魔法少女リリカルなのは―Mission Code"N"―   作:あじめし

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私事ではありますが、昨日から新作小説『留学生は侵略者!?メフィラス星人現る!』の連載を開始いたしました!
ウルトラマンの二次創作です。ご興味のある方は、是非ともご一読下さると幸いでございます!  あじめし より


第6話「怒涛」(前編)

フェイト「記憶が…戻った?」

エーリヒ「…ああ。とは言え、完全ではないだろうな」

 

エーリヒは知っていた。

目の前に広がる光景――ミッドチルダの治安を守護する地上本部が無残にも蹂躙されている。

この原因に彼自身が深く関与していたことを。

そして、自分のなすべきことに、彼は気付いていた。

 

エーリヒ「一度だけ言うぞ」

シグナム「どうした」

エーリヒ「なのはを連れていった奴の能力だ」

シグナム「やはり知っているのだな」

エーリヒ「ああ。奴の能力の名は“神の声”。人を思いのままに操る能力だ。命令されればなすすべなく従うしかない」

ティアナ「そ、そんなのあり得ません!もしそうなら…勝てるわけが…」

エーリヒ「弱点はあるはずだ。そうでなければ色々と回りくどいことをした理由がないだろ?現に俺は、一度消された記憶が戻ったわけだし」

シグナム「ヴィヴィオの誘拐のことか。あれはまさか…なのはを連れていくための何かの伏線なのか?」

エーリヒ「オレはそう推測した。兄さ――いや、奴はオレの前でさえあまり自分能力を見せなかったからな。…話は終わりだ」

ヴィータ「…おい、どこ行くんだ」

エーリヒ「医務室だよ。頭が痛ぇ」

フェイト「…行かせられない」

エーリヒ「どういう意味だ」

フェイト「記憶が戻った今、エーリヒが奴らの計画の一端を担っていない証拠は無い」

エーリヒ「自分から言ったんだぜ?記憶が戻ったことは。それでも疑うってのか?」

フェイト「いいからここにいて。質問に答えてほしいの」

エーリヒ「…言っただろ。もう言うことは――」

フェイト「座って」

 

シグナムとヴィータはこの感覚を知っていた。

昔から変わらず彼女の心の奥底に潜んでいる、フェイトの「狂気」の部分。

彼女にとって誰よりも大切であろうなのはを奪われた今、フェイトが発する雰囲気は幾多の戦場を経験したヴォルケンリッターさえも震撼させた。

 

エーリヒ「…潮時だな。ヴァルファーレ!」

 

彼の手に、金と白の杖が握られる。

 

フェイト「逃げる気?でも…させない」

 

エーリヒの両腕は、フェイトの放ったバインドできつく締め上げられた。

 

エーリヒ「……悪いが、これ以上あんたらに協力することはできなくなった」

シグナム「貴様――」

エーリヒ「オレは光になれるんだからな」

 

光を操り、自身の肉体すら光にできるエーリヒには、この程度の拘束は無意味だった。

彼の身体は光となって霧散し、一瞬でフェイト達から離れた場所にエーリヒは現れた。

 

フェイト「逃がさない!バルディッシュ!」

 

フェイトはサイズフォームのバルディッシュを薙ぎ払い、加減することなくハーケンセイバーを放った。

 

エーリヒ「っ!!加減しろよなっ!」

ヴィータ「あいつ…振り向かずに防御なんて」

フェイト「シグナム!ヴィータ!ティアナ!奴を包囲する」

 

 

 

魔法戦記リリカルなのは――Mission Code"N"――

第6話「怒濤」

 

 

 

 

エーリヒ「はぁ…はぁ…」

 

エーリヒは地上本部の敷地内から出れずにいた。

今は小さな林の中に潜み、上空を駆けて行ったシグナムから身を隠している。

 

エーリヒ「予想以上の連携だな…フェイトめ、指揮官としての能力も高いんだな」

フェイト「……見つけた」

エーリヒ「ちっ!」

 

物陰から現れたフェイトは、エーリヒを発見すると即座に攻撃を仕掛けた。

 

エーリヒ「投稿勧告はしねーのか!」

フェイト「言っても聞かないでしょ?」

エーリヒ「…普段とは大違いだ。やっぱり高町なのはが大事なんだな。そりゃ、仲間だもんな」

フェイト「違うっ!!」

 

フェイトにはカートリッジを出し惜しむ気はさらさらない。彼女はカートリッジを何個も消費しながら飛翔する。

そしてトライデントスマッシャーを空中から、地上のエーリヒに発射した。

エーリヒは自らの周りにバリアを展開し、それを防ぐ。バリアは今にも割れんばかりにひびだらけだ。

 

フェイト「…なのはは、友達だ!」

エーリヒ(くそっ…こっちはなのはにやられたダメージがあるってのに…このままじゃ殺されるな)

フェイト「次は当てる」

 

フェイトは再びトライデントスマッシャーのチャージに入る。

 

エーリヒ「…こんなこと、したくないんだけどな。ヴァルファーレ、撃つぞ」

 

エーリヒはバリアを消し、ヴァルファーレを天高く掲げた。

 

フェイト(見た事のない態勢…仕掛ける気?)

エーリヒ「フェイト…怪我で済めばいいけどな…!オーバードライブ!」

 

魔法杖ヴァルファーレが光となって消える。そして、拡散した光は一瞬でフェイトの周囲を囲み、無数の光の玉が浮遊している。

 

エーリヒ「シューティングレイ!!」

 

その瞬間光球は姿を変え、矢のようにフェイトを射抜かんとする。

 

フェイト(この程度!)

 

更に飛行高度を上げて、それを避ける。

しかし光の矢は急遽方向を変え、フェイトに食らいつく。

 

フェイト「追尾された!」

エーリヒ「そいつはどこまでもお前を追うぜ!」

 

フェイトは更に速度を上げて空を舞うが、光の矢はどこまでもフェイトを追う。

 

フェイト「こうなったら…真・ソニックフォーム!!」

 

フェイトは矢の進行方向から一瞬で姿を消し、エーリヒの懐に入った。

 

エーリヒ(早ぇっ!!)

フェイト「ハーケン――」

エーリヒ「だが、道連れだ!!」

 

バルディッシュの刃がエーリヒを切り裂くのと、

再び襲いかかる光の矢がフェイトを射抜いたのは同時だった。

 

フェイト「はぁ…はぁ…うっ!」

 

フェイトの全身に、刺すような、熱い痛みが走っている。

 

エーリヒ「…くっ…派手に、やりやがって…!」

 

エーリヒの脇腹には深い切り傷があった。

互いに立ち上がる気力はなく、膝をついたまま向き合っていた。

 

エーリヒ(他の奴が来る前に…ここを離れないと!)

フェイト「…どうして……やっぱり、あなたも仲間なの?なのはを連れ去った人たちの!」

エーリヒ「…そう、だな。だからこそ…けじめはオレがつける」

 

エーリヒは立ちあがり、ふらふらと出口を目指して歩き始めた。

 

フェイト「動くな…!」

エーリヒ「…よく立ち上がれるな。普通なら死んでる」

フェイト「そっちこそ」

エーリヒ「俺を逃がせ、フェイト。必ずなのはを連れて戻ってくる」

フェイト「信用、出来ると思うの?」

エーリヒ「してもらう他無い」

フェイト「そこまでこだわる理由は何?彼らを止めるだけなら、一緒に戦えば――」

エーリヒ「守るものがあるからだ。ここにいちゃ、そいつを守ることは出来ない」

フェイト「………」

エーリヒ「だから…もう追わないでくれ…!」

フェイト「………」

 

フェイトはエーリヒよりも確かな歩みで彼に近づく。

 

エーリヒ「来るなっ!」

フェイト「………」

エーリヒ(魔力も体力も限界だが…やるしかない!)

エーリヒ「えっ?」

フェイト「動かないで」

 

フェイトの左手はエーリヒの傷口にあてられていた。

淡い光がフェイトの手元から発せられ、止めどなく流れていた血はあっという間に止まった。

 

エーリヒ「お、お前…」

フェイト「約束……だ、から。必ず…止め―――」

 

小さく微笑み、フェイトは意識を失った。

 

 

―――中編に続く

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