復讐者の仲間のような感じの人   作:345

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血に染まる者と黄金の決意

椅子に座る俺の前にクラピカがベッドの上で死んだように眠っている、寝ているその顔は安らかとはほど遠い、時折呻くように声をあげ苦悶の表情を浮かべている。

痛々しいその姿を見ても何も俺は出来る事はない、ただ傍にいるだけだ。

 

クラピカと俺が村に帰ってきた後、クラピカは村の広場や道に転がる大人達や昨日まで一緒に学び遊んだ子供達の死体を見て狂ったように叫んだ。

そして転がった死体を見ないように脇目もふらずに走り出したのだ。

俺もクラピカを追い走った、なるべく俺もみんなを見ないようにしていた。

そうしてクラピカが走るのを止め、クラピカの家の傍にそれはあった。

クラピカの父親は母親を庇うように倒れこむ無残な姿だった、人間の尊厳を踏みにじりボロボロにされ両目を抉られ死んでいる。

最愛の家族の変わり果てた姿を見たクラピカは再度叫び、地面に倒れこんだ。

俺はクラピカを抱え、家まで運び布団に寝かせ、近くにあった椅子に座る。

 

しばらくクラピカの傍にいたが、立ち上がり俺はソッとクラピカの頭を撫で外に出る。

俺はいないと思いながらも、生き残りがいないか村を歩き回った。

死んでいる。

この世界の色々な事を教えてくれた先生も。

俺を育ててくれたおばさんも。

みんなみんな死んでいる。

 

罪悪感で胸が押し潰され壊れそうになる。

知っていたから俺はこの結末を知っていながら見捨てた。

 

「……チッ」

 

俺は何を考えた? 助けられると思ってたのか?

俺如きに何が出来たんだ、原作知識ひけ散らかせて原作を壊す?

助ける事を面倒くさいとか思ってたくせに?

軽く考えてすぎてたのかもしれない、もし自分なら耐えれるとか楽観的に考えてた。

甘かった、めちゃくちゃだこれ程にキツいのか?

もう遅い何もかも遅い……。

 

「ハァ」

 

溜め息を吐く。

取り敢えずみんなを埋めよう、このままじゃあ、あまりも惨すぎる。

今出来ることはそれだけだ、謝罪とかじゃない自分がやりたいからやるだけだ。

クルタ族のみんなが使っていた、農作物を作るための用具がある小屋に行き、スコップや色々な道具を持ってくる。

スコップを片手に広場まで行き穴を掘る作業に取り掛かった。

 

手が痛い、知らずの内に手に豆が出来てそれが潰れている。

俺は何時間穴を掘っていたんだろ、空を見上げると、もう夜が明けそうだった。

早くみんなを埋めないとダメだ、クラピカにこれをやらせてはいけない。

掘った穴から出てスコップを投げ捨てる。

まず広場にある死体を一カ所に集めた、吐きそうだ今みんなの亡骸を物を扱うようにした俺に。

瞳は存在しない、窪んでいるだけなのに、見られている気がしてしょうがい。

 

「すみませんでした」

 

なぜ謝ったのか自分でもわからない咄嗟に出た言葉がそれだった。

謝りたかったのかもしれない、許して欲しいのかも知れない。

死体は語らない、怒りもしなければ笑いもしない、俺の謝罪の言葉なんて意味がない。

だから感情を消しみんなの亡骸を淡々と埋める、泥と血の鉄の匂いが纏わりつく。

作業に没頭してると不意に後ろに気配を感じゆっくりと振り向いた。

振り向いた先にいるのは、目が虚ろで今にも倒れそうなクラピカだ。

俺はクラピカにどんな言葉をかけていいのかわからない、ただクラピカを見ているだけ。

 

「……みんなはどうなったの?」

 

弱々しく呟く声が俺の耳に届いた。

答えられないどう答えて言いのかわからない、正確に辿り付かずに只クラピカを見ているだけだった。

 

「……ねぇ、答えてよアルベル」

 

俺はクラピカに近付きクラピカに言った。

 

「寝てろ」

 

何を言ってるんだろうか。

 

「答えてよ、アルベル!」

「落ち着け答えるから、取り敢えずお前の家に行くぞ」

 

何か言いたそうなクラピカだが黙って俺に付いてきた。

クラピカの家にあがるとまずクラピカを座らせ、その正面に俺が座った。

俺を責めるようなクラピカの表情を見ても特に俺は何も感じる事はなかった。

混乱して興奮状態になっているんだろう。

 

「何か飲むか?」

「いらない……」

「そうか……」

 

暗い雰囲気だ、重い空気が俺とクラピカにのし掛かる。

何て言ったらいいものか。

 

「みんな死んだの?」

 

クラピカがピンと張り詰めた空気の中発言する。

 

「……ああ、皆死んでた」

「誰が? どうして?」

「わからない……」

 

嘘を付いたそう言った方が良いと思ったから。

仮に俺が全てを話し、それに今更何の意味がある。

 

「父さんと母さんは?」

「広場だ、まだ埋めてない」

「そうなんだ……」

「あとは俺がやるから、見ない方がいい、寝てろよ倒れそうだぞお前」

「いいよ、手伝う」

「いいから寝てろ」

「僕ならもう大丈夫だから……」

 

強がりを言うクラピカが痛々しい、見ていられない。

 

「わかった、なら頼む」

「……うん」

 

二人で広場に行き、黙々と皆を埋める。

村中にまだある亡骸を集める事は俺がやった、クラピカにさせたくなかったから。

クラピカが自分もやると言い出したが、役割分担だからと言って広場に留まらせた。

 

ずっと取るものも取らずやっていたから喉が乾いた、不思議とお腹は減らない。

飲み水がある場所に行く、水がはってある大きな瓷の中をのぞき込んだら俺が写っていた。

これが俺か? 目元には隈が出き服も泥と血が変色し真っ黒になった物が全身に付いている。

……気持ち悪いな俺。

頭をかこうと手を挙げたその目に映った俺の手は服と同じように真っ黒だった。

ギュッと手を握り締めた、血の匂いがする。

もう一つの甕に手を入れゴシゴシと手をこすり合わせる。

 

「血ってなかなか取れないんだな」

 

 

━━━━━クラピカ━━━━━━

━━━━

━━━

 

目が覚めた、いつも見かける天井を見上げた。

昨日の事は夢だったのか?

最悪の夢だったアルベルと森から帰ってきたら。

みんなみんな死んでいた、父さんも母さんもみんな死んでいた。

 

「おはよう」

 

自分の部屋から出て何時ものように家族に挨拶する。

返事が返って来ない、毎朝自分より早く起きている母さんと父さんかがそこにはいなかった。

ガランとなったテーブル、作りかけてそのまま放置したように乱雑に置かれた食材が調理場にあった。

 

「あれ?」

 

僕は不安になって父さんと母さんが寝ている部屋を覗く。

やっぱり誰もいない。

 

まさか

嘘だ

夢じゃなかったの?

 

なら外にあれがあるはずだ、昨日見たアレが。

家から飛び出し、外の光景を見て気を失いそうになった。

父さんと母さんはいない、それでも夢じゃなかった事を強引に知らされる目の前の現実。

壁に叩きつけられ放置された死体、あちらこちらに散らばる人だった物。

 

「アルベル?」

 

大事な友達を思い出し言葉に出す。

アルベルまでいなくなったら、僕は僕は……。

隣の家に駆け込む。

おばさんもアルベルもいなかった……。

怖い世界にだれもいない一人ぼっちになった気がした。

 

足が凄く重い、それでもゆっくりと歩く、行き先は広場、朝はよくアルベルとあの場所に行くから。

もしかしてアルベルがいるかもしれない、もしいなかったらどうしよう。

そんな事考えながら広場を見渡せるところまで行くと。

広場はいたるところに土が盛られ、地面が掘られていた。

その一角で何か動く物を見つけ目を凝らせてよく見ると、アルベルがスコップで地面を掘っている姿だ。

 

アルベルに急いで駆け寄りたかった、でも無理だった。

アルベルの近くにこの距離でも嫌でもわかるくらいに無造作に置かれた、みんなの亡骸。

何をしてるのか何をしようかなんてわかってる、アルベルはみんなを埋めてあげようとしてるんだ。

震える足を無理矢理動かしてアルベルの元に急ぐ

 

アルベルが掘った穴から出てきて、僕の気配に気付いたのかこちらに振り向いた

何時ものアルベルなら、不自然な笑顔を浮かべ僕にくだらない事や憎まれ口を叩くだろうが

今はただ僕をジッと見てるだけ

アルベルの服は泥や血で真っ黒に染まり、目は充血し隈ができ疲労が貯まってるのがわかった。

タフなアルベルがこんなになってるのが信じられなかった、どれくらいこの悲しい作業を独りでやっていたのだろうか?

ごめんなさい、そう言いたかった。

でも僕の口から出たのは別の物だった。

 

「……みんなはどうなったの?」

 

違うこんな事を言いたかった訳じゃない。

アルベルは目を細め俯いた、すまなさそうにするアルベルの顔を見て自己嫌悪する。

それでも僕の口は止まらなかった。

こんな事言いたくないのに口から出てくる言葉に驚かされる。

 

「……ねぇ、答えてよアルベル」

 

ごめんなさい。

 

アルベルが僕に近付き弱々しく呟く。

 

「寝てろ」

 

こんな時にまで僕の事を心配しているのだろうか?

 

「答えてよ、アルベル!」

「落ち着け答えるから、取り敢えずお前の家に行くぞ」

 

あとを付いて行く。

無言で前を歩くアルベルが僕には別人みたいに見えた。

僕にとってアルベルは友達であり、産まれてこの方ずっと一緒にいたから兄弟みたいに思ってる、笑っちゃうけど頼り無い兄って感じだ。

それなのに今僕の目の前にいるアルベルが言葉には言い表せない、まるで別人のように思えてしかたなかった。

 

僕の家に付くと促されるまま椅子に座り、テーブル越しにアルベルが正面に座る。

アルベルからみんなや父さんと母さんの事を聞いても。

信じれれない程今の僕は落ち着いている、多分アルベルのこの顔を見たからかもしれない。

どこを見ているのかわからない、僕を見てるようで見ていないどんよりした瞳。

僕はバカだ、混乱してアルベルをせめて何をしているんだろう。

アルベルは僕を心配して手伝いを断ったんだ、でもこれ以上僕はアルベルに苦労をかけたくない。

見ていられないからこんなアルベルを。

友達だからもう僕にはアルベルしかいないから。

 

「僕ならもう大丈夫だから……」

 

渋々アルベルが頷くと、2人で広場に向かいみんなを埋葬する。

埋めてる最中、僕の中に沸々と煮えたぎる感情があった。

あれは魔獣や動物がやった事じゃない、悪意の塊のような行為、信じられない、信じたくない、これを同じ人間がやった事が。

クルタ族の誇りも何もかも踏みにじり汚しただ奪い、殺した人間。

此処まで惨い事が出来る人間がいるとしたら、僕はそれを許せるのだろうか?

わからない……。

 

今はみんなを埋めてあげよう。

それからの事はアルベルと相談して決める。

でも一つだけ思った事がある。

ーーアルベルだけは失いたくない。

僕はそう心に刻んだ。




ここまで読んで下さってありがとうございます。
感謝感激です。
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