魔法少女リリカルなのは―Mission Code"N"―   作:あじめし

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第3話「抹消」(前編)

はやては、エーリヒとの会見の後、地上本部にある自分のオフィスに居た。

そこで、次元間通話装置を使って、本局の無限書庫司書長であるユーノ・スクライアに連絡を取った。

 

ユーノ『はやてが言った通り、こちらで調べれば良いんだね?』

はやて「うん。最初にも言ったけど、あくまで内密にね」

ユーノ『分かった。……はやて、何か危ないことに関わってない?』

はやて「まだ詳しいことはユーノ君にも話せない…ごめんな」

ユーノ『ううん。しかるべき時に聞かせてくれれば良いんだよ。それじゃ、何か見つけたら連絡するよ』

 

ユーノとの通話を終え、はやては地上本部を後にした。

それから信頼できる部下が運転する車に乗って、帰宅の途についた。

 

はやて(彼の手紙が真実なら……)

 

はやては、その日の朝に回収した“黄色い紙”を懐から取り出す。

エーリヒとの会話の中で、彼が回りくどい形で伝えてきたメッセージ。まさかCカップが表す数字――アンダーとトップの差“15”センチが、彼が拘束された駅の貸ロッカーのナンバーを示しているとは、はやても面食らった。

もちろん他にも“15”を示す暗号はあったから気付いたものの。

 

はやて(早く手を打たないと…)

 

はやてが握りしめる紙には、彼が伝えようとした“恐るべき計画”の全貌が綴られていた。

もしこれがすべて事実であるならば、管理局…いや、この世界にとって、とてつもない災いがもたらされてしまう。

 

リィン『はやてちゃん!』

 

はやては、融合デバイスのリィンフォースⅡからの念話に応答した。

 

リイン『はやてちゃん!?今どこですか?』

はやて「今帰る途中やけど…何かあったん?」

リイン『たった今連絡があったですよ。はやてちゃんの家が火事だって』

はやて「家って…クラナガンの!?」

リイン『はいです…それから、地上本部の捜査本部が…』

はやて「ヴィヴィオ誘拐事件のか!?」

リイン『誰かに燃やされたみたいです。怪我人も…大分いるみたいで…』

 

その瞬間、はやての脳裏にある情景が浮かんだ。

それは、あまりにも唐突で、

あまりにも恐ろしい想像だった。

 

はやて「車、道から外れて!」

部下「え、でも…」

はやて「いいから早――――」

 

はやては悟った。

気づくのが遅すぎたと。

最後にできたことと言えば、

前方に背を向けシートの後ろに隠れるようにして身を屈める程度だった。

 

巨大な爆発音が、夜の交差点で空気を揺らした。

 

 

 

 

 

魔法戦記リリカルなのは――Mission Code-N――

第3話「抹消」

 

さかのぼること15分前、地上本部の局員食堂にて。

スバル「ふぃ~今日の訓練疲れた~」

部下「そんなだらしない顔、他の隊員には見せないでくださいよ。それでは、失礼します!」

スバル「分かってるぅ~。また明日!」

キャロ「その声…もしかしてスバルさんですか?」

 

後ろからやって来たのはスバルにとっては懐かしい顔ぶれだった。

 

スバル「キャロっ!久しぶり~!」

エリオ「お久しぶりです、スバルさん」

スバル「エリオ!二人揃って地上本部に来るなんて、珍しいね。お休み?」

エリオ「本部に用事があって。それで途中で寄ったんです」

スバル「そっかぁ。この前は都合つかなくなって会えなかったもんね」

キャロ「すみません…私が迷子になっちゃって」

スバル「まったく、キャロらしいなぁ」

エリオ「ティアさんはお元気ですか?」

スバル「もうバリバリの執務官だよ。今は別世界で任務だって」

エリオ「そうですか。こっちはこっちで色々―」

局員A「きゃーっ!!!」

スバル「何!?」

 

スバルが悲鳴のする方を見ると、食事中だった女性局員が胸を押さえ、苦しんでいた。

 

局員A「ねぇ、ねぇってば!大丈夫!?」

 

隣にいた局員が必死に呼びかけるが、女性局員は苦しみ続け、ついに動かなくなった。

 

局員B「うっ!」

 

今度は別の場所から声がした。

そこでも同じように食事中の局員が苦しみ始め、動かなくなった。

 

スバル「エリオ!キャロ!まだ何も食べていない?」

エリオ「ま、まだ何も。ねぇ、キャロ?」

キャロ「う、うん」

シャマル「みんな落ち着いてっ!医療局の者です!」

 

慌てた様子で食堂に現れたのはシャマルだった。

それと同時に、3人目の被害者が現われた。

 

シャマル「私の声が聞こえますか?」

局員C「あ…がっ……」

シャマル「……皆さん!食堂から出ないで!すぐに捜査官が来ますから」

 

それからすぐ、数人の執務官と補佐官が食堂にやって来た。

 

局員D「お、おい!あれ見ろ!」

 

ある局員が大声をあげて窓をを指さした。

その先に見えるのは、隣りのビルの窓から煙が上がっている様子だった。

 

キャロ「大変!火事ですよね?」

スバル「消火に行かないと!」

フェイト「スバルっ!!」

スバル「フェイトさん!?」

フェイト「事情は説明しておくから、スバルは事務局の消火に向かって!」

スバル「は、はい!」

フェイト「エリオとキャロも手伝いに行ってくれる?」

エリオ・キャロ「はいっ!」

シャーリー『フェイトさん!緊急伝令です!』

フェイト「こっちはもう現場だよ」

シャーリー『別件なんです!第13拘置所に襲撃者が現われました!その鎮圧に向かってください!』

フェイト「13…あの誘拐犯の?」

 

ドーン!

その時、食堂近くの隊舎から爆発音が響いた。

 

フェイト「こっちもまずいよ…!隊舎が爆破されてる…」

なのは「フェイトちゃん!」

フェイト「なのは!」

 

教導の事務作業帰りのなのはも、事態を察知してやって来ていた。

 

なのは「拘置所の方は任せて。フェイトちゃんはこっちをお願い!」

フェイト「う、うんっ!」

なのは「じゃあ…行ってくる」

 

なのはは食堂の窓ガラスを突き破り、空へと上がって行った。

 

フェイト「シャーリー、拘置所にはなのはが向かったよ。私は局内を回ってみる」

シャーリー『気を付けてください。さっきの報告だと、局内だけで5か所で爆発が起きてます。いずれも…被害者ありです』

フェイト「誰かが侵入したのかもしれない。すぐに向かう!」

 

フェイトは爆発が起きた隊舎へと向かった。

そこは、ヴィヴィオ誘拐事件の捜査本部が設置されている建物であった。

 

ドーン!

 

フェイト「爆発!?」

 

音のする方へフェイトは走った。

次第に黒煙と煙臭さがフェイトの鼻をさす。

 

局員E「げほっ!げほっ!」

フェイト「大丈夫ですか!?」

局員E「室内に、まだ、人が…!」

 

真っ黒な煙は、捜査本部が置かれている部屋から溢れ出していた。

 

フェイト「分かりました。誰か聞こえますか?!」

 

濃い煙の中をフェイトは進む。

 

ネイ「フェイ、ト?」

フェイト「ネイっ!!」

 

燃え盛る扉の前で、ネイ・ノートルアはうつ伏せで倒れていた。

フェイトが抱き起こしたネイの衣服は、黒焦げで所々が灰のようになっていた。

そしてフェイトの手に、ねっとりとした血の感触が伝わって来た。

 

ネイ「私、は…大丈、夫。それより……」

フェイト「しゃべっちゃダメ!すぐに医療班を呼ぶから」

ネイ「早く…行っ…て……は、はや…てが…」

フェイト「はやて?」

ネイ「はやてが……危ない…!」

 

 

―――中編へ続く

 

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