ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman 作:しにかけ/あかいひと
…………だから私は悪くない。
この世の中には、会ってはならない組み合わせが存在する。
例えばそう、
「初めまして
「…………どーも、兵藤一誠です。おいコラドライグ。誰だこの俺が性転換してしまったような別嬪さんは」
『…………察せ』
番外乱闘-スマッシュウォーカーズ!
《お嬢の胃に優しくない戦闘狂共!》
◇◇◇
ことの発端は、訓練中。諸事情により神器の深部に潜っていた時の出来事である。
「むー…………噂の『可能性』とやら、見つからねーなー」
諸事情と言っても大したことはなく。先代赤龍帝の先輩方が『神器の深部には、神器をさらに発展させる『可能性』が眠っている』と言っていたので、面白そうと思って潜っているだけなんだが。
『神器の可能性…………とは言え、そこは所有者とつながっている。ある意味では可能性を拓ききったお前では、到達は厳しいのかもな』
「んなアホな…………」
自分でも時折勘違いしそうになるが、意欲など以外では、戦闘の才能は実は大したことはない俺である。伸ばし、押し上げるきっかけを師匠にしてもらわなければ、少なくとも前世で『グラール最強』の肩書きは得られなかっただろう。
…………そして、そこまで押し上げるためにあらゆる可能性を拓ききったと言うドライグの言葉は間違っておらず。さらなる発展、という意味でショウ・ウォーカー…………兵藤一誠の成長の伸び代はないのである。
だからこそその神器の可能性とやらにつられて、こんなダイビングよりも過酷な行動をしているわけなのですが。
ちなみに先輩たち曰く、開けてはならないものらしいので、取り扱いには十分注意を…………って、そんなものを俺に扱わせていいのかよオイ。
『これはお前を見ていて思った戯言だから流しても構わないが』
「?」
『可能性を拓ききった…………成長の伸び代はない。とは言え、お前にはそれすらもどうにかできるのでは、ないのか?』
「と言うと?」
『限界なんて、斬れば解決』
相棒の素晴らしい言葉に、俺は目から鱗が零れ落ちるのを止められなかった。
「と、言うことは……」
『うむ。到達するにも、斬ればなんとかなるだろう』
「で、あるならば」
神器の意識空間では、望んだ得物を持つことができる。故に前世の得物も、である。所詮想像の産物だしね。
そんなわけで手元に現れたのは、これでもかと聖なるオーラを放つ
「そんじゃまあ…………斬ッ!!!」
星のない宇宙を思わせる暗闇に、斬撃と言う名の閃光が迸る。
そして─────────
◇◇◇
「気がついたら、身体を得たアンタが、神器から飛び出した、と?」
要は、だいたいドライグのせいである。なんで奴だ全く。そんな風に憤慨しながら、俺は乱暴に紅茶を口に流し込む。
「そういうこと。まあ、なんで身体を持って動いているのかは、当の本人たる私も、分かってはいないのですが」
そんな腹立たしげな俺とは対照的に、性転換した俺は、実に優雅に紅茶を飲みながらそう口にした。…………自分相手に言うのもアレだが、かなり様になってるよな。
「あ、あの二人共? そんな内輪のことについて話すのに、なんで部室で話すのかしら?」
困惑げに言うのは、ご存知我らが友にしてこの街の支配者、リアス・グレモリー。通称お嬢。
「「困った時はオカルト研究部」」
そんなお嬢の、何を言ってるんだ的な発言に対して、俺たちはシンクロしてそう答えた。
「朱乃、お茶漬けを二人に持ってきて」
「いやーん、ぶぶ漬け如何どす? ですってシェリーさん?」
「これだから京都かぶれの外国人は」
「「ねー」」
「…………『
「「ノー!!?」」
待ってそれやられると本気にならないとダメなんでごめんなさい自重します。
「…………で、どうするの二人共? なんとかしたいのは山々だけど、生憎そういうのには詳しくないのだけれど」
「ですよねぇ…………マジでどーしよ」
「私としては、また娑婆の空気を吸えていい気分なのですが…………まぁ、物足りなくはありますわね」
「「へ?」」
思わず俺とお嬢が間抜けな声を漏らす。
「ほらぁ…………目の前に、極上の
「ッ!!!」
ゾクリ、と首筋に悪寒が走る。と言っても、嫌なそれではなく…………濃密な闘争の色をこれでもかと訴える、甘美な甘美な蜜のような。
「ッハハ! そりゃそうか…………何せ、『俺』だものなぁシェリー・ウォーカー…………!! でも、こらえ性がない女は嫌われるぜ?」
「いくら自分とはいえ、貴方程の戦士を前に自重などしては、戦闘狂の名折れだと思いませんこと? 要は『御託はいいからさっさとかかってこい』といったところですわね」
「フフフ……!」
「ウフフ……♡」
ったく、堪えてんのに煽ってくるよーなセリフ吐きやがって。ちくしょう、本当いい
「というわけでお嬢、ちょっと運動をしたいんですけど」
「校舎裏、使ってもよろしいですか?」
「学校が滅ぶから寮の地下でやりなさい」
酷いな、自重ぐらいできるよ。
とは言え説得力なぞ、有ろう筈がないので、おとなしく寮の地下の訓練場に移動したけれど。
そこで準備をしてるとあることに気がつく。
元が俺で、戦闘狂で、どうしようもない人種とは言え、完全には同じではないようで。
「ふむ………大鎌が武器なんだな、シェリーは」
「そういうショウは、なんでも扱えるのですのよねぇ…………羨ましいことこの上ありませんわ」
同じ記憶で、同じ経験で、なのにこうやって差ができるのは、性差なのかなんなのか。まあ一つ言えるコトは、俺はこの女郎を『俺』だと思って戦ってしまうと確実に負けるということ。…………なのに向こうは俺の情報筒抜けとか、なんてハードモード(ニッコリ)。
「なんにせよ、これ以上の言葉は無粋」
「もとより私たちは戦狂い……語るべきは言葉に非ず」
「「存分に、斬り合いを」」
◇◇◇
空気が弾ける音と共に、刃と刃を斬り結ぶ、甲高い金属音が、その場に鳴り響く。
「────ッ!!」
「…………ッ!!」
大振りな得物だから、超近接には弱いだろうと、
埒があかない、一度向こうの弾く力を利用して距離をとろうと力を緩めると。
「斬ッ!!」
腹に一閃……赤い軌跡が。
「────ッ!!?」
怯めない、いくら血が噴き出ようと、怯めない。
冷静に思考、大型の、力押しが可能な
「チィ……!!」
これでもかとその顔を歪め、防御態勢を取るシェリー…………それを、待っていた。
「伐ッ!!!!」
大斧による斬り上げ。防御すら伐り抜く衝撃波。そしてそれは俺の目論見通り、構えていた大鎌ごと砕き、シェリーに縦一閃の、痛ましい斬撃痕を刻みつける。
「…………!!!」
とは言え向こうさんも中々やる、顔…………正確には脳ごと潰してお終いにしてやろうと思ったのだが、首を傾けてギリギリ回避しやがった。
仕切り直し、だ。得物を
「──────」
「………………」
嗚呼、攻め難い。だと言うのにこの高揚感は一体、どうしたことか。
いや分かっている。俺は…………否、俺たちは、これ以上ない位に、心が躍っている。
終わらせたい、終わらせたくない。
相反する気持ちを胸に、もう一度得物を大斧に換えて、俺は、愛しき敵へと斬りかかるのだった。
後編に続くッ!!