死なない少年と壊す少女【完結】   作:写楽―しゃらく―

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い い 加 減 に し ろ

はい、と言うことで第七話です。

もうね……本当にね……自分の文才の無さに愕然としました

だれか、オラに文才を分けてくれ!!

ってな感じですが、残すところ一話・二話で完結となります。

さてはて、二人に訪れるのは悲恋か成就か……。


【第七話】流れた涙と枯れた涙

とうとう彼と会えないまま、一年が過ぎようとしていた。

 

 

「まだ、見つからないの……?」

 

 

私は昼間に日傘を差して外に出ていた。

赴いた場所は、博麗神社――博麗霊夢の元だ。

 

 

「そうねぇ。人里は今逃げ出した奴を必死になって追いかけてる最中だから、時間の問題とは言え、まだ当分はかかるわね」

 

 

縁側に座る私に湯飲みを持ってきて、霊夢は私の隣に座りながら言った。

紅白の巫女服に身を包んだ、廿代も折り返しとなった、とっても強い人間。

 

 

「そう……」

 

 

私は霊夢が淹れてくれたお茶を手に取って、しかしそれを飲まずに持っていた。

 

 

「ま、なるようになるとは思うわよ?だってあんたが選んだ人間でしょ?それなりの胆力はあるでしょうよ」

 

 

ズズズ、とお茶を啜り特に関心も無さそうに霊夢は言ったけれど、私にとってはそれが不安で不安で仕方がないのだ。

特に、彼が最後に見せた、あの表情が、瞼の裏に焼き付いて離れない。

物憂げに俯いて押し黙る私に、霊夢はガシガシと頭を掻いて訪ねてきた。

 

 

「ところであんた……」

「――え、キャアッ!?」

 

 

むにゅ――と、霊夢は私の胸を鷲掴みにした。

ななななな、何をするかこの腋巫女は!?

 

 

「誰が腋巫女よ……。うーん、やっぱり」

「な、何がやっぱりなのかなぁ!?」

 

 

むにゅむにゅと私の胸を遠慮なく揉む霊夢の顔は、どこか気に食わないと言う感情が見て取れた。

 

 

「あんたまた大きくなってるわね。去年会ったときはまだあんなにちっさかったのに」

「へ?そ、そう……かな?」

 

 

確かに最近妙に体の節々が痛い。胸も確かに僅かながらに膨らんできていた。

今では、身長はお姉さまを当に抜いてパチェくらいはあるし、胸は咲夜以上魔理沙以下くらいはあると思う。

 

 

「まだ成長してるってんなら、大丈夫なんじゃないの?あんたら妖怪は、精神的な成長が肉体に反映される。想い人との心の繋がりがなくちゃ、精神の成長はないんだし」

「あ、そっか……」

 

 

自分の成長を自分で認識することは難しい。だから今まで気が付かなかった。

私が成長し続けることで、彼がまだ無事であるという認識。

そっか。なら、まだ……。

 

 

「まだ、彼は生きてるのね」

「そゆこと。ま、すぐにどうにかなるわけじゃないんだし、あんたはあんたで家で待ってればいいのよ。イイオンナって言うのは、そう言うものよ」

「廿代も折り返して未だに相手がいない霊夢に言われても説得力が……」

「よぅしそれじゃあ神社に屯する不届き妖怪を退治でもしようかなー」

 

 

そう言ってお祓い棒とお札を手に取る霊夢を余所に、私はそそくさとその場を後にしたのだった。

 

 

 

 

「やれやれ、やっと行ったか」

 

 

空を飛んで行った吸血鬼の少女を見送った私は、一人で呟いた。

いや、実際には『一人』ではない。

 

 

「全く、あんたも間が悪いのか運がないのか……もう隠れなくて大丈夫よ」

 

 

私は神社の裏に隠れていた気配に話しかける。

 

 

「……ありがとうございます」

 

 

私の声を聞いて、その気配の主は姿を現した。

背は高く、おそらく六尺ほどはあるだろう。

しかし、長身ではあるがその体つきは少し細い。

顔の線も細く、しかしそれでいて整っている。

髪は、元は黒髪だったのだろう、しかし、所々に白髪のような銀髪が一房二房と混じっていた。

全体的に華奢な雰囲気を醸し出した青年がそこにいた。

 

 

「難儀なことね……。どうして会わなかったの?」

「……僕と会ったりして、それが人里に知れたら、紅魔館の人たちが疑われ兼ねませんから」

 

 

青年は少し目を瞑り、私の問いに答える。

 

 

「……まさか、人間があの館の連中のことを心配するなんてね。杞憂どころか余計なお世話だと思うけど」

「……それでも、です。多少でも迷惑をかけたくない」

 

 

彼はそれでも、そう言った。

やれやれ。お人好しだかなんだか知らんけど。

 

 

「ま、好きになさいな。迷惑をかけないのならここにも好きなだけ居て構わないし」

「……いいんですか?僕が居たりしたら、霊夢さんも……」

 

 

疑われ、苛まれる……とか言いそうな青年に、私はデコピンをした。

 

 

「いたっ!?」

「それこそ、余計なお世話よ。私はあくまで『幻想郷のバランサー』。それ以上でも、以下でもないわ。人間に疑われた程度じゃ、私の立場は揺るがない」

 

 

この神社が妖怪の吹き溜まりになることもしばしば。そのせいで巷ではこの神社が『妖怪神社』なんて呼ばれることになっているのだけど……、まぁそれは置いておいて、だ。

 

 

「別にあんたが人殺ししてようが、私には関係がないし興味もない。幻想郷の存在を脅かすのであれば話しは別だけど」

「…………ありがとう、ございます」

 

 

青年はそうお礼を一言だけ告げて、再び神社の裏手に姿を消した。

――実の所、私が彼に対して何もしないのには理由がある。

彼は人間の身で人を殺した。それだけで人里に突き出してもいい理由になる。

 

私はある人から頼まれたのだ。

いや、正確には人ではなく妖怪――吸血鬼に。

その吸血鬼に頼まれたから、私はあの青年を見て見ぬふりをした。

それだけなのだ。

 

 

「全く、あいつの考えてることは未だに分からないわ」

 

 

憎たらしげに笑う吸血鬼の顔を思い浮かべ、私は一人毒づいた。

 

 

 

 

「そろそろ会っている頃かしら?」

 

 

紅魔館の一室で私は紅茶を飲んでいた。

時刻は昼過ぎ。太陽は雲に隠れてその姿を表そうとはしていない、実にいい日だ。

 

 

「何を企んでいるのかしら、レミィ?」

 

 

一人呟く私の言葉に、同伴していた友人――パチュリーが訪ねてきた。

 

 

「ん?あぁ」

 

 

私は紅茶をテーブルに置いて、説明をし始めた。

 

 

「先日ね、面白そうな運命を見たのよ。『彼』が博麗神社にいく運命をね」

「……それは本当?」

「ウソ吐いてどうするのよ」

 

 

私の言葉に偽りがないと理解するパチュリーは、盛大にため息を吐く。

 

 

「貴女……何を考えてるのかしら?フランのことを想えば、それを伝えて上げた方が良いというのは分かるでしょう?」

 

 

パチュリーの言いたいことは分かる。

 

あの子は――フランはここ一年の間、ずっとあの少年を探していた。

それも、己の身を顧みずに。

太陽が燦々と降りしきる空の下を駆け回り、体中に火傷を負いながら方々を探すフランを、私は止めることが出来なかった。

いや、出来なかったのではない。事実何度も辞めるように忠告した。

だが、フランはそれを聞かなかった。そうなると、私ではもう止められない。

だからこその、傍観の姿勢を、私は取った。

今日この日に彼が博麗神社に表れると言う運命を、『敢えて』フランに伝えなかった。

それはあの子の為でもあるし、彼の少年の為でもある。

 

 

「……第三者に教えられてやっと会えるような絆なら、なくしてしまった方が身のためよ」

「……貴女も本当に妹思いのお姉さまね」

 

 

皮肉るパチュリーに、私はにひひと笑って見せる。

 

どの道、この程度の試練を乗り越えられないならば、あの子たちに未来はないのは事実なのだ。

私たちに出来ることなど、何もない。

 

 

「さてはて……。運命の賽子はどう振れるのか……。楽しみね、パチェ」

 

 

私は再び紅茶を手に取って、一口啜った。

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

曇り空に覆われた空の下を、私は歩いていた。

目的は当然、彼を探すため。

もう既に日課となりつつあった探索を、私は一年間続けていた。

 

 

「………………」

 

 

もう、一人での散歩にも、随分慣れてしまった。

昨年までは、いつもいつも彼と一緒に――ッ!?

途端、目の前が涙で滲んで視界が歪む。

ゴシゴシと目を擦り、再び前を見ると、道が別れていた。

分岐の調度真ん中の場所に、一つの立て看板が目に入った。

 

 

「……これ……」

 

 

それはお触れだった。恐らくは人里の人間たちが立てたものだろう。

 

『殺人犯 この顔を見たらすぐに人里自警団まで!』

 

と書かれた文字の下に、私のよく見知った、愛しい顔が描かれていた。

 

 

「……………」

 

 

そっと指でなぞる。

ただ、黙って。彼の顔に振れるように。

するとその瞬間――

 

 

 

「――っがっぁ!?」

 

 

触れた私の指先から、衝撃が走る。

これは――退魔の――!?

指先から流れた聖なる力によって、私はその場にひざまづいてしまう。

力が、入らない……!

吸血鬼という種族の中でも、取り分け力の強い私に、ここまでの効果を発揮せしめるなんて――

 

虚ろな意識の中、声が聞こえてきた。

 

 

『オイ。術が作動したかと思えば、なんだァ?妖怪の女がかかったみてぇだぞ?』

『そのようだな。……だが、この術はこの絵の化け物を知っている奴しか見ることは出来ないらしいから、コイツもしかしたらあの野郎の関係者じゃねぇのか?』

『でもよ、コイツ何の妖怪だ?みょうちくりんな羽根生やしてるぜ』

『さぁな。鳥とかその辺じゃねぇか?まぁとにかく、コイツがあの化け物の知り合いなら、充分囮に使えるだろうさ』

 

 

うろんな思考で、私はその会話を聞いていた。

私を――囮に?

それで彼を誘きだす?

そんなことが出来るのだろうか。

しかし、そんな疑問も、最後に発せられた一言は私の思考を止めるには充分だった。

 

 

『しっかし、大妖怪をこの通りちょいと触れただけで封じ込めちまうたぁ、さすがは博麗の巫女謹製ってとこだな』

「……な、ん……」

 

 

ですって、とは声に出せなかった。

私の意識があるのを確認して、声たちは私に更に大量のお札を張り付けていく。

 

 

『フラン、どうしたの?』

 

 

薄れ行く意識の中、私を呼ぶ声が聞こえた気がした。

流した涙は、ただ静かに地面に染み込んだだけだった。

 

 




如何でしたでしょうか?

正直、どうしてこうなったのか分かりません。

ですがまぁ、だいたい頭のなかで考えてたシナリオ通りに進んでいるので、最終話には影響はありません。
多分。きっと。恐らくは。

ま、まぁ残すところ後数話、最後まで惨めに醜く頑張っていきたいと思います。

ではでは。
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