黒白の英雄譚   作:夜空 太陽(新アカ)

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十話

背中合わせになっていた俺とベルが同時に動き出す。

俺の手には干将・莫耶が握られている。

 

今回の相手は赤い巨大な蟻キラーアントだ。

この魔物には大きな特徴がある。

単体ではあまり強くないキラーアントだが瀕死になると他のキラーアントを引き寄せるフェロモンを発生させる。

なので瀕死にしたら即止めを刺さなければいけない。

 

目の前には近くに二体少し遠くに一匹のキラーアントがいる。

一瞬で二匹のキラーアントとの間合いを詰め数瞬の間にキラーアントの首を斬り落とし胴体を切断する。

残りのキラーアントが逃げようとするので右手の莫耶を投擲しキラーアントを縦一文字に切断した。

 

「おーい!シキ!こっちは終わったよ!」

 

「此方もだ!」

 

俺もベルに戦闘終了の旨を伝えると干将・莫耶を消して魔石を集め始めた。

魔力を鍛えるために干将・莫耶は一々投影するようにしている。

 

「シキの魔法ってすごいよね!」

 

魔石を集めているとベルがふと、そう言った。

 

「でも、これって一度見た武器じゃないと投影出来ないし魔力が低いと上手く再現出来ないから最も本物並みにするにはレベルアップが必要になるな」

 

「そうだね!じゃあ頑張ろう!」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「七階層!?」

 

エイナさんの声には明らかに怒気が混ざっていた。

まあ、心配七割言うこと聞かなかった三割なんだろうが。

 

「君たちは!何で下層に降りる真似をしたの!・・・死んじゃったらどうするの」

 

最後の方のエイナさんの声は悲しそうな声だった。

恐らくこれまで面倒を見ていた死んでしまった冒険者達を思い出してしまったのだろう。

 

「まあ、大丈夫ですよ。二人ともアビリティもいくつかEにいってるんですし」

 

俺がそう言うとエイナさんはI,H,G,F、Eと二回ほど数えると意を決したように俺達に向かってこう言った。

 

「二人とも君達の背中のステイタスを見せてくれないかな?」

 

「えっ!?」

 

ベルが何処か間の抜けた声を出した。

 

「あっ、君達の言っていることを信じてない訳じゃないんだけど・・・」

 

ステイタスというのは冒険者が他人に教えてはいけないことの一つだ。

ステイタスというのは、正しく冒険者の生命線だ。

他人ならだ。

 

「良いですよ。何処か個室空いてますか?」

 

「え?いいの!?」

 

ベルがそう言った。

続いてエイナさんが。

 

「わ、私は他人だよ!?そんなに簡単に見せちゃ・・・」

 

「エイナさんは他人じゃないですよ(恩人的な意味で)。それにエイナさんなら絶対に誰にも話さないって信頼してますし」

 

「うん。私は誰にも話さないと約束する。もし、君達のステイタスが明るみになることがあれば、私は君達に絶対服従を誓うよ」

 

(なん・・・だと!?)

 

(流してもいい!むしろ、流してください!)

 

俺はそんな心の叫びをどうにかして押さえ込んだ。

しかし・・・。

 

「ブハッ!」

 

鼻血が吹き出してしまった。

 

「シキ君!?どんな想像してるの!?」

 

「こちとら健全な青少年なんですよ!?エイナさんみたいなきれいなお姉さんにそんなこと言われたら・・・そんな想像しないと逆に失礼だ!」

 

「た、確かに!」

 

「シキ君!ベル君も確かにじゃない!」

 

 

 

 

 

 

そんなこんながあって俺達はエイナさんにステイタスを見せることにした。

 

シキ・クレン

Lv.1

力 :D521

耐久:E462

器用:F375

敏捷:E324

魔力:H185

 

エイナさんは俺とベルのステイタスを見て唖然としている。

 

(確かに自分でもおかしいって思うしな)

 

「あのー、エイナさん。まだですか?」

 

「ぁ・・・も、もういいよ!」

 

ベルが恥ずかしそうな声を出すとエイナさんが顔を赤らめその可愛らしいエルフ耳をピクッ!と動かし後ずさった。

 

(今日のエイナさん。滅茶苦茶可愛い!)

 

エイナさんは俺とベルの爪先から頭を見る。

 

「ねぇ、二人とも」

 

「は、はい?」

 

「なんですか?」

 

「明日予定空いてる?」

 

「へっ?」

 

「は?」

 

え?まさかの逆ハーレム?

 

 

 

 

 

 

あ、帰りに髭剃り買わなきゃ。

 

エイナとのおでかけより最近生えてくるようになった髭に悩まされるシキだった。

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