魔法少女リリカルなのは―Mission Code"N"―   作:あじめし

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第5話「堕落」(前編)

 

――――第13管理世界「ルカリテ」

 

局員A「隊長、魔法反応、検知されません」

隊長「本部め、まさか誤探知か?」

局員B「たしかに、今まで未検出の術式と聞いていますので」

隊長「まぁいい。もう少し捜索を続けよう」

 

30分前、ヴィヴィオ誘拐事件の際に検知されネルヴァニア式の魔法反応がこの地で検出された。

エーリヒの情報提供により、術式を探知することが可能となったのだ。

ルカリテはベルカ統一戦争時、大規模次元震の影響で環境が破壊され、人の住めなくなくなった世界である。管理体制も十分ではなく犯罪者が潜伏するのに最適な地であった。

そのため、管理局は早急に部隊を派遣し、調査にあたらせた。

 

局員A「やはり反応はありません。逃げられたのでしょうか?」

 

管理局魔導師はどしゃぶりの中、崩壊した市街地を捜索している。

 

???「ちょっとしかいないね~。せっかく餌まいたのに~」

局員A「誰だ!」

 

突如局員たちの目の前に、黒いレインコートに身を包んだ少女――マオが現われた。

 

???「えへへ~こんちわぁ」

局員A「貴様…ここで何をしている!」

???「う~ん…何だろ?」

局員A「真面目に話をしろ!」

???「私じゃうまく説明できな~い。陛下、よろ~」

局員A「陛下?」

ルナディア「仕方のないコだね、マオは」

マオ「えへへ~」

ルナディア「キミたちには、私の兵隊になってもらおう」

隊長「貴様…先日のテロの関係者か?」

ルナディア「答えを聞いても意味は無いだろう?どうせ、これから君たちは私の人形だ」

マオ「行くよ“イクシオ~ン”」

 

マオの右手にランスが現われ、地面に刺さったランスの先から電流が流れた。

 

マオ「サンダーフロアぁ」

 

局員たちは感電し、身体の自由を失ってその場に倒れた。

 

隊長「く、くそ…」

 

ルナディアの見下ろした目線が、倒れている隊員たちに向けられた。

ルナディア「従え……“神の声”!」

 

 

 

 

 

魔法戦記リリカルなのは――Mission Code-N――

第5話「堕落」

 

 

地上本部のメインゲートに、2人の局員が現れた。

その二人を、別の局員が迎える。

 

局員B「隊長!ルカリテからご帰還ですか?」

隊長「ああ」

局員B「状況は?」

 

しかし隊長は何も答えず、デバイスを局員に向ける

 

隊長「攻撃開始」

 

 

 

スバル「ありがとうございました!」

ネイ「なかなかの攻撃力ね。さすが元機動六課。優秀だわ」

スバル「えへへ~そんなことは」

なのは「こーら、スバル。照れてないで」

スバル「は、はいっ」

 

室内演習場で、スバルはネイの指導を受けていた。

沈没船での救助以降、スバルは時々ネイに会っており、その度にちょっとした魔法の技やノウハウを教えてもらっていた。

今や、スバルにとってネイはなのは、ヴィータに次ぐ師となっている。

それだけではなく、船で助けられた状況が空港でのなのはとの出会いに似ていたためか、時折スバルの中でネイの姿となのはの姿が重なる。

 

スバル(二人とも強いし、綺麗だし、羨ましいなぁ)

 

ドーン!!

 

なのは「何!?」

ネイ「爆発音?一体何事よ」

放送『各局員は第1戦闘配備。地上本部に襲撃者あり。局員は所定の位置につき、侵入者撃退にあたれ。繰り返す――』

ネイ「…この前の連中ね」

なのは「私行くから!」

スバル「なのはさんっ!」

ネイ「スバル、私たちも所定位置に向かうわよ」

スバル「あ、はい!」

 

スバルは走りながらなのはの後ろ姿を見続けた。

何故だかスバルは、遠くなっていくなのはの姿を見て不安を隠せなかった。

それは今まで感じることがなかった、絶対に信頼できた強さに対する不安。

 

スバル「なのはさん…」

ネイ「なのはを心配してる余裕、無さそうよ」

マオ「はろぉ~」

 

ネイとスバルの前に現れたのは、ランスを持った金髪の少女だった。中東の民族衣装を思わせる出で立ちである。

 

マオ「うわぁ~何か強そう…」

キリエ「マオ、しゃきっとなさい。重要な作戦中でしょ?」

 

そしてマオの後ろから現れたのは、紺色のクラシカルなドレスに身を包んだ蒼い髪の少女だった。

 

キリエ「でも。あのショートのコ、ちょっと好みかも」

スバル「ネイさん、私が先に仕掛けます…!」

ネイ「……」

スバル「ネイさん?」

ネイ「ブリザードジェイル」

スバル「きゃぁっ!」

 

スバルの身体の回りが氷塊で固められ、彼女は身動きが取れなくなった。

 

スバル「ど、どういうことですかっ!」

ネイ「……役目は終わったようね。そうでしょう?マオ、キリエ」

キリエ「陛下から伝言を預かっています。任務終了と」

ネイ「分かったわ」

マオ「ねーさま、おかえりぃ~」

ネイ「久しぶりね、マオ、キリエ」

キリエ「お久しぶりです」

ネイ「私は彼のもとへ向かう。これをよろしく」

 

ネイは視線をスバルに走らせた。

 

マオ「りょうか~い」

スバル「このっ!!!」

 

スバルは身体を固める氷を砕き、距離を取ってマッハキャリバーとリボルバーナックルを素早く起動させた。

 

マオ「こいつ~戦闘機人のあれじゃん」

キリエ「だったら殺さない方がいいかもしれないわね。どうしますか、ネイ様」

ネイ「…そうね。念のため生かしてしておいて」

スバル「ネイさん……まさかスパイって…」

ネイ「よく分かったわね。フェイトあたりが睨んだかしら?」

スバル「お話し、聞かせてもらいますっ!」

 

スバルの標的はネイ。一直線にネイ目がけて拳を突き出す。

 

マオ「ねーさまに…触れるなよ」

 

その間に現れるマオ。スバルの拳はランスの切っ先と激突した。

 

スバル「このっ!」

マオ「ねーさまには…触れさせないっ!サンダーボルト!!」

 

天井から落ちる強烈な電撃がスバルを襲った。

声にならない叫びをあげ、スバルは倒れ伏す。

 

マオ「相性が悪いよ。ばぁーか」

キリエ「マオ…機械に電撃流した壊してしまうじゃない」

マオ「い~じゃ~ん。もう壊しちゃえば」

ネイ「まぁいいわ。あなたたちはこのまま魔導師狩りを。私は行くわ」

キリエ「はい」

 

ネイは執務官の制服のジャケットを脱ぎ、それを放り投げた。

ジャケットは宙を舞い、スバルの頭の上へと落ちた。

 

スバル「な、んで……ネイ…さん」

ネイ「今日限りで辞めるの、管理局。さよなら」

 

そして彼女は、両の目のカラーコンタクトを外す。

そこには、深い紫色の眼があった。

意識消えゆく意識の中でスバルが最後に見たのは、ネイがバリアジャケット姿になっている光景だった。

 

 

―――中編に続く

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