魔法少女リリカルなのは―Mission Code"N"―   作:あじめし

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第4話「進化」(後編)

 

2チームは一端長めの距離をとった。

 

なのは「補助魔法が得意なの?」

エーリヒ「ああ。あんたは砲撃系だろ?だったら砲撃のインターバルはオレの防御でどうとでもなる。固定砲台でいてもらってもいい」

なのは「ううん。近接でも戦えるようにしたいの」

エーリヒ「だったら補助に回ろう。色々と面白いことができる」

なのは「全部聞きたいけど…そんな暇ないみたいっ!」

 

フェイトとヴィータはすでにエーリヒたちへ向かって来ていた。

 

エーリヒ「まずは、これを使おうかな」

 

エーリヒはここに来る途中にフェイトにもらった鏡を取り出した。

 

エーリヒ「まぁ見ててくれ」

 

エーリヒは鏡をブーメランのようにヴィータめがけて飛ばした。

 

ヴィータ「おいっ!魔法じゃない攻撃なんて!」

 

ヴィータはグラーフフアイゼンで造作もなくそれを粉々にした。

割れた鏡の片がヴィータとフェイトの周りに散った瞬間、エーリヒは一筋の光線を放った。

 

エーリヒ「ライトニングショット!」

 

その光は粉々になった鏡で反射し合い、ヴィータとフェイトを襲った。

 

フェイト「鏡…光を反射させたんだ」

ヴィータ「くそっ…舐めた真似…!シュワルベフリーゲン!」

 

ヴィータは4つの鉄球をハンマーで打った。

 

エーリヒ「そいつを待ってた!リアクティブホール!」

 

ヴィータとフェイトの周りに球状のバリアが張られ、鉄球はその内部で反射した。

反射した鉄球は、2人目がけて飛んで行く。フェイトがそれを撃ち落とし、ヴィータは素早くバリアに攻撃を加えた。

 

エーリヒ「今のうちにチャージを。あれは長持ちしないから、ホールが消えた瞬間にぶち込んでくれ」

なのは「了解…!」

フェイト「まずい…なのはがチャージに!」

ヴィータ「これくらい!」

 

ヴィータによってホールが破壊される。

 

フェイト「プラズマスマッシャー!」

 

なのはのチャージが終わる前に、フェイトの射撃がなのはに向かう。

 

エーリヒ「おっと」

 

しかしエーリヒのバリアがなのはを包み、射撃は止められた。

 

なのは「ディバイン…!」

フェイト「ヴィータっ!」

ヴィータ「あれぐいなら避けられる」

なのは「バスター!」

 

桜色の砲撃がヴィータに向かうが、すんでの所で避けられた。

 

エーリヒ「甘いな…リアクティブシールド」

 

なのはの砲撃の向かう先に、シールドが現われ、砲撃の一部が反射してフェイトを捉えた。

光線はフェイトの背中をかすめる。

 

フェイト「反射させたの…?あの砲撃を」

エーリヒ「高町さん…あんたの砲撃は強すぎる。コントロールできなかった」

なのは「それを反射させた方がすごいよ」

エーリヒ「どうも。おっとぉ!」

ヴィータ「離れてちゃお前は怖いが…近づいたらこっちのもんだ」

エーリヒ「ば、ばれた?」

ヴィータ「ラケーテンハンマー!」

 

ヴィータの攻撃が徐々にエーリヒのシールドを削っていった。

 

ヴィータ「砕けろっ!」

エーリヒ「まだまだっ!」

 

エーリヒのシールドが収縮し、ハンマーの切っ先一点に集中した。

 

ヴィータ「固てぇ…」

エーリヒ「オレは防御のプロだ。突破のプロとどっちが上かな?」

ヴィータ「舐めんなっ!」

 

その瞬間、収縮したシールドが砕かれ、ヴィータ渾身の一撃がエーリヒの脇腹にめり込んだ。

 

エーリヒ「危ねぇっ!!」

 

エーリヒの脇腹とハンマーの間には、シールドが張られていた。しかもそのシールド小さいながらも、先に破られたものより厚い。

しかしシールドごと押され、エーリヒは地面に激突した。

なのははエーリヒの援護に回るために急降下し、ヴィータをけん制する。

 

なのは「大丈夫!?」

エーリヒ「痛いなぁ…」

なのは「あの攻撃をくらって、よく無傷でいられるね」

エーリヒ「いや…結構身体痛いんだけど」

なのは「来るよっ!」

エーリヒ「こっちの具合お構いなしかよ…ったく」

フェイト「うん、そろそろ終わりでいいかな」

 

フェイトとヴィータはデバイスの構えを解き、なのはとエーリヒの前に着地した。

 

ヴィータ「大丈夫かよ」

エーリヒ「まぁ、ぼちぼち」

フェイト「高町空尉、彼と組んだ感触は?」

なのは「補助も防御も申し分ないよ。砲撃系魔導師と組めばかなりの戦力になると思う」

フェイト「ヴィータ空尉は?」

ヴィータ「久しぶりに固ぇ防御だった。こんなんはユーノ以来だな」

フェイト「そっか。じゃあ、申請してみようかな」

なのは「申請?何を?」

フェイト「外部協力捜査員登録。今回の事件のね」

 

 

 

5日後、地上本部の室内演習場にて、なのはとエーリヒの戦闘演習が行われていた。

 

エーリヒ「おっと!シールド展開」

なのは「後ろだよっ!」

エーリヒ「え、ちょっ!おわあぁぁぁ!」

 

シールドを展開したエーリヒの背後を射撃が襲い、エーリヒの背中に付いたターゲットが破壊された。

 

なのは「だ、大丈夫ですか!?」

エーリヒ「軽い射撃かと思ったら…こいつは砲撃レベルじゃねーか」

なのは「あらかじめ魔法弾を作って離れた所に隠しておくんです。それを遠隔操作で撃つ」

 

エーリヒが外部協力員として認められてから5日。

ヴィヴィオ誘拐事件の容疑者ではあるが、エーリヒはなのはにとっては良い演習相手となっている。

2人は演習場を出て、ロッカールームのベンチに並んで座った。

 

エーリヒ「器用な真似だ。それに結構な魔力を使うんじゃないか?」

なのは「平気ですよ。ただでさえ砲撃系は単純だから、多少トリッキーな攻撃が出来ないと」

エーリヒ「随分練習したんだろ?」

なのは「…まぁ、ね」

エーリヒ「なんか焦ってんのか?昨日だって遅くまで練習してたんじゃねーの?顔色、あんまし良くないぞ?」

なのは「あはは。ばれちゃいましたか…」

エーリヒ「夜更かしは美の大敵」

エーリヒ(まぁ元が綺麗だし、余計なお世話かもな)

なのは「でも…私、このままじゃいけないんです」

エーリヒ「俺たちの魔法に対抗するためか?」

なのは「はい」

エーリヒ「そっか。てか今さらだけど、俺のこと怒ってないの?娘さんを誘拐した男だぞ?」

なのは「一応、何事もなかったし。それに…今のエーリヒくんには記憶がない。自分の知らない罪を責められるのって、辛いよね」

エーリヒ「優しいんだな、なのはは」

なのは「優しいだけじゃ…意味無いです」

エーリヒ「強さってやつか。何故そこまでこだわる?」

なのは「守りたいものがあるんです」

エーリヒ「…へぇ」

 

エーリヒにとってその言葉は共感のできるものではなかった。

記憶を失ったエーリヒには、守るべきものなど一つもなかったのだから。

 

エーリヒ「俺も…欲しいな」

なのは「守るもの?」

エーリヒ「ああ。もう何も残ってないからな、俺には」

なのは「守りたいものは…きっとすぐ見つかる。自覚があるにしても、無いにしても」

エーリヒ「…そんなもんかな。そうだな…よし、じゃあオレはお前を守ろう」

なのは「え、えぇ!?」

 

なのはは顔を真っ赤にしてベンチから立ち上がった。

 

エーリヒ「そんな驚くなよ…」

なのは「だ、だって…いきなり…」

エーリヒ「自分で言うのもあれだが、オレとなのはのタッグは強い。これは立派な戦力だ。だったら、オレの使命はそれしかない。今ある記憶の範囲じゃな」

なのは「…そうですね」

エーリヒ(オレから記憶を奪った奴がいるなら…オレは必ずそいつを見つけ出す。そして…高町なのはを)

なのは(この平和は絶対に乱させない。誰も傷つけさせない。絶対に)

2つの決意が、2人の心に火を灯した。

なのは・エーリヒ「守ってみせる」

 

 

―――第5話へ続く

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