友達の少ない僕が幼馴染達のお手伝いを頑張る事になった(凍結) 作:なんちゃって提督
今回はタイトルオチです。あの子の回です
それはさておき、こんな小説がUA10000とお気に入り登録数100を越えました!この数字は僕の中で一つの目標だったのでとても嬉しいです。読んでくださっているみなさん、本当にありがとうございます!
これからものんびりと執筆していくので応援よろしくお願いします!
それではどうぞ
穂乃果ちゃん達のファーストライブから数日経ったある日、僕の学校では
「なぁー、見たか?」
「あれだろ? 最近出来たっぽいスクールアイドルの動画!」
「それそれ! グループ名は何だっけ……」
「μ’sだよ! すげーよな、音乃木坂にあんなグループあったんだな~」
なんていう感じで僕のクラスで話題になっている。実は僕が手伝っています、と名乗り出たりはしない。パニックになったりしたら困るしね。皆の話に参加したいのは山々なんだけど、喋り出して下手な事まで喋ったら困るからぐっと我慢する
「顔、にやけてんぞ」
「ふひゃあ!?」
話しかけてきたのは東島くん。いきなり話しかけてくるもんだから変な声が出ちゃったよ恥ずかしい……
「ぼ、僕にやけてた?」
「ああ、思いっきりだらしない顔してたぜ。何か良い事でもあったのか?」
うう、スクールアイドルに興味ないフリをしていたつもりだったのに思いっきり顔に出てたのか。でも嬉しいんだもん、仕方ないじゃないか
「ちょっとね、良い事があった……かも」
「なんだそりゃ、教えろよ」
「んー…」
少しだけ考える。東島くんになら言っても大丈夫かな。というよりもこれは誰かに聞いてほしい
「実はね、僕お手伝いをしてるんだよ」
「ああ、あれだろ? 例の秘密のボランティア。それがどうかしたのか?」
「そのお手伝いっていうのがね、スクールアイドルの応援なの」
「……林堂」
東島くんは何故か凄く優しい目で僕を見ながら
「夢と現実の区別はつけような」
「え、何それ酷くない!?」
「嘘つくならもっとマシな嘘つけよな」
「う、嘘じゃないよ!?」
「だったらそのお手伝いっていうのは何をしてるんだよ」
少しだけ考えた。僕が今までしてきたこと……
「練習を見守ったり」
「ふんふん」
「タオルやドリンクを渡したり」
「ほうほう」
「ライブを観た」
「雑用係とただのファンがやることじゃねーか」
「ふぐぅ!?」
図星。正しくその言葉が僕の胸を貫いた。あまりのショックに机に思いっきり頭を打ち付けてしまった。痛い……言われてみたら僕、マネージャーらしい事全然してないんじゃ?
「そんなんでお手伝いなんて言えるのかよ、全く」
「お手伝いって言うか一応マネージャーなんだけど……そ、そうだ! トレーニングメニューも考えたりしたんだ!」
「お、それはなんだかマネージャーっぽいな。てかコーチ?」
「でしょでしょ?」
「いきなりテンション復活させんなよ。ちょっとキモイぞ」
キモイって酷い。というか最近東島くんの言葉がきついです
「ところでどこのスクールアイドルの手伝いしてるんだよ?」
おっと、肝心な事を言うのを忘れていたみたい。僕は少しだけ誇らしげに
「僕が手伝っているのはu’sっていうスクールアイドルだよ」
「薬用石鹸みたいな名前だな」
「言うと思ったけどそんなベタなボケはいらないからね!?」
「おお、お前って意外とツッコミキャラなんだな。新発見」
そうさせてるのは君でしょ! と叫びたくなったけど授業の予鈴がなったのでそれは叶わず、東島くんは涼しい顔で自分の席へと戻って行った。僕はそんな彼の後姿を恨みがましそうに見送る事しかできない。完全に東島くんにからかわれている……
その後も休み時間の度にクラスはμ’sなどのスクールアイドルの話題で持ち切りだった。僕の学校がたまたまなのかもしれないけど、これぐらいの注目度だったら穂乃果ちゃん達が廃校を阻止すると言うのも夢物語じゃないのかもしれない。単純だけどそう思った一日だった
ーーーー
「新しいメンバー?」
「うん、誘ったりしないのかなって思って」
日曜日、午前中の練習が終わってこの後はオフだという事でやる事もなかった僕は穂乃果ちゃんの家にお邪魔させてもらっている。時間も時間なのでお昼ご飯を一緒に食べながら気になっている事を聞いてみた
「新メンバーかぁ。あんまり考えた事なかったよ」
昼食として机に並べられている野菜炒めを口に運びながら穂乃果ちゃんは考えるように言う。穂乃果ちゃんのお母さんはとても料理が上手で僕もついつい箸が進んでしまう。うん、今日もご飯が美味しいです
話を進めようとすると、僕達が食事をしているこの部屋に一つの足音が近づいてきた
「ただいまー…って、悠さん来てたんだ」
「おかえり雪穂ちゃん、お邪魔してます」
ひょこっと顔を出したのは穂乃果ちゃんの妹である雪穂ちゃん。僕の一個下の中学三年生の彼女も僕の幼馴染に当たり、僕としては本当の妹のように可愛くて仕方ないんだけど
「おかえりってこの家、悠さんの家じゃないんだけど」
「そ、そうだけどさ。一応帰ってきたんだからおかえりで間違ってないでしょ?」
「ふーん、まぁいいや。お母さん、私のご飯はー?」
それだけ言って彼女はキッチンの方に引っ込んでしまった。こ、これが噂に聞く反抗期って奴ですか。言っておくけど僕と雪穂ちゃんはケンカをしたわけでも何でもない。再会したらあんな感じだったというだけだ
「ごめんね、雪穂ったらあんな調子で」
「いや、大丈夫だよ。雪穂ちゃんが言った事もあながち間違いじゃないし」
苦笑いをしながら謝ってくる穂乃果ちゃんに心配されないように、内心ショックを受けている事は隠しておこう。昔は「はるにぃ」なんて呼んでくれて僕に甘えてくれる可愛い妹分だったんだけどなぁ。時の流れはこんなにも残酷です
「雪穂ったらはるちゃんがいなかったら「お姉ちゃん、余計な事言わなくていいから」
言葉を遮ったのはキッチンから出てきた雪穂ちゃん。その顔は明らかに不機嫌そうだ。手には自分の分の料理が乗ったお皿を持っている。彼女はそのままの足取りで僕の左向かいに腰を下ろした
「えー、いいじゃん。雪穂ったら本当に素直じゃないんだからー」
口を尖らせて文句を言う穂乃果ちゃんに雪穂ちゃんは冷たく言い放つ
「お姉ちゃんが素直過ぎるの。そんなんじゃいつか悪い人に騙されちゃっても知らないからね」
雪穂ちゃんの厳しい言葉に穂乃果ちゃんはショックを受けているようだった。「とほほ…」なんて言いながら肩を落としている。姉として妹にそんなに簡単に言いくるめられたらいかんでしょう
「そ、それで穂乃果ちゃん? 新メンバーの話に戻すんだけどね」
「あ、そうだった! ところで何でまた急に?」
「いやね、調べてみたらグループ名のμ’sって九人の女神から取ったんでしょ? だったらあと六人いた方が名前負けしないんじゃないかって思ってね」
「そんな単純な理由でメンバー増やしちゃっていいの?」
「い、いいんだよ。多分……」
「頼りないなぁ……」
雪穂ちゃんの言葉が厳しいです、はい。これはまさか嫌われている? 考えてみたら年頃の女の子がいる家に全然関係ない男がいたらそりゃ居心地悪いに決まってるよね。穂乃果ちゃんが例外なだけで。今後は高坂家に来るのは少し自重しようかな……
「とにかく、穂乃果ちゃんはどう思う? 新メンバーについて」
「うーん……難しい事は良く分からないけどさ、人数が増えたらもっと楽しくなるよね!」
「お姉ちゃんの方が単純だった……」
「あはは、穂乃果ちゃんらしくて良いじゃないか」
穂乃果ちゃんは単純というよりもお馬鹿……げふんげふん、ナニモイッテナイヨ?
「よし、そうと決まれば新メンバーを探そう!!」
決断が早い。流石穂乃果ちゃん。その行動力は僕も見習いたい所です
「僕が言っておいてあれだけど当てはあるの?」
「うん! ライブ観に来てくれた眼鏡かけてた子、覚えてる?」
「んー…確か、小泉さん?」
「そうそう! 小泉花陽ちゃんって言うんだけどね、あの子アイドルが凄く好きみたいだから誘ってみようかと思ってるんだ」
そういえば一緒にいた星空さんもそんな事を言っていたっけ。アイドルに対しての情熱は凄そうだし悪くない人選かもしれない。この調子なら穂乃果ちゃんは小泉さんを誘いに行くだろうから後は本人のやる気次第かな
僕が個人的に気になるのは一緒にいた星空さんの方だ。アイドルの話になった時に少しだけ悲しそうな雰囲気になっていたというかなんというか。相手の感情を読むことに疎い僕には分かりそうにないけど、あの人もひょっとしてアイドルをやってみたいのかな? 音乃木坂の学生でも星空さんの友達でもない僕にはどうしようもない事だけど、叶うのならもう一回ちゃんと話がしたい
そんな事を考えているうちに穂乃果ちゃんはとっくにご飯を食べ終わっていた。彼女は、自身の胸の前で小さなガッツポーズを作って
「善は急げ、だね! 明日学校に行ったら早速誘ってみるよ!」
「おおー、やる気満々だね穂乃果ちゃん」
穂乃果ちゃんのやる気に満ち溢れている笑顔を見ていると僕までやる気が満ちてくる気がする。我ながらなんて単純なんだろう
そこで穂乃果ちゃんは不意に思い出したように
「そうだはるちゃん? 話は変わるんだけどね、ちょっとお願いがあるんだ」
「お願い?」
「うん。実はこの後、雪穂に勉強を教えてあげて欲しいなーって思ってるの」
「ええ!?」
大きな声で反応したのは僕ではなく、雪穂ちゃんだ
「い、いきなり何言ってるの!?」
「だってこの前勉強で分かんない所があるって言ってたでしょ? 私が教えてあげられたら良いんだけど、この前見たら私も分からない所があって……」
えへへ、と穂乃果ちゃんは笑う。確かに穂乃果ちゃんが中学を卒業してから二年経っているわけだし、かなり忘れてしまっているのも無理はない。ならば確か少し前まで中学生だった僕の方が雪穂ちゃんの教師役としては妥当と言えるかもしれない
「お姉ちゃんったらすぐに思い付きで変な事言うんだから……ただでさえスクールアイドルのマネージャーなんて面倒な仕事を押し付けてるのにこれ以上悠さんの仕事増やしてどうするの?」
押し付けられてるだなんて言い方は良くないな。僕が自分からやりたくてお手伝いしているんだし。少しだけ誤解されているのかもしれない
「雪穂ちゃんさえ良ければ分からない所は教えるよ。まぁ、先生みたく完璧に教える自信なんてないけど……どうかな?」
「え、でも……」
「ほら、はるちゃんもこうやって言ってくれてるんだからさ! どうせこの後勉強するつもりだったんでしょ?」
「それはそうだけど……」
休日まで勉強か。やっぱり雪穂ちゃんは真面目な子に育ってくれたようだ。受験生だから当たり前かもしれないけど、この時期は割とまだ気持ちが入っていない人も多かったイメージがある。それを思い出せば、この子は真面目の部類に入りそうだ
「どうしても嫌だって言うならこの後僕は帰るけど、どうする?」
この後は練習も予定もなく、家に帰って何をするか考えていた所だったのだ。僕としても雪穂ちゃんに教えることによって中学の勉強を復習できるというメリットがあるから悪い話ではない
雪穂ちゃんは難しい顔をして小さく唸っていたが、やがて
「……それなら、よろしくお願いします」
素っ気なく言って頭を下げてきた。やはり嫌われているのかもしれない……僕は好きなんだけど、ってこんな事考えている僕は確実に気持ち悪いな、やめよう
片思いってこんな感じなのかなぁ、なんて思いながら食べ終わった食器を片付けてから雪穂ちゃんに連れられて彼女の部屋へと向かった
ーーーー
勉強を始めてから一時間ほど経過した。特に会話もなく、雪穂ちゃんは黙々と問題集を解いている。これ、僕いらないんじゃね? そう思ったけど教えると言った手前、すぐに帰るわけにもいかないので彼女が使っていない問題集とノート、教科書を借りて中学校のおさらいをしている
パラパラと教科書をめくりながら
「そう言えば雪穂ちゃんはどこの高校を受験するの?」
これを聞いていなかった事を思い出した。そのレベルに応じて勉強の教える範囲を変えなければならないのだから、これを聞かなければ僕は何もできないのだ
「お姉ちゃんと同じ音乃木坂……って言いたい所なんだけど、もうなくなっちゃうでしょ?」
ああ、流石にそれはもう知られているんだね。穂乃果ちゃん以外の口から聞くのは初めてだからやっぱり本当の話なんだ、と再認識した
「UTX学院にしようと思ってる。廃校になる学校を受けてもどうしようもないし」
あの学校綺麗だしねー、と付け加えてさらりと雪穂ちゃんは言った。聞いた話によると高坂家の女の人のほとんどが音乃木坂出身との事だったが、直接関係ない雪穂ちゃんには音乃木坂の思い入れがないのも仕方がないのかもしれない
だけど、僕が気になったのはそこじゃない
「でもさ、穂乃果ちゃん達が廃校を阻止しようと頑張ってるじゃん。まだ、分かんないよ」
「お姉ちゃん達が頑張ってるのは知ってるけど廃校をどうにかできるだなんて現実的じゃないし」
そう、現実的じゃない。雪穂ちゃんの言っている事は何一つ間違っていない
音乃木坂学院の廃校は大人達の話し合いで決められた事だ。何の力もない学生に過ぎない穂乃果ちゃん達が何をどう頑張ったって、何かが変わるとは思えない。それが大多数の意見だろう
「……だからこそ」
「え?」
僕は真っ直ぐ雪穂ちゃんを見つめて言う。言い返す
「僕は、信じてる。穂乃果ちゃん達なら何とかできるって」
目の前に座っている雪穂ちゃんは僕の言葉に呆気に取られているようだった。何を言ってるんだろうと思われているだろう。それでも、もう言葉を止められない
「僕には分かるんだ。他の人には絶対できない事でもあの人なら何とかできるって。だって穂乃果ちゃんだから」
「それ、答えになってない……」
「そうだね」
そう言って僕は笑ってしまった
自分でも滅茶苦茶な事を言っているなと思う。それでも、やはりこれも僕の本心だった
だから決めた
「よし、これから僕が雪穂ちゃんを音乃木坂に入れるように家庭教師をやるよ!」
「えぇ!?」
「あ、雪穂ちゃんが嫌がってもやるからね」
「い、意味分かんない……だから、音乃木坂はなくなっちゃうって」
「だからだよ。これは雪穂ちゃんと僕の勝負だ」
「勝負?」
ますます意味が分からない、といった様子の雪穂ちゃん。当然だ。僕にだって意味が分からない。今日は凄く口と頭が回る日だなって思った
「僕は雪穂ちゃんに勉強を教える。UTX学院の受験も問題なく合格できるようなレベルにまで引き上げてあげる。その代わり今だけは雪穂ちゃんには音乃木坂を第一志望として考えてもらう。もしも穂乃果ちゃん達が受験直前までに廃校を撤回できなかったら雪穂ちゃんはそのままUTX学院を受験すればいい。だけどもしも撤回することができたのなら、雪穂ちゃんは音乃木坂学院を受験してもらう」
「め、滅茶苦茶だよ……」
ごめん、分かってるよ。だけどまだ僕の伝えたい事を言えてないんだ
「どうしてそこまで拘るの? 別に悠さんは音乃木坂の生徒でも何でもないし、お姉ちゃんの我儘に付き合う義理なんてないでしょ?」
心底疑問だ、といった感じで言った。そういえばお昼ご飯を食べていた時の話で言いそびれていた事があったっけ
「誤解しているかもしれないけどさ、僕は穂乃果ちゃんに言われて嫌々お手伝いしているわけじゃないんだ。僕がやりたいから、少しでも力になってあげられたらと思って手伝ってるんだよ」
「……」
雪穂ちゃんは黙って話を聞いてくれている。何を考えているかは分からない
「穂乃果ちゃんがやるって言ったら僕はついていきたい。支えてあげたい。間違っている事があったら教えてあげたい。そう思ってるから」
こんな事、恥ずかしくて本人には言えないな。そう思っていると雪穂ちゃんは呆れたように
「よくそんなクサい台詞、次から次へと出てくるね。聞いてるこっちが恥ずかしいよ」
「うぐ」
「……ほんと、お似合いだよね」
あまりにも小さい声だったので雪穂ちゃんがなんて言ったのかを僕は聞き取る事ができなかった
「今なんて」
「まぁ、そこまで自信たっぷりなら、良いよ。はるにぃの言う勝負に乗ってあげる。その代わり」
ニヤリ、と意地の悪い笑みを浮かべて僕を見つめてきた。ヤバい、嫌な予感がするぞこれは
「他人の高校受験なんていう人生の大事な分岐点に口を出してくるくらいなんだから覚悟はできてるよねー?」
「え」
「この勝負、私が勝ったら私の人生に口出してきた責任……取ってもらうからね♪」
「うえぇぇぇぇ!?」
思わずテーブルに手をついて立ち上がった。その際に大きな音をたててしまったが耳に入ってこない
「え、ちょ、待って。責任って」
「ささ、勉強しなきゃ。分からない所はしっかり教えてよね? センセ♪」
開いた口が塞がらない、というのは今の僕の状態を言うのだろう。勢い余って大変な事を言ってしまったのではないか。それしか考えられなくなってしまった
この日、僕にμ’sのマネージャーの仕事の他に、雪穂ちゃんの家庭教師という新しい仕事が追加されたのだった
「はるにぃ、ここの問題が分からないんだけどさ」
「ん? どこどこ……って今呼び方!」
「どうしたのそんな大声出して」
「雪穂ちゃんの、反抗期が終わった……ッ!!」
嬉しさから思わず天井を見上げガッツポーズまで決める僕を呆れたように見つめながら雪穂ちゃんはポツリと
「意味分からない事言わないでよね……ほんと、締まらないんだから」
反抗期終了です(笑)
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…雪穂ちゃんは天使で小悪魔。異論は認める