「いきなりで悪いが、攻めさせてもらう…!」
先手を打ったのは順だ。銃を紅に発砲しながら接近していく。
「ほう、銃ですか。外の世界以来ですが、さて、どんな腕前なのか。」
紅は、拳銃の弾を手の平で捌き受け流す。そこに、順が床尾板を振りかぶりながら踏み込んでいく。
「どっせぃィ!」
「とぅ!」
しかしその床尾板打撃は、受け流され、そのまま順は襟を掴まれ投げられる。
「リカバリー!」
投げ飛ばされながら、順は、ベルトに差した9mm拳銃を引き抜き、受け身を取りながら転がり、片膝をついた体勢となる。
「三発〆!1!」
放たれる銃弾。紅は遠くに離れた、順に向かって走りながらその銃弾を避ける。
「2!」
気を込めた腕で二発目の銃弾を防ぎ、さらに距離をつめていく。
「3!」
三発目。紅は回転しながら飛び上がり、銃弾を掌で受け流し、そのまま空中で虹色の光のクナイを全方向にたくさんばら蒔く。
「避けられますか?!」
「くっ!」
89式小銃を盾にしつつ、そのクナイを防ぐ。が、防ぎきれず、順はダメージを受け、怯む。
「隙あり!」
そこに右手に虹色の光を灯しながら飛び込んでいく紅。
「撃符 【大鵬拳】!!!」
虹の気を纏ったアッパーカットが順に繰り出される!
「があ!」
直撃だ。顎に紅のアッパーカットが直撃し、順は数十メートル吹き飛ばされる。
「じ、順さん!!」
「順!!」
「つ、つう!…妖怪じゃなかったら死んでた!!」
打ち上げられながら順は悪態をつきながら、翼を広げ滑空する。どうやら、先程の戦いで滑空する方法を身体で覚えたようだ。
「御返しだ!!」
上空から、89式小銃を構える順。しっかり狙い、紅に発砲する。
発砲された弾丸は、鎌鼬を纏い、破壊力を増大させている。
「面白い!天狗らしい弾じゃないですか!!」
高速で、襲いかかる銃弾を紅は、間一髪で避ける。紅が避けたことにより、地面にも鎌鼬による爆発が起きる。
「きゃっ!」
「…どういうことでしょう。」
「何がだ?」
「順さん、この前手合わせしたときには、あんなこと出来ませんでしたよ。」
「何。」
妹紅は文の言葉に眉を潜める。
「封印が解けていく…?」
「さっきから何を言っている。」
文の肩を掴む妹紅。しかし、文の目は妹紅には向かず、上空で旋回し続ける順を見つめ続ける。
そまるで上空から撃たれる大砲のような、弾丸を避け続ける紅。
「いい加減に…!」
紅は、両手に気を溜めて両手を上空に向ける。
「降りてきなさい!!」
大きな虹色の球が、順に向かって放たれ、その球は虹色の光の羽の弾幕をばらまきながら、順に向かって接近してくる。
「うおおおおおお!!!」
9mm拳銃を構え、紅に発砲しながら順は、滑空しその弾幕の弾と弾の隙間を潜り抜けながら、高度を落とす。
「近づいてくるか!」
順は、紅の頭上で止まり翼を畳んでまっすぐ紅に向かって
「あー…最近落下するの多いわ…イエアァァ!!」
雄叫びをあげて、順は
「これは、まさか噂に聞く大和魂と言うものですか…!避けられない!避ければ、私は、武道家としても、門番としても敗北する!!」
紅は、どっしりと仁王立ちし、銃弾を両手で順が放つ弾、その全てを受け流す。だが、凌ぎきれずに、数発刺さる。怯みそうになりながらも、己を奮い立たせ順を睨み、受け流しながら両手に虹色の気を込める。
「ぬぅぅおおおおお!!!!」
順は、銃弾を撃ちきれば、弾倉を投げ捨て、新しい弾倉を挿入し、槓桿を引き装填し、再び連射を行う。その動作を高速で行い、まるで切れ目のない連射を行っているように錯覚させる神業を行い、片手で発射し続ける。そして…。
「猿田彦の…!!」
落下しながら翼を羽ばたき、バレルロールを行い風をその身に纏う。紅は、力強く踏み込んで飛び上がりながら気を込めたアッパーカットを行う。
「紅砲!!!」
「先導!!」
紅のアッパーカットと猿田彦の先導がぶつかり、お互いに吹き飛ばされる。
「うあ!」
「きゃっ!」
紅は、門の手前まで少し吹っ飛ばされるも踏みとどまり、順は文と妹紅の目の前まで吹っ飛んでごろごろ転がる。
「順さん…!」
「順!」
駆け寄る文と妹紅。
「はは…もうちょっとスピードあれば…。」
「よく頑張りましたね…。びっくりしましたよ。」
文は、倒れている順を抱き寄せそっと抱き締め順の背中を撫でる。
「通っても良いですよ。」
「…?え?」
「ほら、通ってもいいですよ。」
順は耳を疑い、文はキョトンとし、妹紅は驚いた顔をする。
「どういう吹き回しだ?」
「…あまり弾幕ごっこをしていない癖に、彼処まで勇猛果敢で恐れを知らず立ち向かって来る熱意に負けましたよ。」
「本気は出していないけど」と、付け加え紅は門に寄り掛かり、ちらりと上目遣いで順を見つめる。
「…良いんですか?」
「うん。それに、私が食べようとしたらどんなことがあっても、あなたは私からその子を守ろうとするでしょう?」
「あやややや。気付かれていましたか。」
「ええ。天狗のお嬢さんからは、私たちと同じものを感じるからすぐに分かります。」
紅はくすりと笑い、文は顔の横をぽりぽり掻きながらえへへと笑う。
「待って…。でも、怒られちゃうんじゃ…。」
順は、紅にそう問いかける。
「良いんです。それに、今の紅魔館は、笑いがなくて正直退屈しています。今の紅魔館は…少し笑いがないので。」
紅は少し疲れたように目を閉じて笑った。
「笑いがないの?なんで?」
「…そうですね、それほど今は切迫した状況でして、お嬢様の魔力が切れ掛けており、メイド長もお嬢様の為に人間の血を集めるために手を汚して、パチュリー様はレミリア様の為に治療法を探していて解決策はわかっては居るのですが…その決定的な材料がなくて困っていらっしゃるのです。」
順は驚いた。手紙を届けに行く相手が床に臥せているとは思いもよらなかったからだ。
「分かった。」
「?」
「見ず知らずで、あなたとは一回しか会っていないけど…。」
順は、立ち上がり紅に歩み寄り、紅の両肩に手を乗せる。
「あなたと紅魔館を助けよう。だから、あなただけはどうか笑顔を絶やさないでください。…そうしないと、せっかく魅力的なのですから勿体無いし、何よりも笑う門にも福来る…ですから。」
紅は、順の左手にそっと手を添えて微笑む
「うふふ、なんかこそばゆい気持ちです。
「…はい。お任せください。なんてったって何でもやるポストマンですから…。否、困っている人を見捨てることの出来ない自衛隊員ですから。」
ふふっと順も笑う。
「それじゃあ、行きますか。」
文が、声を順にかける。順は、文たちのもとへと戻り、紅は少し手を伸ばしたが引っ込める。
「さて、異変を解決しなきゃな。」
「…順は、めんどくさいことを常に引き寄せるよな。まぁ、楽しいからいいけどな。」
妹紅は、少し微笑む。
「楽しくなってきたぞ。俺は。」
そう言って順を先頭に門の中へと入っていこうとする。
「…あの!」
背後から紅が順を見ずに、声をかける。
「ん?」
「御名前は…?」
「順だ!」
「…素敵な御名前です。順様…。」
「おう、ありがとう。紅美鈴さんの名前も可愛くて好きですよ。」
「ありがとう…ございます。」
紅は俯きながら胸に手を当て、言葉を続ける。
「どうかお気をつけて…。」
紅は、背中を向けたままそう言った。
「…おう。」
「あの、順さん。私の名前も可愛いとか思うんですけど…」
「わ、私の名前は、こう、かっこいいと思うんだが…。」
「可愛くて魅力的な名前だと思うよーみんなー。」
そんなこんなで、順たちは紅魔館へと入っていく。
立ち籠める霧のように困難の中にある紅魔館に光を取り戻せるのか。
順たちの冒険はまだまだ続く。
続くったら続く。
◆
立ち込める霧。深紅のメイド服に、金髪の長い髪の女性が湖の畔の木に寄り掛かって倒れている。
「…がはっ…がふっ…。」
腕があった場所は、切断されており数メートル先に飛んでいっている。
辺りには血と、両刃の剣。
「……う…うぅ…。」
立ち上がろうにも、損傷がひどく意識が朦朧とする。
「無様…ね。…あの、人形め…。はぁっ……つ…。」
「…くっ……。」
聞こえる足音。
「誰か、来る…?」
女性は焦燥の表情を浮かべ、耳を澄ませる。
「おーい、霊夢ー!人が倒れてるぞ-!」
「放っておきなさいよ。それより、紅魔館へ行かなきゃならないんだから。」
魔理沙が女性の近くに寄る。
「わー、お前、派手にやられてるな…。大丈夫か?」
「……触らないで…。」
「うわっ、本当ね。…あれ?」
近づいてきた霊夢も少し驚き、その女性の顔を見る。
「あんた、どっかで会った気が…。」
「んー、奇遇だな霊夢。私もだぜ。」
「…?」
朧気な輪郭でしか霊夢と魔理沙が見えないその女性。
「ま、兎も角助けようぜ。」
「二人で運んでいくの?面倒くさいわ。」
「まぁ、良いじゃないか。霊夢は、普段は人助けしないんだから、こういうところで助けたらなんかお礼くれるかもしれないぜ。」
「はいはい。一先ず、永遠亭に連れていきましょ。長老の遣いで何で私がいかなきゃいかないし、魔理沙が余計なもの見つけるし。あーもう!…まったく面倒くさいわね。」
霊夢は、御札を取り出し巨大化させる。
「本当に霊夢の御札は便利だよな。」
「つべこべいってないで、その人の腕とその人をお札に乗せる!」
「はいはい。」
渋々と、お札に乗せる魔理沙と、きびきび乗せる霊夢。二人で、協力して女性を包み、二人で女性を担ぐ。
「あんたの方が速度速いんだから、あんたが私の速度に合わせなさいよ。」
「はいはい分かったぜ、霊夢様様。」
紅白と白黒の少女は、永遠亭に女性を連れていく。
これが、後に騒動を起こすものになるとは、その時二人はまだ知るよしもなかった。
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順がものの見事にフラグを立てていますが…まぁ、爆死しろですよ。
後半で登場した女性。実は、咲夜ではありません。さあて、どなたでしょうか。
それでは、また。