『父さん!』
『よう、シキ』
目の前で父と呼んだ四十過ぎくらいの男が腹から血を流している。
『俺はな英雄って言われるような正義の味方になりたかったんだ』
『これからなれば良いじゃないか!』
『けどな俺は一度全てを失ったとき立ち上がることができなかった。俺は正義の味方になるなんて元から資格すら無かったんだよ』
『父さん喋るなよ!』
『お前は俺の希望だ』
『うるせぇ!俺が父さんの希望だってんなら父さんの代わりになってやる!誰かを救えるような!誰かを守れるような正義の味方になる!だから!』
『そうか。シキが俺の代わりに・・・。ああ――安心した』
目を軽く閉じると俺を育ててくれた義父は二度と目を開けることはなかった。
暗闇の中から目を覚ます。
「くそ、嫌な夢見た」
でも、久々に父さんの顔見れたからよかったのかな。
俺はいつもベット代わりにしている柔らかいクッション付きのロッキングチェアから立ち上がると体を伸ばす。
身体の節がパキパキと心地いい音を鳴らす。
「んー、ベルとヘスティアは何処だ?」
いつもはこのP形の地下室にいるはずの兎とツインテ神様を探すが何処にも居ない。
部屋の中央の辺りにある机の上を見ると1枚のメモが置いてあった。
『寝ていたので先に行きますbyベル』
「ああ、先に行ってたのか」
俺は歯を磨いて顔を洗った。
その後俺は軽い軽装を着て背中に着ける剣帯を片手剣と一緒に着けた。
「ふぅ、さて行くかな」
俺は階段を登り隠し扉から外に出た。
「ども、エイナさん」
「あ、シキ君」
俺が『ギルド』に入ると受付のところで俺の担当冒険アドバイザーのエイナ・チュールさんが書類を書いていた。
「そういえばシキ君ダンジョンに行ってきたようには見えないけど?」
「ああ、今日は寝坊してしまって」
「そっか、これからダンジョンに行くの?」
「はい、少しでも行かないとうちのファミリアは・・・」
あはは。と苦笑しながら言った。
「そっか、頑張ってね」
「は「エイナさぁぁぁぁんっ!」」
うちの白い兎が来たか。
「ベルか・・・」
うちの白い毛並みを持つ兎が帰って来たかと思ってギルドの入り口を見ると。
うちの白い兎が真っ赤に染まって走ってきた。
「エイナさぁぁぁぁんっ!」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「アイズ・ヴァレンシュタインさんの情報を教えてくださぁぁぁぁいっ!」
「まずはシャワーを浴びろ!」
「ふべら!」
スパァンと快音を立ててうちの兎ベル・クラネルの頭に俺の平手打ちが炸裂した。