人は過ちを繰り返す。過ちを犯す事自体は決して悪い事では無い。ただ、同じ過ちを繰り返し悲劇を生む事がいけないのだ。
俺は昔、自分の主に言われるがまま人を誘拐し、俺自身と同じ悍ましい姿へと変貌させ、そしてそいつらと一緒にまた拉致しに行った。抵抗する奴ら・主に仇を成す奴らを殺したりもした。だけど、俺はこの繰り返されるサイクルに疑問さえ持たず、ただただ主の命令に従った。
主は、俺達を量産し完璧な世界を作るつもりだった。簡単に言ってしまえば、俺達以外の人類を根絶やしにして、自分が生命の頂点に立とうとしていたんだ。昔は何も考えず命令にだけ従っていたから分からなかったが、今思えばこれ程狂った計画なんて無いだろう。まぁ、後に同じように狂った事をした組織があったがな。
そもそも、俺達のような奴らは本来存在してはいけない。過ちという言葉を体現したような、科学の成れの果てだ。今はもう受け入れているが、主が消えた後俺を含めた多くの仲間が自分は何の為に存在しているのかと苦しみ始めた。そして俺達は人類と共存しようとする者が出たり、主の意志を継ぐべきだと言う者が出たりと、色々な思想を持つ者が増えた。主がいなくなったおかげで、初めてカラクリ人形達は己で動こうと思い始めたのだ。
俺は自分で考えるようになってから、己が犯した罪に苛まれた。大人が言う事を何も疑わず聞いてしまっていたクソ餓鬼だった。後にマーカスという仲間と、マーカスの友人ジェイコブから人間もグールも俺のような奴も、別け隔てなく暮らせる村に来ないかと誘われ、俺はしばらくそこで過ごした。村の奴らは皆俺に優しくしてくれたが、俺の罪に対する苦しみは消えなかった。
そして俺は数年後に村を離れ、1人で旅を始めた。風に流されるまま放浪していれば心が救われた気がした。結局そんなのは本当に「気がした」だけだったがな。
そもそも、俺に心なんて物が存在しているかどうかさえ怪しい。緑の怪物に心があるならデスクローにも心があるかもな。
俺は色々な場所を彷徨った。勿論危険な場所もだ。生憎この呪われた身体は普通の生物に比べて異常な程頑丈かつ免疫力もあり、そう簡単にはくたばらなかった。
東を歩いた時は、俺の故郷で語り継がれている西の英雄にも劣らない救世主の話を聞いた。
西に戻った時は、NCR・リージョン・ニューベガスの三つ巴の戦いも目にした。結局ミスターハウスが、自慢のガラクタと1人の運び屋を使い勝利したが。
所詮、何処に行っても戦争は無くならない。それは大なり小なりいずれにしてもだ。無駄に放浪して得た答えの一つでもある。
ただ、どれだけ旅をしても俺の罪を償う手段だけは見つからない。俺の頭蓋の中で今でも絶え間なく悲鳴の残像が鳴り響く。時にはこの幻聴に耐え切れず死のうと、頭に銃を当てた事も何度もあるが臆病な俺は死ねなかった。
死に怯え生き永らえ、また俺は今日一つ歳を増やした。歳の数が俺の弱さを象徴している。
ハッピーバースデー、クソ野郎。こんなログ書いてる暇あるなら、とっとと寝た方がマシだ。