一年が経った。長いようで短い時間だった。
世界の兵器のパワーバランスを崩壊させたIS。そのIS制作した篠ノ之束は世界的最重要人物とされているのだが、当の本人はISのコアを467個作った後姿をくらましているらしい。どうやら天才を檻の中に留めておくことは出来ないらしい。
そういう訳で、半逃亡者生活の一年だった訳だ。その間何をしていたかといえば勉強。ISに関する基礎知識から応用、裏知識、操作テクニックなどを学び、実践もこなした。ドラ○ンボール風に日常生活中ずっとISを展開し続けたりもした。効果があったかは定かではない。
膨大なIS知識を一年間で詰め込んだのには理由がある。IS学園に入学するためだ。
IS学園はIS操縦者育成用の特殊国立高等学校。その裏には国家間のいざこざが色々あるらしいが、ぶっちゃけ興味はない。簡単に説明すると世界で唯一の専門の学校である。
その学校にいる大切な三人。今年入学する妹、篠ノ之箒。友人、織斑千冬。その弟で世界で唯一ISを動かせる男、織斑一夏。束の代わりにその三人の近くにいて欲しいらしい。本人は公の場に出られないから代理ということらしい。そもそも何故姿をくらましているのかは教えてはくれなかった。
都合が良いように見えるが、そもそも別世界から人を呼び寄せる条件は『IS適性が高く、箒、一夏と同い年』と言う条件だったらしい。ISは女性にしか扱えないという前提から、女性が来ると盲目的に思っていたのだが、IS適性がズバ抜けていた俺(男)が選択され、世界の壁を越える段階で男の身体が女の身体に再構築されたのではないかと言うのが束の見解。何しろ前例はなく、実験のしようも何もありはしないのである。
第二話『俺は女子高生』
IS学園は女子高である。
そもそもISを扱えるのが女性限定なのが大きな理由となるのだが、二年次から始まるらしい整備か何かには男子がいても良いのではないだろうか?
しかし、今年は例外的にISが扱える男、織斑一夏が入学してくる。ちなみにTS化して三ヶ月で女の子の体にも慣れたが、俺の心は今だ男子だと信じている。
「さて、準備は全部終わったし。いざIS学園ってね」
実際に出立するのは明日朝になるんだけど、忙しかったこの一年を振り返ると感慨深くならずにはいられない。
「あ、マコちゃん準備はすんだ?」
「当然。元々荷物はないんだけどね」
束は俺のことを厄介ごとに巻き込んでくれたものの、今ではすっかり家族ぐらい近しい関係だ。一蓮托生という言葉がしっくり来るな。
「ISの調子はどうかな?」
束は俺のための専用ISを作ってくれた。何の変哲もない時計の形をした待機形態を持つそのISに名前はまだない。完成してから三ヶ月。未だに一次以降も終了していないのだ。あれって30分もあれば完了するのが普通なんだけど、俺のISは特別。不具合じゃなくて仕様であることがポイントな。
「せっかく束さんが腕によりをかけて作ってあげようってのに、特殊な装備は一切なし。専用の高度な成長型AIを搭載したいって、なかなか変わってるよね?」
「まあ、どんな装備が欲しいかって言われても答えられないし、色々装備が試せるようにしておいて欲しいんだよね。何か欲しくなったらまた頼るからさ」
現在俺のISは最適化中。俺の性格や特徴などを情報収集している最中だ。普通ならそこまで細かに調べたりはしないのだが、このISにとってはそこが一番大事な部分らしい。
「一次移行が終わらないとAIも起動しないし、まだ名前も決めてないんだよね?」
「起きた時につける予定なんだって」
「じゃあ考えてはいるんだね」
考えるも何もどう言うISになるのか自分でも分かんないから決めようもないんだけどなー。色だって今は灰色で『何も色がない』という表現が相応しい有様だ。まるでPS装甲だな
「それにしても女子高とか気が重いな……」
「まだそんなこと言ってるの? もう吹っ切れたかと思ってたよ」
冗談じゃない。たとえ身体が女だろうが、心は男。いくら自分の体で慣れたとは言え、気は重くなる一方だ。もしもこの体がもっとグラマラスだったら危なかったかもしれないけど、あいにく身長は女子にしては高めの168cm、胸は殆ど無いと言っても過言ではない。髪型はもみあげだけが少し長めのベリーショート。色は日本人らしく黒、目も同様だ。ついでに説明するなら制服は改造自由らしいので普通にズボンを着用予定だ。
「そういえば、やっぱり一人称は『俺』から変えないの?」
「意地でも変えん」