「てっきり、貴方とフランの狂気が反応を起こして誰も止められなくなると思っていたけど…」
レミリアは歩きながら言った。
「私が心配しすぎだったようね」
「狂気狂気って言うけどよ…俺ってそんなに狂ってるか?」
「貴方には底しれぬ狂気が眠っているわ」
「…そうは思えんな…」
突然レミリアが振り返った。
「お腹空いてる?もてなすわよ。」
「そういえば、ここに来てから何も食べていなかったな…」
「咲夜!」
レミリアの横に咲夜がフッと現れる。
「お呼びでしょうか、お嬢様。」
「サイヤ人は大食いだからね。ありったけの料理を用意しなさい。人間用のね。」
「かしこまりました。」
咲夜は現れた時と同じようにフッと消える。
「すまんな、館を壊したのにも関わらず食わせてくれるなんて。」
「いいのよ、良いものを見せてもらったからね。紅魔館は美鈴にでも直してもらうわ。」
「……美鈴にも謝らなければな」
「さ、こっちへ来なさい」
レミリアとブロリーは食堂へ向かった。
「…これ全部食っていいのか?」
テーブルの上には隙間なく料理が並べられている。
「いいのよ、いくらでも食べなさい」
ブロリーはレミリアの返事を聞く前から食べ始めていた。次から次へと食べ尽くす。
「ふぉのふぇふぁいのよーうぃふぉやかやかうわいな!!」
「口の中の物を呑み込んでから喋りなさいよ…」
ブロリーは言われた通り、呑み込んだ。
「…ちゃんと噛めよ…」
「この世界の料理も中々美味いな!!」
「当然。咲夜の料理は幻想郷一よ。」
「お嬢様…そのようなことが有ろう筈が御座いません」
「貴女はもっと自分の料理に自信を持ちなさい?」
「おい咲夜!もっと無いのか?」
ブロリーは空になった皿を突き出す。
「…少々お待ちを。」
ブロリーは延々と食べ続ける。その様子を呆然と見つめるレミリア。
「サイヤ人ってあんなに大食いだったかしら…」
「さ、さあ…」
「ねぇブロリー」
後ろから声が聞こえた。
「ん…フランか、どうした?」
「ブロリーはこれからどうするの?」
「そうだな…元の世界に帰りたいところだが…記憶のないまま戻るわけにもいかん。まずは記憶を探す。」
「ふーん…」
フランは姉の元に歩み寄る。
「お姉様…私、ブロリーと一緒に行く。」
「はぁ?何言ってるの?これ以上貴女とブロリーは近づけ…」
「ちょっとレミィ。」
パチュリーがレミリアとフランの会話を止めた。
「あらパチェ…何かしら?」
「ブロリーと妹様。二人はとても似ている。」
「それがどうしたのよ」
「これ程までに似たオーラを持つ二人なんて見たことがないわ。レミィ、貴女も気付いているでしょう?」
「それは…」
「これは運命なのよ。妹様、ブロリーの血を吸ってみて。」
フランが顔を上げる。
「え…?」
「何言ってるの?サイヤ人の血を吸ったところで、何があるのよ?」
「まあ見てなさい」
黙々と食事を続けるブロリーにフランが近づく。
「えいっ!」
ブロリーの腕にフランの歯が刺さる。
「あ!?いでででで!!」
急に噛まれたブロリーはフランを振りほどくように腕を回す。しかしフランは離れない。
「やめろ!おい!」
ブロリーはさらに激しく腕を振り回し、ようやくフランが離れた。
「チッ…なんなんだいきなり…」
ブロリーは腕を抑える。
「どう?妹様。」
「なんかね…魔力が湧き上がってくる…」
「やっぱりね…」
「どういう事よパチェ?」
パチュリーは抱えていた本を開き、レミリアに見せる。
「吸血鬼は、吸った血が自分に適合した場合、さらなる力を得る…そう書いてあるの。」
「それってつまり…」
「そう、ブロリーはフランに適合したのよ。まるで運命ね。」
「……運命…」
レミリアは仲良く話しているブロリーとフランを見る。
「これは妹様にとって大事な試練…今回は特別に許してあげて。」
レミリアは無言で立ち上がり、フランの元へ歩いた。
「あ…お姉様…」
「フラン、今回だけは特別に外出を許すわ。」
「お姉様…!」
「ブロリーも、それで良いでしょ?」
「ああ、これだけ世話になったんだ。しかも、俺もこいつとは何か感じる。一緒に行動がしたい。」
ブロリーはフランの頭に手を置く。
「でも…大切な我が妹に何かあったら…承知しないわよ?」
「ふん…それはどうかな」
「大丈夫よお姉様!ブロリーと一緒なら!」
「そうね、信じているわ。」
ブロリーは立ち上がる。
「そろそろ出発しようと思う。」
「あら、一泊していけば良いのに」
「いや、いい。なるべく急ぎたい。それに、吸血鬼は夜行性だろ?」
「ああ、そうね。フランの事を第一に考えて貰わなきゃ。」
「俺の旅なんだかな…」
紅魔館の門前。
「フラン、着替えはどうするの?」
「魔法でなんとかする。」
「食料は?」
「大丈夫よ」
「日光は?」
「日傘があるから大丈夫!もう!お姉様ったら心配しすぎ!大丈夫よ!」
「そ…そう?何かあったらすぐ戻って来なさいよ?」
「うん!」
そんな姉妹の会話を眺めていたブロリーが口を動かした。
「さあ、そろそろ行こう。夜はそんなに長くない。」
「ブロリー、貴方も時々ここに帰って来なさいよ?」
「ああ、分かっている。」
ブロリーとフランは紅魔館のみんなに見送られながら、飛んで行った。
ついに出発!美鈴いろいろと頑張れ。
パチュリーのフランに対する態度がどんな感じだったか忘れた…から勝手に自分で決めてしまった。にわか乙。