友達の少ない僕が幼馴染達のお手伝いを頑張る事になった(凍結) 作:なんちゃって提督
誕生日ものも考えていましたが、時間がなかったのでお蔵入りです。ごめんなさい。そもそも一日遅いか……
とにかく、にこまきは正義。異論は認めない。
あ、UAやお気に入りが増えていてとても嬉しいです。読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
それではどうぞ。
僕は今、穂乃果ちゃん達の朝練を見学しているわけなんだけど
「……絶対きつい。死ぬ」
練習風景を見て思わず独り言が漏れてしまった
現在時刻は午前七時十分。こんな朝早くから汗をかくというだけでも尊敬できるというのに
「ほら、穂乃果にことり、ラスト三往復ですよ」
「ひ、ひぃ~!!きついよぉ……」
この神田明神には神社っぽく長い長い階段があるわけだがその階段をダッシュで往復しているのだ。今の穂乃果ちゃんと南さんは小走りになっているかどうかも疑問という速度だが、それも仕方ないだろう
確か穂乃果ちゃんの運動神経は悪くないはずだ。小さい頃僕を引きずって走り回っていたんだから。だけど本格的に運動するとなれば別だという事だろう
南さんに関しては、完全に独断と偏見で申し訳ないが運動はあまり得意そうには見えなかった。実際に走っているのを見ている感じ、僕の予想は間違っていなかったようだ
「ここまでやるんですか?」
「はい。やるからにはスクールアイドルといえど中途半端は許されませんのであの二人には多少辛いかもしれませんが、身体作りからしっかりとやってもらいます」
きっぱりと園田さんは言い切った。ちなみに彼女に関しては同じ数のダッシュを既にやりきっている。この人、怪物ですか? あのダッシュの速さはおかしかったと思うんだけど。ここの階段結構長いよ? キツさは多少では済まないと思います
「それより、えっと、林堂くんはどうしたんですか? その怪我」
「あ、えっと……こ、転んで階段から落ちちゃいまして」
咄嗟に嘘をついてしまったが、素直に不良にボコボコにされました、なんて言えるわけがなかった。こんな僕にだって少しぐらいのプライドはある
「かなり酷い怪我のようですが大丈夫ですか? そんな状態なのにこんな朝早くから穂乃果の我儘に付き合わせてしまってすみません……」
「あ、いえ……僕が勝手にドジしちゃっただけなんで……気にしないでください」
今気づいた事だけど、普通(?)に園田さんと話せるようになってるじゃないか。ふふふ、確実に成長している……ッ!!
「な、何をニヤニヤしているんですか?」
「はっ!? な、なんでもないです!」
いけないいけない、ついつい顔に出てしまっていたようだ。園田さんは僕を不審者を見るような目で見ている。うう……そんな目で見ないでください。まだ大して仲良くない女の子と会話できるなんて僕にとっては奇跡に近いのだから
「あ、二人も終わったようですね」
そんな園田さんの言葉に階段の方に目をやると、穂乃果ちゃんと南さんが走り終えたようだった。二人とも地面に手と膝をついて呼吸を整えている。一目で疲労困憊であると分かるのだが
「穂乃果ちゃん、南さん」
二人は返事はできないようで顔だけこちらに向けてくる
「疲れてるのは分かりますけど息を整える時はなるべく顔を上げたほうが良いですよ。下を向くと逆に呼吸がしづらくなってしまうそうですから」
「そ、そう、なの?」
穂乃果ちゃんの切れ切れの言葉に頷いて答える。昨日少しだけ本で読んだ程度の知識だけどね
「最初は辛いかもしれないけど、えっと、頑張ってください」
僕はメニューをこなしていないので偉そうに言えるが、穂乃果ちゃん達からすればかなりきついだろう。人間は辛い時はどうしても下を向いてしまう生き物だし
「……うん、分かったよはるちゃん」
ぐっ、と足と腕に力を込めて
「私がやるって言って、海未ちゃんや、ことりちゃん。そしてはるちゃんにまで協力してもらってるのに……下なんか向いてる暇なんか、ないよね!」
言って、勢い良く立ち上がる。その顔は辛そうだけど、それでも笑っていた
それはみっともない笑顔だったかもしれない
だけどそれは、僕がずっと憧れていた笑顔で
僕を、僕らを引っ張ってくれる笑顔だった
穂乃果ちゃんにつられてその場にいた僕達も笑顔になる。辛そうにしていたはずの南さんですらも頑張って立ち上がった
「みんな。ファイトだよ!!」
昔からの決め台詞とも言えるもので全員にやる気が再チャージされた
「あれ!? そういえばはるちゃんその怪我どうしたの!?」
「今更それ聞くんだ……」
「さぁ無駄話は止めて、次は筋トレを始めますよ。早く準備してください」
僕の怪我の話は無駄話ですか、園田さん
「えぇーッ!? う、海未ちゃんの鬼―!!」
「叫ぶ元気があるのならまだ大丈夫ですね」
「ふえぇぇぇ……」
「あ、あははは……」
良い感じで収まりそうだったのにいつも通りの穂乃果ちゃんと鬼教官園田さんのせいでやっぱり前途多難なんだなと再認識させられた、そんな朝練だった
ーーーー
それからさらに数日が経ち、僕の周りでちょっとした事件があった。まぁ、事件と言っても悪い話ではない
「おはよう林堂くん」
「お、おはよう立花さん」
「おっす」
「あ、おはよう東島くん」
そう、クラスメイトの二人と喋れるようになったんだ! これは自他共にコミュ力不足だと痛感している僕からすれば大事件だ
喋れるようになったと言っても、挨拶してちょっと喋るくらいでしかないけど。ああ、そういえば昨日は東島くんとはお弁当を一緒に食べたっけ
ちなみに立花さんのフルネームは立花咲、東島くんの方は東島和彦という
この二人との出会いはたまたま掃除の班が一緒になったのがきっかけだった。大人しそうな雰囲気の立花さんはともかく、身長が僕より頭一つ以上大きい東島くんはかなり怖かった。下手したら頭二つくらいは大きいかもしれない。今度身長聞いてみよう
そういうわけで僕の高校生活も少しだけ楽しくなりそうなのだが
「りんどー、お前部活とかやんねーの?」
授業と授業の休み時間になって僕の机の上に顎を乗せながらいかにも気怠そうに東島くんがそう訊ねてきた
「今のところやる予定はないけど……」
「だったらさ!!」
ガバッ! と顔を上げて目を輝かせながら
「俺と一緒にバスケ部入ろうぜ!」
とか言ってきた
「い、いきなりだね?」
「いやー、高校でもバスケやるって決めたのはいいんだけどよ。同じ中学で音乃宮に来たやついないからちっとばかし寂しいと思ってたんだよな」
バスケか。身長だけで見たら東島くんは凄く上手そうだ。ダンクシュートとか普通に出来そう
僕は少しだけ考えてから
「誘ってくれたのは嬉しいんだけど僕は運動苦手だから……」
「そんな事言わずに俺を助ける為だと思ってさ!」
「そうは言われても……」
どうしよう困った。ここで断ってせっかく話せるようになった東島くんに愛想を尽かされても困る。だけど僕がバスケ部に入部した所で試合に出る事はおろか、三年間続けられるかも怪しい
それで穂乃果ちゃん達を手伝うという約束をしてしまった以上、放課後が空いてないと言うのは少しまずい
その為もう一度、断る事にした
「ごめん東島くん……僕にバスケットは向いてないんだ。それに放課後ちょっとやる事があって……」
「あ? 部活も入ってないのに何があんだよ」
「えっと、友達の手伝い……としか言えない」
「なんだそりゃ」
呆れたように彼は言うが、間違った事は言っていないはずだ
「分かったよ。やりたくない奴を無理に入れた所でそんな奴続かねーしな。諦めて別の奴探す事にするよ」
「ご、ごめんね」
何謝ってんだよ と東島くんは小さく笑った。見た目はかなり怖いけどやっぱり良い人みたいだ
「じゃあその代わり俺が試合に出る時はちゃんと応援に来てくれよな?」
「……も、もちろんだよ!」
「そん時はでっけー声で応援しろよ」
「……」
「そこで黙るのかよ!!」
「ほ、ほら授業始まっちゃうから席に戻らないと」
「テメェ……」
逃げたな と小さく呟きながら東島くんは自分の席に戻って行った。僕は大きい声を出すのは苦手なんだよ、ごめんね。頑張って応援はするけどさ
ーーーー
その日最後の授業である現代文が終わり、帰る支度をしながらSHRが始まるのを待っていると
「林堂くん、ちょっといいですか」
「あ、立花さん……どうしたの?」
僕の机の横に立花さんが立っていた。この人はあまり感情を顔に出さないタイプのようなので何を考えているのか分からない。まぁ、僕に他人の感情を読み取るなんて立派なスキルはないんだけど、それでも分かりづらいタイプの人間だと思う
「この前のお礼がしたいんですけど」
「この前? ……ああ」
この前のお礼というのは僕と立花さんが関わるきっかけになった出来事
この音乃宮学院では何故か沢山の動物を飼っている。アニマルセラピーだとか校長の趣味だとか色々噂されてはいるが真相は定かではない
とにかく飼われている動物のお世話は学生がすることになっていて今月の担当は僕達のクラスだった。担任の先生に「キミは放課後ヒマそうだから」という理由で飼育委員なんてものに任命されてしまったのだ。まぁ、昼休みとかは確かに暇だし動物は好きだから別に良いんだけど
そして一人では流石に大変だろうということで、立花さんにも話がいったらしい。担任は「女子と二人だと嬉しいでしょう?」なんて言ってきたが、僕からすれば初対面の女子と二人きりにされるなんて拷問に近いと最初は思った。立花さん、喋らないし
「林堂くん?」
「え?」
「どうかしましたか。さっきから一言も喋りませんが」
「あ、えっと……ごめん」
「別に謝る必要はないと思いますけど。それよりお礼は何がいいですか」
「お、お礼なんて別にいいよ。そういうのを求めてしたわけじゃないし」
「そうは言われても何かしないと私の気が済まないんです。何でもしますから」
ん? 今何でもって言ったよね? ってそうじゃないだろ僕。どこのホモビだよ
立花さんが言うお礼というのは何日か前に動物のお世話をしている時に貧血になって倒れてしまった彼女を僕が保健室に運んだという事へのお礼だ。僕じゃなくてもあの場にいたら誰だって同じ事をしたと思うから気にしなくていいんだけどな
しかし何か言わないと立花さんは納得しそうにない
「うーん……あ、そうだ」
少し悩んでから思いついた事を言ってみる
「今度さ、僕が勉強で分かんない事があったら教えてくれるっていうのはどうかな」
「そんな事でいいんですか?」
意外そうに立花さんは僕の顔を見つめてくる。そんな事って言っても他人に勉強を教えるなんてなかなか労力がいると思うんだけど。ひょっとして立花さんってめっちゃ頭良いとか?
「僕にとっては充分すぎるよ」
というかこれ以上の要求は逆に僕の心がもたない。話せるようになったと言っても彼女と喋るのはまだ緊張するからだ
「……そうですか。なら、授業や宿題で分からない所があったら何でも聞いてください」
「うん、そうさせてもらうね。それじゃあ、今日はこれで」
「あ……」
「? どうかした?」
「いえ、これを機にLAMEのIDを教えてもらおうかと」
「うえぇぇぇッ!?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった。こんな僕にクラスメイトの女の子と連絡先を交換するだなんて素敵イベントが発生して良いんだろうか
「嫌、でしたか?」
無表情が少しだけ落ち込んだような顔に変ったような気がして、慌てて首を横に振る
「そ、そんなことないよ! ただいきなりでびっくりしただけで……」
「そうですか。それなら早速交換しましょう」
「う、うん……」
立花さんに言われるがまま、僕はIDを登録させられた。この人、意外と強引な所もあるんだなぁ……
「ありがとうございます。それじゃあ林堂くん、さようなら」
「あ、うん。さようなら……」
そのまま何事もなかったかのように僕の席から離れ、自分の鞄を手に取ると教室を出て行った
「……僕も帰ろ」
嵐のように僕のLAMEに追加されたIDは、この学校において東島くんに続いて二つ目のものだった
新しいオリキャラですが、そんなに登場しません。しかしそれぞれにそれなりの役割を考えています。まだ先になりますがお楽しみに
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とにかく、話進んでないぞ…