魔法少女リリカルなのは―Mission Code"N"― 作:あじめし
2チームは一端長めの距離をとった。
なのは「補助魔法が得意なの?」
エーリヒ「ああ。あんたは砲撃系だろ?だったら砲撃のインターバルはオレの防御でどうとでもなる。固定砲台でいてもらってもいい」
なのは「ううん。近接でも戦えるようにしたいの」
エーリヒ「だったら補助に回ろう。色々と面白いことができる」
なのは「全部聞きたいけど…そんな暇ないみたいっ!」
フェイトとヴィータはすでにエーリヒたちへ向かって来ていた。
エーリヒ「まずは、これを使おうかな」
エーリヒはここに来る途中にフェイトにもらった鏡を取り出した。
エーリヒ「まぁ見ててくれ」
エーリヒは鏡をブーメランのようにヴィータめがけて飛ばした。
ヴィータ「おいっ!魔法じゃない攻撃なんて!」
ヴィータはグラーフフアイゼンで造作もなくそれを粉々にした。
割れた鏡の片がヴィータとフェイトの周りに散った瞬間、エーリヒは一筋の光線を放った。
エーリヒ「ライトニングショット!」
その光は粉々になった鏡で反射し合い、ヴィータとフェイトを襲った。
フェイト「鏡…光を反射させたんだ」
ヴィータ「くそっ…舐めた真似…!シュワルベフリーゲン!」
ヴィータは4つの鉄球をハンマーで打った。
エーリヒ「そいつを待ってた!リアクティブホール!」
ヴィータとフェイトの周りに球状のバリアが張られ、鉄球はその内部で反射した。
反射した鉄球は、2人目がけて飛んで行く。フェイトがそれを撃ち落とし、ヴィータは素早くバリアに攻撃を加えた。
エーリヒ「今のうちにチャージを。あれは長持ちしないから、ホールが消えた瞬間にぶち込んでくれ」
なのは「了解…!」
フェイト「まずい…なのはがチャージに!」
ヴィータ「これくらい!」
ヴィータによってホールが破壊される。
フェイト「プラズマスマッシャー!」
なのはのチャージが終わる前に、フェイトの射撃がなのはに向かう。
エーリヒ「おっと」
しかしエーリヒのバリアがなのはを包み、射撃は止められた。
なのは「ディバイン…!」
フェイト「ヴィータっ!」
ヴィータ「あれぐいなら避けられる」
なのは「バスター!」
桜色の砲撃がヴィータに向かうが、すんでの所で避けられた。
エーリヒ「甘いな…リアクティブシールド」
なのはの砲撃の向かう先に、シールドが現われ、砲撃の一部が反射してフェイトを捉えた。
光線はフェイトの背中をかすめる。
フェイト「反射させたの…?あの砲撃を」
エーリヒ「高町さん…あんたの砲撃は強すぎる。コントロールできなかった」
なのは「それを反射させた方がすごいよ」
エーリヒ「どうも。おっとぉ!」
ヴィータ「離れてちゃお前は怖いが…近づいたらこっちのもんだ」
エーリヒ「ば、ばれた?」
ヴィータ「ラケーテンハンマー!」
ヴィータの攻撃が徐々にエーリヒのシールドを削っていった。
ヴィータ「砕けろっ!」
エーリヒ「まだまだっ!」
エーリヒのシールドが収縮し、ハンマーの切っ先一点に集中した。
ヴィータ「固てぇ…」
エーリヒ「オレは防御のプロだ。突破のプロとどっちが上かな?」
ヴィータ「舐めんなっ!」
その瞬間、収縮したシールドが砕かれ、ヴィータ渾身の一撃がエーリヒの脇腹にめり込んだ。
エーリヒ「危ねぇっ!!」
エーリヒの脇腹とハンマーの間には、シールドが張られていた。しかもそのシールド小さいながらも、先に破られたものより厚い。
しかしシールドごと押され、エーリヒは地面に激突した。
なのははエーリヒの援護に回るために急降下し、ヴィータをけん制する。
なのは「大丈夫!?」
エーリヒ「痛いなぁ…」
なのは「あの攻撃をくらって、よく無傷でいられるね」
エーリヒ「いや…結構身体痛いんだけど」
なのは「来るよっ!」
エーリヒ「こっちの具合お構いなしかよ…ったく」
フェイト「うん、そろそろ終わりでいいかな」
フェイトとヴィータはデバイスの構えを解き、なのはとエーリヒの前に着地した。
ヴィータ「大丈夫かよ」
エーリヒ「まぁ、ぼちぼち」
フェイト「高町空尉、彼と組んだ感触は?」
なのは「補助も防御も申し分ないよ。砲撃系魔導師と組めばかなりの戦力になると思う」
フェイト「ヴィータ空尉は?」
ヴィータ「久しぶりに固ぇ防御だった。こんなんはユーノ以来だな」
フェイト「そっか。じゃあ、申請してみようかな」
なのは「申請?何を?」
フェイト「外部協力捜査員登録。今回の事件のね」
5日後、地上本部の室内演習場にて、なのはとエーリヒの戦闘演習が行われていた。
エーリヒ「おっと!シールド展開」
なのは「後ろだよっ!」
エーリヒ「え、ちょっ!おわあぁぁぁ!」
シールドを展開したエーリヒの背後を射撃が襲い、エーリヒの背中に付いたターゲットが破壊された。
なのは「だ、大丈夫ですか!?」
エーリヒ「軽い射撃かと思ったら…こいつは砲撃レベルじゃねーか」
なのは「あらかじめ魔法弾を作って離れた所に隠しておくんです。それを遠隔操作で撃つ」
エーリヒが外部協力員として認められてから5日。
ヴィヴィオ誘拐事件の容疑者ではあるが、エーリヒはなのはにとっては良い演習相手となっている。
2人は演習場を出て、ロッカールームのベンチに並んで座った。
エーリヒ「器用な真似だ。それに結構な魔力を使うんじゃないか?」
なのは「平気ですよ。ただでさえ砲撃系は単純だから、多少トリッキーな攻撃が出来ないと」
エーリヒ「随分練習したんだろ?」
なのは「…まぁ、ね」
エーリヒ「なんか焦ってんのか?昨日だって遅くまで練習してたんじゃねーの?顔色、あんまし良くないぞ?」
なのは「あはは。ばれちゃいましたか…」
エーリヒ「夜更かしは美の大敵」
エーリヒ(まぁ元が綺麗だし、余計なお世話かもな)
なのは「でも…私、このままじゃいけないんです」
エーリヒ「俺たちの魔法に対抗するためか?」
なのは「はい」
エーリヒ「そっか。てか今さらだけど、俺のこと怒ってないの?娘さんを誘拐した男だぞ?」
なのは「一応、何事もなかったし。それに…今のエーリヒくんには記憶がない。自分の知らない罪を責められるのって、辛いよね」
エーリヒ「優しいんだな、なのはは」
なのは「優しいだけじゃ…意味無いです」
エーリヒ「強さってやつか。何故そこまでこだわる?」
なのは「守りたいものがあるんです」
エーリヒ「…へぇ」
エーリヒにとってその言葉は共感のできるものではなかった。
記憶を失ったエーリヒには、守るべきものなど一つもなかったのだから。
エーリヒ「俺も…欲しいな」
なのは「守るもの?」
エーリヒ「ああ。もう何も残ってないからな、俺には」
なのは「守りたいものは…きっとすぐ見つかる。自覚があるにしても、無いにしても」
エーリヒ「…そんなもんかな。そうだな…よし、じゃあオレはお前を守ろう」
なのは「え、えぇ!?」
なのはは顔を真っ赤にしてベンチから立ち上がった。
エーリヒ「そんな驚くなよ…」
なのは「だ、だって…いきなり…」
エーリヒ「自分で言うのもあれだが、オレとなのはのタッグは強い。これは立派な戦力だ。だったら、オレの使命はそれしかない。今ある記憶の範囲じゃな」
なのは「…そうですね」
エーリヒ(オレから記憶を奪った奴がいるなら…オレは必ずそいつを見つけ出す。そして…高町なのはを)
なのは(この平和は絶対に乱させない。誰も傷つけさせない。絶対に)
2つの決意が、2人の心に火を灯した。
なのは・エーリヒ「守ってみせる」
―――第5話へ続く