レミリア・スカーレットと名乗った少女は、くるりとメイドの方を向いた。
「駄目じゃないの。お客さんは大事にしなきゃ…ね?」
「す…すみませんお嬢様…」
「さあ、こっちへ付いてきてちょうだい」
レミリアは部屋から出ていく。後に続くメイドブロリーは少し間を置き、それに続いた。
やがて、応接室のような所に来た。部屋の中心にはテーブルが設置されており、それを挟むように椅子が置いてある。どれも赤色に統一されている。
「さ、座って?」
メイドが椅子を引いた。それに座るブロリー。向かいの椅子に座るレミリア。
「名前は?」
「ブロリーだ」
「…ブロリー、貴方に聞きたいことが幾つかあるわ。」
ブロリーは警戒しつつ、無言でレミリアの方を見る。
「貴方はサイヤ人でしょう?黒髪で黒目。そして何より独特な雰囲気がするわ」
「そうだ。それがどうした」
レミリアはテーブルに両肘をつき、顔の前で手を組む。
「サイヤ人はよくここに来るのよ。サイヤ人は戦闘民族。宇宙の地上げ屋として働いている。そうでしょ?」
「サイヤ人は…戦闘民族?」
「あら、サイヤ人である貴方が何故そのことを知らないのかしら?」
「ここに来る前の記憶が無いんだ。憶えているのは俺がサイヤ人である事だけだ。」
レミリアはブロリーを疑うような目で見たあと、ニヤッと笑った。
「ふうん…なら尚更食べるわけにはいかないわ」
「元々食われる気なんてないぞ」
「まあまあ…私の話を聞きなさい?」
関わりにくい女だ…ブロリーは心の中でつぶやいた。ガキは嫌いだ。
「さっきも言ったと思うけど、サイヤ人は宇宙の地上げ屋として働いていた。ただ、戦闘の衝撃で星が爆発してしまうことが稀にあるの。星の爆発っていうのは物凄いエネルギーでね…そのせいでこの世界に流れ着くサイヤ人もたまにいるのよ。」
「俺もその一人という訳か?」
「それは分からない。咲夜相手にあんな動きができるサイヤ人は見たことがないわ」
「…俺はともかく、ここに流れ着くサイヤ人はここで食われるという訳か。メイドがディナーになると言っていた。」
ブロリーはチラリと咲夜を見る。
「ええそうよ。まあ、サイヤ人みたいな悪党じゃなければ食われずに済むけどね」
「食われないやつはどうするのだ?」
「それは…」
そう言いかけた途端、部屋の扉が開いた。全員がそこに注目する。
「お姉様…」
その小さな声の正体は、レミリアと同じくらいの少女だった。ぬいぐるみを抱え、赤い服を着ていて、レミリアと同じような帽子をかぶっている。背中から七色の翼の様なものが生えている。
「ああ…フラン、まだ食事の時間ではないわ、あっち行ってなさい」
「そうじゃなくて…」
「何よ?私は今取り込み中なの。見れば分かるでしょう?」
「また私を除け者にするの…?私、その人と遊びたいだけの。」
「あ?俺?」
突然指を差されたため、少し驚くブロリー。ちらっとレミリアの方を見ると、レミリアは頭痛がしているのかの様に頭を抑えている。
(おい…あいつは誰だ?)
ブロリーは小声でレミリアに話しかける。
(フランドール・スカーレット。私の妹よ)
それに小声で答えるレミリア。
「貴方は私と同じ。運命なのよ。ねえ?お姉様?」
「貴方が運命を語るんじゃないわ。さあ、あっちへ…」
レミリアが言いかけた…その時、ブロリーが突然立ち上がった。
「遊んでやる。確かにお前とは何かを感じる…運命なのかもな」
「ブロリー!フランと関わらないでっ!!」
レミリアも立ち上がる。
「俺が誰と戦おうかなんて俺の自由だろう。」
そう言ってブロリーはフランに近づく。
「駄目!貴方とフランは関わってはいけないわ…!」
「しつこい!!」
ブロリーは手をレミリアの方へ向け、気を溜め始める。
「俺はこいつと戦いたい。サイヤ人として戦いたいんじゃない。俺が戦いたいんだ。」
「ぐっ…!」
レミリアはブロリーめがけて突進してきた。ブロリーは溜めていた気を放ち、レミリアに当てる。
「うぐ…」
レミリアは吹き飛ばされ、壁に当たりドサッと崩れ落ちた。そしてそのままレミリアは気を失った。
「悪かったな。どうしても戦いたいんだ。メイド。レミリアを頼む。」
「貴方…!」
咲夜はナイフを構えたが、今のブロリーには無駄だと悟り、何も言わずにレミリアを抱きかかえる。
「待たせたな、さっさと遊ぼうぜ」
「ええ、お庭で遊びましょ!」
フランの目は紅く光っていた。
ごめんねレミリア。
かなり無理矢理でしたが、やっとフランとブロリーが会いました。次回で紅魔館編は終わるかと思います。