ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman 作:しにかけ/あかいひと
現在スランプ中なので、自分でもコレジャナイ感が…………
「ふふふ…………やりきった、俺はやりきったんだ」
複屈折幻影による強引な人海戦術を取った結果、俺は鼻血を出して倒れるというコストで、お嬢達が帰ってくるまでに魔王サマのお出迎えの準備を整えた。
「むぅ。兄、無茶は駄目」
そしてせっかく俺が準備したホームパーティーも、俺は参加できないことに。まあ鼻血出して倒れたんだ、仕方ないよネ!
そんでもって、自室のベッドで横たわる俺。そして看護名目で俺を見張るエーナ。その目はとても呆れているようだ。
『実際呆れてるがな』
「ドライグにも呆れてる。何故、兄を止めなかった?」
『こいつを止められるのは、おそらく白龍皇のあの娘だけだろうよ』
「…………ぶー」
なんてぇ言われようだ。まあアホやったのは確かだし、甘んじて受け止めるけどさ。
「ちなみにエーナ、魔王サマに挨拶は?」
「一応、兵藤家代表として。でも、正体はバレてた」
「だろうねぇ……」
いやぁ、お嬢が友達でよかったー。場合によってはあんなん敵にまわさんといかんかったかんね。
『そこまで恐れる様な相手か? 下手をすれば悪魔の括りにすら入らない規格外極まりない男だが、高みに足をかけて飛び上がった今のお前ならば』
「勝てない。勝てたとしても、自分の命は捨てないといけない。そんな予感がする」
それに、あの人俺と同属な匂いするし。俺が世界を救ってその後すぐに死ぬのと同じで、なんかありそう。
「兄と、同意見……あの超越者はおそらく、」
「シッ! エーナ、誰か来る」
誰か来る、とは言ったものの、このタイミングで来るとしたら、お約束的に、彼だろう。
コンコンというノックの音。入室を促すと、入ってきたのは紅髪の偉丈夫。
「やあ、久しぶりだね兵藤一誠君」
「お久しぶりですねサーゼクスさん。もてなす側だというのにこんな状態で申し訳ない」
「謝るのはこちらの方だ。急にお邪魔すると言ったせいで無茶をさせてしまったらしい。申し訳ない」
そう言って、サーゼクスさんは頭を下げる…………っておいおい。
「無闇に頭は下げるもんじゃねーですよサーゼクスさん。魔王ともあろうお方が」
「言わんとしていることは分かるが、右を見てくれ」
右を向く。頬を膨らませたエーナがむすっとしてる。
うん、なるほど。ついつい忘れそうになるがこの妹は世界最強の龍神サマだ。
「すみません、ウチの妹が」
「あははは…………それはそうと、無限の龍神が、まさか人間に紛れて生活を楽しんでいるとはね」
「やはり、異常でありえないことなんでしょうか?」
「まあ、異常だね。以前の彼女を知っている我々からすれば…………だが、ありえないとは思わないさ。よく言うだろう? 『ありえないことはありえない』と」
「いや、あのそれ漫画の台詞…………」
「知っているとも。大ファンなんだ」
「は、はぁ」
スゲェ俗っぽいなこの魔王!? フランク過ぎて逆に困る!!
「ところで一誠君。一つ尋ねたいことがある」
急に消えたフランクさ。唐突な真面目モードに、俺もドライグもエーナも、息を止める。
「君はあの無限の龍神オーフィスを…………いや、今では兵藤永那か。彼女を妹だと言う」
「……………………」
「それで、君はそんな妹のことをどう思う?」
ふむ、どう思うか…………。
「可愛くて最強な自慢の妹です」
そう言うと、サーゼクスさんはこれでもかと笑顔を浮かべて手を差し伸べてきた。
「同士よ!」
「成る程、貴方もか」
この夜、何故か同好の友ができた。
◇◇◇
「っと危ない。新たな同士が増えて思わずテンションが上がってしまった。本題に入ろう」
如何に自分の妹が可愛いかを語りだされたので、こちらも負けじと語り出す。するといつの間にか2時間が過ぎていたらしい。なお、エーナは珍しく顔を真っ赤にして退室していた。
「同士兵藤一誠、君はこの世界をどうしたい?」
あ、今度はちゃんと真面目だ。いや、さっきのも真面目だったんだろうけど、俺が迂闊な発言した所為でおかしなことになったに違いない。
「どうしたい、と言われても…………」
「何も知らない者が見れば、この兵藤家は異常としか言いようがない。まるで、どこかと戦争をするために準備を進めているようだ。いや、それで済めばまだマシだろう。裏の世界を、支配しようと画策しているのでは? …………そう思う者が、少なくとも悪魔の側にはいる。なにせ、赤龍帝のキミだけでも恐ろしいのに、妹として無限の龍神が兵藤家に迎え入れられた。キミの父上は帝釈天の直弟子にして稀代の仙術師、母上は北欧とも繋がりのある、世界すら歪めかねない魔法使いだ。新たに妹となった、放逐されたシスターも、おそらく君によって高みへと登って行くのだろう。そう思われても仕方がない」
「同士サーゼクス。貴方もそのクチで?」
率直な疑問でそう口にすると、まさか! と言いたげに頭を振った。
「私はそうは思わないよ。リーアたんから聞く君のことと、実際に会った君の印象を鑑みても、そんなつもりは一切ないみたいだ。良くも悪くも純粋に欲求に忠実で、その欲求の一環でこんな恐ろしい事態を引き起こしている、と思ってる」
「んー、まあ欲求には忠実ですわなぁ。いやでも」
確かに、俺は何をしたいんだろうか。
まず第一に、戦いたい。でも、戦争をしたいワケじゃなくて、レーティングゲーム的なバトルがしたいんだ。戦争は、いろんな傷跡を残すしな。
次に、普通の生活をしたい。現状世間一般の普通とは言い難いかも知れないが、家族団欒で、学校通って、馬鹿をやって、部活して…………中身はともかく、普通に青春してるこの状況が凄く楽しい。これを守るためなら命だって張れる。
…………でも、それなら父さんや母さんまで巻き込む必要は無かったとは確かに思う。それに、圭太と塔矢は俺の所為で死なせた様なものだ。
「成る程ね。同士一誠、キミもやはりドラゴンだと言うことだよ」
「というと?」
「ドラゴンは『力』そのものであると同時に、『宝』を護ることに執心する生き物でもあるからね」
宝を護る、かぁ。でも、それが俺が周りを巻き込んでいるのとどういう関係が?
『お前は無意識に、巻き込んでしまった方が『
「ん? いやでも寧ろ危険に晒しているような…………」
『お前が赤龍帝で、ドラゴンだから、お前は家族が、友が、危険に晒されると思った。…………過去のトラウマもあるのだろう、自分の事情に巻き込まれてしまうのならいっそ、巻き込まれても死なない程に強くなって貰おう。そんなところか?』
「……………………」
返す言葉がねぇ。多分、その通りなんだろうと思う。
結果的に、みんな強くなったからそうそう死ぬことはないだろう、
「しかし、安心したよ。キミがそういったことを画策してるワケではないことがちゃんと分かって。予想はできても確実な情報ではないからね」
「俺としては複雑極まりないですがね…………」
んでもって、この後の流れはわかる。
「それで俺は、俺達兵藤家が世界を乗っ取る意思が無いことを、近々行われる三大勢力会談で言えばいいわけですか?」
「まあ、そういうことになるね。お願いしても?」
「それで煩わしさが消えるなら」
まあ、どちらにせよお嬢に無理言って参加させてもらうつもりだったから、渡りに船かもしれない。
「そうなのかい?」
「一応、暴走したコカビエルの討伐をしたのは俺ですし…………その三大勢力会談、コカビエルを凶行に駆り立てた原因についても話し合うのでしょう?」
ならば、俺が出る必要はどちらにせよあると思うんだ。
「一応、堕天使側からその時に詳しい説明をすると言っていたが、同士一誠も知っている、と?」
「ええ。どんな存在で、どれだけ凶悪で強大かは知っています。今、どんな風にこの世界に存在しているのかは分かりませんが…………」
しかし、堕天使側がすぐに情報を広めなかったのが気になる…………
「ああ、その理由は単純だ。情けないことに、三大勢力それぞれに、テロ組織に加担しているスパイがいるからだね」
「テロ組織ィ?」
「それについても堕天使側から説明があるそうだけれど、こっちでだって独自に調べている」
とはいえ、ここで漏らすわけにはいかないけどね。と、同士サーゼクスは困った様に笑った。
「魔王ってのも大変ですね、同情しますよ」
「同情してくれるならてつだってくれないかい?」
「嫌です。戦場駆けるしか能の無い人間が政治なんて苦行過ぎて泣けてきます」
おそらく同士サーゼクスもそのクチだろうし、同情はしてあげるが、俺は2度と暗黒のスカイクラッド時代を繰り返したく無い。
「つーわけでそろそろ戻った方が良く無いですか? 一応気を利かせてこの部屋だけ時間の流れを加速させてみたので、一階にいるだろうみんなからは違和感持たれてないとは思いますが」
「同士一誠、キミそんなこともできるのかい?」
「それこそ、俺は赤龍帝なもので」
時間の流れに譲渡しただけですよ。この境地に至るまでに大分掛かったけどな。
「それではー、調子戻り次第下に降りますので、ごゆっくりー」
「ああ。また話をしよう」
そして紅髪の魔王が、俺の部屋から出ていく。
…………ふぅ。
「やべぇ、テロ組織に心当たりしか無いんだけど」
帝釈天のところにいた聖槍ボーイを思い出しながら、溜息を吐くしかなかった。
◇◇◇
「…………む?」
「どうしたんだ、曹操?」
「いや、今誰かに噂をされた気が…………具体的には俺が目標とする英雄に」
「……………………」
◇◇◇