魔法少女リリカルなのは―Mission Code"N"―   作:あじめし

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第2話「疑念」(後編)

なのは「はぁっ!」

ネイ「さすが…速いわね!でもっ!」

なのは「ネイさんも…!」

 

ネイの射撃を気に、二人は直接戦闘を始めてしまった。

新人たちの温い攻撃を前に、お互い歯がゆい気分だったためか、一度始まった戦闘は終わりを見せない。

 

ネイ「もらった!」

なのは「まだですよっ!」

 

ネイの放った氷の刃を射撃で砕き、立て続けに魔法弾を浴びせる。

しかし、ネイの目に現れた氷の壁に全て防がれる。

 

ネイ「なのは、本気でやってもいい?」

なのは「だったら、こっちも本気ださないと」

ネイ「いくわよ!」

なのは「ええっ!」

フェイト「ストーップ!!」

 

近接戦闘に入りかけた二人の間に、バリアジャケット姿のフェイトが割って入る

 

ネイ「フェイト?」

なのは「フェイトちゃん!?」

フェイト「二人とも…周りが見えてなさ過ぎだよ」

 

なのはは新人たちの顔をざっと見る。

さっきまでは期待感で輝いていた表情も、若干の恐怖に染まっている。

 

なのは「ご、ごめんね、みんな…」

フェイト「怖がらせちゃだめじゃない。それにネイ、教導の邪魔しちゃだめでしょ?」

ネイ「つい、ね。久しぶりに動いた気がするわ」

フェイト「この前の誘拐犯逮捕、あれで戦闘したばっかりじゃない」

ネイ「あんなの戦闘のうちに入らないもん。それに、憧れのエース・オブ・エースとお手合わせしてみたかったの」

なのは「憧れだなんて…ネイさんの方がずっと強いですよ」

ネイ「何言ってるのよ。私にとっては、入局当初からの目標だったんだから」

フェイト「ネイの入局って、いくつの時?」

ネイ「14。だからあなたたちの方が先輩なの。同年代の超有名人のことは印象的だったわ」

なのは「有名人だなんて…そんな」

ネイ「なのはなんて、私の憧れでもあったんだから」

なのは「あ、あはは。ありがとうございます」

ネイ「それじゃ、私は帰るわ」

フェイト「ネイ、この後の予定は?」

ネイ「何もないけれど、どうして?」

フェイト「この後、なのはとご飯のいく予定なの。一緒に行かない?なのはもいいでしょ?」

なのは「もちろん!」

ネイ「そんなそんな…私、邪魔じゃない?」

なのは「全然、そんなことありませんよ!」

 

なのはの丸い瞳に見つめられ、ネイは「行くわ」と言った。

 

ネイ「あー、でも」

 

ネイは素早い動きでなのはの懐にはいり、

 

ネイ「えいっ」

なのは「いたっ」

 

でこピンをくらわせた

ネイ「敬語もさんづけも、次から無しよ?」

 

 

 

午後8時過ぎ、なのはとフェイト、そしてネイの3人は管理局地上本部近くの個室ダイニングに来ていた。

 

なのは「はやてちゃん、来られるって?」

フェイト「ううん。ちょっと忙しそうだって」

ネイ「彼女、この前の誘拐事件の担当だものね。あの子…ヴィヴィオちゃんは今日平気なの?」

なのは「ヴィヴィオ、事件の次の日から聖王教会のお世話になってるんです」

ネイ「……じゃあ、会えてないのね」

なのは「私やフェイトちゃんが目的の可能性もあるので…」

フェイト「ヴィヴィオなら大丈夫。強い子だもの」

なのは「ふふっ、そうだね」

ネイ「そう、良かった…。よーし!今日は久々の再会を祝って飲むわよ!すみませーん」

フェイト「ちょ、ちょっと待って…ネイ、お酒飲むの…?」

ネイ「もちろん。ちょっとフェイト?何帰ろうとしてるの…?」

フェイト「わ、私…明日の仕事が…」

ネイ「明日はお休みでしょ?」

なのは「フェイトちゃん、顔が青いけど、大丈夫…?」

フェイト「なのは…覚悟を決めて」

なのは「へ?」

 

そして1時間後―――

 

ネイ「すみませーん!白ワイン、ボトルでください!」

なのは「ね、ネイさん…?飲み過ぎじゃないですか?」

ネイ「まだ酔ってないわよ?」

 

そう言いつつ、彼女の顔はゆでだこの様に真っ赤だった。

 

なのは「フェイトちゃん、ネイさんって…」

フェイト「うん。執務官の間じゃ有名なの…。“管理局の赤い悪魔”って呼ばれてる」

 

ネイは、運ばれてきた白ワインのボトルを開け、3つのグラスになみなみと注いだ。

 

ネイ「さぁ、召し上がれ!」

なのは「私…ワインなんて飲んだことないです」

ネイ「全然大丈夫!ジュースみたいなもんよ!ぶどう味!」

なのは「じゃ、じゃあ飲めるかも」

フェイト「なのは、やめた方が…」

ネイ「ほらほら、フェイトも!」

フェイト「私はお水で…」

ネイ「あら残念。じゃあ私となのはの“ふたりっきり”で、酔っちゃおうかな~?」

フェイト「飲みます」

ネイ「よし来た!」

 

そして30分後―――

 

フェイト「な~の~は~!」

なのは「ふぇ、フェイトちゃん!?」

 

フェイトはなのはに抱き着き、彼女の頬に頬ずりしていた。

 

フェイト「温かい…」

なのは「フェイトちゃん…熱い」

フェイト「離れませ~ん」

なのは「もう~」

ネイ「あらあら」

 

ネイは、ボトルに残ったワインをグラスについで、飲み続けている。

 

ネイ「この3人で集まるなんて、何年ぶりかしらね」

なのは「多分、JS事件の直後に初めて会った時以来ですね。だから……4年?」

ネイ「そりゃ年もとるわけね…」

なのは「まだ23ですよ!」

ネイ「ふふっ、そうね。そういえば、あの時は八神2佐も一緒だったわね」

なのは「ええ。はやてちゃん、どうしてるかな…」

ネイ「忙しいだけで、全然元気よ。明後日から、私も彼女の指揮下で捜査に加わるわ」

なのは「誘拐事件の?」

ネイ「ええ。カイルとかいう、炎の魔導士と交戦した執務官としてね」

なのは「早く、事件が解決すると良いですね…」

ネイ「だーかーら、敬語禁止」

なのは「あう…く、癖なんですよっ」

ネイ「ま、いっか。そうそう、捜査本部配属になる前に聞いておきたいんだけど、八神一佐とは最近話した?」

なのは「一応。状況も多少は聞きました」

ネイ「そう」

なのは「少し厄介になるかもって」

ネイ「どうして?」

なのは「犯人が、特殊な魔法を使っている可能性があるんです。ヴィヴィオって、普通の魔法には耐えられる身体だし、最近は格闘技を習ってるから、ちょっとやそっとじゃ負けないはずなんです」

ネイ「特殊な魔法ね…」

なのは「でも、はやてちゃんなら、きっとすぐに何かを掴んでくれるはずです。それに、ネイさんも一緒ですし」

ネイ「ふふっ。任せなさい!」

 

笑顔で向き合う二人。

しかしその笑顔の裏に、言い様のない不安を抱えていることは互いに了解していた。

 

 

 

 

エーリヒ「…何日ぶりだ?単なる誘拐犯を拘束するにしては厳しすぎないか」

はやて「色々と事情があるんよ。さ、始めよか」

 

逮捕後2週間が経ち、5回目の尋問が始まった。

 

はやて「今日は、うちの方からも話したいことがあるんよ」

エーリヒ「へぇ。何でも聞くぜ」

はやて「今日、あるなぞなぞの意味が分かってな、とっても気持ち良かったんや」

エーリヒ「……そいつは、俺まで嬉しくなっちまうな。どんな問題だ?」

はやて「答えに感動しすぎて、忘れてしまったんよ。でも答えは覚えてる。“黄色い紙”やった。そのなぞなぞ、聞いたことある?」

エーリヒ「…さぁな」

はやて「そっか。じゃ、この前の尋問の続き、始めるね」

 

そこから30分、エーリヒの身元を探ろうとする尋問が続き、はやてはその場を後にした。

エーヒリは再び、目隠しをされて檻の中まで連れ戻された。そこでようやく目隠しを外される。

 

エーリヒ「どうやら、上手く伝わったみたいだな…」

 

エーリヒは、牢の真ん中に立ったまま、天井を仰いだ。コンクリートの打ちっぱなされた天井や壁は、見渡す限り灰色一色だった。

 

エーリヒ(頼む…俺たちの計画――兄さんを止めてくれ!)

 

 

――――第3話へ続く

 

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