東方儚郵夢(郵便局員が幻想入り   作:ー《真戒》ー

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あらすじ!
なんだかんだで、幻想郷に迷い混んだ瀕死の重傷を負った主人公。
目覚めたら、なんと記憶喪失になってしまっていた。
そんな彼を助けた射命丸文に名前は順と教えられる。
助けられたはずなのに異端者として殺されそうになりながら、妖怪の山の頂上から辛くも脱出し彼を助けたと言われる天狗、射命丸文と行動することとなる。
永遠亭にて治療を受けている際、自分を幻想郷に招いたとされる八雲紫と遭遇し、幻想郷に郵便局を作ってほしいと言われる。
やる気になった順。
苦節折々頑張って漸く人間の里に到着した順だったが、あるとき自身が天狗であることを射命丸文から証される。
しかし、順にはそんな記憶はない。

しかし、飛べない天狗として翼が生えてきてしまう。

どたばたとトラブル続きの順は時おりフラッシュバックされ、自身のことを思い出しながら幻想郷で生きていく。

彼の継ぎ接ぎの記憶は果たして戻るのか?

これは、そんな順と呼ばれる郵便局員の奮闘記である!(適当)


集荷二十二件目 順の異常と蓬来人の喧嘩

「あ。」

 

「どうしました、順さん。」

 

文が覗き込んでくる。

 

「酔っぱらい達を家に置きっぱなしにしている。今は何時?」

 

「辰の刻です。外界の時間だと八時くらいでしょうかね。」

 

「急いで帰ろう。」

 

そう言って俺は、布団から這い出て立ち上がる。

 

「上着ほしいな。」

 

「今日、一緒に買いに行きましょう。順さんの郵便局員姿が一番好きですが、服がないと過ごしにくいでしょうし。」

 

「が、アルバイトしないとな。まずは。」

 

立ち上がり、俺は部屋を出ていく。文も後ろにくっついてくる。

 

「お、帰るのかい?」

 

「はい。お邪魔しました。」

 

「そうか。またおいで。89式小銃と9mm拳銃のそれぞれの弾は補給しておいたから、慎重に使うようにね。」

 

森近さんは、そう言って俺の銃を差し出す。それを受けとる俺。

 

「ありがとう。」

 

「あと、さっき読んでいた漫画、あげるよ。」

 

「んっ、ありがとうございます。」

 

銃と弾倉と漫画を受け取る。

 

彼とは、これから先も上手くやりたい。

 

「文?」

 

「…はい?」

 

「なんで悲しそうなの?」

 

「気のせいです…。」

 

「そっか。ま、いこっか。」

 

そんなこんなで俺は、文をつれて香霖堂から出ていった。

 

朝の幻想郷は寒いな。あ、上半身が裸なもんだから寒いのか。

 

『鞍馬さま、大丈夫ですか?』

 

「ん?おう、猿田彦。回復したんだな。」

 

半透明の猿田彦が、俺の周りをふわふわと飛んでいるのが見えた。

 

「順さん。私いるのに他の娘と話しないでくださいよ。」

 

隣を見てみると少し口を尖らせている文がいる。

 

「ん?あぁ。すまんすまん。」

 

どうしたんだろう。

 

「とりあえず謝る感じで言わないでください。」

 

『鞍馬様、文が拗ねていますよ。しっかりしてください。』

 

そうなのか?なんでだろうか。

 

『…女の子には色々あるのです。』

 

そう言うと猿田彦は、不機嫌そうな表情をしながら、腕を組む。

 

「文。」

 

「…なんですか。」

 

確かに不機嫌だ。文は、表情が固く周囲の風がピリピリしているのを感じ取れる。

 

「ほら。」

 

少し、強引に手をつかむ。

 

「あっ…。」

 

少し驚いた表情をした文。その後すぐに瞳を閉じて、寄り添ってくる。

 

「気を…遣わせちゃいました?」

 

「さみーなーと思ってね。ほら、上裸だし。あっ、こらくっつくな。手を握るだけだ。」

 

恥ずかしくて彼女の顔は見れない。彼女はその言葉を聴いて更に密着してくる。歩きづらいほどに。

 

「温かいですか?」

 

俺の言葉を無視して寄り添ったまま見上げる彼女。さらさらの黒いセミロングヘアーが風に揺らされ、赤い瞳を少し嬉しそうに細めて微笑んでいる。

 

「あー…ああ。暖かい。」

 

彼女に寄り添われながら歩いていると、人間の里の門まで到着する。

 

門が開いて門番の勤務が交代の時間のようだ。日が上ればあやかしの時間は終わり、人々はまた日の光のなかで過ごす。所謂人の時間というやつだろう。

 

「あんたの話は聞いた。あんたが新人か?というか天狗とどこほっつき歩いていたんだ?」

 

交代して、勤務を終えた門番の一人がこちらを見ながら問いかけてくる。

 

「ちょっと不可抗力で出掛けてた。」

 

「まぁ、あれだ。よくわからんが。さっきお前のことを長老が探していた。」

 

「長老朝早いな。」

 

長老(ジジイ)だから朝はええんだ。つうか、辰の刻だから早くねえよ。」

 

「それもそうですね!すいません。へへっ」

 

そんなテンポ良い会話をして、俺たちは人間の里に帰った。

 

家までの道のりは、なんかすごく恥ずかしかった。

 

というのも文が離れずにずーっと肩に身体を預けて、片方の翼で、俺の上半身を包んでいたから。

 

正直、失敗したなと思った。

 

「仲がいいわねー」

 

「あらやだ。朝帰りかしら」

 

「天狗同士仲が良いわね。 」

 

とかなんか物騒な話題が飛んでいる。早く帰りたい。

 

「文?」

 

「はい?」

 

「はずかしく、ない?その…。」

 

「人間にとられたくないのです。」

 

少し嫉妬を混ぜた笑顔。彼女は、少しわからない。

 

「ただいまー。」

 

家の扉を開ける。

 

「おかえりなさい。」

 

中には藤原さんしかいなかった。

 

「あれ?他の人は帰ったの?」

 

「ああ。みんな仕事があるからな。」

 

「へぇー。なるほど。」

 

俺は、ユニフォームを探しながら問いかける。

 

「あ、ありましたよ。順さん」

 

文は、ユニフォームを拾い上げると広げて差し出してくれる。

 

「んっ。ありがとう文。」

 

受けとる。埃やらを風で払ってくれたようだ。それを着るとふんわりしている。風の力で繊維と繊維の間に空気の層を作ったのか。着心地が良い。

 

「どういたしまして。」

 

にこりと笑う文。

 

「こい、順。出掛けるぞ。」

 

藤原さんが突然俺の手を掴んで外に向かって走り出す。

 

「うぉ!」

 

揺れる長い白銀髪。さらさらと川のようにきめ細かく揺れる。

 

「あ、藤原さん!順さんを連れていかないで~!」

 

「文、すまんー!ちょっと行ってくる~。藤原さん!あの、長老を探したいんですけど~。無視しないで~!」

 

「今夜は魚料理ですからねー!」

 

文に見送られ、俺は引っ張られながら家をあとにする。

 

少し離れると、小道に入る。そこで、立ち止まる藤原さん。

 

「…ふぅ。藤原さん、一体どうしたの。いきなり走り出して。」

 

ずれた帽子をかぶり直しながら俺は問い掛ける。

 

「順。お前は、今に対してなんの不自然さも感じないのか?」

 

「不自然さ?」

 

「お前は、確実に幻想郷に呑まれてきている。このままでは、外の世界に帰れないかもしれないんだぞ?」

 

そう、か。確かにそうだな。うん。外の世界に帰りたいって思いが薄れてしまっている気がする。

 

「さあ、順。外の世界まで連れていってあげる。」

 

そう言って、藤原さんに俺は引っ張られて走る。引き摺られるように足を動かしてついていくのがやっとだ。

 

藤原さんに連れていかれていると長老が里の出口に立っている。

 

「おお、おったか。探したぞ。」

 

「どいてくれないかしら、長老。」

 

藤原さんが少し不機嫌そうな表情を浮かべる。

 

「そう、カッカするでない。まったく。…では、順殿。お主は、たしか外界では手紙を届ける仕事をしておったな?

 

「は、はい。郵便局員です。」

 

「では、この手紙を届けてはくれぬか?」

 

ホッホッホッ。と笑い、懐に手を入れる長老。

 

「順、ダメだ。受けとるな。お前は、また帰れ…く…るぞ!」

 

…なんだ?藤原さんの声が遠くなる。手紙を長老から差し出される。綺麗な和紙の封筒に筆での英語で Ms. Remilia Scarlet と書かれている。

 

「これを届けてくれんかの。」

 

「ゅん!」

 

はっ!と気がつくと俺は、手紙を受け取っていた。

 

くそ!と吐き捨てるように言う藤原さん。

 

「どうしたの?」

 

「なんで受け取った?どうして拒否しなかった!これ以上お前が幻想郷に入ると出てこれなくなるといったのに…。」

 

そんなこと言われても…。

 

「俺は、郵便局員だから。手紙は届けないと…。」

 

そう言って俺は、手を拡げる。すると俺の体が一瞬光り、光の粒子が手のひらに集まる。

 

「郵袋も無いと…!」

 

オレンジ色の郵袋を手の中に作り出し、その中に長老の手紙を入れる。

 

「……。」

 

絶句する藤原さん。その表情はとても悲しそうだった。

 

「では、頼んだぞ。」

 

そう言って長老は、去っていく。藤原さんは、きゅっと唇を食い縛りその背中を見ていた。

 

「じゃあ、藤原さん行ってくるね。」

 

やった。手紙だ。手紙をようやく届けられる。俺は、郵便局員として居られる。ほっこりと微笑んで里から出ていこうとする。

 

「待て。私もついていく。案内人は必要だろう?」

 

「いいって、銃もあるし…。」

 

「ついていく。お前を必ず外の世界に帰すまでは。」

 

そう言って強引に手を掴み手を繋いで指を絡めてくる。

 

「…心配性だなぁ。」

 

「心配だからな。」

 

そんな彼女の手はどこか温かく、消えそうな一つの灯だった。

 

「少し寒いから準備したい。小屋に寄ってくれ。」

 

俺は、藤原さんに連れられて迷いの竹林に足を踏み入れる。

 

「今日中に届けれるのなら良いよ。」

 

「ありがと。」

 

ふふっと柔らかく微笑む彼女。

 

「入って。」

 

そう言って彼女はこちらがうんと言う前に、小屋のなかに引きずり込んでくる。

 

「…ちょっと待っていてくれ。」

 

「?」

 

そう言って彼女は、小屋の小上がりに靴を脱いで上がっていく。一部屋だけの昔ながらの木製の小屋。正直、おとぎ話の家みたいだ。

 

永遠亭とは違う、日本らしさ。あちらが、富裕層の屋敷だとしたらこちらは、昔の庶民的な家と言うのが正しいだろう。

 

二日間は俺の家になった家に居たのですっかり秋の寒さで小屋のなかはひんやりと肌寒い室温まで冷やされていた。

 

そんな部屋の一角に小箱があり、その中をごそごそと漁る。

 

「私も元は外の世界の人間だったんだ。それで、外の世界にいたときに拾ったものを身に付けておけば少しは違うかもしれない。…あった。」

 

そう言って彼女が差し出してくれたもの。それは、古ぼけた刃渡り20センチ程の鍔が無い小太刀。柄の色は夜空に似た漆黒。

 

「銃等法引っ掛かるな。」

 

「そんな法律なんて幻想郷には無いからだいじょうぶよっ。それに、それ錆びてて抜けないし。」

 

ふふんと笑う彼女が少し胸を張る。思わず視線を逸らす。

 

「そ、そうか。」

 

サスペンダーを少し盛り上げて強調されるお椀のような形の良い胸が張られていたからだ。文とは少し違う全体的にきゅっとしたスポーティーなボディだ。

 

「何よ。ありがたく思いなさい。外の世界の隠れ里の廃墟から拾ったものだけど、そこそこのモノよ。」

 

「へぇー。」

 

柄と鞘を掴んで引く。

 

シュッリィーン

 

澄み渡る空のような澄んだ音を鳴らし、朝露に似た銀色の刀身が姿を表す。

 

「あれ抜けた?おかしいな。」

 

「藤原さんの抜き方が悪いだけだよ。ほら。」

 

そう言って鞘に小太刀を納めて、差し出す。

 

「そ、そうか!なるほど…ふん!」

 

藤原さんは、ぐぐぐっと力を入れて鞘から刀を抜こうとする。

 

が、鞘に刀身がくっついたように抜けない。

 

「…怒らせたな。このポン刀!ぐぬぬぬ…ふーーん!!」

 

藤原さんが、歯を食い縛りながら、刀を抜こうとする。が、全力の力を込めて抜こうとしているのにも関わらず刀はうんとも寸とも言わない。

 

ガラッ!

 

その時である。不意に玄関の扉が開いた。そこには、仁王立ちする貧乳のさらさら超長く黒い髪の姫君。服装は、桃色の着物で、日本の情景と金色の満月の刺繍がなされている。永遠亭にてちらりと見た絶世の美女がいた。

 

「妹紅、暇だから殺し合いに付き合いなさい!」

 

おしとやかなイメージとは別に無邪気にはしゃぐ彼女。

 

「ゲ!輝夜!」

 

輝夜さんというらしい。藤原さんは、輝夜さんを見るとめんどくさそうな感情と怒りの感情とが混ざり合う。天敵か?

 

「ゲってなによ?ゲって!」

 

そんな藤原さんを愉しげに見る輝夜さん。チラリとこちらを見て微笑む。

 

「あら、あなた。他の世界では他の女と付き合ってるのね。」

 

俺のことですか?

 

「そ、そうだ!?わたしの、か、か、か、か。」

 

声が震えている。藤原さん。心なしか体が痙攣していませんか?

 

「か?」

 

首を傾げる輝夜さん。藤原さんは、なぜそこまで過呼吸になるのかと言わんばかりにヒューヒューと荒く息をしている。

 

「かっ…か…っ。」

 

「格下?」

 

俺は、よくわからなかったからそう問いかけてみた。

 

「そう、格下!」

 

言った後に藤原さんは、ハッとなる。

 

「へぇ、格下。舎弟?あんたも好き者ね。そういう趣向があるなんて。」

 

「順、違うよな?違うと言って!」

 

涙目で襟首掴まれてぐわんぐわんと揺らされる。

 

「痛いよ、藤原さぁん。」

 

まるで首が座っていない赤ん坊だ。視界がぐわんぐわんと揺れる。

 

「す、すまん。私としたことが。」

 

「この世界でもあなたは、苦労しているのね。」

 

うんうんと頷きながら藤原さんの肩をぽんと叩く、輝夜さん。

 

「お前に同情されるほど落ちぶれちゃいない!!!順、ちょっと時間をくれ。この死に損ないをぶっ殺す。」

 

「あら、死に損ないはどっちかしら。飛鳥、奈良時代は1305年前よ?因みに、私は別ルートヒロインだけど、ちゃんとのEDまで行ったわよ?」

 

なんの話をしているのやら。

 

「私をこけにして。マジで殺す!」

 

ブォッ!

 

掌に炎が点る。そこで、俺は思った。

 

「家焼けちゃうよ。」

 

「…そ、それもそうだな。よし、外でやるぞ輝夜。」

 

そして、外。

 

「ルールは、単線。所謂天則ルールだ。カード制限20枚。」

 

「天則ルールね。分かったわ。そうね、あなたとわたしの喧嘩で竹林燃やして里の人間怖がらせちゃったし。」

 

なんだこの二人。この竹林を燃やしたのか。でかい火事になっただろうな。

 

「順。開始の合図を頼む。」

 

「わかった。それでは、図々しいですが、わたくし、順が審判をやらせていただきます。時間がないので1セット先取、もしくは99秒以内に体力が多い方が勝利になります。それでは、互いに礼!」

 

藤原さんと、輝夜さんは、自分の符を顔の前に構えて一礼する。そして、符を発動すると結界が張られて藤原さんと、輝夜さんは所謂2Dの格ゲーのように向かい合う。

 

【GAME MODE TENSOKU.】

 

輝夜さんの周りには綺麗な実をつけた木が回っている。輝夜さんは、自然体で立っている。

 

「蓬莱の玉の枝か。」

 

「ええそうよ。今回はこれを使うことにしたの。」

 

「嫌がらせかよ…。」

 

藤原さんは辺りに火の粉を出しながら、もんぺのポケットに手を突っ込んでガンつけている。

 

【Kaguya Horaizan VS Moko Hujiwara】

 

戦闘開始(Fight!)!!」

 

♪エクステンドアッシュ

 

その合図と共に藤原さんが素早く走り出す。文よりは遅いが人間としては出せない速さだ。恐らく脚に妖力を回しているのだろう。

 

藤原さんが最初に仕掛ける。

 

「はぁ!」

 

勢いを利用し、炎を脚に纏った飛び蹴りを行う。

 

きぃん!

 

【Guard!】

 

輝夜さんが即座に出現させた金色の壁にその蹴りは防がれる。

 

「はぁ!」

 

藤原さんがそのまま着地し炎を拳に灯し殴りかかる。

 

きぃん!

 

【Guard!】

 

またもや防がれるが、金色の壁をガンガン殴り付け、やがてヒビが割れ始める。

 

「削るのみ!!」

 

そう叫ぶと、コンビネーションコンボをしている藤原さんの背から小さな首の無い不死鳥が十羽程、藤原さんを避けて外回りに回りながら輝夜さんに襲い掛かる。

 

「もらったわ!」

 

防戦に専念していた輝夜さん。彼女の動きは、藤原さんと比べると速いとは言えない。一般女性が動く速度だろう。だがその身体能力的なスペックの不利を補うように、優秀な装備があるようだ。彼女の周りを回っている美しい木が、緑色のレーザービームと色とりどりの丸い光弾を放つ。レーザーは藤原さんの炎の不死鳥を掻き消し、光弾は藤原さんを狙ってばら蒔かれる。

 

「かわして見せる!」

 

チッ…

 

【Graze】

 

チッ…

 

【Graze】

 

光弾を掠りながら、藤原さんは、バックステップを行い背中から炎の翼を生やし、空へと飛翔する。上下前後ろと言ったように炎の軌跡を残しながら弾幕を回避する。回避する度に火の粉がその場を美しく飾り付け、弾幕を回避しながら符を取り出す。

 

【2cost spellcard open!】

 

「不死【凱風快晴飛蹴】!!!」

 

はぁっ!!!と言った雄叫びをあげて、藤原さんは上空から飛び蹴りを行う。文が行ったものとは違い、炎を脚に纏い、その炎は不死鳥を思わせる形になり口を広げる。

 

【3cost spellcard open!!】

 

「神宝【サラマンダーシールド】!!」

 

輝夜さんの隣に現れる緑にも黄色にも見える石の盾…あれは…アスベスト?

 

ドガァーーーン!

 

二人の技がぶつかり合い、相殺され、辺りには火の粉と緑の盾の破片が辺りを舞う。

 

【妹紅に、2000damage!】

 

【輝夜に、1000damage!】

 

彼女たちは、美しかった。外見はもちろんだが、戦い方も舞いを踊るように激しく、時に静かに。躍動感があった。

 

「これが、弾幕ごっこ…。」

 

『外の私たち(妖怪)は殺すことを研究してました。実用性だとか確実性。この闘いは私たちとは全くの別物の戦いかたですね。』

 

「俺は、分からないよ。空っぽだから。」

 

瞳を閉じて音を聞き取る。炎が薙ぎ払われる音。レーザーが放たれる音。おはじきを弾くような音。

 

『鞍馬さま。あなた様は、自由に選ぶべきです。あなたが、こうしてまた世に再臨なさったのなら今度こそ、自由に活きるべきです。でも、私としては、この地ならばあなた様が暮らすには相応しいと思います。あやかしと人とが昔のままあるべき姿であり続ける理想郷ですから。』

 

吹っ飛ばされて、ネックスプリングで跳ね起きる藤原さんを見つめる。

 

「でも、俺は外の世界が好きなんだよ。ずっとずっといたから。喩え、どんなに戦争が多くて、核の放射能が色んなところに溢れかえっていても。」

 

帰巣本能というやつだろう。俺は、帰りたい。今までと同じような人生を送りたい。

相棒の夢だった郵便局員を続けて、彼の代わりに生き続けていたい。

 

『そうなるといいですね。』

 

「するさ。必ずな。」

 

少し歯切れが悪そうに言う猿田彦。その声色からすると、なにかよくないことでもあるのかもしれない。が、今は考えないでおこう。

 

考えたって仕方ないから。

 

「その程度かしら妹紅。ガッカリだわ。」

 

藤原さんは圧され気味のようだ。前半と変わって輝夜さんの猛攻により、徐々にガードが崩されていく。

 

ガキィン

 

輝夜さんの蓬莱の玉の枝でのレーザー系の弾幕に、輝夜さん自身による体術。

 

なるほど。空手術か。素手による格闘術も訓練済みと言うわけか。細い腕なのにあそこまで威力が出ると言うことは霊力によるブーストか。

 

事実、輝夜さんの打撃は金属音に似た音が鳴っている。

 

ガキィン!ガキィン!

 

【Guard!Guard!】

 

パリィーン!

 

【Guard Break!!】

 

藤原さんを守っていた炎の障壁が輝夜さんの体術と弾幕のコンビネーションにより、くだけ散る。

 

「うあ?!」

 

体勢を崩す、藤原さん。そこにすかさず拳を叩き込む輝夜さん。拳が突き刺さったと思うほどの鳩尾への打撃。

 

【1Hit!妹紅に500damage!】

 

「…かはっ!」

 

目を見開き口を開け口から液体を吐く藤原さん。

 

なんだか、彼女が圧されているのがすごく悔しかった。

 

だが、手出しは出来ない。これは、彼女たちの戦い。野暮なことなど出来やしない。

 

拳を執拗に鳩尾に狙いをつけ、今度は撃ち込む度に鳩尾に弾幕を放ち、藤原さんの身体を貫く。

 

【45Hit!妹紅に6000damage!】

 

こんなことしたら普通なら死ぬ。が、楽しそうな輝夜さん。瞳は狂気。

 

「これで…終わりよ。神宝【蓬莱の弾の枝 ー夢色の郷ー】」

 

【5cost spellcard open!!!】

 

怯み続ける藤原さんに対して、輝夜さんのトドメと言ったところか。

 

負けるのか?藤原さん。

 

ちらりと虚ろな瞳がこちらを見つめる。が、その口は笑っている。今に見せてやると言わんばかりに。

 

蓬莱の玉の枝から無数の、花火のような弾幕が一斉に藤原さんに襲い掛かる。が、同時に藤原さんの背中にも炎の翼、炎の尾が生えて赤く一瞬体が輝く。それは、まさに不死鳥が死から甦る瞬間だった。

 

「しまった!」

 

輝夜さんの初めての焦燥感ある声。が、時は既に遅し。ほくそ笑みを浮かべた藤原さんに、弾幕が着弾する。

 

【5cost spellcard open!!】

 

「パゼストバイフェニックス…!」

 

着弾と同時に藤原さんの瞳に炎が宿り、被弾した体が小さな不死鳥の大群となり、輝夜さんの背後に取り付くように憑依する。

 

首なしの炎の巨大な不死鳥が、ほぼゼロ距離で青い羽根の形をした光弾の弾幕を放ち、輝夜さんの身体を焦がす。

 

「くぅ…」

 

藤原さんが輝夜さんにとり憑いた為、輝夜さんのスペルカードは実質無力化されてしまう。それどころか、自分に藤原さんが憑依したことにより自身が弾幕に敵として認識され襲い掛かられる始末。

 

「自分の弾幕も回避できないようではダメよね。」

 

【Graze!】

 

【Graze!】

 

輝夜さんは、ゆっくり動く。が、おかしい。かわす隙間は到底見えないのに、弾は一発も当たっていない。あの動きが見えない。まるで、ゆっくり動く残像に弾が掠めているようだ。

 

『一瞬一瞬を移動しているようですね。』

 

「猿田彦、分かるのか?」

 

『ええ。常人には 感じられないかもしれませんが、あの姫は一秒を何千個に切り、その一瞬を縫って動いています。』

 

「時間を止めていると言うこと?」

 

『いえ、彼女(輝夜)は時間を止めるなんてことはしていません。須臾(しゅゆ)を動いているだけです。』

 

「難しすぎてわからないけど、すごいことしてると言うこと?」

 

『そうです。ですが、彼女(藤原)も無策では無いでしょう。現にほら。』

 

「むっ。」

 

猿田彦に言われてよく見てみる。藤原さんが撃った弾幕は、輝夜さんの蓬莱の弾の枝の弾幕の隙間を埋めるように配置されている。

 

「輝夜、お前が如何に時の一瞬を動いたとしても超えられないものはある。それは、隙間の無い壁だ!」

 

輝夜さんにたいして、藤原さんの声が響く。心底愉しげだ。

 

「なるほど。退路を断ったのね。」

 

「お前は、自分自身の弾幕で身を焦がし尽くせ!いくぞ!!」

 

不死鳥からなにかが飛び出してくる。それは、白地に赤い文字がかかれたお札。お札は、輝夜さんを囲むように配置され、赤い炎の障壁が出現する。

 

そして、然り気無く、輝夜さんの周りには大きな火球。

 

「…。ふぅ、今日はあなたの勝ちにしてあげるわよ。」

 

【Attack chain ! 】

 

「ありがとよ…業火の焔よすべてを焼き尽くせ!!!凱風快晴ーフジヤマヴォルケイノー!!!」

 

ドゴゴゴゴッ!!

 

周囲に放たれていた弾幕が一斉に爆発。輝夜さんの周りに配置されている火球が火種か。爆発は、どういう原理か、炎の障壁によって爆発が外部へ漏れぬようにシャットアウトされているようだ。

 

反射する爆発、反射する弾幕。それは、まるで噴火した溶岩のような力強さだった。

 

「きゃあ!!」

 

┣"┣"┣"┣"┣"コ"━━━ンッ!!!

 

【69Hit!10000damage!!!】

 

爆炎で燃やされて黒こげになりブスブスと煙をあげながら倒れる輝夜さん。

 

焼死体なんて久々に見たぞ。

 

ー【決着】ー

 

憑依していた不死鳥が爆発で散ると小さな不死鳥の大群が結界を突き破って、俺の頭上で集まり人の姿となり、リボンのお札が髪に着いていない藤原さんになる。

 

「うぉっとと!!」

 

落ちてくる藤原さんをお姫様だっこの状態で受け止めよろける。

 

「っとサンキュウ。」

 

「う、うん。」

 

勝者、藤原妹紅!(Winner.Moko Hujiwara!)

 

なんだか、上機嫌で腕の中でお姫様だっこされてる藤原さん。これが、インしたおって奴か。

 

頭を然り気無く撫でてみる。ふんわりとした毛触りで触り心地はとてもよかった。藤原さんが赤くなった後、俺の顔面に拳か飛んできてノックダウンされそうになった。

 

「き、気安くさわるな!!いいな!!」

 

ゴスンゴスンと何度も拳を放つわりには、退く気は無いようで正直よくわからない。

 

「痛いってーー。」

 

『鞍馬様も、罪作りな御方ですね。』

 

「全くそうよ。」

 

いつの間にか復活している輝夜さん。もしかして、あなたも蓬来人というやつか?

 

「御察しの通り、蓬来人ですよ。そう呼んだ方がいいでしょう。」

 

まっがーれ↓

 

「そうなんですか。全然分かりませんが。」

 

「他の世界のあなたも同じこといってたわよ。」

 

「何の話だか知らんが、とりあえず俺は、もう行くからな。藤原さんを頼む。」

 

そう言って腕の中にいる藤原さんを輝夜さんに近づける。

 

「こんなのいらないわ。責任もって飼い主が持っていきなさい。」

 

「いや、それはない。」

 

「全くだ。こいつが、私の飼い主なら世も末だ。死ね。」

 

全くその通りでございます藤原妹紅様。だから、俺の鳩尾に肘を撃ち込まんといてください。

 

「下ろすから肘鉄をやめてください。」

 

「…小屋につれていってくれ。マフラー取りに行きたい。」

 

「自分で歩け。」

 

そう言って地面に下ろす。

 

『あーあー。鞍馬様は、本当に人の心がわからないんですねー。』

 

「そうなのよねー。」

 

お前ら…。

 

「取ってくる。」

 

むすっとしながら藤原さんは、取りに行く。

 

「ねえ、妹紅。」

 

「?どうした輝夜。リターンマッチは受けないぞ。」

 

「刺し違えないでね。彼は、彼。あなたが殺した人はもう、居ないのよ?」

 

その言葉を聞いて、藤原さんは、きゅっと口を結ぶ。

 

「…わかって…いる。」

 

そう一言残し、彼女はマフラーを取りに小屋に戻っていく。

 

その言葉を聞いて、俺は薄々感じた。自分は藤原さんにとって、誰かの代わりなのではないか?と。だがそれでもいい。刺し違えて彼女がそれで幸せなら。

 

俺は、人形みたいなものだから…。意義がないと生きられない。()という概念(いのち)は、他者によって確立されるのだから。

 

『鞍馬様…。』

 

「良いんだ。猿田彦。彼女が決めること。俺は、求められたらそうする。誰かに必要とされていたいから。」

 

そう、俺は相棒(・・)という存在が居たからこそ、自衛隊でもやっていけたし、今日まで郵便局員で居られた。俺が、郵便局員になっている理由は、相棒が歩むはずだった道を相棒の代わりに歩むため。求められたから歩いただけなのだ。相棒という存在が居なければ俺は、もう居なかっただろう。

 

「順殿。この世界の貴方も悩んでいるのね。…そうね、もう答えなんてのを教えてもしょうがないから、助言程度に。」

 

輝夜さんは、微笑み言葉を続ける。

 

「貴方という概念(存在)はあなたが決めることよ。ただそれだけ。喩え、何人の命を奪って生かされたとしても。」

 

?そ、そうなのか。よくわからないな。

 

「そうなんですか。」

 

「やっぱりそう答える。そうね、そういう風に弄られちゃったもんね…。」

 

少し悲しげに笑う彼女。

 

「弄られたってどういう?」

 

「何れ分かるわ。今は、あなた自身ですべてを知りなさい。他の世界のあなただけど…わたしが見込んだ男だからきっと乗り越えていけるわよ。」

 

そう言って、彼女は符を取りだし、自分の服を修復し迷いの竹林の奥へ歩こうとする。そんな彼女を俺は声で問いかける。

 

「あなたは、何を知っているんですか?」

 

「あなたが知らないこと。それだけよ。ふふっ」

 

そう笑って彼女はふわふわ宙に浮いて帰っていく。

 

「お待たせ。」

 

声がする方を振り向く。藤原さんは、赤いマフラーを首に巻いていた。

 

「お、暖かそうだね。」

 

「けーねが作ってくれたんだ。宝物。」

 

そう言って、彼女はマフラーを大事そうに手で撫でて言葉を続ける。

 

「さあ、行こう。手紙を紅魔館へ。」

 

藤原さんは、微笑みながら手を差し出してくる。

 

「ああ。」

 

俺は、彼女の手を掴む。

 

歩き出した俺。漸く郵便局員として使命を果たせる。

 

でも、その時は知らなかった。

 

解らなかった。

 

輝夜さんの言葉の意味。

 

藤原さんの葛藤。

 

…文の想いも。

 

そして、自分のことも。

 




次回予告!

射命丸文と一時的に別れ、藤原妹紅と共に紅魔館に向かう順。

彼らは、無事妖精のいる湖。霧の湖を超えることができるのか。

そして、宛先の紅魔館の人物に手紙をちゃんと届けられるのか!

「あたいがさいきょー!」

「なるほど、この門を通りたいと。通るのなら、私を倒していけ!」

To Be Continue →


順のパラメーター(幻想郷水準)

筋力■□□□□
俊敏■□□□□
幸運□□□□□
体力■■□□□
防御■□□□□

HP100

能力 
primary  自身にまつわる伝説を具現化する程度の能力
secondary 銃と銃剣術を使える程度の能力

真能力 【???】

弾幕能力 低

弱射撃 高速 威力下の中
強射撃 高速 威力中の下

弾丸状の弾幕を飛ばす。

support 
契約なし(契約することでコネクションとして援護を受けれる。)

外見スペック

身長169センチ
体重65キロ

やや、屈強

外見
郵便局員外務の制服。
黒髪、ベリーショートヘア(坊主に近い)
黒い瞳。


そろそろ、タイトルを普通にしようかなと思ってました。
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