黒白の英雄譚   作:夜空 太陽(新アカ)

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三話 ゼクス・クレン

「ふわぁ、朝か」

 

ロッキングチェアから立ち上がり周りを見るとベルとヘスティアがソファーの上で寝ている。

 

幸せそうに寝ている。

 

「ん?ヘスティア、夜はベットで寝てなかったか?」

 

俺は地下室から出て筋トレを始める。

 

 

 

 

 

筋トレが終わる頃にはベルも準備が終わり地下室から出て来たが俺は地下室に戻りシャワーを浴びた。

 

「そろそろ、行くか」

 

「いってらっしゃい」

 

ヘスティアは目を擦りながらそう言った。

 

「ああ、いってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣を振り相手を斬る。

それがダンジョンだ。

 

今日ダンジョンに入ってから六時間が経過した。

何回かベルに会ったがこの五階層なら強くなるために、あえて別れて帰りに落ち合う約束して別れた。

 

俺が相手にしているのは犬がそのまま二本足で立っている魔物コボルトだ。

 

コボルトが腕を伸ばし爪で俺を切り裂こうとする。

俺はコボルトの爪が到達する前に逆袈裟斬りの要領で伸ばされていたコボルトの腕を斬る。

しかし、体重の乗ったコボルトの突進は止まらなかった。

 

「ふっ!」

 

俺は間髪いれずにコボルトの胴体を返す刃で切り裂いた。

絶命したコボルトは空中で魔石へと姿を変えた。

 

「ふぅ、さすがに七匹は辛いな」

 

決して囲まれないように一対一を七回繰り返すことで殲滅することに成功した。

剣を鞘に戻し七つのコボルトの魔石を回収した。

 

「さて、帰るか」

 

 

 

 

 

シキ・クレン

Lv.1

力:H 160→G 265

耐久:I92→H 128

器用:H128→H 165

敏捷:H102→H 158

魔力:I0

《魔法》

【】

《スキル》

【】

 

「おい」

 

ステイタスの上がり幅が可笑しいんだが?

 

「か、神様、これ、書き写すの間違ったりしていないですか?」

 

「・・・君はボクが簡単な読み書きもできないなんて、そう思ってるのかい?」

 

「いや、ヘスティアだし」

 

「シキ君酷いよ!?」

 

「あはは、冗談だ」

 

「ふん!どうだか!」

 

「悪かったって」

 

そんなことを言いながら俺は内心で頬を膨らませるヘスティアに可愛いと思っていた。

 

【ヘスティア初めての反抗期】って本を出したらベストセラーになりそうだ。

 

やろうかな?文才ないだろうし止めとくか俺に色んな物語を書いてくれた父さんだったら売れそうだけど。

 

「ボクはバイト先の打ち上げにいくから!」

 

ヘスティアは外に出ていった。

 

「ベルが騙されたって言う飲み屋に行くか」

 

「・・・うん」

 

何と言うかヘスティアの怒りの矛先がベルにも向いていたような。

 

 

 

 

 

 

 

【豊饒の女主人】

 

そう看板に書いてある店の前へとやって来た。

中を見るとウェイターが全員女の子・・・しかも、全員美少女なんだが。

奥で調理をしている女主人と思える女性も綺麗と言うわけではないが人として好かれるような人だと思える。

 

中を見ていると奥から銀髪のヒューマンの女の子が現れた。

歳は俺やベルと同じ十代の半ばくらいか?

ちなみに俺は十六、ベルは十四だ。

 

「ベルさんと・・・貴方がシキさんですね?」

 

「ああ、君がベルを嵌めたって言うシルさんか?」

 

「ええ、嵌めたって言うのは誤解ですよ?あと、シルでいいですよ?」

 

シルは黒い笑みを浮かべそう言った。

 

「おお、怖い怖い」

 

「あ、あの!シルさん。案内してくれませんか?」

 

「あ、はーい!お客様二名入りまーす!」

 

酒場ってこんなこと言うのか?

少し気恥ずかしいんだが。

 

「こちらにどうぞ」

 

「は、はい・・・」

 

「ああ」

 

案内されたのはカウンター席だった。

真っ直ぐ一直線に席が並ぶカウンターの中、直角に曲がった角の場所。

ちょうど二席あり俺達はそこに座った。

 

「アンタ達がシルのお客さんかい?ははっ、冒険者のくせ可愛い顔しているねぇ。こっちの坊やは・・・」

 

さっきまで笑っていた女将さんの顔が凍りついた。

 

「ん?どうしたんですか?」

 

「あ、ああ済まないね知り合いに何となく雰囲気が似ていたようでねぇ」

 

「もしかして、その人ってゼクス・クレンではないですか?」

 

「アンタ、その名前をどこで知ったんだい!?」

 

「知ったもなにも俺の父です」

 

「父親ぁ?それにしては顔は似ていないようだけど?」

 

「説明が足りませんでしたね。ゼクス・クレンは俺の養父ですよ」

 

「養父?ならアンタ捨て子・・・」

 

「シキ・・・」

 

女将さんとベルが同情に近いような目で見てきた。

 

「ち、違う!両親が病気で死んで五歳の俺が倒れてるときに父さんが通りかかって拾われたんだ。捨て子じゃない!」

 

両親を流行り病でなくし、そのショックで気を失っていた五歳の俺を救ってくれた人。

それが父さん『ゼクス・クレン』だ。

 

「ゼクスは元気かい?」

 

「いえ、父さんは死にました」

 

「なっ!そうか・・・アンタの名前は?」

 

「シキ・クレン。ゼクス・クレンの息子です」

 

そう言うと女将さんは死んだ母さんのような目を俺に向けた。

 

「そうかい・・・ゼクスの息子なら今日は奢りだ!」

 

「え、いや。悪いですよ!」

 

「気にするじゃないよ!ゼクスの子なら私の孫みたいなものだよ!」

 

「は、はぁ」

 

「それに次からは金使ってくれりゃいいさ!」

 

「じゃ、じゃあ、トマトドリア下さい」

 

「あいよ、それはそうとしてみたいな兎の子」

 

「あ、ベル・クラネルと申します」

 

「そうかい、アンタは奢りじゃないよ」

 

「薄々分かってました・・・グスン」

 

「まあ、俺も半分出すよ」

 

「ありがとうシキ」

 

「おう」

 

ベルがパスタを頼むと女将さんは店のキッチンへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(本当に兄弟みたいだね)

 

豊饒の女主人のドワーフの女将ミア・グランドは出した料理を仲良く旨そうに食べる二人を見てそう思った。

 

「ゼクス。アンタの息子は立派だね」

 

ミアはそうボソッと呟いた。

 

(アンタは死んだのかい。ゼクス)

 

主神()を残して死ぬとはね。主神()不孝者さね」

 

当時最強のファミリアに所属していた散々世話を焼いた青年をミアは思い出してそう呟いた。

過去そして未来永劫二度と現れないと思える程の冒険者。

最強の冒険者。

 

 

 

 

 

 

 

Lv.8白龍神(アルビオン)ゼクス・クレン

 

 

 

 

それが今日現れた青年シキ・クレンの父親だ。




両親の死の下りを少し変更しました。
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