いつも閲覧ありがとうございます。
今回の話は、ある意味重要な話です。
しかし、物語はまだ始まったばかり。
読者の皆様は、登場characterの目的や心理を詠めるでしょうか?
あれから、カフェをあとにした俺と藤原さん。気まずい空気のままの二人、だな。
「…あのさ!」
「ん?」
元気無いなぁ…。全く、俺の顔面を殴った元気はどこにいったのやら。しょうがないなぁ。
「里、案内してよ。ほら!早く早く!」
俺は、藤原さんの手を引っ張る。やや、強引に引っ張られて藤原さんは、バランスを崩しそうになりながらついてくる。
「あ、ちょっ!無理矢理引っ張らないで!そ、袖が!」
「俺は、里を全然知らないからさ。郵便局を建てるために土地をまずは知らないとね。」
「…そ、そうだな!仕方ないわね。順は。…私が教えてあげる。」
少しずつ笑顔が戻ってきたかな?藤原さん。俺は、立ち止まり藤原さんと向かい合い笑みを浮かべる。
「そーそー。教えてもらうのは、"今"しかない。"さっき"でもない"今"なんだ。俺は、"今"を満喫したい。」
だって、辛い過去を引き摺っても悲しいだけだろう?
「ん、そうだな。…たしかに、今を楽しまなきゃ損だな。すまない。」
少しずつ彼女の瞳にハイライトが戻ってくる。もう一押しかな?
「気儘に暮らせば良いさ。悲しいことなんて時が忘れさせてくれるさね。今を楽しいって思えなきゃ、これから先も楽しくなくなるさね。」
「良いこと言うじゃないか。もう、ずっと昔に、誰かに…昔同じことを言われた気がするわ。千年前かもしれないけど。」
ん?千年?!ってことは?死なない人間?
「あー、もしかして噂の死なない人間?」
御名答といった表情をする藤原さん。
「そうよ?…ってあれ、知らなかったの?」
蓬来人については射命丸さんから聞いていたけど、一緒に珈琲を飲んでいた相手がまさか不老不死の人間だったとは。
「あれまー、びっくりこくね。こりゃ。」
「そうよ、まぁ、髪は白くなっちゃったけど一応蓬来人よ。」
藤原さんは自分が蓬来人であることを明かしてくれた。
「不老不死か。人間誰しもが憧れるがやっぱりなりたくはないな。あははー」
「なりたい?なりたいなら私の生き肝食べればなれるわよ。蓬莱の薬がたんまり蓄積されているから。」
うわー。えげつないこと言うなこの藤原さんは。
「マジで死ぬときになったら頼むわ。…マジで死ぬ瞬間は何度もあったけど…。」
「ん?そうなの?」
藤原さんは、少し興味深そうに食い付いてくる。
「普通の人なら絶対死んでいるだろーって感じの事故にあったりとか、妖怪の山の滝からダイブしたりとか、天狗たちの鎌鼬に身を削られたりとか…。」
藤原さんは、俺の隣を腰に手を当てながら歩いて興味深そうに話を聞いている。
「チッチッ、そんな程度じゃ蓬来人の足元にも及ばないわ。」
何だかんだで少し表情よくなったじゃないの藤原さん。人差し指をたてて揺らしてどや顔!元気なのが一番だよ。
「うん、やっと笑ってくれたか。」
「ん?」
藤原さんは小首を傾げる。
「元気が出てよかったなぁってね。」
「くすっ、そうね。お陰で元気でた。ありがとう、順。」
蓮華の花の可憐さを含んだ上品な笑顔が見えた気がする。
「なーんもしてねーよ。俺はなんも考えずに話していただけさ。」
「謙虚なのね。天狗みたい。」
天狗か。山の神に失礼だぞ~?その喩えは。
「そりゃ、天狗に失礼さ。」
「そうね。天狗になっちゃったら焼き鳥食べれないもんね。」
「焼き鳥かぁ。美味しいよね」
俺の言葉に藤原さんは、お?と言う表情をする。
「焼き鳥好きなの?」
「うん。焼き鳥好きだよ。よく自分家で、コンロに炭入れて炭焼きの焼き鳥食ってたよ。」
ふーん。と藤原さん本当になんか楽しそうだな君。
「焼き鳥の良さが解るなんてなかなか順も見所あるじゃない。」
「藤原姉貴あざーっす。」
「姉貴は、恥ずかしいから妹紅でいいわよー。」
なんだろうな。幻想郷に来てから気楽に話せる人が二人もできた。まぁ、それでこそ出会い方は最悪だったが良い友情を結べそうだ。
「…ところで俺を何処ぞに案内してくれるんだ?」
「そうね。強いて言うなら…。気まぐれに歩いている?良い機会だし一応、里でのルールを教えておく。里では、戦闘を行わない。犯罪はダメ絶対。困っている人を助け人間性を大事に。あとは、てきとーに。」
最後適当か。おいおい。
「どこか、住めそうな場所があれば良いのに…。」
「そうね。住めそうな場所って意外とあるけど、財布と相談ってやつよ。もし、お金がないなら土地代のかからない里の外もあるけど、おすすめはしない。」
幻想郷は、幻想とついているけど意外と金にシビアなのはわかった。里の外をおすすめしないのは、やはり、危険だからだろうな。
「郵便局を作るには、やはり里の中心部だな。人が集いやすく、分かりやすい場所であるのが一番。」
ふふっ、と笑う藤原さん。
「まるで、新しい玩具で遊ぶ子どものように無邪気。でもまずは郵便局よりも大事なのがこれからの生活をどうするか、ね?」
そうか。そうだな。ここで生きていけなければ郵便局を作るなんてことは、夢のまた夢。叶わなくなってしまう。
「そうだったよ。わすれたちんちんだった。」
「一応、貴族の娘だったとかそんなとかどうでもいいけどレディの前でその、その言葉を言うのは些か配慮不足だぞ。」
藤原さんは、ほほを紅く染めながら口ごもった。
「あー、すまん。つい、話しやすくてね。」
「…。」
やばい、なんか話しづらいぞ。気まずいぞー!!とりあえず、話題を逸らさないと。辺りを見回すと、屋根の上とかに止まっているカラスが目に入る。
「…あ、あー!こんなに、カラスがたくさんいるなんて、幻想郷はスゴイトコロダナ~」
ええい!カラスよ!話題のネタになってくれ。
「…ん。そうだな。少し妙だな。」
「話題を振った本人が言うのもなんなんだけど、そうなの?」
少し真剣な表情で藤原さんは辺りを見回す。
「そうよ。大抵、辺りには天狗が…。」
藤原さんが言いかけたときだった。
ピトッ
なにか柔らかいものが俺の背中に当たっている感覚。首に手を回して後ろから抱き締められているようだ。
「癒されますね~。」
耳元で囁かれる聞き慣れた女性の声と吐息。
「うひょぁ?!」
奇声をあげる俺に釣られて、藤原さんはこちらを見る。
「しゃ、射命丸文っ!」
「あややや。EXボス、どうしました?顔なんて紅くして。」
藤原さん、少し怒っているのだろうか。瞳に炎が灯っているようだ。
「そいつから離れろ。天狗。」
「怖いですね。まったく。炎を引っ込めたらどうです?里が燃えてしまいますよ?」
やれやれといったご様子で、射命丸さんは、俺から離れる。
「はん。生憎だけど私は、ちゃんと里が燃えないように、妖力を管理できる。危険度高の貴女と違ってね。」
射命丸さんの挑発に乗る藤原さん。やばいぞ!二人とも喧嘩になる!!辺りを見回すと、里の人たちが怖がって散りじりに逃げ始めている。
射命丸さんの力は迷いの竹林で把握している。尤も、本気とは言っていたが彼女は些か余裕がある表情をしていた。そして、今も…。
対する藤原さんは、力を見たことはないし未知数だ。だからこそ、危険だ。見たところ火の術?と言うのかな?握られた拳から火が灯っている。このままでは、里が危ない何れにしろ…。
「旋符 紅葉!!」
射命丸さんは、葉団扇を振りかぶり、辺り一帯の風を葉団扇に収束させる。
「不死 火の鳥ィ!!!」
藤原さんは、手を衝き出し、手のひらに炎を溜め込み小さな火の鳥を作り出す。その火の鳥は、徐々に大きくなっていき産声を上げる。まさに、フェニックス…。
「二人ともぉ!!」
やばい止めなきゃ!!!
「扇風!」
放たれた数十メートルに伸びるほどの高さの竜巻。
「鳳翼天翔ォ!!!」
そして、手の中から、巨大なフェニックス(火の鳥)が放たれる。
そんな光景のなかで何故か、俺は走っていた。…逃げたわけではない。寧ろ、その逆だ。俺はーーー
「はやまる…ナァァァァア!!!!」
二人の攻撃の間に割り込むように飛び込んでいった。
「順!?」
「順さん?!」
俺は、その刹那。死を覚悟した。素直に逃げようと思えば逃げた。だけど、俺にはそんなことは出来ない。
この里が壊れるかもしれない。そんなことになれば、ここにいる人も生活できなくなってしまう。だからこそ…。この、タフな身体で…!!受けきる!!
ドガガガガガガガ!!!
火の鳥に呑み込まれ、燃え上がる躯。激しい風圧と噛み千切られるかのような痛みを感じる四肢。だが、不思議と死なない気がする。
俺の目の前には、何処から 現れたかわからない黒い羽根。その羽根は発光し"ある姿"となる。
それは、"俺が不死身"とか"無敵"とかちゃちなものではなかった。
護られているというのが正しいのだろうか?あの隙間妖怪が仄めかした存在に…。
そこには…"彼女"がいた。危機迫るときに視えた彼女が…。
『鞍馬様、お気をお確かに。』
黒翼を持ち、虚ろな蒼い瞳を持ち、射命丸さんとは瓜二つの外見。ただ違うのは、服装。山伏に似ている。手には、望月に似た金色の柄を持ち、黒い葉団扇の紋様の鍔に、紅い刀身の刀。
"彼女"は、刀を振るい火の鳥を食い止め、竜巻にはその自らの翼を以て防ぎ、俺を護ろうとする。
『鞍馬様漸く御会いが出来ましたね。…この私があなたの御身を魂にかけて御守り致します。あなたが我等が群の翼であり続ける限り…!』
抉られる翼。熱で焼ける腕。彼女は、火傷と切り傷でその身を削られる。
「…俺は、君を知らない。」
竜巻と火の鳥は混ざり合い爆風と共に相殺され、辺りにはそよ風と、火の粉が舞っている。地面に仰向けで倒れ、呆然とする俺に、彼女は少しフラフラになりながら片膝をつき一礼した後、凛とした表情でこちらに微笑む。が相変わらず眼は虚ろ。
『今は、知らなくても良い。私"たち"はあなたの剱であり、羽根。そして、一つの翼であると。』
そう告げると、彼女の体が徐々に消えていき黒い羽根となり風に流れるように…胸ポケットに入っていく。
「あ…あぁ…」
それと同時に、麻痺していた痛みが蘇りのたうち回る。
「イデデテテデデテデテデテ!!!!!!」
「…っ?!」
「順さん…!!!ああ、なんてことを私は…。」
まじでかよ。妖怪の山での苦痛がもう一度かよ!!!!くそが!!!ちんこおおおお!!!
のたうち回りながら俺は天狗と不死身人間に、介抱されながら寺子屋に運び込まれ、上白沢さんはびっくりするし、たまたまその事件を見ていた優曇華さんが駆けつけてくれて治療してもらい、なんとか死なずに済んだ。
が、約束がひとつ果たせなかった。
「あの人…。来ないのかな。」
鈴音庵の店長こと、本居小鈴は、未だ来ぬ人を待ち続けて夜も更けていくのであった。
◆ ◆ ◆
「なるほど。見せてもらった。」
「私は私の目的があるから、"あれ"を利用させてもらうわ。」
「ふーん、独り占め?」
「"あれ"は、儂にこそ必要なもの。」
「では、競争といきましょう。」
「うむ。」
「なるほど。」
「誰が"あれ"を手に入れるか。」
「"あれ"は、魔界にこそ必要。幻想郷と繋がるために。」
「だが、"あれ"は、まだ生まれたて。育てなければ。」
「この幻想郷の」
「この魔界の」
「妖怪の山の」
「ーー未来のために。」
To be continue →
少し大げさな伏線を残しました。といってもみんななんだかんだで伏線残してるんですけどね。
余談ですけど、3て数字良いですよね
さてさて、今後はどうなってしまうのか!!!
それは、秘密。