすれば、成る程確かに対価なり得る。なんなら、たかが悪魔に生まれ変わる程度なら使い切れないでしょう」

「ならば、その理論で行くのなら…………()使()()()()()()()()()

「元々、『守護天使』という考え方が、キリスト教にはあるわ。洗礼を受けた信者一人一人につく、善を勧め、悪を退け、誘惑する悪魔から守護してくれる天使のこと」

「実際、そんなことはないのだけど」

「でも、本当は天使がいたとしたら? 正確には…………己その者が天使であるならば?」

「…………とまあ、そんな暴論の元に出来上がったのがコレというわけよ。可能性の片鱗を、そう言う方向で開拓してみた結果。まあ、翼も輪っかも見せ掛けで、まだまだ人間の範疇なんだけど」

「でも、アンタの首を落とすには十分」

「さあ本邦初公開、間違ってもこの程度でくたばってくれないでね?」

 

そして、彼女の姿はぶれ、

 

「斬ッ!!!!」

「─────ッッ!!?」

 

元コカビエルが知覚するより早く、その刃が心の臓に突き立てられる。

 

祝福儀礼しか施されていないただの小太刀が、聖剣以上の聖気で持って、彼の内を焼く。少なくとも、偏在の能力でもってこの場を切り抜けられない程度には。

 

「(だが、面白いッ!!)」

 

そもそも、()()()()()にとって『ショウ・ウォーカー』なんて()()()()()()()()

もしかすると、渇きを潤してくれる程度のものだ。

 

だが、今。

そんな希望的観測なんか捨て置ける程。

目の前に、渇きを潤すに足る戦士が。

 

そう、彼の望みは戦争ではなく…………

 

「フハハハハハハハッッ!!! 最高だ、『教会の魔王』!!! 否、紫藤イリナァァァァァアアアアアアアッ!!!!」

 

突き放し、己が手に、光の槍を生成。

これは『俺』の獲物だと。これは『俺』の闘争だと。

 

『◼︎◼︎◼︎◼︎』の好きになど、させてたまるかと。

 

「…………ッ! そう戦意に塗れた目で見ないでよ、夢中になるじゃないッ!!!!」

 

対する彼女も、逆手に持った小太刀を持ちかえ、叫ぶ。

 

どちらからともなく、激突。轟音とともに地面は捲れ、その余波で校舎が吹き飛びそうになる。

 

それらを引き起こした2人は、槍と小太刀で火花を散らせながら、獰猛な笑みで斬り結んでいた。

 

弾いては斬り、斬っては弾かれる。

 

そんな命のやり取りも、この2人にとってはダンスの様。

 

打ち合わせる度に加速していく戦闘は、全てを置き去りにしていく。

 

致命傷を負ったって、構うものか。

ただ一瞬、この一瞬を。

 

 

◇◇◇

 

 

そんな、拮抗とは言えない拮抗状態は、唐突に終わりを迎えた。

 

喜色満面で斬り合っていたのに、無粋な横槍が入ったのだ。

 

「…………ガハッ!!?」

 

背後から突き出る、大量の光の槍。辛うじて、頭は潰されていないが。

 

「な…………な、」

 

それを為したのは元コカビエル…………否、()()()()()ではない。目の前で驚いてるのが何よりの証拠。

おそらく、この元コカビエルを『元』たら占めている存在が、そうさせたのだろう。

 

…………まあ、長く続くとは思ってなかった。楽しかったが、まあ所詮は仮初め。何処かで綻びも起きるというもの。

 

だが、コカビエルには少し、申し訳ないかもしれない。堕天使だが、嫌いになれない男だ。

 

「…………全く、好きにさせなければ。こうして、すぐにカタが着いたものを」

「全く、無粋ね…………とは言え」

 

目的は達した。

 

「よぉーくやってくれた」

 

準備が完了したことを告げる声が、既に晴れた聖炎の壁の外から聞こえる。

 

「あのままだとケリも着いたかもだし、準備しなくてもいいんじゃね? とか思いつつしっかりセットしてた俺っちマジ有能」

「自分で言ってんじゃないわよ…………」

 

フリードは、構えていた。

 

…………何をって? アレを言葉にするのは、ちょっと私には無理ね。

 

ガトリング砲なんて目じゃない。100メートルは優に超えているだろう、近未来ファンタジーも真っ青な巨大な砲…………とでも呼称すればいいか。とりあえず、ここら一帯を更地に変えかねない何かを元コカビエルに向けて構えていた。

 

「……フン、今度は油断せんぞ。真正面から打ち破ってやる」

「その余裕も今の内だってなッ!!」

 

そうこうしている内に、その砲の各所についているらしいランプが忙しなく点滅し、方向に光が集まる。

 

「正直、事情なんて知ったこっちゃねーが兄貴の手を煩わせかねないのと…………ウチのボスを殺した罪は、重ェ!!!!」

 

ある意味で、嘆いてる様なソレは…………あいつも、なんとなく察したからなのかもしれない。

 

「あのヒト、戦いたい戦いたい言ってっけど、どんだけ自重してたか知らねぇだろッ!!!! そこに漬け込む様な真似しやがってッ!!!!!」

 

その、叫びに呼応するかの様に、砲口はさらに光を集める。

 

「だから…………焼き潰してやる」

 

光が消える。だが、ソレは嵐の前の静けさだ。

 

「あの黒いのを焼き払え、《DD bluster》ッッッ!!!!!!」

 

闇を打ち砕く、その想いで噴き出た極光。

 

「…………ッ!!?」

 

判断を間違えたわね、元コカビエル。これがコカビエルなら…………いや、考えても栓のないこと。

 

また、白い闇に包まれながら、私達は勝利を確信した。

 

 

 

 

 

 

…………のだが。

 

 

 

 

 

 

「グゥ……ッ!!!」

 

 

極光が過ぎ去った後。元コカビエルは生きていた。まあ、その様相は辛うじて、といったものだが。

 

しかし、手負いの獣は危険過ぎる。すぐに対処しない……と…………アレ……………………?

 

「うぁ……?」

 

揺れる視界、呻きつつ、何かを抑え込もうとする元………いや、あの感じだとコカビエルか。

 

「糞………貴様は、俺は負けたのだッ!! これ以上無様を重ねたくは…………やめろ…………ッ!!!」

 

破れた鎧から露わになった顔が、必死の形相だ。何が起きている?

 

「フリード、紫藤イリナ!! 今すぐ俺を殺せッ!! さもなくば──────」

 

その言葉は、最期まで続けられることはなかった。

 

コカビエルを突き破り、黒い何かが噴き出す。そして、天へと昇ってゆく。

 

慌てて攻撃しようとするが…………私は満身創痍。フリードは砲撃の反動で動けなくなっている。その顔には、これ以上ない悔しさが。

 

そして黒い何かは…………空を覆う。夜の空と同化し、【堕天(ダウンフォール)】の名に恥じない姿となって。

 

「…………クソ、倒せなかった」

 

倒してやることが、できなかった。

 

畜生、悔しいなぁ。

 

もう私にできることなんか、1つしかないじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、イッセー君。アレを助けてやって」

「応、任せとけ」

 

 

 

 

 

 

 

私の知る最強の英雄(ヒーロー)に託すだけだった。

 

…………本当、ビックリするほどカッコいいよ畜生。

 

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