黒白の英雄譚   作:夜空 太陽(新アカ)

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十六話

 

俺はサポーターという存在に戸惑っていた。

何故かと言うと丁度、練習中の投影からの射出が出来ないからだ。

雇うことになったリリルカ・アーデは他のファミリアのメンバーだ。

完璧に完成しているならまだしも、今の射出の命中率は七割を切れば良い方だ。

せめて、九割切れば戦闘で使っても大丈夫なのだが。

 

「まあ、今は目の前の敵か」

 

今は第7階層で戦闘中だ。

 

「どうしたのですか、シキ様?」

 

「いや、何でもねぇよ」

 

「シキ!」

 

ベルが巨大蛾パープル・モスの片翼を切り落とし、落ちてきたところをベルは躊躇なくヘスティア・ナイフを突き刺すと絶命する。

 

パーブル・モスによって視界を防がれているところから二体のキラーアントが現れる。

俺はベルの横のダンジョンの壁を蹴り横から左側のキラーアントを右手の干将で一閃にて分断すると呆気に取られている右のキラーアントの首を残った左手の莫耶で斬り飛ばす。

 

「また、産まれました!」

 

「ベル!」

 

「うん!」

 

ベルは産まれてまだ壁面に埋まっているキラーアントの首を飛び蹴りで折った。

埋まったままなのでリリルカが魔石を回収しようとするが届かない。

 

「あ~ぁ・・・どうするんですか、ベル様?」

 

「そうだぜ。どうすんだよベル」

 

「ど、どうしようかっ?」

 

「リリが手が届けば回収できるのですが」

 

「ん、そうだ。リリルカ少し良いか?」

 

「はい?・・・うわぁぁぁ!?行きなり何をするんですか!」

 

何をしたかと言うと俺がリリルカを抱えて手が届くようにしたんだ。

 

「これなら手が届くだろ?」

 

「そうですけど・・・」

 

リリルカが少しブスッとしながらも魔石を回収していた。

 

 

 

 

 

 

 

「今日はそろそろ帰りませんか?」

 

「何でだ?」

 

「パーブル・モスの鱗粉には微量ですが毒の効果があります。この毒は遅効性です。今はなんともなくても戦闘中に毒の症状が出ると大変なことになります」

 

「じゃあ、戻ろうか」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

毒の治療が終わるとギルドに行き換金を終えると俺は重要なことを思い出した。

 

「あ!今日は肉屋が安売りやってんだった!」

 

「お肉!?」

 

「ああ!今日はハンバーグだぞ!」

 

「やった!」

 

「良かったらリリルカも来るか?」

 

「良いんですか?収入も山分けで、しかも、ご馳走になって・・・」

 

リリルカは気不味そうに言った。

 

「何言ってんだ?飯ってのは大人数で食った方が旨いに決まってんだろ?」

 

「そうだよ、リリ!」

 

「・・・すみません。リリはこのあと少し用があるので行けません」

 

一瞬、喜ぶような仕草を見せたが次の瞬間には申し訳なさそうな顔に戻っていた。

 

「そうか・・・ベル、リリルカをもう少し治安の良い所まで送ってやってくれ」

 

「シキは?」

 

「俺は夕飯の買い物行ってくる」

 

「分かった」

 

「じゃあ、リリルカ明日も頼むな?」

 

「はい、シキ様」

 

俺は商店街に向けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ということがあってさぁ」

 

俺が付け合わせを作り終えハンバーグの種を作っているとベルが帰ってきた。

ベルはあの後リリルカと別れるとギルドへ行ったそうだ。

そこでエイナにヘスティアナイフが無いことを指摘されヘスティアナイフを無くしたことに気付いた。

ナイフを探してるとリリルカと出会いリリルカを追うように来たリューとシルにも出会った。

リューとシルは男のパルゥムを追っていたそうだ。

そのパルゥムが持っていたのがヘスティアナイフだった。

それを回収したリューがベルに手渡した。

 

「そうか・・・」

 

恐らく犯人はリリルカだ。

姿を変化させたのは・・・魔法だ。

魔道具という可能性も残っているがそれはない。

最底辺の魔剣ならまだしも、そんな高性能な魔道具は数千万ヴァリスから、下手したら数十億ヴァリスはする。

そんなものLv.1、しかもサポーターが所持しているわけがない。

 

「ベルはどう思うんだ?」

 

「えっと、僕が落としたのをパルゥムの人が拾って、その人がまた落としてリューさんが拾ってくれた?」

 

「そうか・・・」

 

ベルは純粋だ。

だからこそ守ってやりたい。

いざというときは俺が前に出て守ってやろう。

 

「それが、兄貴分だもんな」

 

俺はそう呟いた。

 

「何か言った?」

 

「何でもねぇよ」

 

俺は微笑んでそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハンバーグまだ~?」

 

「もう少し待ってろ!」

 

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