いやぁ、なんていうかリアル忙しいですねー。まぁ、でも充実してます。だからこそ善きかな。今回は、誰得な雄の入浴シーン入れてます。
射命丸さんに引き摺られて連れてこられた宿は、二階建ての銭湯付きの宿で外観的には外の世界と同じ近代的でゴシック風な建物だった。
なんでも、妖怪用の宿らしく、正直俺が入っても良いのか心配だった。
「あの、俺入っても大丈夫なんですかね?」
「寧ろ、入らなきダメですよ?」
質問を質問で返されてしまったなんてこったい。これじゃあ俺も妖怪みたいじゃないか。
「大丈夫ですよ。幻想郷は妖怪の男女比率が圧倒的に女子寄りなので、誰もほとんど誰も男湯にはいませんから。」
そういう問題じゃないんだけどなぁ…。俺は、人間だから場所が違う気が。
「さ、行きましょう!」
「ノ、ノーー!!」
そんな拒否の言葉はきかなかったようで、そのまま引き摺られ続け、宿屋のカウンターの前に来る。そこには、着物を着た受付嬢がいる。
「"ふたり"宿泊でお願いします!」
「では、こちらに署名をお願いします。」
射命丸さんは、サラサラと万年筆で自分の名前を書くと万年筆を俺に差し出してくる。
「さ、順さん」
「なにこの良くわかんない文字。良くわからないものにはサインするなってお巡りさんが言ってたよ。」
「大丈夫ですよ、そのお巡りさんが見ても真っ当な書類です。ただのチェックイン用の書類です。さ、書いてください。」
う、うー。そんな良い顔されてもなぁ…。でも泊まるだけだよね。そう思いながら俺は、順と書き込み、射命丸さんに万年筆を返す。
「それで良いんですよ。」
満足そうな笑みを浮かべる射命丸さん。
「本当によろしいんですね?""ふたり"で御利用ですね。"二人"ではなくて。」
女将は、そう確認すると射命丸さんは、にこやかに頷き、問いかける。
「それで良いです。あのー、鞍馬の間って空いてますか?」
「鞍馬の間は、空いておりますよ。今日は、天狗の御客さんはあなた方しかおりませんからね。」
「人気の部屋が空いていてよかったです。」
「ええ、それでは、鞍馬の間は、二階になります。どうぞ、ごゆっくりどうぞ。」
そう言って女将は、鍵を射命丸さんに渡し、射命丸さんは、俺の手を引いて部屋まで案内してくれる。
「人間が入って良いんかね?」
「勿論ダメに決まってますよー。」
「ゑ"ッ!」
廊下には何のためか所々に、札が貼られており、少し変わったデザインだ。
ギシッギシッ。
木が軋む音を階段に響かせながら俺たちは鞍馬の間を目指す。
「此処ですねー。鞍馬の間にとーちゃく!」
「…わぁお。鼻高天狗のお面が部屋に掛けられてるのか。」
鞍馬の間は、ただ入り口に紅い鼻高天狗の面が掛かっているだけの木の戸に見える。
「被ってみます?」
射命丸さんは、鍵を開けながらお面を取ると差し出してくる。
「い、良いのかね。」
鼻高天狗の面は、じっと此方を眺めているように見ているようだ。
「見てみたいです。順さんの鼻高天狗!」
「む、むぅ。」
カポッ
軽い乾燥した音ともに、顔にすっぽりはまる。お面なのに蒸れないし、見えやすい。
「似合ってますよー!」
パシャッ!
なんか写真撮られたようだ。
「な、なんだよー。恥ずかしいぞ。」
恥ずかしかった俺は、すぐに仮面を外す。
「あー!もうちょっとで良い感じに撮れそうだったんですが。」
射命丸さんは、カメラを構えたまますごく残念そうな声を出していた。
「なんか、恥ずかしい。」
「そうですか?すごく似合ってましたよ」
射命丸さんは、微笑みながらそう誉めてくれてたけど、なんというか古蕎麦湯(こそばゆ)い。
「ありがとう。御世辞でも嬉しいぜ!でも、なんつうか恥ずかしい。」
「耳まで紅いですよー?ほれほれー」
そんな恥ずかしがる俺を、射命丸さんは面白いのか、ツンツンと頬をつついてくる。
「ヤメロッテヴァ!!!!もう!風呂入ってくる!さらばだーー!!!!」
「ああぁ!順さん!替えの浴衣忘れてますよー!!順さーーーん!!!」
呼び止める射命丸さんを部屋に置いて、俺は廊下に飛び出して浴場を探す。
「ぜぇ…。ぜぇ…。」
射命丸さんから逃げた俺は、宿中を走り回り、10分後。浴場らしき赤い暖簾がかかった入り口を見つける。
「これ、女湯だよなぁ。…男湯何処だよ。」
迷っているときである。目の前に、長い白髪、後頭部に白地に赤の模様が入ったリボンを付け、後ろ髪にも同じようなリボンをたくさん付けた赤モンペ、白ワイシャツの少女がタバコを吸いながら、歩いているのを見つける。
「そこのひとーーー!!!!」
「ん?私?って、あなたは慧音のところにいた!妖怪郵便局員!!!」
ん?なんだ?有名人なのか?というか…。
「妖怪じゃねえし!!!人間だし!」
「そんなことより、背後霊っぽいものがあなたの後ろにぴったりくっついているわよ?」
「ん?」
その少女に指摘されて後ろを振り向く俺。
「あやややや。見付かっちゃいましたね!」
天狗の仮面を持った射命丸さんが、すぐ真後ろにおり、被らせようとしていた。俺は、心臓が口から飛び出るほどの驚きと別の意味の恐怖を覚え、その少女と他の客を掻き分けて逃げ出した。
「ひええええええ!!!」
タッタッタッ
俺が廊下を全速力で走る音が、上記だとしたら射命丸さんが走る音は…。
「順さーーーん!!!待ってくださーーーい!!一緒にお風呂入りましょうよーー!!!」
┣"┣"┣"┣"┣"┣"!!
顔はにこやかだ。しかし、鬼気迫るものがある。砂ぼこりならぬハウスダストを巻き上げながら走る彼女は最早、粉塵少女と名乗ったほうがいいかも知れない。
「たすけてー!」
もうすぐ23歳になるのに、泣きながら逃げ回ることになるとは思いもしなかった。
数分後。寂れている男湯を見つけ、そこに飛び込むことで、射命丸さんから逃げ切ることに成功する。
漸く、風呂の時間である。
誰一人いない脱衣場に入った俺は、汗で汚れた郵便局のユニフォームを脱ぎ、たたんでかごにいれ、全裸になり浴場に入る。間取り的には大理石製の大きな浴槽と外に続く扉があり、その先に露天風呂がある。
「ほぼ貸しきりじゃないの。」
確かに射命丸さんが言うとおり、男湯は誰もいない。が、女湯の方は盛況のようでワイワイガヤガヤと、賑わっている。備え付けられた謎のシャンプーやらボディーソープを使って身を清める。
「のぼせやすいから、露天風呂があるのはすごく助かる。」
俺は、露天風呂に向かう。岩に囲まれて、浴槽より少し離れた場所に楓が植えられており、風情を感じさせてくれる。こんなに良い湯なのにやはり、客は無く独占状態だ。
「…秋風が頭を冷やしてくれるから入りやすそう。」
見上げれば、既に夜空には望月がのぼり紅葉が空に舞い散り美しい。ふと思い出す。外の世界は、空気が汚れてこんなにはっきりと見えることはあまりない。どこか自分が小さく見える。だけど、外の世界の方が好きかもしれない。どんなに汚れていても、だ。
そんなこと考えていると風呂の暖かさにのまれてうとうとしてしまう。
ちゃぷん
紅葉だろうか?はたまた客だろうか…何かが浴槽に入ってきたようだ。俺は気にも止めずに、湯の心地好さで微睡んでいた。正確にはのぼせていた。という方が正しいだろう。
「…おっと…。いかんいかん」
「お風呂のなかで寝たら危ないですよ。」
隣から声が聴こえる。
「お風呂はどうしても眠たくなるんだよね…。」
のぼせてしまったかな?浮遊感を感じて、まともな認識が出来ない。そこにいる人は其処に居てはならないのに。
「そうですか。では、私は順さんに寄って休ませていただきます。」
湯煙とのぼせにより視認が出来なくなった視界に入るタオル一枚の黒髪の女性は、俺にゆっくりと近づいて手を胸板に当てて、じっと見つめゆっくりと抱き締める体勢に移行していく。耳間近に感じる吐息は、色っぽく。濡れたセミロングの黒髪は滴を垂らしてまるで朝露に濡れる木々。紅潮した顔は、艶(あで)やかで美しく、雄を誘うような雌の表情と錯覚させる。ななかまどの実のように紅い瞳は、慈しみに溢れて、瞳に吸い込まれて紅い海へと堕ちていきそうになる。その女性は、ただただ美しく。俺の身体をおもむろに抱き締めた。
「天…と…てあ…た…必ず、穢れ…世界から救……す。そ…為に、今は…せてください。」
そんな言葉を耳元で聴いたときだった。
ピシッピシッ
背中に少し違和感を感じた気がした。だけど、そんなことは気にはならず、そのまま俺はその女性に包まれたまま意識がストール(失速)し、墜落していった。
To be continue →
濡れシーン書くの超楽しい。でも、上司と彼女に見つからずに書くの楽しい。
でも、見つかったら怒られますので、つらたん。