俺が気がついたときには、午前中だったはずがなぜか夕方になってしまっていた!俺は、最近気を失いすぎではないのか?そんなことを思いつつそういえば昨晩からずっと起きていたのだったな忘れていた。そんな意識をしょっちゅう失う俺だが都合よく記憶はなくならない。なくなってはほしいのだが如何せん人とはなかなか不便なものだ。俺の視線に在るのは畳!ジャパニーズカーペットである!ディスイズTATAMI!
「なにか言うことはある?」
開口一番が、これである。そう、前回俺は色々やらかして現在正座中である!というか土下座中である。ええ。こともあろうが、前方不注意と速度超過により、藤原さんの股間に頭を突っ込ませてそのまま、壁に押し付け股の間で息をしてなんか喘がしちゃったっていうのは覚えている。
「なにもございまぜん…!!」
グリグリグリグリと頭を踏まれる。踏んでいる当の本人は、かなりお怒りのようで鬼のような形相。上白沢さんもまた、お怒りで少し険しい表情を浮かべている。が、どこか本気で怒っている感じではないのが薄々伝わってくる。
「本当にすいませーんでしたぁぁ!!!!」
「…じゅんさん…あのですね。さすがに女の子の股間に凸はちょっとかなり不味いと思うんですよね。」
そういいつつ文は、少し上機嫌だ。何故上機嫌なんだ。しかも然り気無く手帳になにか書いている。まさか、新聞のネタか!?
というかこれは、訴訟されるだろう。幻想郷に裁判所があるかどうかは知らないが。
「おっしゃる通りでございますはい。ええ。」
もうやけくそになっていた俺は、目が死んでいた。ああ、そうだとも。俺が悪いんだよぉ!!!うわーーーん!
「順。そこでだ。お前に、責任を取ってもらいたい。」
今まで沈黙を守っていた上白沢さんが口を開く。俺が顔を上げるとまっすぐとこちらを見つめている青い瞳。
「…なんでもしますから!!!許してください!」
「ん?なんでもするって言ったな?」
藤原さんが、ちらりと上白沢さんのことを見る。すると上白沢さんは、真剣な表情で頷く。
一体なんなんだ!!藤原さんは、意地悪く笑いながらぽきぽき手を鳴らし立ち上がる。おおう、俺は地雷を踏んでしまったようだぞ?
「か、覚悟はできている。」
「…なら…責任は取ってもらおう。」
藤原さんは、ゆっくりと歩んでくる。拳に炎を灯して。眼には焔のように燃えている。
カシャカシャ!!
なんか隣で意気揚々とカメラのシャッター切る音してるよ!?まずいんじゃないの!?やばいって!!
ぐいっ
ひれ伏した俺の体を強引に起こす藤原さん。そして……。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!!!!
カメラ!お前は黙れ!!!頼むからぁ!!!
「ヒイィィィ!」
俺は、身を強張らせる。目を固く閉じ、防御体勢になる。これが自身を守ろうとする悪あがき!否!本能なのかぁぁ!!!!
「……。」
来るか来るか?炎の不死鳥!先日、里を焼き尽くそうなほど強大な炎の不死鳥が俺の体を魂すら焼き尽くすのか?!
長い時間が流れた気がする。俺は、とても気になっていた。いつになったら、俺の断罪が来るのかを。シャッター音は聴こえない。だが、代わりに文の悲鳴が聴こえる。
「だめええええ!!!」
「文さん?!」
思わず目を開けたときだった。
ぎゅっ。
「…。」
とても柔らかくて暖かい感覚。流れるような長い銀髪はまるで満点の星空のしたで視る天の川のように美しく、繊細だった。首の後ろに回された腕。華奢に見えるが程よく肉がついている耳元で聴こえる息遣いは、緊張しているのか少し荒い。また胸板に押し付けられた胸は控え目に見えて実は…柔らかかった…。俺はなぜ抱き締められているのだろうか?
状況が解らずふと、文の方を見る。文が手をこちらに伸ばし、走ってくる。あれ?お前遅くない?
「順。今回の一件は、そのお前が……そのわたしを…も、も、も…!!!きゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
最後の一言を聴く寸前、文が藤原さんに体当たりして、そのまま俺も巻き込まれるかたちで、吹っ飛ぶ。
「のぉぉぉぉぉぉあぁぁあ!!!!!」
ゴン。
途中で、文の風による風圧によって俺は藤原さん以上にぶっ飛び壁に叩きつけられ頭を打つ。
「射命丸文……なんてことを…。」
少し手前で転がっていた藤原さんが、少し恨めしそうに目の前に立つ射命丸を睨む。
「…ふ、ふ、ふ、ふりょのじこですよ!は、は、、は、はい!!」
文は顔を赤くしてパタパタと両手を動かす。が、無意識に葉団扇を持っていたのか、風が巻き起こる。
「のぉぉぉぉぉぉあぁぁあ!!!!!」
響く俺の断末魔。巻き起こった風により、なぜか俺だけぶっとばされ、天井やら柱やらに頭を重点的に衝突し、その過程で意識を失う。
風が止んだときには既に、俺は意識がぶっ飛んでいただろう。いや、まだ生きている…あぁ…。
三人の絶叫が脳内に響く。
「「「じゅううううううううううん(さぁぁぁぁん)!!!」」」
ぽっくり。
◇ ◇ ◇
「あんたが、会社経営うまくいかないから4580万円も借金背負っているのよ!!!」
目の前で、母親と父親が言い争っていた。
「大丈夫だって!このプロジェクトがうまくいけば!きっとこんな負債なんて!」
眼鏡をかけたひょろりとした細身の父親が抗議する。嗚呼、またか。毎度のごとく喧嘩してるよなぁ…。
隣をふと見る。
長い髪の緑色の毛の女の子。大人しそうな子。小学五年生くらいだったなこのときは。
「おにいちゃん。パパとママこわい。」
「そう、さなぁ。こわいな。だけど、みんな結婚したらこうなるんだよ。」
この時、俺は小学六年生。一歳差だった。この妹は、本当の血の繋がった妹ではない。だけど、本当の兄弟のように接していた。
「おにいちゃん、あたし、結婚したくない。」
体育座りして妹は、少し怯えた表情を浮かべる。
「そうさなぁ。俺のとーちゃんも俺が生まれてからずっと喧嘩しては離婚ばっかだし。」
俺は、母親を知らない。本当の母親を。父親しか知らない。
「いいか!順はな!!すごいやつなんだ!こいつの力を使えば、なんだって造れるしなんだって、蘇らせられる!!天狗にだって慣れるし、不死鳥にすらなれる!!」
父親の目は、正気の目ではなかった。俺の父親は、俺を育ててくれた。父親はなりに。
どこで、彼が歪んでしまったのだろう?
「あなたは狂っている!!」
母親は、金切り声に似た叫び声を挙げる。
痛いことも耐えてきた。辛いこともあった。
でも、育ててくれたからその恩を返したかった。
「僕の研究の価値がわからないのか…。じゃあ、ばいばい。」
そう言って、俺は父親に手を引っ張られていく。父親は、倒産して多額の借金を背負っても溢れかえるくそチャレンジ精神で俺が中学卒業するまでそのプロジェクトやらをしていたな…。
「おにいちゃん…。やだよ…あたしをおいていかないで…!」
徐々に遠くなる妹。妹が立ち上がって走ろうとすると"母親だった"女性が妹を引き留める。…妹とは五年間一緒にいて、愛着もあった。家族として愛していた。俺は手を伸ばそうとはしない。俺とは生きる世界が違う。俺が影なら、お前は光。光が溢れる場所で生きろ。お前は、"人間として生きろ"。
そして、多分…お前とはもう一生会えないだろう。だからーーーーー。
◇ ◇ ◇
「…しあわせになれよ」
滴がほほを伝う感覚。俺は、泣いているのか?優しく頭を撫でられている気もする。うっすらと目を開けるとそこには、心配そうに見つめる文と藤原さんの顔。
「…んぁ…。寝てたのかな?」
俺は、瞳から溢れた涙を袖で拭い微笑む。
「…順さん、魘されてましたね。大丈夫ですか?」
文は、空いている手を優しく握ってくれる。暖かい感覚、どこか懐かしくどこか愛しく、どこか…自分には無いもののように感じる。
「よしよし。」
お姉さんのように優しく頭を撫でてくれる藤原さん。
って!
「俺は、23だ…今年で24歳だ!…はずかしい。」
少しほほを赤らめてふて腐れてしまう俺。本当は、嬉しかったけどなぜか突っぱねようとしてしまう。
「あやややや。私からしたら23歳なんて生まれたてですよー?」
「私なんて受精卵程度に感じるぞ」
忘れてた。こいつら人間じゃなかった。1000年間生きているんだっけ?
「歳のことなんて考えてもしょうがないです。人生色々ですからねー。」
あははは、と文は力なく笑う。察したのか?藤原さんもまた、うんうんと頷き感慨深そうに何度も頷く。
「…べ、別に歳なんて気にしないさ。俺は。」
そう、ただ俺は自分自身が人間として生きることができればそれでいいのだよ。
「お、私に可能性がありそうだな。」
なぜ少しちらりとこちらを見て赤くなるのだろうか藤原さん。
「あやややや。やめてくださいよー。私に対していったんですから変なベクトル解釈しないでくださいよー。ゾンビ女。」
文はにこにこしながらも目が笑っていないそれでいて赤い瞳で藤原さんを睨む。あれ?怖い。
「ほぉ~どうやら、焼き鳥の肉が炭になりたがっているようだな?」
藤原さんは、ピクピク口角を痙攣させながら無理矢理笑みを作る。やれやれ。お前ら喧嘩するなよ。
「んで、俺の家になった家に何でお前らいるの?」
ぶっちゃけこいつら何時まで居るんだ?
「え?」
「ん?」
キョトンとした顔をしている。二人。一体こいつは何をいっているのかという表情だ。
「…なんでって?」
「私たち一緒に暮らすんですよ?」
んーーーー?!!どゆことだ!どーーーゆーーーことだぁぁあ!!!
「何を錯乱しているのでしょうか?順さんが、恩を返したいって言ったんですよ?」
えっとつまり……?
「一生賭けて私たちに恩を返してください!というか、一緒に○○○○とか…!○○○しましょう!!私、三人…その…ほs」
文は、いつにもまして顔を赤くしながら寝ている俺に対して腰をくねらせながら覆い被さり、囁く。重たいし、くすぐったいからやめてくれ。
最後まで言おうとしたときにそれを遮るように…
「はい、天狗の発情期はやめようなー?」
ゴスン!
「あやぁ!」
チョップの一撃が文の後頭部を捉えて鈍い音を部屋に響かせる。涙目になりながら痛いところを両手で押さえる彼女は痛そうに声無き悲鳴をあげていた。
文は、一体どうしてしまったのだろう。とりあえず、文は邪魔だから退かそうか。
「重い。」
ピチューーーン!!!
そんな効果音が部屋に響いた瞬間、文は白くなって固まっていた。
「順!いいぞ!効果は抜群だーーー!!」
ガッツポーズをとり、どさくさに紛れて抱きついてくる藤原さん。そこで俺も思うことがあった。
「暑苦しい。」
ピチューーーン!!!
藤原さんが、今度は真っ白になって崩れ落ちる。ごめんよ。だって、暑いんだもん。
「「ふっ…。ふふふふふっ!!」」
二人に色が戻り、二人とも顔を俯かせ怪しい笑みを浮かべる。
「な、なんだよ?」
そんな俺の問い掛けをスルーする二人。おい。
「なぁ、射命丸文。お前と共闘しようかなと思うんだがどうだろう?」
「藤原さんもですか。やれやれ、強引にでも順様の貞操を奪うことになるとはやはや…これは…。」
おーい。文、壊れてるぞ~。というか、藤原さん。文の予想外の返答に顔を赤くするな。
というか、やばい。逃げよう!!俺は、文を吹っ飛ばしてでも逃げようとする。が、がっちり押さえ込まれる。
隣ではどうしたら良いかわからない藤原さんが、あわわとあわてふためいている。つうか助けろよ。
「help meeeeeeeeeeeee!!!!!」
俺の断末魔が響いた。文はどうやら違う意味で臨戦態勢に入ってしまう。やめろおおおおおおおおお!!!
必死の抵抗をする俺。布団に寝かされていたが、掛け布団を剥がされズボンに手をかけられる。
ガラッ
不意に扉が開く。
「あら、久しぶりね。順くん」
「私も一緒ですよ。」
そこには…。
「八意先生と、優曇華さん。」
なにか楽しそうなことをしているじゃないという表情を浮かべている。
「じゅーん。入るわよー。」
「お邪魔するぜー!」
八意先生の後ろ…というか下辺りから二人の若々しい女性の声。そういえばここ二階建てだったな。玄関に誰か来たのかね。 お客さんなんて居るはずないのにな。
とんとんと二人の足音。
その声の主が博麗さんと霧雨さんであることを思い出す。ひょこっと顔を出す博麗さんと霧雨さんだが、あらーといった表情で現状を見る。
「あやややや。奪えないですねこれでは、順さんの貞s」
「奪うなぁ!!!」
ゴスン!
おー。ワンパンで1200ダメージ。これは痛い!
「あややややぁ…。藤原さん、あんまり私を苛めとんといてくれぇ!」
どこかの班長のように渋い声を出す文。
「ノーカン!ノーカン!」
お前は、どこ逆境無頼のモブキャラだ。藤原さん。
ゴスンゴスン!
「やだー!順さんは、渡しませーん!!」
ギャグ漫画みたいにたん瘤を作りながら文は、ぎゅーっと力を込めて抱き締めてくる。…というか、マジで重い。色々と。
「宴会が出来なくなっちゃうわよ?」
やれやれと八意先生がなにもない空間から700ml瓶に入ったお酒を出す。
ラベルになにやら書かれているようですな。
「ロマネコンチ」
くっついて誘惑してくる文を放置し読み上げる。ロマネコンチってあのゲームになんか出てきた名前なんですがそれは。
「不思議な名前よね。」
「へぇー。俺は、あんまりお酒飲めないから味見だけで良いや。」
そう。俺こと順はお酒は飲めないのである。飲むと色々なんかよくわかんないことになってしまうからだ。
昔、父親からお酒を味見させてもらったとき、うとうとしてそこから先が覚えてなくて朝起きたら全裸の父親が横に転がっていたときは恐ろしかった。
うん。つまり、トラウマなんだ。
だって、想像してみろよ。酒飲んだら全裸のおっさんが隣で寝ているんだぜ?
ほら、嫌だ。
「お邪魔しまーす」
おや?聞き覚えのある声が。パタパタと階段を上がる音が聴こえるとひょこっと顔を出す短いツインテールの少女本居小鈴さんだ。
「ん?あれ?家間違えてますよ本居さん。」
「私も招待されたんですよ?霊夢さんと魔理沙さんに。」
ん?という顔を俺がすると本居さんもん?という顔をする。
「あれ?そういえばさっきから話が詠めないんだが何がうちで開かれるの?」
「順さんの歓迎会です♪」
文はぱぁっと弾けたような笑顔を浮かべる。さきほどの下心がまるだしな表情はどこに捨てた。
「歓迎会?さて?」
「幻想郷に来て、ここに住むことになって漸く幻想郷での生活を始めるということですしね。」
そう言って優曇華さんは、笑顔を浮かべそのまま、文の尻に向かって銃弾を手から発射する。
「ぎゃん!」
文は飛び上がっておしりを押さえながら転がり回る。
「ナイス優曇華さん。重たかったから助かったよ。」
俺は即座に立ち上がり、転がり回る文を尻目にそそくさと逃げ出す。
「じゅーんさまぁぁ!!」
許せ文。お前がのし掛かるから悪いのだ。そんなこと思いながら、少し複雑な心境になっていた。
悪くない感覚。寧ろ良かった。だけど、"戻れなくなりそうだったから"止めてくれたことに感謝したい。
下に行くと川魚やら、山菜。果実や肉やらが豪勢に盛られており、美味しそうに料理されていた。
そんな料理と酒をせかせかと運ぶエプロンをつけた上白沢さんがいた。
「ん?順か。よくなったのか?」
「あ、はい。良くなりました。その、"妹紅"さんには悪いことしちゃったなーって思いました。」
ふむ。と話に相づちを打つ上白沢さん。俺は言葉を続ける。
「宴会が終わったら彼女にちゃんと謝りたいなとね…。」
「そうかそうか。そう思っているのならいいことだ。」
感心したように彼女は頷き、またこのように言った。少し控えめな口調で。
「…あの方は、素直じゃないがとても良い娘なんだ。ここで面倒を見てやってはくれないか?」
「…妹紅さんがですか?」
「ああ。あの娘は永夜異変が起こる前。ひっそりと暮らしていた。とても暗くて、人付き合いが苦手で。昔、色々あったせいで心を閉ざしていたんだ。」
そう…色々。と彼女は悲しげに遠くを見るような表情をする。向かい合い、じっと見つめて少し力強く俺に続けて語りかける
「…だから、彼女の"灯り"になってほしい。彼女が"妖怪ではなく人間として活きられる"ように…。」
そう言って上白沢さんは、瞳を閉じた。思い出すように…。妹紅さんも妹紅さんなりに大変だったんだな。俺とは出会ってからあまり経ってはいない。だけど、彼女は気兼ねなく友人として話せる存在だ。そして、何よりも俺自身も
"妖怪"としてではなく"人間"として生きていきたい。だったらお互いに励まし合っていくのが人としての生き方だろう。
「わかりました。彼女が心を閉ざさず人とありのままで付き合っていけるように支えていきます。」
俺は、友人として…と付け足す。
「少し、納得がいかない答えだがあとは、"あの娘次第"…か。」
はて?なんのことだろうか。親友か?だが、会ってばかりでさすがにそれは馴れ馴れしすぎる気がするんだがな…。
「ほらほら。宴会しましょ。お料理冷めちゃうわ。」
「私が、順さんの左側に…!」
「文、そんなにあの妖怪が気に入ったのか?私には、わからないぜ。教えてくれよ。どこら辺が良いのか。」
藤原さんへの接し方を考えていると、博麗さんたちが二階から降りてきたようだ。所謂、コイバナというやつか?誰が意中なのだろうか。
「魅力を知られたらライバル多くなるので遠慮します。」
文は少し、敵意を出しながら威嚇するように声を低くしてしゃべっているようだ。
「お、来たか。」
上白沢さんは、やれやれ待ちくたびれたぞと言った様子だ。
「しかし、これほどの料理はいったいどこから集めてきたのやら。」
「長老様だ。妹紅にノされたあとにこんなに食材を置いていってくれたのだ。祝としてな。」
「こいつぁすげぇなおい。美味そうだし。」
上白沢さんは満足そうな表情だ。どうやら彼女は料理が得意らしい。気を良くしたようだ。
「ありがとう。美味しそうか嬉しいことを言ってくれる。」
「早く席座りなさいよ。」
博麗さんは、どうやらかなり空腹のようでよだれをだらだら垂らしながらはよ座れと催促してくる。そういえば、貧乏なんだっけ?
俺も、上白沢さんも座る。大きな木製の長四角のテーブルをみんなで囲む。左側には文、右側に藤原さんと続いて右回りに本居さん、博麗さん上白沢さん、八意先生、優曇華さん、霧雨さん、そして隣の文という感じでの並びだ。
「それでは、順さんが幻想郷の住人になる!ということでまず一言述べていただきたいと思います。」
…まぁ、郵便局が出来るまでの間だから住むのは住むので合ってるか。
「はい、ってことで、ご紹介に預かりやしたー順です。自分自身の記憶が一部ブッ飛んでいたりと色々苦労しているけどよろしくお願いします。」
「記憶がブッ飛んでいるってどういうことだ?」
霧雨さんは、少し驚いた表情をする。
「具体的には、名前とか、自分が住んでいた場所とかが、分からないんだよ。一部の負の記憶と自分が郵便局員くらいしか覚えてない。」
「そいつぁ、難儀だなぁ。ってことは、順ってのは、どこからつけられた名前なんだ?」
その霧雨さんの質問に即座に答える文。やや胸を張りながらどや顔するのは、以前の天狗のイメージそのものだ。
「幻想郷に彼が落ちてきたときに、身分証明書から確認したんです。私が、彼を助けたんですよ?」
「文さんに感謝している。」
何度目だろうかな彼女に礼を言うのは。だが、言い足りないくらい彼女に感謝している。
「わ、わたしも…その。じゅんさまに逢えてよかったです。じゅんさま、乾杯の音頭を。」
文は、頬を赤らめて杯を掲げる。八意先生は、ちらりとこちらを少しつまらなそうに見ていたが、目と目が合うと微笑んだ。
「それでは、乾杯。」
「「「乾杯っ!」」」
かこーんかこーん。杯と杯とが軽くぶつかり、軽い乾いた音が鳴る。こうして、俺の歓迎会は開かれた。
このとき、俺はどんなに幸せだっただろうか。人は違えど、またこうして誰かと共に杯を交わすことが出来ることがあるとは…。
ザッザザッ
砂嵐が一瞬視界を過ぎていく。
目の前には、生きていたときの嘗ての仲間。
『ほら、順。飲めよ。』
「良いんですか?」
『こう言うときは、ありがたそうに杯を注いで貰え。無礼講だ!がっはっはっ』
そうだ。こうやって…俺達は作戦前にはいつも…こうして杯を交わしていたな…。隊長。
ザッザザッ
また、見ている物が変わる。
『鞍馬さま。どうぞ、杯を。わたしがお酌いたします』
月が見える。周りには天狗たち。俺の左となりには文に似た天狗の姿。このときは目は死んでいなかったっけ。
「すまない。猿田彦。」
なんだ?この記憶は…。俺は、杯に酒を注いで貰い空を見上げる。
「あなた様が、例え偽りだったとしても、我等はあなたを誇り高き天狗として奉公いたしましょう。」
隣にいる天狗が微笑む。すると、視界がまた変わる。
ザザッザッ。
「いいでしょうか?そもそも天狗というのはですね!霊夢さん、ほら、飲んで飲んで!」
視界には、文がお酌をしてそのお酒を飲んで出来上がっている博麗さんと、酒に酔いつぶれている霧雨さんが見える
「あたしは、つよいわよー。」
博麗さん。なんか色々はだけてますけど?おへそ見えてるし。…酒を呑んでも呑まれるなよくいったものだ。
「なにょー?じゅん。チラチラ見ないでがっつりみなさいよ。おとこならぁ~」
絡んでくるな酔っぱらい。
「悪いな、俺は犯罪を犯すつもりはない」
「あたしにはみりょくは、ないろー?」
「いや、まぁ、魅力はあるだろうが、そういうことだ。」
めんどくせえ!!!絡みが!文。楽しそうにするな。無性に腹が立つ。
博麗さんは、四つん這いになって、テーブルの下を這ってこちらに来る。
「あんたのしょうたいは、てんぐじゃないろよー!あんたのしょうたいは…!」
「呂律回ってないぞ。文。こいつを止めろ。」
「かしこまりっ!」
おい、今めっちゃ嬉しそうな顔をしただろう。博麗さんは、ひょこっとテーブルとあぐらをかいた俺の足元から頭を出して見上げる。
「でも、まら、いわなーい!うふふふっここは、わたしのものー!」
笑いながら博麗さんは、あぐらをかく俺の足を枕にしてすりすり甘えてくる。どうしたのだろうか。彼女は。
「まて!わたしもそこにいさせてくれー!」
藤原さんも、何かの糸が切れたかのように膝に頭を乗せてくる。
「私のポジションはここです。」
文は、腕に抱きついてくるしそのままセクハラしてくるし。とりあえず肘鉄。おうら!
ごすん
「あやん!」
「では、私から順さんにサービスを。鈴音庵を御願いします!」
本居さんは、背中に抱きついてくるし…。なんだよお前ら。暑苦しいっての。
俺はお前たちの遊び道具じゃないんだが…。
「順くんも飲みなさい。」
八意先生は、酒にやや酔っているのかやや顔を上気させながら大人っぽいセクシーな雰囲気を出している。服とかは乱れてはいない。だが、艶やかなのだ。
「あ、お酒はその…」
「こう言うときは、ありがたそうにいただくのが良いのよ?」
やや企んでいるように怪しく微笑む八意先生。
「…。では…。」
杯をそっと差し出すと、お酒が杯に注がれる。
ゴクン
一気に飲み干す。俺。途端に視界が揺らぐ。いや、ネジ曲がる?
熱いなぁ……。体が…。
そこから先は、覚えていない。俺が、そのあとどのようなことをしたのかも。
只言えるのは人生で犯してはならない過ちをこの一晩に何度も起こしてしまったことだろう。
To be continue →
お待たせしました。リアルが忙しくてなかなかかけませんでした!今回も、前回と引き続き、なんかやりたい放題しました。
一日が69時間になれば良いのに~。