今回は、かなりダークな一面があります。が、このダークさがのほほんとした日常系の郵便局員が幻想入りの背後の物語になります。
本来は、書く予定ではなかったのですが、少し裏も知っといた方がいいかなーと思いまして。
「この羽根、取れないですね…。」
私は、順さんの胸ポケットに刺さる黒い羽根を触る。うん、いい感じに進行しているようですね。
「この羽根とれないですねー。じゃないわ!!!このアホ天狗!」
ゴチーーーン!!
「あやぁ…。」
良い音が宿の部屋の中に響き、私の頭に拳骨が落とされてしまいました。痛いなぁ。
「神社でお茶飲んでたらあんた達三人のせいで、人間の里は大変なパニックになるわ長老からの抗議を受けるわ事後処理やらなんやらしなきゃならなくなるし…。ふざけないでよね。」
ははは、霊夢さんすいませんね。ここは謝りましょう。
「す、すいません。霊夢さん…。」
「私がもう少し大人だったら…。」
正座して、説教を受ける藤原さんと私。その目の前には、楽園の素敵な巫女さんの博麗霊夢さん(14歳)。怒りが収まらない様子。
「そこのあんたも、なんでぶつかり合おうとしたスペルに当たりに行こうとしたの?スペルカードルールでは、確かに死なないけれど、それは力をある程度持っていたらの話。一般人のあなたは運悪かったら死んでいたかもしれないのよ?!」
息を荒げながら順さんに罵声を浴びせている博麗さん。ふふ、でも命に危険があったとしても順さんの行動は正しいと思いますよ?被害を加えた加害者の私が言うのはちょっと違うかもしれませんが。
「まぁまぁ、霊夢。私に言わせれば、こいつ(順)がとった行動は正しかったんじゃないか?」
普通の魔理沙さんがまぁまぁと霊夢さんの肩に手を乗せて、それくらいにしてやれという表情で順さんを庇う。少し嫌な気持ち。でも、今は少し我慢しておきます。
「魔理沙。…そうね。確かにこいつがした行為は攻撃を減衰させるための機能を果たしていて、建物への被害も最小限になった。本来なら、あなたに礼をしなきゃならないのだけど…。」
起きちゃったことは仕方ないか。といった表情で霊夢さんはふぅ、と頬を緩めました。
「正直なところ勇敢な行為よ。でもね、外の世界に帰りたいならこの行為は間違っていた。それは、わかってね。」
博麗さんは少しだけ順さんに微笑み、私と藤原さんには鋭い眼光を向け、はぁ…と溜め息をつく。少し怖いですね。睨まないでください。
…とは言え当の順さんは無神経すぎます。
「本来なら、退治対象にしたいとこだけど、そこの被害者が温情ある判断をと言ったから今回は退治しないわ。でも、次あればただでは済まさないから覚えておくのよ。」
そう言って甘過ぎるわよと順さんに視線を向ける。…中立的な博麗の巫女にしては、甘い判断かと思いますよ?…とは言え、こちらの思惑通りに物事が運べてよかったですね。順さんに思いを気づいては貰えていませんが。
「ありがとう博麗さんと霧雨さん。俺自身甘いのはよくわかっている。けど、やっぱり友達って大切だからさ。…だから、今回は見逃してくれて本当に助かる。」
順さん…。時々ズルいですよ。そんな表情されたら少し…ううん。ダメダメ。見ちゃダメ。
「体を張って里を守った英雄の要望を断っちゃ私たちもあまりメリット無いしな。寧ろそういう風に友達として考えてくれててよかったぜ。」
魔理沙さんは、霊夢さんと違って能天気な表情を浮かべてうんうんと頷いていますが何を考えているのでしょうか。彼女は、ただそれをしたいだけなのでしょうか。
「私からも礼を言わせて。順。」
藤原さんは、少し申し訳なさそうにしながら耳に口を近づけている。私の順さんに触れないでくれます?
「…また、その。里を案内してあげるわ…。だから…その、えーっと…良くなってね。」
囁いていますね。少し怒りましたよ!私は、反対から攻めます!
ドンッ
ほらほら、臭いつけちゃってますよ?マーキングですマーキング。そのついでに…。
「順さん、女将さんがなにたべたいー?ってさっき聞いてましたよ。ほら、順さん私をたb」
べてください!と言おうとしたのに、順さん暴れますねー。
「あのさー。言わなかった?熱いぞお前ら!はなれろぅい!おかみさんには鶏肉が食いたいって言っといてくれ!!」
遠回しに私を食べたいってことでしょうか?いいですよー?
「私を御所望ですか?」
「文を燃やせばいいのか。わかった。」
こらそこ手に炎を灯すの見えましたよー?
「わかったーとか、御所望とかじゃなくてなー!あついい!!」
さらに暴れますね。ふふ、顔少し赤いですよ?順さん。とりあえず振りほどかれておきましょう。
「あやややや」
「きゃっ」
「はぁ…ほら、あんたたち怪我人を弄るのはそれくらいにして、ちゃんと長老に会いに行って謝りにいくわよ。」
やれやれと霊夢さんは、面倒くさそうな顔をして私と、藤原さんを呼ぶ。もう少ししっかりと彼に刷り込みたいんですがね。仕方ありません。彼に手を出すものがいないか鴉を警備に回しておきましょう。雛を拐われては困ります。
「あややや。行きましょう妹紅さん。」
「そうだな。では、またな。順。」
藤原さんと私は、一足先に部屋から出ていき、私は残る。部屋を出ていく際に霊夢さんは一言言いました。
「迷い道に入る前に戻った方がいいわよ。麓に戻れなくなるから。」
その一言を残し、霊夢さんは部屋から出ていく。…なるほど、こちらの思惑はわかっている可能性があると。彼女は順さん(人間)の味方と言うことですか。
「急げよ。」
魔理沙さんもそんな言葉を残しているようですね。…この二人はやはり危険な存在。邪魔させないようにしたいところではありますがどうしましょうか。ですが、あちらも同じ。順さんからの真の信頼を勝ち得ていない。つまり、こちらの思惑を伝えたところで彼には信じてもらえない。
懸念すべきは……彼か。
「文、あんた何か悪いこと考えているでしょう。」
「は、はい?一体なんやら?」
霊夢さん警戒しますね。博麗の巫女は無意識なのか歴代ともに鋭い感性を持っています。
「何がともあれ、"あれ"は歪めかねない争いの種で希少な妖怪のひとつ。厳密には妖怪ですらないかもしれないけど。あなたたちも気を付けることね。」
そう、霊夢さんは私たちに釘を刺す。けど私は、ただ順さんを外の世界から救い出したいだけ。
「あんなの普通の人間。…ちょっとスケベだけど。」
…藤原さん。彼は渡しませんよ?
兎も角、彼も現から幻想に変われば幻想郷で暮らすことができる。かつて幻想郷が出来て私たちが避難して来たように。彼が外の世界で手を汚して悲しまないで済むように。
彼の結末が頭を過る。誰かの手に抱かれ、そのまま粉となって消えた夢。彼に会ってからずっと見ている。
彼を壊させない。絶対に。彼を護る。
「そんなことありませんよ。霊夢さん。彼は、普通の人間ですよ?」
敢えて嘘をつく。彼への関心は幻想郷に広がりつつある。カラスはそれをよく見ている。
「…今はね。」
霊夢さんは、一言だけ告げてつかつかと人間の里の長老のところへ向かっていく。私も続いていく。宿の外にでたときに、屋根の上に止まっている鴉を見る。
「彼を見守って。何かあれば報告を。」
言葉に出さず口を動かすだけで伝え、私たちは霊夢さんに着いていく。
長老の屋敷は大きい。一体維持費はどうなっているのだろうか。召し使いが数人いるのが見える。
「こちらへ。」
案内された先は、会議室のような広い場所。
奥の方で長老が座布団に座り、その手前側の左右に慧音さんと着物を着たおかっぱ頭の少女稗田阿求さんがいる。二人とも真剣な表情をしている。
「…それでは、藤原妹紅と射命丸文の違反についての決議会議を行います。まず、状況説明。昨日午後二時頃豆腐屋の前で射命丸文と藤原妹紅による弾幕戦がありました。特例を除き、弾幕戦を禁止している地域である人間の里において違反についての真偽の有無について二人とも偽りではないですね?」
慧音さんは、すごく真剣な表情です。霊夢さんもまた然り。
「「ありません」」
私たちは、口を揃えて言う。
「では、何故あなたたちは、この人間の里にて、弾幕戦を行ったのか。その理由を述べてください。藤原妹紅。」
「外の世界から来た順と人里について紹介していたら、射命丸文が乱入してきて喧嘩を吹っ掛けられたからだ……です。」
阿求さんは、その言葉をメモにとる。
「では、射命丸文。何故、人里で喧嘩を仕掛けたのか述べなさい。」
そうですね取られたくなかったからって言葉じゃダメかもしれないので…。では、ここで喧嘩を仕掛ける前に撮ったあの写真を利用させていただきましょう。
「証拠品です。これで、喧嘩を吹っ掛けたりしたわけではないということを理解していただけると思います。」
そう言って一枚の写真を、風にのせて長老へ飛ばす。その写真を見た長老が目を見開く。
「なんだこの女は。」
その写真に写っていたのは順さんを護っている守護霊の写真。守護霊は藤原さんに刀を抜こうとしている。
「危険が迫っていると感じて、私は妹紅さんを護ろうとしたのですが、勘違いされてしまったらしく…。」
少し悲しそうな表情を浮かべておきましょう。妹紅さん何か言いたそうな顔しないでください。わかってますって!ここは口裏を会わせてください。
「そ、ソウナノカー、ソレハヒドイコトシタナー…」
妹紅さん棒読みしないでください。
「文の写真のそれは被害者の守護霊。彼女は、私が被害者の部屋に入ったときにも剣を抜いたわ。恐らく、見ず知らずの場所に被害者を連れてこられたから緊張していたのかもしれないわ。」
と霊夢さんは、写真への指摘と解説を含ませて長老に証言する。
「ふむ。して、その被害者は何処より此処(人間の里)へ?」
「外の世界です。妖怪の山で死にかけていた頃を私が助け、色々あって人間の里まで送り届けました。多分、今ごろどこか外出しているのではないでしょうか?」
私ははっきりと答える。と言うのも順さんの行動はすべて鴉が監視しており、その情報はすべてnowな状態で私に届けられる。
「ふむ?報告によれば瀕死の重傷だったと聴いたのじゃが…。」
長老は、目を細めて疑いの視線を私に向ける。
「まぁ彼は…。」
彼の正体は知っている。私は。だけど、この場で言えばあらゆる場所で"その存在が確定してしまう"ので私は敢えて言いません。
「薬売りに治して貰えたからです。薬売りは、瀕死の彼を治せるほどの秘薬を持っていました。」
優曇華さんごめんなさい。なんとか誤魔化してください。
「なんとまぁ。今度ワシも薬売りにその薬を分けてもらいたいのぉ。………して、射命丸文。そなたは何故、あの人間の男に取り入るのじゃ?」
にこやかな表情を浮かべ、長老はうっすら瞳を開ける。…なるほど、この長老も彼を狙うか…。
「単純に彼が気に入ったからですよ。彼は、嵐となる。風は嵐に惹かれるものです。」
彼は、嵐。伝説である。彼は今はその力を秘めておりまだその力を開花していないですが、無限の可能性がある。
「フォッフォッフォッ成る程なぁ…。嵐と来たか。そうかそうか。お主があれをどうしたいか解った。」
「長老どういうことですか?これは、審議とは関係がないと思いますが。」
阿求さんが横から食い付く。
「否。この審議は偽りじゃ。あれの正体を知る上での捜査じゃ。ワシもあれについて、かなり興味があるのうて。稗田阿求。願いがあるとすればどんな願いがある?」
「え?あ?願い?」
いきなりの長老の問い掛けに、阿求さんは少し戸惑っているようですね。
「つまり、そういうことじゃ。あれはそういうものじゃ。」
まずい。順さんの正体をこの長老も勘づいている様ですね。…さて、どうしたものか。
「十二分に審議。否捜査を行えた。お主らの罪は……不問とする。」
そう言った長老に霊夢さんは食い付く。
「待って。長老。あなたは彼を使って何を望むのよ!」
「人間の地位の向上じゃ。今の人間の里は、地を這うワラジのように妖怪に怯えながら暮らさねばならぬ。ワシらは、あれを使っていろんな場所に自由に行き来出来るようにしたいだけじゃのうて。」
「そんなのって…!」
私が口を挟もうとしたのを霊夢さんが割り込む。
「それについては、妖怪の賢者に話をつけるわ。どうか、彼を狙うのはやめてあげてくれないかしら?」
「すべての妖怪が聞くはずがなかろうて。現に人里の外に出たら、あの吸血鬼の下僕は人を拐う。あとは判るじゃろう?」
レミリアさんのメイドの十六夜咲夜さんですね。こればかりは、霊夢さんに止めてもらうしかなさそうです。
独断専行で私が動けば、山が黙っていないと思いますし。
正直、何故天魔様が順さんに随伴することを認めてくださったのかもすごく不可思議です。根深いですね。
「分かったわ。やめるように伝えてはみる。」
「うむ。…良い結果が来るのを期待しておる。では、諸君ら、ご苦労じゃった。これにて審議を終了とする。」
そう言ってにこやかに手をパンと叩く。…待って、あの長老はやめるとは言った。審議は…。でも、順さんになにかするというのはやめるとは言っていない。
「では、私はこれで。」
口早に告げると、私は畳んだ翼を羽ばたかせ飛び上がる。
「…察しが良いのぉ」
一言聴こえたのを尻目に私はそこら辺を飛んでいる鴉たちに情報を聞き出す。
「彼はどこ?」
「ガァ!(飯休憩で見てなかったから見失った!」
なんてこと。肝心のことを忘れちゃダメでしょ。…とりあえず彼がいるところと言ったら…。
自分の直感を信じて香霖堂へ飛んでいく。
「順さん…」
やがて見えてくる香霖堂。
バサッ
私は、ふわりと地面に降りる。
「…居るとしたらここだと思いますが…。」
To be continue →
いかがでしたでしょうか?物語には裏があるのです。次回からまた、順視点になります。
あと、お気に入り、感想ありがとうございます!
因みにマルチエンディングなのです。(最後の選択肢以外は標準ルートですが
それでは、頑張って書いていきますのでよろしくお願いします、