ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:しにかけ/あかいひと

54 / 67
前話で一誠が朱乃さんにフラグ建ててた様に見えた方。安心してください。朱乃さんとのフラグを建てたのは別の方です。
詳しくは説明しませんが、今回の章のボスとして登場しますのでお楽しみに!


その2-自分×自分×自分×…………=複屈折幻影

さて、雑談を終えた俺は早めに部活を切り上げ、寮の地下の何処か。いつぞやの兄妹喧嘩の所為で1度潰れてしまった俺の研究室にいた。

 

今、俺の目の前にあるのは、聖槍ロンゴミニアド。元はドライグの爪であるブリテンの至宝の一つである。

 

「これ、どうするっかねぇ…………新しい能力との相性も良さそうだし、使いたいところではあるんだが」

『形が普通の槍ではないからな』

 

三爪の槍と以前は呼称したが、柄の先に両刃の剣を取り付け、その両隣に爪の形になる様に片刃の剣を付けたような、もうなんだコレみたいな槍である。というかコレ槍? 盾にも使えてたって聞いたけど、何が何だかなぁ。

 

「というか、聖剣には因子がいるっぽいけど、聖槍にそれはないの?」

『前例があまりないから憶測になるが、聖槍は担い手を自分で選ぶのだ。噂に聞くところによると、神滅具(ロンギヌス)黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』も、本来ランダムに配布される神器の法則から外れ、資質のある者に振り分けられるようだからな』

「ほーん? あ、ちなみに俺はロンゴミニアドに選ばれている?」

 

と言うか、選ばれてなかったら無用の長物と化すんだけど。

 

『いや、選ばれてはいない。一応ロンゴミニアドの基準の最低限として、ペンドラゴン家の系譜であることが必要だからな』

「え、じゃあダメじゃん」

『だが、お前は赤龍帝。ブリテンの赤い龍たるこの俺を宿す者、使うことはできるさ』

「なんだその守護龍特権」

 

なんか同じノリでエクスカリバーも使えそうである。

 

『恐らくだが使えるぞ』

「使えるんだ!? 赤龍帝SUGEEEEEEEE!!!!」

 

あんまりこういうことを言いたくはないが、エクスカリバー使うなら聖剣の因子使うよりもドライグの爪でも煎じて飲めばなんとかなりそうである。

 

「まあ、それはそれとして…………」

 

気を取り直して、ロンゴミニアドに向き合う。

 

「伝説の武器って、何かしらの特殊効果があるよね。ロンゴミニアドの特殊効果は?」

『聖槍、という割にはシンプルで、『狙ったモノだけを貫く』能力と『最適化』だ。前者に関して言えば『透過』能力が反映されたものだ。『最適化』に関しては、槍が選んだ担い手が持つとそれに合わせて最も使いやすい形に変形する…………らしい』

 

…………アーサー王って、どんな奴だったんだろうな。こんな槍が彼にとって最適化された結果だなんて。

 

『で、どうするんだ?』

「手っ取り早い方法がある」

『?』

 

俺はグローブを着けた左手でロンゴミニアドを握り、

 

「こうするんだよッ!!!」

 

左腕に力を込めつつ、俺は頭の中で武器の設計図を幾つか思い浮かべ、グローブを起動させる。

 

眩い赤の光が部屋中を照らし、それがおさまった頃には、左手の中あったロンゴミニアドは消えていた。

 

いや、消えていたと言うのは間違いか。甲の部分に翠の宝玉が付いていたこと以外は至ってシンプルだったグローブ。だが、左手だけではあるが、確かに変化した。籠手、という程ではないが、プロテクターのようなものが増え、宝玉を爪のようなパーツが覆う。

 

『成る程、一体化させたか』

「チッチッチ、それだけじゃないんだなぁコレが!」

 

と言うわけで、初のお披露目である!

 

「起動せよ、『多機能兵装:ロンゴミニアド』!」

 

先程同様左手が赤く輝き、左腕を何かが纏う。

徐々に輪郭を帯びていくそれは、三爪の大型クローアームとなった。

 

「おー、いい感じー」

『…………あ、あの相棒?』

 

ガシャンガシャンとクローをグーパーして動作確認。うん、いい感じ。

 

「そんでもって、モード:キャノン!」

 

ガシャリキュイン! と機械音を響かせながら、クローアームの爪が開き、その中から砲口が現れる。

 

「うんうん、いいよいいよー! お次はモード:シールド!」

 

今度は爪の部分が手の甲の部分に集まり、少し歪な盾の形をとる。

 

「あー、これはもうちょっといじった方がいいかな。んじゃ、最後! モード:スピア!」

 

ただ、スピアとは言え最後に変形したそれは槍ではなく…………手の甲に元のロンゴミニアドを小さくしてくっ付けたような、攻撃的なフォルムの籠手とも言うべきか。まあでも防御をブチ抜くに向いてそうな形だ。

 

「どう? どう? いやぁ、ちょっとだけロボアームに憧れてたんだよね〜! かっこいいでしょ?」

『…………たまに着いて行けなくなるのだが。どのような発想を経てこうなったのだ?』

「自分で言うのもアレだけど、俺槍だけは苦手なんだよね。そもそも長柄の武器に適性ないみたいで」

 

そのせいで、グラールの4つある武器ライセンスの内、頻繁に使っていたのは片手武器、軽量武器専門の『ブレイバー』である。無論、任務に合わせて切り替えもしたが、これが一番性に合っていた。

 

『一流の槍使いを槍で上回る奴が苦手とは驚いた』

「苦手なんだよね(威圧)。だからこうやって使いやすい形に改造してみたのさ! 今はまだ4つのモードしかないけど、モードを増やせば様々な局面に対応できる多機能武器になる!」

『いや、既にお前が無茶した所為で武器を出せるようになっただろう?』

「でも、アレはインフィニティブラストとかやってると使えなくなるでしょ? そういう時でも使えるっていうのは大きいと思うな」

 

主に、無駄に散る力を制御する為の媒介装置というわけで。特にインフィニティブラストの時は力が四方八方に散り過ぎて無駄の極みである。あ、でも無限なので効率以外は問題ないんだけどさ。

 

「で、せっかくそれ用の武器作るなら、使って楽しい武器を作ろうかなって」

『成る程わからん。分かったが分からん。理由は分かったが、それで何故聖槍をこんなのにしたのかが分からんが…………まあ気にしたら負けか』

 

あははは。でもいいじゃん。今までできなかった戦い方ができるじゃん! 楽しいよ、絶対!

 

「さあて、VR訓練ルームいって試運転だー!」

 

ガシャガシャと言わせながら、ワープポータルを起動させ、同じく寮の地下の訓練場に移動しようとしたその時、俺のスマホが鳴った。

 

「……誰だろ。あ、お嬢か」

 

仕方ない、一旦お預けだ。そう思いながらロンゴミをしまい、通話ボタンを押す。

 

『もしもし、イッセー? 緊急事態よ』

「いきなり穏やかじゃありませんねお嬢。どうされました」

『魔王ルシファー様…………と言うか、私のお兄様が駒王町にいらしたの。どうも、三大勢力会談の下見と……本当に面倒なことに、授業参観の為に、とのことよ』

「成る程。それで、例の元我が家を掃除して使えるように、とのことですか?」

『それならば緊急事態になりえないわ。…………私達のオカルト研究部寮に、泊まりたいとのことよ』

「…………うわぁ」

 

いや、別にそれ自体は構わない。一応寮の方にも来客用の部屋ありますから。

 

問題は、だ。

 

「…………なんでよりにもよってこのタイミングなんすかねぇ」

 

現在、うちに親は居ません。お父さんは報告があるとかで須弥山に。お母さんはイギリスに行っちゃった。無論、仕事放棄したかったわけではなさそうなんだが、どうしてもということで。そんでもって俺、寮長代理。

 

『そういうわけだから、お願いしてもいいかしら? あ、もちろん全てイッセーにやらせるつもりはないから安心しなさい。じきに帰るから』

「その言葉、信用しますからね」

 

そう言って、俺は通話を切る。

 

「…………うん、ちょっと頑張らないとな」

『…………頑張ると言っても、相棒の本業とはかけ離れてるだろうに、接待なんぞ』

「甘いなドライグ」

 

挑戦だと思えば、やってやれないことはない。なんとかする手段だってある。

 

『いやしかし……いくら相棒が優秀だろうと、身体は一つしか無いのだぞ?』

「身体が一つしか無いなら、身体を増やせばいいじゃない!」

『…………また始まった』

 

また始まったとはなんだ!! ちょっと試してみたい魔法があるだけだ!!

 

さて、ここでおさらい。魔法とは、超常現象を引き起こす技である。ファンタジーな名称とは裏腹に、世界や現象に対する理解と、それらを再現するのに演算能力が必要不可欠。故にわけの分からない、理論が存在しない現象は起こすことができない。この辺りが、悪魔の有する『魔力』と比べて汎用性に劣る部分だな。あっちの方はイメージ力とセンスがあればなんでもできるらしいし。そもそもが、魔力を解析し、人間でも使えるようにした外法が魔法なのだから仕方がないんだろうけど。

 

なお、一握りの天才魔法使いはセンスや直感でわけの分からない現象を引き起こす。ウチのオカンとか、その典型である。

 

で、間違っても俺は天才ではない。強いて言えば、秀才タイプ止まりだろう。わけの分からない現象を起こす魔法使いにはなれやしない。

 

しかし、わけの分からない現象でさえなければ、ある程度は不自由無く魔法が使えるということでもある。

 

「故に、(なかみ)の無い身体を生成するぐらいならできるし、その身体をベースである俺の精神とリンクさせて同時に動かすやり方も分かる」

『強引な人手確保だなオイ!!?』

「まあそれするといくら俺がマルチタスク得意だからって頭がパンするよ。無意識領域まで完全手動とかそれもう死ぬ」

 

だから、ランクを下げてみよう。

視覚と聴覚があって、物理干渉する手段もあり、それらを1人で制御出来たら事足りるわけですよ。その程度なら100セット用意したって鼻血が出るくらいで済む。

ただ、買い物行ったりとかする必要もあるから、ちゃんと人に見える仕掛けや、発声する機能なども必要である。ま、そこは前世では俺も少しだけ理論を齧った『思考具現化現象』を応用すれば簡単だ。

 

「というわけで、セット」

 

必要な要素を計算し、ぐるぐると頭を回すこと20秒。

 

「演算終了、起動『複屈折幻影(オーロラプリズム)』」

 

そして見渡せば、5人の俺が。そして、その5人の俺からも、5人の俺を見渡している映像が脳内に届く。ついでに痛い沈黙も5人分…………凄い気持ち悪い。

とりあえず、思考を6分割して本体以外の制御に思考を一つずつ振り分けていく。

 

さあ行け、俺! 具体的には買い出しと掃除! フハハハハ─────ッ!!!

 

 

 

 

『…………見るものが見れば卒倒する光景だな』

 

 

 

 




なお、複屈折幻影は戦闘にも使える模様。

それはともかく、感想批評ダメ出し、お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。