あと少しで千行きそうですね!いやぁ、みんな読んでくれてありがとう!
一文追加し忘れてたので追加しました。7月14日(火)1時21分追記
漸く人間の里付近に到着した頃にはもう日が山に沈んで空が焼けるような茜色に染まっていた。
平野にある人間の里には山から舞った紅葉が所々に散り、美しく彩っていた。
「秋、だったんだね。」
「そうですよー?」
同じ季節か…。綺麗な紅葉だ。俺が外の世界で最後に下ってた山、天狗山も綺麗な紅葉だったな。
「外の世界も同じなんですか?」
「季節は同じ。だけど、少ないよ“汚染“されてないこんなに綺麗な紅葉は。でも、ここに来る前に最後、天狗山って山を下ってたんだけど、そこには確かにこんな綺麗な紅葉が舞ってた。」
ゆっくり歩きながら、舞い散る紅葉を眺めてると射命丸さんがニコニコしながら問い掛けてくる。
「紅葉と黄葉、どっち好きですか?」
…。えーっと、紅葉と黄葉か…。う~ん悩ましいな。強いて言うなら
「どっちも好きだから、秋が好き。」
「順さんって、欲張りですか?」
「否定はしないよ。なんでもかんでも気に入ったら手に抱えちゃう系男子。」
ふふっと、射命丸さんは笑う。
「思ってた通りの人で良かったです。そしたら…。えいっ!」
射命丸さんは、葉団扇を掲げる。すると先ほどから少しボロボロになっていた服が修復していき、元通りの白いシャツに黒いネックタイ。白フリルの黒いスカート。そして、鮮やかな紅葉と黄葉が描かれた線がシャツとスカートに流れる。
「身嗜みは出来る天狗のステータスの一つですよ。」
「そこら辺はしっかりしてて安心したよ。いつ、ボロボロの服直すのか心配だったから。」
それに、目のやりところにも困っていたしな。そんな他愛もない談笑をしながら俺達は歩を進めていく。
「さ、着きましたよ。ここが人間の里です。」
射命丸さんに案内されて到着した人間の里は木の塀で囲まれており、里という名前に相応しい時代劇のような和風の木造建築物が並んでいる。
「止まれ。」
閉じられた門の前で、護符が巻かれた槍を装備した着物の二人の門兵が槍を構えて、此方を脅す。
「妖怪の入門時間は過ぎている。」
「あー、俺は、妖怪じゃないから入れてくれよ。」
よかった~…妖怪だけかそう言って門に手をかけようとすると、腕を掴まれて投げ飛ばされる。
「いてぇ!!」
「順さんっ!」
投げ飛ばされた俺の側に射命丸さんが駆け寄る。
「怪しい服装をしおって!貴様、妖怪か!」
「俺は…!」
そう言いかけたときだった。射命丸さんが、少し静かな口調で語りかける。
「この人は外から来た人間です。何も確証がないのにそうやって他者を拒むのは、あまりに視野が狭すぎます。」
「天狗のあんたが言うのか。残念だが、兎に角…夜は人間の里に入れることは出来ない。明日朝また来てくれ。」
「この人だけでも…。」
射命丸さんは、食い下がらずにそれでも!と食いつく。俺は、少しため息をついた。
「射命丸さん、もういいよ。」
「順さん…。外は危険なのは分かってますよね。」
「分かっているよ。でも、入れないのなら仕方無い。射命丸さんもこの人たちを見て気づいてるだろう?この人たちとて命懸けだ。」
「…。わかりました。順さんがそれでいいのなら…。」
射命丸さんと俺は、ゆっくり立ち上がる。
「邪魔したね。」
そう言い残して立ち去ろうとする。そこで木が軋む音と共に門が開く。
ギギギギバーン!
「待て、お前達。」
そこには、白いさらさらの長髪で所々に青い髪の毛が混ざっているヘアースタイルで、青いワンピースタイプのスカートを着て、青い角張った帽子を被り、青い瞳を持ちDカップくらいの胸を持つ25歳くらいの外見の少女が開いた門の向こう側で腕を組んで仁王立ちしている。
「じょ、上白沢さん。何故門をお開けになられたのですか。危険ですぞ。」
門番の一人が少し動揺しながら、問いかけた。
「門限にはまだ5分ほど早い。入れてやりなさい。聞くところだと外の世界から来た人間らしい。私も少し話を聞きたかったところだ。」
「は、はぁ。上白沢さんがそう言うのでしたら分かりました。」
それだけ言うと、こちらをチラリと見て入りなさい。と促している。
「順さん、入っていいって慧音さんが言ってますよ。目で。」
「それじゃあ、御視線に甘えて。」
俺たちは、少し安堵の表情を浮かべて門の中へ入っていく。そこには木格子のガラスの無い窓、いわゆる格子戸と呼ばれる窓がある建築物や藁の屋根を葺いた家などがある。
「こっちに来い。」
辺りを見回して見学していると少し歩いた先に、射命丸さんと上白沢さんがおり、上白沢さんが呼んでいる。
「あっはい!」
呼ばれた場所にいくと、戸の右側に取り付けられた木の板に筆で寺子屋と書かれたすこし大きめな家に案内される。やはりここも古風だ。
「普段は寺子屋を営んでいる我が家だ。少し上がっていけ。」
どうやら招かれているようだ。
「お邪魔します。」
「毎度お馴染み、清く正しい射命丸です!お邪魔します。」
「ブッ!!!.∵・(゚ε゚ )」
おいおい、清く正しい…て。ちょっと待てよ。どこら辺が清く正しいのかさっぱりなのだが。そんなことを思っていると、射命丸さんに後ろから小突かれる。振り向くと、不満の表情を浮かべている。詠まれたか?
そんなことを思いつつ、俺は靴を脱いで右端に置く。
「そんなにガチガチにならなくてもいいんだぞ?」
ふふっと少し可笑しそうに笑う上白沢さん。
「いや、職業柄、プライベートでもしっかりしておかないといざしたときにちゃんと出来ないので…。」
「そうか、なら好きにしていい。配慮が出来るのは良いことだ。」
そんな当たり前のことしているのに褒められるのはなんとも不思議な気持ちになる。すると、射命丸さんが後ろから小声で
「やっぱり…。うーん…。」
とぶつぶつ呟いているのが聴こえる。
「どうした?射命丸さん」
「あやややや。何でもないですよ?」
少し慌てたような口調で両手を振って誤魔化す。変な射命丸さんだ。
「緑茶でいいか?そこの、えーっと青年と、文。」
台所から声が聴こえる。慧音さんは、俺たちが話している間に移動して茶の用意をしてくれていたようだ。
「お願いします。」
そう言って部屋に上がると小さな長机がたくさんおいてある畳部屋に着く。寺子屋と言うくらいだし、ここが教室か。
「教室ですまないな。座ってくれ。」
そういわれて俺は、生徒が使っているであろう座布団に座ると、射命丸さんは隣に座っている。
せかせかと小走りでお盆の上に湯飲みを乗せて運んできて、学習机の上に置いてくれた。
そのあと、俺たちと向かい合うようにちょこんと座る。
「いえいえ、寧ろ急にお邪魔しちゃってすいません。しかも、助けていただいちゃった上にお茶ももらっちゃって…。」
「ああ、そのことか。気にするな。困っている人は見捨てることが出来ないのでな。」
なんというヒーロー精神なのだろうか。上白沢さん。
「所で、天狗が一つのことに執着しているのは珍しいな。」
「ブーーーーーーーーーッ!!!」
出されたお茶を啜る射命丸さんに突然のクエスチョン!!思わず射命丸さんが吹き出したぞ!どうしたんだ?!
「ごほっごほっ…。て、てんぐとは、ごほっ、つねにけほっ…。気になるものはしらべるものなんですよ…。ぉうぇ!けほん!」
射命丸さーーーーーーん!!!大丈夫ですかーーーーー!!!なんか目が涙目になってますよーー!!!
「なるほど?この人間が気になr」
「ストーーップ!!wait!wait!waaaait!」
射命丸さんどうしたんだ?!湯飲みをゆっくり置いて、一息ついてから上白沢さんにすごい勢いで飛び付く。…器用だな。静と動を使い分けている。
「やめ、もぐっ!」
「あやややや。この口が悪いんですか?口が悪いんですね!」
「ひゃめひょ~!」
あーあー。馬乗りになって上白沢さんの口を伸ばしちゃって…なんかこう、ほのぼのする構図ですな。
「ひゃ!め!ろ!!」
ゴンッ!!
ガシッと射命丸さんの頭の左右を両手で掴んで自分の頭と射命丸さんの頭をぶつけるいわばヘットバットを行う。
「いたぁー!!」
襲いかかるから悪いんだぞ射命丸さん。自業自得だ。
「…全く。お前の品位は下がっているのは知っているが、私の品位まで下げるなよ。口広がったらみんなに笑われるだろう。」
上白沢さんは、少々ご立腹のご様子。
「慧音さんが悪いんです!変なことを口走るから!」
あうーっと両手で頭を擦りながら涙目で抗議する射命丸さん。ちょっとかわいいかも。
「む、むぅ、野暮だったか。」
「そうですよ!もう!」
ばつ悪そうな上白沢さんとそっぽ向く射命丸さんは、まるで冤罪で怒ってしまった教師と、冤罪で怒られた生徒のようだ。
「…。と、しまった。青年。申し遅れたな。この里の警備と寺子屋の先生をしている、上白沢慧音(かみしろさわけいね)だ。よろしく。」
少々申し訳なさそうな態度のまま、自己紹介をする上白沢さん。
「俺は、順。外の世界では郵便局をやっています。現在所々が記憶喪失です。ちなみに、名前も一部分しか覚えてないから順ってだけです。」
「所々が記憶喪失…。なんというか中途半端な感じだな。取り敢えず、幻想郷の人間の里にようこそ。」
「いえいえ、お邪魔してます。途中死にかけてたりしましたが。」
「あぁ。人間の里に来ればもう大丈夫だ。ちなみに死にかけたって、どこから来たんだ?」
「妖怪の山です!私が、死にかけてた彼を拾って助けたんです。」
射命丸さんが笑顔で俺の代わりに答えてくれた。その言葉にそうか…。と返事する上白沢さんは心底よかったなといった安堵の表情を浮かべ言葉を続ける。
「よくぞ妖怪の山から生きてこれたな。あそこは、天狗と河童と山童の巣窟。危険度は阿求氏曰く高。見つけてくれた天狗が文でよかったな?」
「全くです。本当によかったです。…でも何れ取りに戻らなきゃならないものがあるので、行かなきゃならないんですけどね。」
俺の脳裏には、車の中に残したゆうパック、手紙、車本体、スマホ、郵便局職務用次世代携帯端末。それらは、個人情報に当たる。最低限これらは回収しなくてはならない。
「その時は、私が御手伝いしますから。これでも、天狗の中では上のほうなんですよ?」
こいつは初耳だ。
「ついでに、大天狗様に、身柄の保証をしたのも私です。」
なんやて射命丸さん。そんなことも初耳だ。だから、彼のときまで生存することができたのか…。
「射命丸さんを軽んじていた訳ではないけど…助けてくれてありがとう。」
俺は正座し直して、射命丸さんに深々と土下座していた。
「そ、そんな、気にしないでください。私は、あなたが無事ならそれで良いのですから。」
少しあわてふためきながら、俺の頭を撫でてくれる射命丸さん。嗚呼、この手に救われていたのか…。
「なんというか文は、そんな組織を外れて行動するような天狗ではないと思っていたのだが…。記録を改める必要があるな。」
「それはしなくていいです。天狗とは仮にも神。畏れがなくては妖怪としても神としても品格が下がります。故に今の記録で良いです。」
射命丸さんは、目を閉じてそう語る。なるほど、畏れか…。何故日本人が神を信仰するか、それは畏れがあるから。畏れがあるからこそ神は成り立ち、また死霊達も畏れられるからこそ崇めたてられ、人は規範から外れないようになる…。
こういうシステムとして成り立っている…。ということかな?
「俺は、射命丸さんを畏れたほうがいいんでしょうか?」
「うーん。畏れられてせっかく仲良くなったのに距離を離されては寂しいので、今のままで良いです。むしろ、もっとk「ありがとう!射命丸さん。そうしてくれると助かる。どうしても昔から神様って言うのは苦手でね…。」
「そ、それなら、尚更ですよ♪」
射命丸さんは、天狗である。天狗であると同時にプライドもある。妖怪としても神としても。ある意味、天狗という意味を今日まで勘違いしていたことに気付かされた。天狗と言えば傲慢さがあると思い込んでいたが、彼女たちはまるで逆。無垢なまでの高潔さがあるのだな。
茶を飲みながら考え込んでいると上白沢さんが、おっと!と言って外を見る。
「そろそろ御開きにしなければな。順、また遊びに来てくれ。今度は、私と“二人“でゆっくり話そう。」
「ありがとうございます、上白沢さん。これから暫くお世話になりますが、よろしくお願いします。」
「うむ、こっちの世界は何かと外の世界より違う。いつでも相談に乗ろう。改めてこちらこそよろしく。」
そう言って俺と上白沢さんは、握手を交わした。
「じゃあ、宿にいきましょうか、順さん!」
射命丸さんは、俺の手を引っ張って引き摺っていく。その表情は少し緊張していた。
「射命丸さん!靴とらないで!」
「大丈夫ですよ!」
ズルズルと引き摺られて俺は寺子屋を後にした。それを戸で見送る上白沢さん。手を振ってくれた。
「射命丸さん!!ズボン破けちゃう!!!らめぇ!!郵便局のユニフォームに穴が空いちゃうのォオオオオオ!!」
俺の叫び声は夕時の、人間の里に響いていた。
◆ ◆ ◆
順達を見送ったのち、台所から足まで届くほどの長い白髪に、赤いリボンをたくさんつけて御札が貼ってある赤いもんぺを穿いた燃えるような赤い瞳で白いYシャツを着ている16歳くらいの少女が出てくる。
「慧音。どうだった?外の人間は。」
「やっぱり、妖怪の臭いはしてました。少しだけですが。」
「退治するか?」
「その必要性はないです。無害です。」
「ふぅんなるほど。まぁ、念には念をと言うことで、明日ちょっとちょっかい(戦いを)しかけてみようかな。私も少し気になるし。」
「彼には、戦闘能力は無さそうですよ。」
「意外とやる奴かもしれない。感じないのか?」
「そうですか、でも、やるのなら里の外でやって下さいね。」
「勿論だよ。久し振りに楽しめそうだからね。」
そう言ってその少女は、手の中で焔を産み出し、それを握り潰し不敵に微笑む。
こんな感じ。一応、伏線は残してます。が、次回はお色気回です。
なんというか、しんかいさんの煩悩をr15禁で解放します!
えっちくなるので、苦手な人は次の話読まなくても次の次の話がわかるようにしてあります。
お気に入りも増えてどんどんヤル気満々!そして、彼女のメール放置で怒られるしんかいさんをみんなで遠目にプギャーしてください。