友達の少ない僕が幼馴染達のお手伝いを頑張る事になった(凍結) 作:なんちゃって提督
スムーズに話を進めていくつもりだったのにどうしてこうなった
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それでは、どうぞ
花陽side
今日は新入生歓迎会。私が通っている音乃木坂学院の先輩達が一年生の為に学校の紹介とか部活動の紹介とかをやってくれる。これを参考に自分がどの部活に入るか決める人も少なくないと思う
全体的な説明も終わって今は自分達で興味のある部活を見学できる時間になっているのでどの部活に入ろうか迷っている私は色々見て回っている。そしてこれからお友達の凛ちゃんが見たいって言ってた陸上部の練習の見学に向かっている
「う~…長い話は苦手だにゃー…」
「あはは…凛ちゃん途中からずっと寝てたもんね」
「だって色んな人が代わる代わるに喋ってたら眠たくもなるにゃ!」
凛ちゃんは昔からじっとしているのが苦手だったので仕方がないと思うけど、本当に良く寝てたなぁ。ふふ、寝顔が可愛かったのは凛ちゃんには内緒だね
「とにかく、陸上部の見学に行ってみようよ。場所は運動場かな?」
「そうそう。でも今日は雨が降っているからきっと体育館で練習してるはずにゃ。どんな練習してるのか気になるにゃー」
「やっぱり、高校生の練習ってなるとかなりきつそうだよね……でもでも! 凛ちゃんならきっと大丈夫だね、体力あるし運動得意だし!」
「うーん、あんまりきつい練習は好きじゃないんだけど……ってあれ?」
凛ちゃんが言葉を止めて歩くのを止めてどこかを見ている。私も何となくそちらの方へ視線を向けるのとほとんど同時に凛ちゃんは突然走り出してしまった
「あの人……」
「り、凛ちゃん!?」
咄嗟に止めようと伸ばした私の手をすり抜けて凛ちゃんは行ってしまう。慌てて私もその後を追いかけた
「はぁ、はぁ……は、速いよ凛ちゃ~ん!」
凄いスピードで走り出した凛ちゃんだったけど、距離自体はそんなに遠くなかったのですぐに追いつくことができた。本当に凛ちゃんは足が速い
「あ、あの!」
「凛ちゃん?」
追いついた凛ちゃんは誰かと喋っているみたいだった。誰だろう? って思いながら私はその人の顔を見ようと凛ちゃんの横に並んだ
「あ……」
その人の顔を見て、凄く驚いた。そこにいたのはもう会う事はないと思っていた人で
「あ、えっと……? お、お久しぶり、です?」
あはは、なんて困ったように笑っていたのは間違いなく、私と凛ちゃんを不良から助けてくれた男の子だった
ーーーー
side out
「あ、あの!」
初めてやって来た未知の女子校で迷子になり、途方に暮れていた僕に誰かが後ろから声をかけてきた
ちなみに既に穂乃果ちゃん達に助けを求める旨のメッセージを送ったが、返信は来ていない。きっとライブの準備で忙しくて携帯をチェックしていないのだろう
完全に詰んだ、と思っていた矢先に声をかけられた。ひょっとすると不審者だと思われたのかもしれない。僕は慌てて振り返って声の主に弁解しようとすると、そこにいたのはどこかで見たことがあるような気がするオレンジで短めの髪の女の子
「あれ? 君って……」
その子を少しだけ観察する。そして記憶を辿って該当する人物を検索する。そうこうしているうちにもう一人別の女の子がやって来た。その子にも見覚えがあった
「あ」
そして、ヒット
「えっと……? お、お久しぶり、です?」
適当な挨拶をして笑って誤魔化しておく。何故なら二人の顔は知っていても名前は知らないからだ
この目の前に立っている二人は以前、変な男に絡まれていた所に僕が割って入った時の女の子。こんな所で会うなんて偶然も良い所だ
それにしてもこの街に来てから妙な縁に恵まれているというか、世間は意外にも狭いんだと思い知らされている。なんてことを考えていたらオレンジの女の子が勢い良く頭を下げた
「あの、助けてくれたのに凛達だけ逃げちゃってごめんなさい! ずっと謝りたかったんですけど、その、名前も居場所も分からなかったから……」
「あ、えっと、気にしないでください。僕も何もしてないので……」
事実、僕にできた事といえば彼女達に代わってボコボコにされたことぐらいだ。恥ずかしくて言えないけどね
「それより助けを、警察を呼んでくれてありがとうございました。僕だけだったらどうなっていたか……」
「せめてそれぐらいはしないといけないと思って……怪我とか大丈夫ですか? 警察に聞いてお見舞いに言ったらもう退院しちゃったって言われて……」
「ぜんぜん大丈夫ですよ。僕、頑丈な事だけが取り柄なので」
女の子二人は非常に申し訳なさそうにしている。気持ちは分からないでもないが、そんな顔されてもこっちが困ってしまう
自分達が僕を見捨てて先に逃げてしまった事を申し訳ないと思っているらしいが、あの場面ではそれが正解だったと言わざるを得ない。三人まとめて不良の餌食にされるのが最悪の展開だった為、先に逃げて助けを求めてくれたのは僕としては迷惑どころか、非常に有難かったのだから
「でも……」
オレンジの女の子は納得できないのか渋っている。そこで二人の名前を聞いていなかったのを思い出して互いに自己紹介することにした
「僕は林堂悠って言います。えっと……」
「凛は……じゃない。私は星空凛って言います。それでこっちは」
「あ、えっと……こ、小泉花陽って言います……」
活発そうな印象を受ける女の子は星空さん。反対に大人しく控えめな印象を受ける女の子が小泉さんというらしい。てか、なんか僕、小泉さんに怖がられてませんか?
「かよちんは少し恥ずかしがり屋さんなだけなんだにゃ。別に貴方の事怖がってるわけじゃないから大丈夫だよ」
かよちん? 小泉さんのあだ名かな。それよりも星空さんの語尾の「にゃ」ってなんだ。猫属性の女の子なのかな、なんて馬鹿な事を考える
「ほら、かよちんもお礼言わないと」
「うう……」
星空さんに促され、体の前で指をもじもじさせながらゆっくりと言葉を発してくれた
「あ、あの時はありがとうございました……」
「あ、いえ、本当に気にしないでください。僕が勝手にしたことですし」
小さい声だったけど、凄く落ち着く声だなって思った。何か変態みたいだけど癒される声だ。歌えば凄く響いて良い声の持ち主かもしれない。そんな事を咄嗟に考えるなんて何か本物のマネージャーみたい。本物のマネージャーの仕事なんて知らないけど
「ところで林堂くんはどうしてここにいるのかにゃ?」
あ、そうだった。それについて説明していなかったし、せっかく顔見知りの人に会えたんだ。これは穂乃果ちゃん達と合流する千載一遇のチャンスじゃないか! 星空さんから既に敬語がなくなっていることには僕はつっこまないぞ、うん
僕はこの学校に来た経緯と、少し恥ずかしかったけど迷子になっていて困っている事を簡単に説明した
「スクールアイドルのお手伝い!?」
「は、はい。それが何か……?」
「す、凄いです! できたばかりなのにマネージャーまでいるなんて本物のアイドルみたいです!」
予想に反して僕の話に食い付いてきたのは大人しい印象を受けた小泉さんの方だった。というか目つきが先程と全く違って怖いです……
「かよちんはアイドルが大好きなんだよ」
「そ、そうなんですか」
そっと星空さんが教えてくれた。あそこまで人が変わるぐらい好きなんだな。あれ、という事は
「ひょっとして小泉さんはライブを観に来てくれるんですか?」
「ふぇ!?」
聞いた途端、何故かとても驚かれてしまった。そしてすぐに先程までの控えめな雰囲気に戻ってしまっていた。好きすぎて性格が変わるなんてかなり失礼かもしれないけど面白い人だな
「あ、えと」
何故かは分からないけど、どうやら小泉さんはライブ観戦するか悩んでいるようだ
「わ、私はこれから凛ちゃんと一緒に陸上部の見学に行くから……」
なるほど、引っ込み思案っぽい小泉さんは友人である星空さんの予定を優先させたくてライブを見たいけどそれを言い出せないといったところか
「小泉さん、良かったら『u’s』のファーストライブ……見に来てくれませんか? もちろん星空さんも一緒に」
「え、凛も?」
出会って間もない人にかなり失礼な事を言っているのは承知の上だ。それでも見てくれる人は多いに越したことは無いのだ。誘えそうな人は誘っておかなければ!
「陸上部の見学が終わってからでも良いです。顔を出すだけでも構いません。ほんの少しの時間でも良いのでぜひ見に来てください。絶対、素晴らしいライブになる事を約束します!」
つい声に熱が入ってしまったけど、素晴らしいライブになるというのは僕の本心だ。あんなに練習したんだ、あの三人ならきっと素晴らしいステージにしてくれるに違いない
「……なんかお手伝いさんっていうよりも怪しいセールスマンみたいだにゃ」
「うぐっ」
星空さんに厳しいツッコミを入れられてしまう。それを言われると何も言い返せない。実際それっぽい口調になってしまった
「でも、そこまで言われたら凛も少しだけ気になってきちゃったにゃ。かよちんはライブ見に行きたいんだよね?」
「わ、私は……」
「言わなくても分かってるよ。かよちんが見に行きたいなら凛もついていくにゃ」
「り、凛ちゃん……! ありがとう!」
この二人、相当仲が良いようだ。俗に言う親友というやつかもしれない。僕にもいつかそんな人ができるかな
それにしても、アイドルの話になった時に一瞬だけ星空さんの表情が曇ったような気がしたのは僕の気のせいだったんだろうか。今は普通の表情をしているし、僕の見間違いだったんだろう
「それで林堂くん、ライブは何時からなのかにゃ?」
「凛ちゃん、確か十七時からだよ」
「そうです。よく覚えてましたね」
えへへ、と恥ずかしそうに笑う小泉さんのアイドル好きは相当なレベルらしい。ふにゃりとした笑顔がかなり魅力的だったと思ったのは口が裂けても言えない。現在の時間を確認しようと何となく携帯を見ると
「……え?」
時刻はちょうど十七時になるところだった
話に夢中になりすぎて時間の事をすっかり忘れてしまっていた
「やばっもう始まる!? てか大量の着信とメッセージが!? やばいやばいやばい早く行かなくちゃだけど僕はライブをやる講堂の場所も知らないしどうしたらーーッ!?」
「お、落ち着いてください! 私が講堂へ案内しますから!」
「ほ、本当ですか小泉さん! ありがとうございます!」
「凛ちゃん、悪いけど私一人で先にライブ観に行くから凛ちゃんは陸上部の方へーー」
「いや、凛もかよちんと一緒に行くにゃ」
「え、でもーー」
「いいから! もう本当に時間がないんだから早く行こう?」
「星空さんも……本当にありがとうございます!」
「林堂くん、こっちです!」
僕と小泉さんは慌てて講堂がある方へと駆け出して行った。そして一人残された星空さんが
「……全く、林堂くんって頼りになるのかならないのか分からない人だね」
締まらない人だにゃ、なんて呟いてから僕達の後を追いかけてきた事なんて知る由もなかった
ーーーー
穂乃果side
いよいよ私達のファーストライブが始まる時間になろうとしている。あと十分程でステージが開園だというのに
「う~…はるちゃんやっぱり出ないなぁ」
「お母さんとのお話がそんなに長くなっちゃってるのかなぁ」
そう、はるちゃんがまだ来ていないのだ。別にはるちゃんがステージに上がるわけじゃないからいなくても問題ないと言ってしまえばそこまでなんだけど
「幸いにもフミコ達が手伝ってくれたおかげでライブの準備は終わっています。後は始まってから彼が来るのを待つしかありませんね」
「そんなぁ~…」
私はがっくりと肩を落とした。せっかく記念すべき初ライブ、はるちゃんには一番近くで見ていて欲しかったんだけどな
「穂乃果、あまり我儘を言わないでください。林堂くんにわざわざ来てもらっただけでなくことりのお母さんに無理をしてもらって彼の入校許可をいただいたのですからね」
「……そうだね。今はステージに集中しないとだね」
はるちゃんがいないのは残念だけど、仕方ないよね。本当はこの学校に来る事すらできなかったんだから
結局開演の時間になってもはるちゃんはやって来ずに私達はステージの幕が開くのを待つだけとなった
ステージに立つとことりちゃんも海未ちゃんも喋らなくなってしまった。顔を見れば、薄暗いはずなのに緊張しているのがすぐに分かった。そう言う私も緊張で身体が震えていた
いや、緊張ではなく恐怖、かもしれない。意外とこの二つの感情は近いものがあるんじゃないかって私は思う。
両方の感情を知っている私からすれば、今の状態はどっちかといえば恐怖の方に近いと思った
何でだろう、凄く嫌な予感がする
一言で言えば不安だ
はるちゃんがこの場にいないと考えるだけで心細い。別に依存しているわけではないと思うけど、やはり傍にいてくれた方が安心できる
それでも無い物ねだりしてもどうにもならないと頭を横に数回振って、ネガティブな考えを吹き飛ばそうとする。こんなの私らしくない。言いだしっぺの私がこんな感じだったらことりちゃんと海未ちゃんに示しがつかない
そして幕が開く。いよいよ私達のファーストライブの始まりだ
照明で照らされ、私達の目の前に広がった講堂の座席には
誰も、座っていなかった
「……え?」
思わず声が出てしまっていた。見渡しても誰もいなかった
当然、はるちゃんの姿も見当たらない
私は両隣にいる海未ちゃんとことりちゃんに目をやった。二人とも信じられないといった顔をしていた。きっと私も同じような顔をしているんだろうな
「あ、あはは……」
分かっていたことだった
「そうだよね!」
生徒会長にも言われた
「世の中……そんなに甘くないっ!」
そんな事やっても無駄だと、何回も言われた。実際その通りだった。諦めなければ何とかなると信じて頑張ってきたけどーー
「甘く……ないよ……」
「穂乃果ちゃん……」
必死にこらえようとしたけど涙が出る。止まらない。私につられるように隣にいる二人も泣いているようだった
やっぱり無駄な事だったんだ。どんなに私達が頑張っても結果がついてこなければ何の意味もない。観てくれる人がいないステージなんてやる意味もないよ……!
バタン!
講堂の入り口のドアが激しく開かれて、私達の視線は一気にそちらの方へ集まる。そこに立っていたのは
「はぁはぁ……ま、間に合っ……た?」
「あ、あれ? ひょっとしてもう終わっちゃったの?」
ーーーー
side out
僕は小泉さんに案内されて、慌てて講堂へと駆け込んだ。既に時刻は十七時をとっくに過ぎている。完全な遅刻だ
勢い良く扉を開いて中の様子を確認すると、穂乃果ちゃん達しか見当たらない
「はぁはぁ……ま、間に合っ……た?」
「あ、あれ? ひょっとしてもう終わっちゃったの?」
まさか小泉さんの言う通り、既に終わってしまったのかと思ったが、ステージの上にいる三人の様子を見て違うような気がした。僕は小泉さんと少し遅れてやって来た星空さんを連れてステージへと近づいていく
「えっと、すみません。二人は適当な場所に座っていてください」
「う、うん」
「分かったにゃ」
二人は小さな声で返事をして、近場の席に腰を下ろした。僕はステージの目の前まで歩いて行く
近くで見るとステージに立っている三人の瞳には涙が溜まっていた。その事から察するに
「ステージはまだ終わってないよね?」
「……うん」
代表するように穂乃果ちゃんが答えてくれた。その声は少し震えていた
「そっか、良かった。遅くなってごめんね?」
「ううん、そんな事、ないよ……」
既に泣きそうになっていた穂乃果ちゃんは俯いてしまったけど、僕は言葉を続ける
「やっぱり僕は、肝心な時に役に立てないよね」
「そんな事ないよ!」
僕の予想に反して、穂乃果ちゃんは強い口調で反論してくれた。正直、そう言ってくれるのは嬉しいが僕の言っている事は事実だ
「お客さん、誰も来てくれなかったんだね」
「……うん」
いよいよ穂乃果ちゃんは泣き出してしまいそうだ。他の二人も同じ。やはり僕ではこういう時にどうやって声をかけてあげたらいいか分からない。慰めるどころか逆に傷つけてしまっている
「でも、僕がいるよ」
「え?」
言葉を発した穂乃果ちゃんだけでなく、園田さんや南さんも不思議そうな顔で僕を見る
「講堂一杯のお客さんはいなくても、僕がいるよ。『u’s』の最初のファンである僕が」
上手い言葉を持っていないからこそ、僕は思っている事を素直に彼女達に対してぶつけるしかできない
「まだ穂乃果ちゃん達の道は始まったばかりじゃないか。最初から上手くいくはずなんてないよ。ここから始まる、いや、始めるんだ」
そして僕は座っている小泉さんと星空さんの方を見る
「しかも今回の観客は僕だけじゃない。この二人が、星空さんと小泉さんがいる……って」
そこまで言ってから気づいた。もう一人、後ろの方で立っている人影に。人影は僕の視線に気づいたのか、気まずそうに顔を逸らした
ちなみに人影の正体は目立つ赤い髪のおかげですぐに分かった。全く、本当に素直じゃないんだから。僕は思わず笑顔になる
「とにかく観客がいてくれる以上、ライブはやってほしいな。せっかく観に来てくれたのに何もしないでただ帰しちゃうわけにはいかないでしょ?」
穂乃果ちゃん達は黙って僕の話を聞いてくれていた。そして俯いていた顔を上げて言い放つ
「そうだね」
目は涙のせいで赤くなってしまっているが、それでも笑顔で
「やろう、ライブ! 歌おうよ、全力で!! だって、今日の為に頑張ってきたんだから!!」
穂乃果ちゃんの言葉に園田さんと南さんが大きく頷く。一瞬の間の後、音楽が流れ始めた。真姫が作曲し、園田さんが詩をつけた『u’s』のデビュー曲である
Start Dash!!
軽快な音楽と共に、三人の女神が踊りだす
僕はその姿に釘づけになった
練習を重ねたといっても、何年もやってきたわけではないので踊りや歌には拙い部分も確かにあった
しかしそれを補って余りある魅力が、彼女達からは溢れていた。その姿に見惚れている僕は気づかないが、講堂にいた他の人達も同じような感想を抱き、ライブに魅入っていたのだ
先程まで泣いていたのが嘘のような笑顔。心からライブを楽しんでいるといったような顔
ライブは一曲しかやらないので『u’s』のファーストライブはあっという間に終わってしまった。音楽が止むと、代わりに講堂に響いたのは拍手。講堂にいた僕達がステージの三人に贈る精一杯の賛辞
「それで、どうするの?」
突然、聞こえたその声の主はゆっくりと会談を降りてステージに近づいていく。とても冷たい声のその主は、声に似つかわず、とても綺麗な人だった。長く伸びる金髪やその整った顔立ちを見るに、純粋な日本人ではないのかもしれない。当然だが僕は全く知らない人だ
「続けます!」
穂乃果ちゃんはその女の人の問いに迷うことなく答えた
「何故? これ以上続けても意味はないように思えるけど」
「やりたいからです!」
その言葉にはやはり迷いはない。僕も突然来ていちゃもんのようなものをつけてきた金髪美女に言いたい事があったけど、今は穂乃果ちゃんの言葉を待つことにした
「私、今もっともっと踊りたい。歌いたいって思ってます! それはきっとことりちゃんも海未ちゃんも同じ気持ちだと思います! 私、ここまで頑張ってきて良かったって初めて思えたんです。もしかしたら、誰も応援してくれないかもしれないし、見向きもしてくれないかもしれない……だけど、こんな私達を応援してくれるって言ってくれた人もいるんです」
そこで一度言葉を切って、穂乃果ちゃんは笑顔を向けてきた。その笑顔は僕が思わずドキッとするぐらい、今まで見た中で一番魅力的な笑顔だった。視線を僕から女の人へと戻して、言葉を続ける
「だから、私達が頑張って一生懸命頑張って、この思いを届けたい! 今私達がここにいる、この思いを! 一人でも多くの人に届けたいんです!」
僕は、いや、この場にいる人達が彼女の言葉に心を打たれていた。厳しい言葉をかけてきた女の人は分からないけど、あの人にも穂乃果ちゃんの気持ちが少しでも届いていればいいなと、そう思った
「……そう」
勝手にしなさい、と小さく言ってその人は出て行った。あの人は穂乃果ちゃん達とどういう関係なのだろう。後で聞いてみなきゃ
そうして、彼女達のファーストライブは完璧というには程遠かったけど、僕からすれば充分に成功という形で幕を下ろしたのだった。三人共、本当にお疲れ様!!
ウチの主人公はイケメンになりきれません(笑)
よろしかったら感想、評価よろしくお願いします。どんなものであれ作者の励みになります!
ここまできて三年生ズとの絡みがない…