屍 屍 屍 屍 屍 屍 屍 屍 屍 屍
狂いそうになる、吐き気が止まらないこれが人間だった者なのか。
人の形さえしてない腹から内蔵が飛び出し死んでいる、頭が潰されグチョグチョのスープみたいなのが倒れこんだ地面を染める死体
赤 赤 赤 赤 赤 赤 赤 赤 赤 赤
狂いそうになる、子供も大人全てが平等に死が訪れ全てを赤色に染めている。
目の前には誰かの胴体だけが転がり、上から先は誰だったのかもわからない死体。
全身の骨が曲がってはいけない方向に曲げられ、壊れた人形のようにされている死体。
どれもこれも壊されている、様々な死体の共通点は目玉が抉られている、目があったはずの部分はポッカリと窪み眼底から流れる真っ赤な涙が顔を赤く化粧しているみたいだった。
「あぁああああああぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」
少年の1人が叫ぶ魂から絞り出したかのようなの慟哭、怒気、悲痛、呪詛。
負の感情すべてが混ざりあうように吐き出す言葉は獣の叫び声のようだ。
俺は動けない全身が震え、脳がフリーズしたように停止し腐ったかのように何も考えられない、響き渡った少年の叫びさえ耳まで届かない。
ただただこの目の前に広がる血の臭いが充満した地獄に囚われるだけ。
脳味噌がリアルの情報を処理しきれていない。
「アァアアアァ!!」
クラピカが叫び声を上げて、もつれる足を懸命に動かしながら前に進む、その姿が俺を僅かばかりに正気を取り戻させた。
「ク、クラピカ!」
「父さん! 母さん!」
クラピカが大切な家族がいるはずの我が家に向かう。
クラピカの心の全てがこちらにも伝わってくる、涙でグシャグシャの顔を見て、なぜか俺は混乱していた脳が正常に戻った。
それでも混乱している。
冷静になれ冷静になれ! と何度も心で囁く。
心臓の鼓動が世界中に聞こえそうなぐらい高鳴っている、落ち付けまず深呼吸しろ。
10回程深呼吸をし目を瞑る、五感の一つを消した事で、嗅覚が無駄に研ぎ澄まされむせかえるような生々しい血の臭いが俺の鼻孔を抉るように感じられる。
「ふぅー……」
最後に大きく息を吐き出し、この現状を判断する。
わかっていた、何時かこんな日が来るとは理解していた。
だけど今まで実感というものが湧いていなかった、人が死ぬという事を。
実感していなかった、助けられたかもしれない人達を見捨てる行為がどれだけ自分を苦しめるのかわかっていなかった。
死亡フラグ回避とか言っていた自分のバカさ加減が嫌になる。
頭の片隅にあったのかもしれない、もしかしたら旅団とかは来ない、こんな平穏がずっと続くかもと。
耐えられない、これ程までにキツいのか、口の中が胃液で満たされ今にも胃の中の物を全て吐きそうになる。
こ こ ろ せ い し ん が壊れ崩壊する。
確かにこれは歪んでもおかしくはない、吹き上がる激情で身が焼かれそうになる。
震える体に渇を入れる、止まる事は出来ない。
止まってしまったら逃げ出しれしまうかもしれない、だから今は何も考えたくはない。
クラピカの背中が遠くなって行く、なぜかそのまま永遠に会えなくなるんじゃいかと思ってしまった。
だからクラピカを追う、1人は嫌だった、怖かった、苦しかった。
今後どうするか決められない、そんな余裕なんて今の俺には微塵も存在していないから。
━━━━━━始まりの夕焼け━━━━━━━
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「おーいクラピカ! 本当にここら辺りにあるのか?」
「多分」
「オイ、多分かよ」
とうとうクラピカが先月で12歳になった誕生日会とかもやってニコニコ笑顔で参加していたが、内心ビクビクだ。
街に逃げるとか無理、あれから体力を重点に置いて訓練したがビックリするぐらい無駄だった。
街に着くまでに死ぬ、無理無理の無理、死亡フラグ回避のためとはいえ、高確率で死ぬ道のりを爆進したくない。
最後に残った案、クラピカストーカー作戦が俺の生命線だ、もう自分でも気持ち悪いぐらいクラピカに引っ付いている。
別にクラピカは文句言ったりしてこないから複雑な気分だ、いっそ気持ち悪いって言ってくれればいいのにね。
ここまで四六時中張り付いてくる友達とかキモすぎる。
周りから見たら「このホモ野郎!!」と罵られても可笑しくないだろう。
「もっと森の奥にあるんじゃないか?」
「どうだろう? ここにはなさそうだから行ってみようか」ところで
ところで今何してるかと言うと、クラピカが母親の誕生日が近いから、それのプレゼントとして特別な物をあげたいと言うので、常時くっ付いてる俺をお供に森まで探しに来ているのだ。
お目当ては花火花(はなびばな)と言う特殊な花で時折花粉が火花のようになるらしくそのさまはとても美しく、めった見つからない希少な物らしい。
クラピカが過去に集落から父親と薬草探しに出た際に見かけた記憶を当てに、俺と協力して捜索中。
「流石に離れすぎたんじゃないか?」
「ごめん、でも母さんの誕生日は明日だから今日中に見つけないと……」
「まぁ付き合うからいいけど、日が暮れる前までだぞ、おばさん達を心配させたら意味ないしな」
「わかってるよ」
どこか沈んだ面持ちのクラピカの背をポンっと叩く。
「大丈夫だって、俺も一緒に探してんだし見つかるって」
「ふふっ、ありがとう」
ストーカーの俺の優しい一言でクラピカは笑顔になる、なんと単純な奴なのだろうか。
いやピュアなのだろうね。
「この辺りはもう探したから、少しだけ奥に進むかここから村の距離だと走ったらちょっとで着くしな、無理して奥に入り過ぎて魔獣にあったら洒落にならない」
「そうだね」
「よし行くぞ」
ああは言ったが、正直心の中では見つかんないだろって思ってる。
離れたと言ってもここらあたりはまだ村のテリトリーだ。
探す前にどういう物か調べたが結構な値がするため、既に大人が刈り尽くして街で売った可能性も高い。
見付かれば御の字だな、クラピカの母親には世話になってるしな。
結局俺とクラピカは日が暮れる寸前まで探したが、目的の物は見つからなかった
何かいたたまれない気分だ、ないものはしょうがないしどうしようもないのだ
少し離れた場所のクラピカに声をかける
「おーい! もう見つからないから帰るぞ!」
森の中に俺の声だけが響きわてたる、なぜかクラピカの返事が聞こえて来ない。
何かあったのかと思い声のボリュームを上げる。
「クラピカー!」
「ア、アルベル! こ、こっち来て!」
「いたのか、ちゃんと返事しろよビックリしただろ!」
興奮気味に俺を呼ぶクラピカの声がする方に駆け寄る。
そこで見たのは、一瞬声を失ってしまうぐらいに美しいものだった。
花がまるで線香花火のようにパチパチと音を立て夕暮れの光がありながらも、力強く火花を放っている幻想的な光景に思わず見とれてしまう
「……すげー」
「……うん」
「どうするこれ? 持ってかえるか?」
「いいや、母さんには違う物渡すよ」
「だな……」
クラピカは優しいね、俺単独なら問答無用で持っていくんだがクラピカがこういうなら仕方ないか。
「やべ! 日が暮れるぞ」
「急いで帰ろう!」
俺達は二人村まで駆け出した、収穫がなかったにもかかわずクラピカの顔はどこか満足げに微笑んでいる。
俺達が村に辿り着くまでクラピカの笑顔は消える事はなかった。
そう村に辿り着くまで、クラピカは何も変わらない日常がそこにあると思っていた筈だ。
そこで見る物は平穏の終わり、幸せの終わり、長い旅の開始がある事を知らずに。
ここから物語が進展します、主人公のハイテンショ系の言葉使いが減って行くかもしれません。