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ぼんやりと意識が覚醒する。どうやら目覚めの時間のようだ。脳に蔓延る夢の残滓が拡散して消えていく。
普段の寝起きは悪い方なのだが、今回は別のようだ。ひんやりとした冷感が肌の感覚を刺激している。そんなに変な格好で眠ってしまったのだろうか?
徐々に瞼を上げながら光に目を慣らしていく。段々クリアーになっていく視界に違和感を覚えずにはいられなかった。
――知らない天井……。
と、言うのは適切ではないか。いくらなんでも目の前20cmの天井は流石に無いだろう。しかも異変は眼前だけでなく、どうやら自分は横になっている訳でも無いようだ。重力は背中方向ではなく足元から感じる。
パシュッ。
強い炭酸を開けた時のような空気の抜ける音がして天井……、ハッチが開く。
「大成功! さっすが束さんだね! いやむしろ当然と言うべきかな?」
そう言ったのはメカうさ耳を装備した天然っぽいなお姉さんだ。おそらくは彼女がこの機材やケーブルなどで一杯な部屋の主であり、俺がここにいる原因を作った張本人であることが予想された。そう言う無茶を、意味不明を可能にしてしまいそうな雰囲気が、彼女にはある。
とりあえず現状を説明して欲しいかな? もうすでに俺の脳は処理落ち寸前なんですけど……。
第一話『天災の発明品』
「ここは何処ですか?」
「どこだと思うー? 「あなたは誰ですか?」いや、ちょ……」
「どうして俺はここにいるんですか?」
「いやほら順番に「初対面ですよね?」ねえってば!」
「今のカプセルみたいなのは一体?」「まさかコールドスリープ?」「そんな馬鹿な!」「じゃあ今はもしかして未来?」「何百年ごとか?」「そもそもなんでスリープしてたの?」「はっ! もしかして不治の病とか?」「治療法は見つかったのか?」「技術的な革新?」「未来ガジェット?」「はー、夢が広がリング……」
俺、絶賛パニック中。
一方的にまくし立てる俺を、部屋のどこかからか伸びてきたロボットアームが押さえつける。マジで未来ぽかった。
「話を、聞け」
はい、スイマセンでした。
「要するにここは俺がいた世界とは別世界ってこと?」
「そう。さっき君が入ってたのは別世界から人を呼び寄せるためのマシン。Made in 束ねさん」
褒めて褒めてーっと、甘えん坊で年上なお姉さん(一応美人)。可愛いけどウザったい。
「あのマシンで元の世界に帰れるの?」
「無理☆」
……動きを封じられていなければ手が出ていてもおかしくない。そして『僕は悪くない』と言い張れるな。ちょっと演技風に括弧付けて……。要するに故意に暴力を振るっても許される気がした。
「……他の方法とかでも無理なん?」
「実はあのマシンかなり急増で作っちゃったやつでね、名前は『
「あー、うん。わかった。要するに対象を取らない効果って訳ね」
実際は分かってなんていない。俺には分からない事が分かった。
「悪いことしちゃったとは思うけど、それ以上にこっちの世界に来たことのメリットも用意してあるから許して欲しいんだよ」
「メリット?」
「そう! この世界には束さんが作ったマルチフォーム・スーツ『インフィニット・ストラトス』が存在するからだよ!」
ドンっ! と言う効果音と共に、サムズアップする束さん。インフィニット・ストラトス。聞き覚えは無い……、気がする。いや、別世界のことを聞き覚えてる方がおかしいのか。
「君のことを選んだのは完全に偶然じゃなくて、インフィニット・ストラトス。通称ISに高い適正を持ってるんだよ。そう言う条件でこの世界に呼んだからね」
「ふーん。よく分からないけど、そのISってやつに俺を乗せてやらせたいことがある訳ね」
ISに高い適正。要するに才能があるってことなのかな? だとしたら……、元の世界でゲームぐらいしか取りえのない中学二年生の自分よりはある意味恵まれた環境なのかもしれない。家族や友達の居る元の世界を安々と諦めることは出来なさそうだけど。
「それにISは女性にしか扱えないから、最近女尊男卑も進んでるしね」
「いや、それはデメリットだろ。俺、男なんだし」
「は?」
「え?」
食い違う認識。何かおかしいところがあった?
「いやいや君、女の子でしょう? その体でさぁ」
「何を馬鹿な……」
と、そこまで言って遅まきながら違和感に気づく。……声が高い?
「鏡、見る?」
「お、お願いします」
先ほどのロボットアームと同じく、何処からともなく鏡が現れる。そこに映ったのはロボットアームに捕らわれて強張った顔をした少女。見慣れた自分の姿に比べて華奢で可憐と言っても過言ではない。
しかしなぜか全裸。むしろ今までなぜ気づかなかったし。
「どういうことなの?」
「それはこっちの話だよ……」