黒白の英雄譚   作:夜空 太陽(新アカ)

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十七話

「にしても、リリルカ」

 

「はい、何でしょうシキ様?」

 

「そのバック重くないか?」

 

魔石やドロップアイテムなどで膨らんだバックを指差して言った。

 

「そうだよね。リリは僕たちのお腹ぐらいしか身長無いし。大変じゃないの?」

 

「心配はお無用ですよ、シキ様、ベル様。リリも『神の恩恵』を授かっている身ですからね、荷物が嵩張ったくらきでへばったりしません」

 

いや、まあ、分かってはいるんだけどさ。

十歳くらいの女の子に荷物運びさせる二人の青年って事案が発生しそうな気がするんだが。

 

「それに一応リリにはスキルの補助があるので、万が一にも運搬作業で足手まといになることはありえません」

 

「いいなぁ、僕はスキルも魔法もないんだよ。あ、でもシキは魔法あるよね」

 

「馬鹿か!お前は!ステイタスは他のファミリアの奴の前で言う物じゃねぇだろ!」

 

「あ!ゴメン!」

 

「シキ様は魔法をお持ちなのですか?」

 

リリルカが首を傾げて言った。

 

「・・・はぁ。ああ、持ってるよ」

 

「どのような魔法なのでしょうか?」

 

「投影って言って魔力を媒介に武器を作る魔法だ」

 

「はぁ」

 

リリルカはシックリこないのか首を傾げていた。

 

「しょうがないな・・・投影、開始」

 

俺は前にベルが使っていた初心者用の短剣を投影した。

 

「・・・すごい」

 

「この程度なら少しの魔力で作れる。一応解析しないと投影できないのが難点だけどな。大抵の武器なら視覚で捉えるだけで投影出来る」

 

リリルカは開いた口が塞がらないといった感じだ。

その横で俺は用済みになった短剣を消した。

 

「あのー。もしかしてベル様の短剣も投影できるのですか?」

 

「出来なくもないと思うがあれ程になると投影した物のランクが少し下がるな」

 

「そうですか・・・」

 

リリルカは表情を陰らせる。

 

「あ!あとさ、本当に契約金とか前払金はいいの?」

 

ベルが雰囲気を変えようと唐突にそう言った。

 

リリルカとはダンジョンに入る前に契約の儀式の真似事をした時に自分の収入はダンジョン探索の分け前だけでいいと。

 

「ええ、御二人もその方が楽でしょう?」

 

リリルカは俺とベルに隠して歪んだ笑顔浮かべた。

まあ、俺は見えてたんだけどな。

何と言うかその笑顔が気に食わない。

リリルカがじゃないそんな笑顔をさせてしまっている環境が彼女を包んでいることが凄く気に食わない。

だからって俺は何もできない。

でも、リリルカ自身が望めば俺は出来る限り手を貸したい。

 

『シキはお人好しだな』

 

うるせ、五歳のガキを拾って一端の男に育てたお人好しには言われたかねぇよ。

俺は唐突に父さんに言われたことを思い出した。

 

「さあ行きましょう。御二人が頑張ってリリの食いぶちを増やしてくれれば、何も問題はありません!」

 

リリルカの言葉に俺は思い出の中から戻ってくる。

 

「・・・そうだな」

 

「う、うん」

 

リリルカは歩き出すと急かすように振り返った。

その時、リリルカの瞳は絶望ような闇を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「36000ヴァリス・・・」」」

 

「「やあぁーーーーっ!」」

「しゃあぁーーーーっ!」

 

まさかここまで稼げるとは思わなかった。

 

「夢じゃないよね、ってシキいひゃい!」

 

俺はベルの頬を引っ張った。

 

「さすがです!御二人様!」

 

「いやいや、ほら、兎もおだてりゃ木に登るって言うじゃない? それだよ、それ!」

 

「いや、意味わかんねぇよ!」

 

「僕も分かんない!」

 

「「おい!」」

 

俺達は周りから見て絶対変なテンションになってるだろう。

 

「では、そろそろ分け前を頂けませんか?」

 

「ほれ」

 

俺はリリルカに12000ヴァリスの入った麻袋を手渡した。

 

「・・・・・へ?」

 

「これなら、中華鍋が買える・・・」

 

俺は無意識に呟いた。

高火力魔石式コンロと中華鍋があれば料理のレパートリーが増える!

 

「シ、シキ様、これは?」

 

「何言ってんだ?分け前に決まってんだろ?」

 

「そうだ!一緒にご飯食べに行こうよ!いいお店知ってるんだ!」

 

「そりゃあいいな!」

「じゃあ、行こうリリ!」

 

「行くぞリリルカ」

「・・・二人だけで独占しようとか・・・思わないんですか?」

 

「は?お前が居なかったら戦闘が五回は少なかった。これは正当な分け前だ」

 

「そうだよ、リリ!僕等は仲間なんだから分け前が山分けは当然だよ!」

 

ベルがリリルカに手を差し出す。

リリルカはおすおずと自分のものと重ね合わせた。

俺はそれが仔犬のようでつい頭を撫でてしまった。

 

「・・・変なの」

 

その本心からの呟きをベルは聞き逃した。

ちなみに俺はしっかり聞いて微笑ましい気分になっていた。

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