東方儚郵夢(郵便局員が幻想入り   作:ー《真戒》ー

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
仕事が忙しくて、と納得した文章を書けずに居て、時間がかかっていました。

久しぶりの更新となってしまいましたが、こつこつと更新を続けていきます。どうぞ、よろしくお願いします。


集荷二十四件目 VSチルノ

 

「順。そいつは私に任せてくれ。」

 

妹紅は、火の鳥の形状から背中から炎の翼を生やした形態になる。

 

「藤原さん…。」

 

やる気になっていた順だったがきょとんとする。そんな、順の横を通りすぎていく妹紅は、チルノと向かい合う。

 

「すぐに消えそうな炎ね。」

 

侮蔑を込めた笑みを浮かべてチルノは言う。

 

「そうかな?私の炎はあんたのような氷を蒸発させるの得意だけど。わたしの護衛対象に手を出したこと後悔させてあげるわ。」

 

藤原さんは、少々お怒りの表情を浮かべている。

 

「…文、何で藤原さん怒ってるの?」

 

「…えー、わからないんですかー?鈍器より鈍感ですね。」

 

ヒソヒソと文と順が話していると無言の圧力が妹紅の背中から伝わる。

 

「すいません。静かにします。」

 

思わず順と文は縮こまってしまう。それに、圧されるようにチルノも少し冷や汗をかく。

 

「ど、ど、ど、どんなに威勢を張ったってあたたいに勝てないよ…!!!」

 

「そうだな、その言葉そっくりそのまま返してお前を燃やしてやるよ。私の妖術でな。」

 

チルノが霧の中に消え、代わりに大量の妖精が霧の中から妹紅に襲いかかる。

 

「順。ひとつだけ。」

 

妹紅は、大量に現れた妖精を楽しげな表情で見つめる。

 

「なに?」

 

「私が、あの妖精をぶったおして、紅魔館に手紙を届けた報酬。考えておきなさいよ。」

 

「わかった。…気を付けて。」

 

順の言葉に妹紅はニヤリと笑う。

 

「その言葉、忘れるなよ。」

 

妹紅は、両手に炎を灯しながら、向かってくる妖精たちから大量に放たれる弾幕の隙間を縫うように飛び、通りすがり様に焼却していく。

 

「こんな程度の使い魔でよくもあんなに威勢が晴れるもんだ。」

 

彼女はそんな言葉を溢しながら嬉々した表情を浮かべていた。

 

「笑っている?」

 

「多分、楽しみができたからでしょうねー。」

 

順の言葉に、文は嫉妬を含んだ言い方で彼の問いに答えた。

 

「ふむ。」

 

順は、今一理解していない様子だった。

 

燃え上がる焔に焼かれて溶ける妖精達。藤原妹紅の前では無意味に等しく、ただただ人肌に触れて溶ける雪のように。その炎は、熱く、情熱的で、魅力的だった。

 

体術と妖精を駆使した打撃と、妹紅の周りを舞う不死鳥が散らす火花。

 

次々に妖精を倒していった藤原さんだったが、湖畔の中間付近で止まる。

 

「…あややや。大妖精ですね。」

 

「大妖精?」

 

「ええ。あの順さんを攻撃してきた氷妖精と似た分類の妖精。妖精の中では比較的位が高い部類の精霊です。」

 

ゆらりと空中に浮いている大妖精と呼ばれた妖精。緑のサイドテールで、青の長袖の ワンピースにエプロンドレスを着けている。

 

「お前は、優しくて非好戦的な筈なんだがな。何故私の目の前に立つ?」

 

大妖精は、泡を手の平に出現させる。その動作は、妹紅と戦うという意味を感じさせる。

 

「…。」

 

「そうか、来ると言うのなら来るが良い。消し炭に…。」

 

妹紅が、大妖精に襲いかかろうとした瞬間だった。

 

突如として、妹紅の腹部から血が噴き出した。

 

そこに見えたのは、剣。両刃の剣だ。銀色の刃に、金色の鍔と黒い持ち手。

 

それが、霧の向こうから。しかも、氷の結界の壁をどういう原理か超えて妹紅に襲いかかってきていたのだ。

 

「うがぁぁ…。い、痛っ…。」

 

「…。」

 

剣を引き抜き、妹紅の腹から腸と血が溢れ出す。そこに追撃するように、泡を放ちながら大妖精が襲いかかる。

 

「…!くそ!!」

 

「文、俺を大妖精に飛ばせ。風を使って!」

 

「あやぁ?!落ちたら凍りついて死にますよ?!」

 

「鳶みたいに、風を翼で受ければ少しの時間なら滑空できるはずだ!!その間に、妹紅さんを助ける!!」

 

「し、失敗しても怒らないでくださいね!」

 

「構わんッッ!ヤれィ!」

 

「風神一扇!…気を付けて!」

 

順は、文に投げられたのち、空中でその背中の黒翼を広げる。そして、文が起こした風に乗る。

 

「だぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そのまま順は、89式小銃のストック部を振り上げ大妖精の頭を殴り付け湖に叩き落とす。が、同時に順も滑空が出来なくなり落下していく。

 

「…順!!」

 

「妹紅さん!」

 

妹紅は、落下していく順を湖面すれすれで受け止める。

 

「くそ、無茶しやがって。こいつ。」

 

コンと順の頭を頭を拳で軽く小突く妹紅。

 

「えへへへ。一対一だったら手出しはしなかったんだけど、流石に奇襲されていたしね。」

 

順は、白い歯を見せながら笑い、妹紅は安堵の表情を浮かべていた。

だが、そんなゆっくりしている暇はない。前方から氷柱の大群が霧を裂いて襲いかかってくる。

 

「はぁ!!」

 

文が、葉団扇に風を込めながらバレルロールを行いながら横一線葉団扇で空間を薙ぐ。すると、天にも届くような高さの竜巻を起こし、妹紅と順を氷柱から守る。

 

「紅葉旋風。決まった…(キラーン」

 

文は、どや顔になりながら、キャスケット帽を指で摘まんでくいっと向きを直す。

 

「文!まだ来るぞ!」

 

今度は、前方から数十本の氷柱と、後方から剣が数十本が飛んでくる。

 

「くそ、挟まれた!!」

 

「あややや。困りましたね。」

 

「文は、剣を落とせ。妹紅は氷柱を溶かせ。剣をぶっぱなしてくる奴は…俺が当てる…!」

 

そう言うと順は、89式小銃の照門を通して照星を見つめ、狙いをつける。

 

「結界を超えるんですか?難しくないですか?」

 

「たかが氷の壁なんぞ、ぶち抜いてやるよ。やつがどういう原理でここにデリバリーしてくれてんのかは関係ない。今、俺に出来ることは、やつに鉛弾をプレゼントしてやることだ。もう、足手まといは御免だ。」

 

「わかりました。順さんの指示に従います。」

 

「あの氷妖精も引き受ける!あの剣をどうにかしてくれ!文、順を受けとれ!」

 

「はいはーい。一名様ご案内ですねー。」

 

妹紅は、順をひょいっと投げて、文は順を抱き抱えるように受け止め、小脇に片手で抱える。

 

「お前ら…俺を玉みたいに投げるなよ!全く。まぁいい。やれ!」

 

「紅葉旋風!」

 

「フジヤマヴォルケイノ!」

 

風と爆発が周囲を包み、剣は、明後日の方向に飛んでいき、氷は溶ける。

 

「単発よーし!!」

 

直ぐ様剣が飛んできた方向に狙いをつけ、発砲する。タァンタァンと、響く発砲音。だが、弾丸は命中した様子はない。

 

「ぅーーー。順さぁん。耳がきぃーんて!」

 

文は、涙目で不調を訴える。順は、ひとつ見落としていた。

発砲音が、間近で抱き抱える文に被害を出していたのだ。

 

「す、すまん。くそ、文のことを考えて後一発が限度か…!」

 

何か手は、何か…と焦る順。その間にも、追い詰められていく順たち。

 

『信念を以て私を引いてください。』

 

「え?」

 

ふと隣から声がする。猿田彦の声だ。

 

『あなたが、護りたいもの。倒したいもの。それを思い描いて、引き金を引いてください。』

 

「…護りたいもの…文と妹紅。…倒したいもの…それは二人を傷つけるもの。それを、射抜きたい。」

 

『ならば、信じて引き金を引け。あなたなら出来る。私を遣って幾多の戦場を超えてきたのだから。私は、あなたの一部であり、あなたの翼なのだから。』

 

順は、すっと照門を覗き霧の向こうに照星を合わせ狙いをつける。

 

「………文、一発だけ我慢してくれ。」

 

「え?」

 

「一発でケリをつける。昔のように。」

 

狙いをつけている順の回りの時間がゆっくりと進む。呼吸を整え空気を肺からすべて吐き出す。イメージするのは確実に相手を捉えること。空気抵抗、重力、風向き、温度を計算し、次に剣が飛んできた瞬間に確実にこの一発の銃弾を相手に当てる。

 

ヒュンヒュンと、空気を切り裂いて剣が飛んでくる瞬間。順には、相手の居場所が直感で分かった。それと同時に引き金を引き一発の銃弾が銃口から放たれる。その銃弾は鎌鼬を纏っており、目に見えるほどの濃密な物だった。

 

霧を裂いて、空気を喰らい、氷の結界を破壊し、弾丸はただ真っ直ぐ霧の向こうに向かって飛んでいく。

 

ガキィーンという金属が折れる音が湖に響く。…どうやら手応えはあったようだ。

順達を襲う剣が飛んで来なくなった。

 

「よくやった順!私は思う存分この妖精を粉砕できる。」

 

妹紅は、背中の炎の翼を大きく羽ばたかせてチルノに襲い掛かる。

 

「アイシクルフォール。」

 

慌ててチルノは無数の氷柱を妹紅の真上に産み出し、それを落とす。

 

「氷、ね。青空の下に見える氷は青くて美しい。けれども、こんな霧のなかじゃ美しさなんてものは…ない!!」

 

妹紅は、拳に炎を纏い氷柱を溶かしながら背中の炎の翼をブーストのように噴射させチルノに向かって突進していく。

 

「ア、アイシクルブレイド!」

 

逃げれないと悟ったチルノは、くるくる回りながら上空に飛んでいき上空で両刃の氷の剣を産み出し、振り上げ、降り下ろしながら急降下して妹紅に斬りかかる。

 

「真っ向勝負か?いいねー。なら、私も応えないとな…。だが…残念だったな。氷は、炎に溶ける運命なんだよ…。私という炎がいる限りお前という雪は、氷は、いずれ溶けるのよ。行くよ。…不死【火の鳥-鳳翼天翔-】!」

 

妹紅が、炎に包まれ炎の不死鳥となる。その炎の不死鳥は、羽ばたくたびに火花をばら蒔きながら高速で飛翔し、チルノを迎え撃つように突撃していく。

 

朱と蒼。それは、ぶつかり合い、凌ぎを削り合う。だが、暖炉の炎にくべられれば氷はいずれ溶けるのが運命(さだめ)。チルノの剣が溶けていき実体をなくしていく。

 

「やだ、負けたくない。…みんなあたいをバカにして!みんなあたいたち妖精を蔑んで…!!…イヤだぁ…!!」

 

そんな悲痛か叫び声と共にチルノの剣は完全に溶けて、熱に当てられながら上空まで押し上げられる。

 

「妖精よ。ひとつ、訊く。これを答えるか答えないかで、お前を助けるか助けないかを決める。何故、順を襲った?」

 

「あたい、言われたの。妖精達の不遇を改善させたければ、妖力の塊であるそいつを食べろって。だから…。」

 

「そうか。種を救うための行動だったのか。…だがな、妖精。お前は、犯してはならない過ちを犯した。如何なる理由があろうと私の友達を傷つけた。…殺しはしない。だが、私の怒りの熱に焼かれて反省しろ。」

 

妹紅は、そうチルノに怒りを込めた静かな口調で諭し、前縦回転しながら人間の形態に戻り、チルノに踵落としを繰り出す。

 

「そっか。だから、大ちゃんに止められたんだーーー。」

 

湖の中に落下していく最中。チルノが呟く。

 

「あたいの……ばか……。」

 

水柱が高く上がって、水を撒き散らす。

 

【Winner Moko Huziwara!!!】

 

「…倒したか。」

 

「ああ。まあ、妖精だからこの自然がある限りまた暫くしたら甦るだろう。そーれーよーり。」

 

ずいっと、順のところに近づく妹紅。順を抱いて離れていく文。

 

「あ、ごめんなさい。汗くさいので順さんはあげません。」

 

「あぁん?お前も十分臭いぞ。」

 

売り文句に買い文句。二人とももう少し仲良くしてほしいものだ。

 

「文も妹紅も…ほら、仲良く。」

 

「あーーー!!」

 

突然大声をあげる文。

 

「どうした文。」

 

「なんで、藤原さんって苗字で呼ばないんですか。ダメですよ!」

 

それに妹紅も気づいて、心なしか少し頬を緩めつつ不機嫌そうな表情を作る。

 

「そ、そうだぞ…。し、失礼だぞ…。あ、お、お前が、べ、べつに、もこうってよびたいなら…よんでも…うん…」

 

「妹紅?」

 

「あぁぁあ!!もう!やめろ!すごく…なんか…こそばゆい!もう行く!」

 

悶絶を一生懸命隠しながら妹紅は、先に紅魔館を目指して浮遊していく。そのあとから、順を抱えた文が急いで隣に飛んでいく。

 

「照れてるんですかぁ?あやややや?」

 

シャッターを切っていく文。恥ずかしそうに紅潮する顔を腕で隠して進んでいく妹紅。

 

順は、そんな二人を見ていてどこか遠い過去を思い出すように遠くを見ていた。

 

 

 

『お前に俺の(概念)を託す。』

 

 

 

 

そんな彼の最期の言葉を思い出して。

 

 

 

 

そうこうして、順たちは、紅魔館の前に到着する。

 

「ここが、紅魔館です。」

 

文に地面に下ろされた順は塀に囲まれた、古びた洋館を目の前にし呆然と佇む。

 

「大きいな。」

 

「ええ。ここは、少し前に霊夢さんたちが異変を解決した場所です。」

 

「異変?」

 

「そう。異変。…この屋敷の長が幻想郷を占領しようとしていたのです。なので、霊夢さんと魔理沙さんは、二人で協力し、その洋館の主。レミリア・スカーレットを倒し、紅霧異変を解決したのです。」

 

「へぇ…。つまり、俺は、里の長に頼まれてとんでもないところに踏み入ろうとしているのか。」

 

順の言葉に、妹紅はため息をつく。

 

「だから、危険だって言ったんだよ。とはいえ、吸血鬼が起き出す時間にはまだ30分ある。なんとかして届けないとな。」

 

「そうだね。」

 

順は、古びた洋館。基、紅魔館を前にして緊張した表情を浮かべる。

 

門に差し掛かったところだろう。

 

「止まれ!」

 

突如として声が響く。

 

「え、あ?」

 

順の進路を塞ぐように霧の中から、緑色の帽子を被り、赤い長い髪、密編みのお下げを作り、緑色のチャイナドレスを着た黒い瞳の少女が現れる。

 

「ここから先は、紅魔館の敷地。通しはしません。」

 

「手紙を届けに来ただけなんすけど…。ダメっすかね。レミリアさんに届けろと里の長からお使いしてて…。」

 

へこへこ頭を下げながら順は、その赤髪の少女にお願いする。

 

「出来ない。お嬢様に、お前のような余所者を会わせるなど危険すぎる。お引き取り願おう。」

 

びしっと手のひらを見せ、通さないという意思を見せる赤髪の少女。

 

「ど、どうしよう…。」

 

困ったように文と妹紅を見る順。

 

「紅 美鈴。中国拳法の達人で、気を使う程度の能力…。彼女は、門番です。…私としては、この人に手紙を渡せば終わりであると思いますよ。」

 

「うむ。これで手紙を届けられるなら良いんじゃないか?」

 

妹紅も文も、渡してしまえば?という感じだ。しかし、納得出来ない順。

 

「だけど、長がレミリアさんに届けてくれと言ってるし…。確実に届けたい。渡すとしても直轄の執事とか信頼できる人にそのまま渡したい。」

 

「…なるほど。」

 

文は、少し考え込む。さてどうしたものか、と。

 

「強行突破するのは?」

 

妹紅は、そう順と文に提案する。

 

「強硬突破…か…。」

 

順は、内心ありだな。と思っていた。

 

「ダメです。危険ですよ。私たちは、並大抵なことでは殺られたりはしませんが、順さんは天狗の成りはしてますけど、人間と大差ないです。あまりおすすめはできません。」

 

「彼女は、人間ではないの?」

 

順は、首を傾げながらそう問いかける。

 

「ええ。彼女、紅 美鈴(ホン メイリン)は、妖怪であり、門を護ることや、何かを護ることに対しては、かなりの力を持っています。彼女の守りを崩せたのは、霊夢さんと魔理沙さんくらいしか居ません。」

 

「文は?」

 

「突破はせず、正攻法でアポとって取材許可とって…てやったので突破はしたことがありません。というか、失礼ですし。」

 

文が真面目である。その時の彼女は、順の前で見せる天真爛漫な乙女ではなく、ジャーナリストとしての文であった。

 

「…だがな、射命丸。私は、こういうときこそ強硬突破もアリだと思うぞ。」

 

「?何故ですか。」

 

「幻想郷は常識には縛られない。お前たち天狗は世間体とか色々あるから敢えてキチンとするかもしれないが…順には、アポもコネもない。私が順なら強硬突破してでも、自分が与えられた仕事を確実にこなせる方を選ぶ。」

 

妹紅はそう、順にアドバイスする。

 

「なら、あれだ。強硬突破するっていうのはあまりに、危険だし、後腐れある。ここは、彼女()にゲームを申し込もう。」

 

「ゲーム…とは?」

 

「無論、弾幕戦。勝てば通してもらう。負ければ帰る。それなら、幻想郷のルールに則っているだろう?」

 

順は、そう答えを導きだした。

 

「弾幕ごっこですか。果たして、うまく行くのでしょうか。あちら側が乗る条件がなければ…あ…!」

 

文は、いきなり大きな声をあげる。あった。

 

吸血鬼であるレミリアは、人の血を求める。そして、それは里の外に出た人間達を拐って食料にしている。ならば…。

 

「射命丸、まさか…。それは私は、反対だぞ。」

 

「ですが、そうでもしなければ…交渉材料には…。」

 

「もう、分かった。交渉だとかなんだとか、考えるのは、俺とかしたの人間が考えることじゃない。」

 

順は、正直頭痛を感じていた。というか、めんどくさく感じていたのだ。確かに、手紙を届けることが大事だが、人里を交渉材料にしてまで入ることは常識的に考えてあり得ない。となればやはり、出る答えはひとつ。

 

「俺の命を賭ける。確か、美味しそうなんだっけ?ちょうど良いだろう。」

 

「あやややや。やっぱりそうなります?」

 

「さっすが。やはり、男はそうでなくてはな。」

 

文はちょっと困った表情を浮かべ、妹紅は嬉しそうにガッツポーズをする。

 

「…なるほど。」

 

話の会話を聞いていた赤髪の少女、紅。

 

「門を潜ると言うのなら、私を越えていくが良い。…久方ぶりの仕事だ。来るが良い。負ければ、お前()を喰う。」

 

紅は、楽しげに笑う。が。そこで問題。

 

「…で、誰が行くの?まあ、私に任せておけよ。」

 

「いやいや、ここは天狗である私がですね。」

 

「え?もちろん俺だけど?二人とも何いってんの?」

 

「…ん?え、本気でいってるんですか?!」

 

文は、てっきり自分か妹紅が戦うと思っていたらしく拍子抜けの表情をしている。

 

「ん、ん…?順…お前が行くのか。大丈夫なのか?」

 

妹紅も同じくキョトンとした表情だ。

 

「大丈夫大丈夫。どうにかなるって。」

 

そう言って順は、肩に89式小銃を担ぐ。

 

「…む、むぅ…。戦うことが嫌いなんじゃないんですか?」

 

「…ああ。そうだ。…さっき一緒に皆で戦っていたときに思い出したんだ。」

 

順は、語り続ける。

 

「戦うことが嫌いな俺が、なんで自衛隊になったか。…朧気だった記憶が少し戻ったんだ。」

 

「…そう、ですか。」

 

文は複雑な表情を浮かべ、妹紅は嬉しそうに微笑む。

 

「なら、行ってこい。その代わり勝てよ?」

 

「ああ。必ず勝つ。」

 

しかし、それをよく思わない人物が一人。それは、文の口から溢れる。

 

「……か…。」

 

「文?」

 

「じゅんさんの…ばか。」

 

そう、順の耳には届いた。そして、彼女は俯いていた。何故、彼女がそんな言葉を漏らしたのか、その言葉の裏に隠された意味を、この時の順は分からなかった。だが、彼女が見せた態度や言葉からは確かに伝わったーーー。

 

「…文。」

 

ぽんと文の頭に手を乗せ不器用に撫でる順。

 

「…。」

 

きゅっと口を閉じたままの文。

 

「ありがとうな。気遣ってくれて。」

 

順には、文が気遣ってくれたという思いが伝わっていた。順は、帽子を深く被り直し、紅の前に立つ。

 

「待たせたな。さあ、始めよう。」

 

「漸くか。さて、ここを通りたければ私を倒して推し通れ。侵入者よ!」

 

受けてたつ。と紅は、順の目の前に立ちはだかる。

 

 

To Be Continue →




あれ?と思った方もいるでしょう。予定ではチルノは順が戦う予定でした。

ですが、妹紅がよくよく考えたら不憫な立ち回りが多いので、敢えて妹紅の見せ場と言うことで順の代わりに妹紅が出ると言う形になりました。

原作との相違点は、レミリアを霊夢達が倒した、というのと、文が強硬突破して取材を行っていないと言うこと。そして、面識があまりなく、データ的な知識でしか文は紅魔館を知りません。

そして、妹紅は、大妖精と面識があります。

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