東方儚郵夢(郵便局員が幻想入り   作:ー《真戒》ー

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なんか事故って外の世界からやって来た郵便局員の順。
幻想郷で半殺しに遭うわ嵌められるわでかなりの苦労をした模様。
順が人里にて暮らし始めようとしたら、なんと人間の里にて手紙の配達の依頼が。
早速いきたいのに、蓬莱山輝夜と藤原妹紅の弾幕対決のせいでなかなか出発できないのであった…。


集荷二十三件目 幻想郷と外の世界と文飯。そして氷結妖精との遭遇。

 

 

「こっちだ。」

 

藤原さんに導かれて俺は、迷いの竹林から引き返し、人里に向かって歩いていく。

 

「藤原さん、早いよ。」

 

さくさくと妖怪の山の尾根から幻想郷全体に舞い落ちた落ち葉を踏み鳴らしながら早足に歩く彼女を追いかける。

 

「早くしないと夜が始まってしまうからな。昼を過ぎてしまったし。」

 

「夜だとやばいの?」

 

ふう、とため息をつく彼女。

 

「順、お前が天狗の成りをしていても根本は人間だ。能力もどんなものを使えるかは分からないし、満足にも戦えない。格好の餌よ?相手は、妖怪。幽霊とか。そんな相手にたいして、そのハジキが役に立つとは思えないわ。」

 

「い、いざというときは弾幕ごっこを挑めば…。」

 

「弾幕ごっこを挑めるのは、スペルカードルールを互いに了承した妖怪と幽霊と人間のみ。神もいるけど…。つまり、スペルカードルールに了承しない奴もいるし、ルールを無視している奴だっているんだ。」

 

「最悪、殺される可能性があるってこと?」

 

生唾を飲み込む。

 

「そうだ。夜になれば、あやかしが活発化する。そうなれば、危険度の高い妖怪も動き出す。」

 

「故に、急ぐという感じか。」

 

「そうだ。ただし到着後も問題だがな。」

 

少し、面倒臭そうな表情を浮かべて言葉を続ける。

 

「その宛先の人物が吸血鬼であること。危険度がかなり高い。」

 

「なんてこったい。そいつぁ、楽しみで膝が笑ってくるね。」

 

そんな冗談を返す程度が俺の限界だった。怖いのだ。吸血鬼に吸われたものは、幽霊にもなれず、死人にもなれず、ただ日光に焼かれるのを待つのみのゾンビになってしまうというのだから。

 

下手したら、顔を見た瞬間に八つ裂きにされて殺されて血を啜られるかもしれない。寒気がしてきた。

 

「あのさ、順。もしかして、中まで入ろうとしている?」

 

「当たり前だろう。これ、ある意味書留だぞ!!!本人以外に手紙を渡せるかっての!」

 

ぐぐっと拳に力をいれる。

 

「そういうところ良いわね。」

 

「うぇ?!」

 

「バカ真面目っていうの?そういうの。悪くないなってね。」

 

「…あ、ありがとナ…。」

 

彼女は、振り返りながら微笑み、白い歯を見せる。

 

「大丈夫。わたしが、ちゃぁんと護ってやる。だから、さっさと仕事終えて家に帰ろう?」

 

「う、うん。ありがと。それまで、よろしくね。」

 

彼女の表情をみて、俺も少し緊張が解れた気がした。

 

「…文、ちゃんと留守番しているかなぁ。」

 

「あー、あいつなら近くにいるぞ。なぁ、射命丸。」

 

頭上の竹の葉が、ガサッ!!という音がするとキャスケット帽を被って灰色のハーフパンツを穿いて、ワイシャツにオレンジ色のネクタイ締めて、灰色のジャケットを着た少女がふわりと降りてくる。(服装は、鈴奈庵登場時のデザインな感じ)

 

「あやややや。バレてしまいましたか。」

 

「文、居たのなら教えてくれればよかったのに。」

 

クスクス笑って文に俺は、近づく。

 

「弾幕ごっこの撮影をしていたので…。」

 

「隠れている割りにはお前、かなり風がざわめいていたぞ。」

 

??そうなのか。

 

「あやややや。私も少し成長せねばなりませんね。さて、私も同行させていただきますよ。よろしいですね?」

 

「私は、構わないが…。順はどうだ?」

 

どうする?

 

ーーーーー選択肢ーーーーー

はい喜んで (((←)))プルプル

 

結婚してくれ(((←)))<オイ

 

子どもを産んでくれ(((←)))<選択肢ドウシタ

 

文が欲しい(((←)))<セクハラジャネェカ…。

ーーーーーーーーーーーーー

 

「あのさ、選択肢が悪意あるんだけど文の仕業?」

 

「当たり前です。子作りでもなんでもばっちこいです。900年も待たせているんですから。結婚しましょう。子作りしましょ。」

 

「なんの話さ、文。」

 

「よ、よし。射命丸は留守番だな。(誰かがブレーキしないとダメね。」

 

「順さん、じゃあそこの笹藪まで行きましょうか(ガシッズルズル」

 

俺の手を掴んで引きずっていく文。

 

「ん、うん、あ、いや。…え?チョッ、力ツヨスギィ!!」

 

「大人の階段昇らないでくれ。焼き鳥にするぞ。」

 

イライラした表情を浮かべる藤原さん。拳に炎を灯す。ほーら、怒らせた。

 

「…R15ですからねー。」

 

「とりあえず、いこうよ。」

 

俺は、文の手を振りほどき、二人を放置してつかつか歩き始める。こんなことしてたらいつまでたっても手紙を届けれない。

 

「あ、ちょっと待て!」

 

「順さぁん!服変えたんですよ!可愛いですか?」

 

「カワイイネー。プロテインダネー。」

 

…可愛いよ。面と向かってなんて言えなかった。確かに似合っていたけど…何よりもそれを言ったら、調子乗りそうだからな。

 

「くすっ、ありがとうございます。」

 

「さて、里だ。」

 

「家で、昼食をとってから行きましょうよ。」

 

そう言って文は、人里の入り付近で翼を隠して、人に成り済まし、俺の翼もたたんでもらう。

 

「ぅ…」

 

なれないなこのくすぐったい感覚。

 

「はい、これでよし。では、一時帰宅しましょう。」

 

「え?このまま行かないの?」

 

「昼食作っちゃったんですよー!」

 

「お前の昼食食えるのかね。」

 

俺達は、一先ず家に戻るとした。家に戻ると、昼食が用意されている。鮎の塩焼きと、だし巻きたまご。ホウレン草ととうもろこしのゴマ和え。なんとまぁ、誰が作ってくれたのだろうか。

 

「美味しそう。」

 

思わずよだれが垂れそうになり、腕でよだれをぬぐう。

 

「ありがとうございます♪…順さんが里から出ていかれた少しあとに、長老から心付けに郵便依頼の前払いのお金をいただきまして。材料を少し買っておきました。あまり良いものは作れませんでしたが是非お召し上がりください。」

 

「ありがとうございます。文。じゃあ、みんなでいただきますしようよ!」

 

「順さんは、先に座っててください。私はお櫃を持ってきますので。」

 

「私は、何をしたらいい?射命丸。」

 

「墓石にでも入っていてください。(にぱー!」

 

「よし、お前を墓石に入れてやろう。真っ黒の焼き鳥にしてな。」

 

あん?といった表情を浮かべる藤原さん。それに対して文は、震え声になりながらこう言う。

 

「私は、墓に 入りませんよ?はかいし(・・・・)にだけに破壊し(・・・)ますので。」

 

なんという、渋とさ。何がお前を支えているのだ?

 

「…さて、飯を食うか。」

 

華麗なスルーをする藤原さん。

 

「スルーだけに…する…。か。文のギャグにまけてらんねーな。」

 

「ふん!」

 

俺の背中に一発平手打ちが入る。

 

「痛い!」

 

「下らないこと言ってないでさっさとしましょ。」

 

「痛いなぁもう。」

 

「順さん、行きましょう。」

 

背中を擦りながら居間に歩いているとお櫃を持った文が微笑みながら、背中を擦ってくれた。

 

「こ、子ども扱いするなよ。20歳越えてんだから…。」

 

「24歳?でしたっけ?」

 

「…、ん?えっと、そうだっけ?俺、あれ?歳が分からなくなってきた?」

 

「よくありますよ。ね?」←1000歳

 

「うん。あるある。私も1000歳とか射命丸と似た歳言ってるけど100年も200年も変わらない。」←自称1000歳

 

「千歳は千歳でも、私よりは、年寄りですもんね~。」

 

「おい。この世に居る時間が長いだけで、私は十代後半の歳の少女だぞ。」

 

「少女(笑)プッ」

 

「文、マジで焼き鳥にするぞ。」

 

ドスの聞いた声で藤原さんが脅すとそそくさと、文は食卓に向かって早歩きしていく。

 

「さて、藤原さん。美味しいご飯を食べて機嫌直して。俺が作った訳じゃあないですが。」

 

「ん、気遣いありがとう。何、こんな程度でイライラするほど器は小さくない。寧ろ可愛いくらいさ。」

 

藤原さんは、ぶっきらぼうな口調でそう言った。長く生きているとやはり、考え方も器も大きくなるようだな。

 

「それならいいですが…。」

 

「気にしすぎだ。順。天狗っていうのはいつもあんな感じだ。否、射命丸が特に…か。」

 

俺達はそんな会話をしながら食卓に並べられた昼食を前にして座る。

 

「あのー、藤原さん。私の評価を下げないでいただけませんかね?」

 

「私をからかった罰だ。強そうなやつと取材の時だけ礼儀正しくするのは、狡猾だぞ。」

 

「な、な、な、な。」

 

「んー、そうなのか。じゃあ、俺、弱いから礼儀正しくなくていいよ?」

 

彼女()が礼儀正しいのはそういうことだったのか。なら、俺は堅苦しいのはなんかあれだから…。

 

「な、なんてことを言うんですか!藤原さん!藤原さんだけご飯半分です!」

 

そう言って文は、てんこもりの玄米ご飯をお茶碗に盛り、俺に差し出してくる。

 

「こ、こんなに食ったら太りそうだな。」

 

「飯を食わねば戦は出来ません。そういうことです。」

 

食えと押し付ける文。

 

「わ、わかったよ。」

 

受けとる俺は、お茶碗に山盛りに盛られたご飯を食べきれるかな…。と思いつつ眺めていた。

 

「はい、藤原さん。」

 

文は、にこやかに空のお茶碗を差し出す。

 

「おい。半分もないじゃないか。」

 

唖然している藤原さん。

 

「0の半分は?」

 

「おい、射命丸。ちょっとこっちこい。」

 

ガシッと文の肩を掴んで引き摺っていく藤原さん。行き先は、調理場か。

 

「あ、ちょ、藤原さん嫌ですねー、冗談ですよー!冗談なんです!!やめて!!ああー!!順さん!先に食べてて良いですからー!!あややややや。」

 

そんな言葉を残して、文の悲鳴が調理場から響くのと同時にフジヤマヴォルケイノが炸裂したのか爆発音が家を揺らした。

 

「…家、壊すなよ?」

 

数十分後。ブスブスと丸焦げになった文とそして。

 

「順、私も大盛で頼む。ふふ、腹が減ってしまってな。」

 

何故か俺は、しゃもじを持って藤原さんのご飯を盛っていた。

 

「はいはい。どうぞ。」

 

お茶碗に盛られたほかほかの玄米飯を藤原さんに渡す。

 

「あ、あの。じゅんさん…。わたしにも…。」

 

震える右手を伸ばして、ご飯を要求する文。

 

「しょうがないな。はい、どうぞ。」

 

米飯をお茶碗に盛り、差し出す。

 

「はううう。ありがとうございます!!」

 

受けとると、受け取った手から傷だらけの壁を塗り替えられるように、みるみるうちに文の身体や服を修復していく。

 

「復活早いな、文。」

 

「愛の力です。(キリッ」

 

「…射命丸。」

 

ゾクッとした感覚が周囲を襲う。その発信源が藤原さんであることを感じとるには時間はかからなかった。

 

「なんでしょうか~?」

 

ふふふっ、と微笑む文。その微笑みには少し別のものが含んでいることに気づいた。眼が笑っていないのだ。微笑む、否微嗤む(ほほえむ)

 

「…お前が何を考えて動いているかは知らないし、興味はない。だが、これ以上順を巻き込むのなら…。」

 

「あややややや。怖いですねぇ。ふふふっ。」

 

「あ、あのさ、二人ともご飯食べないと…。」

 

「あ、そうね。ごめん順。」

 

「あややややや。失礼しました。」

 

二人の妖気が収まり、いつもの二人に戻る。

 

変な二人だ。

 

「さて、では、いただきましょうか。」

 

ぱちんと三人で手を合わせる。

 

「「いただきますっ!」」

 

三人の号令で、風が吹き抜ける。

 

「風で膜を張って、保温していたのです。」

 

「サランラップ的な感じか。」

 

「そうですそうです。暖かい空気というものは上昇していく性質があるので、それを料理の上からドーム状に風による膜を張ることにより、暖かい空気を逃がさないようにし、外気を遮断するのです。」

 

「なるほど、人間業ではないことはわかった。」

 

「そもそもこいつ(射命丸)は、人間ではないがな。」

 

「そうでした。てへ。」

 

「はうっ。」

 

「…ん。ごほん。」

 

なんでそんな微妙な反応するんだ。

 

「さて、鮎いただきますっ!」

 

ガシッと箸を身のど真ん中に突っ込む俺。

 

「順さん、鮎食べたことないんですね?そういえば。」

 

「ん?そうだよ?外は川が汚染されてて鮎なんて居ても食べれないし。カップ麺とかしかないから。」

 

「食べ方を教えてやれ。」

 

そう言って、藤原さんは黙々と食べている。

 

「鮎は、まず尾ひれを折ります。」

 

ぱきっと文が鮎の尾ひれを折る。

 

それに倣って俺も同じく折る。乾いた音が鳴る。

 

「折れた!」

 

「お見事。そして、鮎をほぐします。」

 

そう言って文は、箸で鮎の身を上から押さえつけ解していく。

 

「こ、こう?」

 

たどたどしく俺は、身を押さえる。

 

「もう少し細かくほぐして良いですよ?」

 

「こう、かな。」

 

「ふふ、こうです♪」

 

俺の手に手を添えて、教えてくれる。慣れた手つきで導く文により、みるみるうちにほぐれていく。

 

「わああ、すごい。」

 

「天狗は妖怪の山にて新鮮な魚が獲れるので食べなれているんです。尤も、それで我慢しているのですがね。」

 

「へぇー。本当は食べたいものは?」

 

「人間です。」

 

「おっと、里の人間に手を出すなら容赦はしないぞ、文。」

 

「あら、順さんは、天狗なのに?」

 

「天狗であっても長老と約束したしね。この里を護ると。」

 

「そう、ですか…。」

 

少し悲しげな表情が見えた気がした。それを振り払うように、自分の鮎の頭を捻り取る文。

 

「文?」

 

「頭を持って捻ってください。」

 

「なぁ。」

 

「捻って……ください……。」

 

これ以上の追求は赦さないようだ。仕方無いか。

 

「捻るよ。あのさ、今は聞かないけど言えるときに言ってくれよ?」

 

「…そのまま引き抜いてください。」

 

文は、俺の言葉を聞き流す。言われた通り頭を持って捻り引き抜くと面白い具合に骨が抜けていく。

 

「はい、これで食べてください。」

 

「ありがとう。こんなにすっぽり骨が抜けるとなんか快感だね。」

 

「ふふっ、でしょう?新鮮だからっていうのもあるんですよ?」

 

文は、箸で身を切りながら口に含んで美味しそうな表情を浮かべる。

 

「いただきますっ。」

 

鮎を箸で解し、食す。弾力のある身は、ほろりと解けやすいのに引き締まっておりふんわりしている。濃厚な魚の味をこんなに感じたことはなかった。

 

「美味しい!!!!はふっ…はふっ…。」

 

箸が進む。ご飯を挟んで口に放り込む。美しい清流によって育てられた米の味がした。外の世界とは違う、レトルトではない米の味。

 

「この硬めの炊き加減…。最高だ…。」

 

箸で米粒を掴んでもしっかりと潰れない。しかし、硬すぎない。水が綺麗でその上研ぎすぎず研がなすぎずの米研ぎ加減がなんとも言えず、実が傷一つついていない…。まさに、例えるのなら真珠その物。

 

「はぁ…」

 

「喜んでいただけてうれしいです。」

 

思わず幸せで吐息が溢れる。さて次はとだし巻き卵焼きを箸でつかむ。

 

「っ!!」

 

なんと…美しい。形。形もそうだが焼き加減もだ。だが…俺は、半熟が好みなのだが…。

 

「ふっ。」

 

文が不敵に笑った。なんだ?奴はナニを考えている。面白い、食そうではないか。なんか俺偉そうだが…。

 

「はむっ。…っ!!」

 

な、な、なんだコレは~!!!こんなに濃厚な黄身の味を嘗て味わったことがあったか?甘さもあり、かつ、だしの風味がその甘さと絡み合いなんとも言えぬ旨味を醸し出す。更に、外身は硬い卵焼きと見えたが…これは…。

 

「半熟だし巻きたまご…だと…?」

 

ふわっふわっの卵焼きの外身とは違い、中は蕩けるような黄身と白身と出汁がバランスよく互いを引き立て合いながら混ざりあった風味。まるで、この味は…。

 

「日本…。日本を感じる。」

 

過る光景。外の山である天狗山でしか見たことがない美しき日本の風景。花鳥風月。嗚呼、もう、なに言ってるかわかんないけどなんかとても旨い。甘い。美味い!!!

 

「ウマイ!」

 

「これから、毎日この料理でメロメロにしますからね。」

 

「もう、メロメロだよ…。」

 

ご飯に…。

 

「じゃ、じゃあ、婚姻届に人差し指で印を押しt…(ry」

 

「フジヤマヴォルケイノ!」

 

「あーーーーやーーー!」

 

なにか爆発したが気にはしない。優雅なこの食事のひとときは、誰にも邪魔はさせない。

 

次は、ほうれん草とトウモロコシのごま和えだ。

 

「はむっ」

 

!!!なんと言うことだ…。俺…。天然物のトウモロコシ食べたの初めてだ…。

 

「なんだこれ!ウマイぞ!」

 

「ありがとうございます!あの、藤原さん。ひたすら私の顔面殴らないでください。あの、顔はやめ、やめt」

 

「ふふ、……はも…わ…さな…ぞ…。だれにも…。」

 

「ハイライト先生帰ってきてくださぁい!ヤンデレですか?!」

 

プチプチとしたこの弾ける感覚。弾ける度にこのトウモロコシの甘さが口に広がり、ほうれん草とゴマの風味に絡み合いさっぱりとしていてどこか深みがある。

 

「おいしい…おいしいよ…。」

 

がつがつ食事が進む。気がついたときには、俺は完食していた。

 

「はい、順。おかわりだろ?」

 

拳が真っ赤な藤原さんにお茶碗を奪われご飯を盛られる。

 

「ありがとうございます。」

 

「うん。どういたしまして。」

 

にこりと微笑むが、文の返り血なんとかならんのか?後ろで痙攣してる文は大丈夫なのだろうか。

 

「大丈夫だ。」

 

そう言って、彼女は何事もなかったかのように台所に向かった。

 

テープの巻き戻りのように傷が修復していく文を眺めながらひたすら飯を食う俺だった。

 

【体力と妖力が回復しました!】

 

十数分後には、文も藤原さんも食事を済まして出立の用意をしていた。

 

時刻は14時くらいだろう。日の入りが16時だとしたら、二時間くらいしかないのか。

 

「急がないと不味。」

 

「そうだな、急がないとな。」

 

「そうだ。順さん。」

 

文が、立ち上がると、居間の奥に走っていく。

 

「これ、どうぞ。」

 

戻ってきた文に弾倉を入れるための弾納付きのチェストリグを手渡される。

 

チェストリグとは、サスペンダーベルトのように両肩にベルトをかけて、腰回りにベルトがあり、そのベルトの部分に弾納等の入れ物が固定されている。

 

「まさか、この世界でチェストリグを貰うことになるとはな。」

 

「ずっと勉強してたので。」

 

「文は、外の世界を見たことがあるの?」

 

「内緒でーす。」

 

始まった。口笛を吹きながらそっぽを向く彼女。なんか、どこかつかみ所がないんだよな。

 

「順さん、そろそろ食器を片付けていきましょう。」

 

「ん、それもそうだな。そろそろ行かなきゃな。そんじゃ、御馳走様でした!」

 

「ごちそうさま。美味しかったぞ。」

 

藤原さんと俺は、手を合わせた。文は、満面の笑みを浮かべる。

 

「はいっ御粗末様でした♪」

 

ちゃちゃっと三人で食器と使った鍋や釜を片付け、手早く準備を始める。

 

チェストリグの弾納に89式小銃の弾倉を挿入する。

 

「弾倉6本よし。小銃の弾数は180発か。」

 

拳銃の弾倉は細いので郵便局のズボンに通したベルトに差す。

 

「順。準備できたみたいだな。」

 

藤原さんはお札をリボンのように長い髪に結びつけていつもの容姿に戻っていた。

 

「私も準備できました。」

 

「?そのカメラは何に使うんだ?」

 

文は、首から一眼レフのアナログのカメラを首からぶら下げている。

 

「護衛と文々。新聞の記事探しを兼ねてのカメラです。」

 

「新聞、か。この里には新聞を作れるような設備は無さそうだけど。」

 

「いざというときは手書きですっ!」

 

「今度手伝うよ…文が良ければだけど」

 

俺が、少しそっぽを向きながら言った一言。文の表情は見えない。けど、少し上ずった声で分かった。

 

「はいっ、お願いしますっ」

 

笑顔でいると。

 

「こほん。さて、そろそろ行こうか。」

 

藤原さんは待ちくたびれたかのように咳払いし、靴を履く。

 

「ごめんなさい。」

 

「敬語禁止だ。」

 

そう言ってデコピンをしてくる。

 

「いてっ!」

 

「順も私たち幻想郷の一員だからな。ふふっそら逃げろ!」

 

「あややや!」

 

額を押さえながら痛みに耐えていると、彼女たちは逃げ出すように外に逃げていく。

 

追いかけようと扉をくぐろうとした時だった。

 

チリィーンと鈴が鳴ったような音が鳴る。その直後に何かが俺をすり抜けていった。

 

『…早く…見つけて…。』

 

「っ?!」

 

そのすり抜けていった存在は、そう一言呟くとそのまま家の玄関に入り、霧散する。

 

「…。」

 

今の一瞬が何だったのかはわからない。けど、どうも引っ掛かる。見つけて?夢の中でも、聞いた声だ。

 

「順さんどうしたんですかー。早くいきましょうよー!」

 

「ちょっと待ってー!!」

 

とりあえず、今は置いておこう。配達が先だ。

 

俺が彼女たちに追い付く。

 

「順、これから行くところは危険な場所だからな。離れるなよ?」

 

「わかった。ちなみに、距離は何キロぐらいなの?」

 

「キロ?はて?天狗には分かりかねますね。とりあえず、そんなに遠くはないです。湖が見えてきたらすぐそこです。」

 

「霧の湖は妖精がよくいる。気を付けるんだ。妖精は、人懐っこいのもいるが本質はいたずらっ子だからな。騙されないように。」

 

妖精、か。空き瓶に入れられて回復させてくれる感じのゲームのイメージでいいのかな?

 

「とはいっても人間の子どもと大きさがそう変わりませんけどね。」

 

「妖精でかいな。」

 

「幻想郷は、それだけ自然の力が満ち溢れているのよ。」

 

ふふっ、と得意気に笑う藤原さんたち。

 

「幻想郷が好きなんだね。二人とも。」

 

「故郷ですからね…。大好きです。」

 

「うむ。私たちは幻想郷が大好きだからな。」

 

一員、か。そう言いきれるということが出来るのが俺は羨ましかった。

 

「俺には、そんなことは言えない。」

 

「なんでですか?」

 

「今の()には、ただ帰りたいって感情があるだけだから。壊れたテープのようにね。帰ったところで俺に待っているものはただ郵便局員として毎日を繰り返す世界だ。」

 

「…退屈そうね。そんな思いするなら、幻想郷にいた方がいいんじゃないの?」

 

藤原さんは少し悲しそうにこちらを見た。

 

俺は、首を横に振る。

 

「俺は、さ。死んだアイツの代わりに郵便局員として歩きたいんだ。それに、退屈そうなんて言ったら他の郵便局員たちに怒られちゃうよ?」

 

「そうかもしれない。だけど、私は今のお前を見ていて辛そうにしているように見える。仕事しては寝て仕事しては寝て。そんな生活は、限りある人生をただただ浪費しているようにしか見えない。」

 

「…そう、だね。否定は出来ない。でも、漸く手にいれた普通を俺は手放したくない…。」

 

「普通、ね。…私にはとても普通には見えないわ。」

 

そう藤原さんは云った。確かにそうだろう。幻想郷は、外の世界とは生活がまるで違うから。

 

数年前に地上に栄えていた人類は、俺が参加した戦争で起こった死の灰(・・・)により、大半は死んだ。

 

今は僅かに生き残った人間が地下を拠り所として住んでいる。

 

人々は滅びを待ち、ただ滅び(未来)を待つだけの存在になってしまった人類に対しては退屈とかつまらない世界という言葉は正論だろう。だがそれでも。

 

「そういわれても俺は普通だと言い続ける。確かに幻想郷から見たら普通ではないかもしれないけど、争いすぎて争いもなくなるほど疲弊した世界かもしれないけど、漸く人々が戦争の悲惨さを体験し悲劇を体感し身を寄せ合い平和になったんだ。窮屈で貧しいかもしれない。でも、漸く…在るべき平和な普通の暮らしを手に入れれたんだ。だから俺は外の世界が大好きだ。それに俺は、地下に住む人間と僅かに汚染を免れた地域(地上)に住む人間たちの思いを手紙で繋ぐ役割がある。それは誇りだ!だから…俺の生き方は決して退屈なんかじゃない。」

 

それが精一杯だった。藤原さんはふふっと微笑む。

 

「なんだ、自分の世界のこと好きなんじゃないか。いいか、順。私たちが幻想郷を胸張って好きだって言うようにそうやってお前も外の世界が大好きだって言うんだぞ?」

 

「…あちゃ。踊らされてたみたいだ。」

 

彼女は俺がどれくらい外の世界を愛しているのかを試していたのだとこのとき気づいた。

 

「まだまだ甘いぞ。順♪」

 

「…ぐぬぬぬ。」

 

悔しい!

 

「…霧が濃くなってきましたね。」

 

文が不意に呟いた。

 

「霧の湖とやらに着いたの?」

 

「ええ。恐らく…。っ!」

 

文が問いかけに対し肯定するのと同時に、俺の顔の横に飛んで来た何かを葉団扇で砕く。

 

「うおっ!」

 

鋭い痛覚と冷たい感覚が耳に走る。恐らく砕かれた破片が当たったのだろう。

 

「妖精のりょーどに許されずに入るなんて、いい度胸ね!」

 

「この声は…!」

 

藤原さんは少し怒ったように拳に炎を灯しながら薙ぎ払い霧の先に炎の不死鳥を吹っ飛ばす。

 

「あちゃっ!あつ!あついって!」

 

霧の先で何かが不死鳥の業火に焼かれて悶え苦しんでいる…が、それは一瞬で何事もなかったかのように空気中にその姿を再構成(・・・)しながら、俺の視界に表れる。

 

「熱かったー…。」

 

ウェーブのかかった水色の髪、青い後ろ止めのリボン。青い瞳、青いワンピーススカート。

 

そして、氷の翼。

 

「妖精、即失せなさい。そしたら、あなたを見逃しますよ。」

 

「うぇ?天狗もいるの?!ふ、ふん、あんたどんだけ弱いのよ。あたい知ってるよ、ライオンの胃を狩るネズミって!」

 

虎の威を借る狐のことか?

 

「弱いというか…何て言うか…。こいつらが勝手についてきているだけで…。」

 

「氷妖精チルノ。妖精たちのなかではかなり危険度が高い。が、なんだろうな妙に引っ掛かる。」

 

「あたいは、そいつを食べてもっと最強になるの。邪魔するなら容赦はしないわ。」

 

最強になる?どういうことだ? そんなことを考えていると辺りに氷の壁が形成され俺達の後ろの道が塞がれ、地面が凍りつき始める。

 

「順さん、考えるのは後!来ますよ!」

 

ふわっと文が俺の体を後ろから抱きしめ飛び立つ。

 

「くっ!」

 

藤原さんも遅ればせながら飛び上がる。すると、俺たちがいた場所が、凍りつく。

 

…ということは

 

「闘いたくはないが…やるしかないか。」

 

【BATTLE MODE GANSO】




はい、次回予告嘘こきました。てへ。
相も変わらずもごもご文章力が低いこと低いこと。でも、書いていて楽しいです。

自分が納得するものを何度も書いては書き直しているのでなかなか早くかけませんごめんなさい。

でも、少しでもよくしようとちょっと色々模索しているのでよろしければ応援お願いします!


次回予告

「アイシクルレイン!」

「今度こそ私登場しますよね?!」

順は、チルノに勝てるのか!

幻想郷さいきょーの氷妖精を溶かせ順!

To Be Continue →


【順のステータスが変わりました。】
筋力■□□□□→筋力■□□□□
俊敏■□□□□→俊敏測定不能
幸運□□□□□→幸運□□□□□
体力■■□□□→体力■■■□□
防御■□□□□→防御□□□□□

HP100

能力 
primary  自身にまつわる伝説を具現化する程度の能力
secondary 銃と銃剣術を使える程度の能力

真能力 【???】

弾幕能力 低

弱射撃 高速 威力下の中
強射撃 高速 威力中の下

弾丸状の弾幕を飛ばす。

support 
射命丸文:移動速度最速強化
藤原妹紅:炎系弾幕の援護
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