白夜叉は白い指を奔らせ、羊皮紙に記述する。
『ギフトゲーム名 ゙鷲獅子の手綱゙
・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
ハル・トレヴァース
・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。
・クリア方法 ゙力゙ ゙知恵゙ ゙勇気゙ の何れかでグリフォンに認められる。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
゙サウザントアイズ゙印』
読み終わるや否や立候補したのはヨウだった。
俺は‥‥一応出来なくはないが、グリフォンとなると気が重い。 なのでなにも行動をしないでおく。
―――結果だけいえば、ギフトゲームは耀の勝ちだ。 それどころか、グリフォンの飛び方を習得して飛翔していた。
十六夜と耀の会話を聞くと、耀は獣との会話能力と友達になった種の能力を使える能力を持っているとわかった。
白夜叉が耀の持つ木彫りのペンダントの鑑定をしてたので横から見る。
(へえ、系統樹か。)生物の発祥と進化の系譜を示す図形に似ているそれに知識の片隅にある言葉を引っ張り出す。
耀の父親が作ったらしいそれを白夜叉が買い取ろうとし、耀に断られた後、ギフト鑑定をしてもらえることとなった。
「どれどれ‥‥ふむふむ‥‥うむ、四人とも素養が高いのは分かる。 しかしこれではなんとも言えんな。 おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している。」白夜叉の言葉に四人は答えた。
「起企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「他人に隠す程度には」
「うおおおおい? いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かってるが、それじゃ話が進まんだろに。」
「別に鑑定なんていらねえよ。 人に値札貼られるのは趣味じゃない。」
ハッキリ拒絶するような声音の十六夜と、同意するように頷く三人。
そんな問題児達に困ったように頭を掻く白夜叉は、突如妙案が浮かんだとばかりにニヤリと笑った。
「ふむ。 何にせよ゙主催者゙として、 星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらにば恩恵゙(ギフト)を与えねばならん。 ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ再興の前祝いとしては丁度良かろう。」
パンパンと白夜叉が柏手を打つ。 すると四人の眼前に光り輝く四枚のカードが現れる。
カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム”正体不明”
ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム”威光”
パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム”生命の目録 (ゲノムツリー)” ”ノーフォーマー”
シルバーのカードにハル=トレヴァース・ギフトネーム ”魔法剣士” ”死徒” ”魔刀・月影” ”チェリーツインズ ” ”黒火(くろび)”
「ギフトカード!」 興奮したような顔で黒ウサギがカードをのぞき込んでいた。
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
三人のボケに黒ウサギが突っ込んでる中、自分のカードを手に取り、眺める。
(‥‥なるほどな。)やはり、というか、数が少ないな。
「しかし、死徒か‥‥」これもギフト扱いなのか。
どっちかというとこれは能力というより存在だと思うんだが。
「ん? 今、死徒と言ったか?」
「ん、ああ。 それが?」こちらを向いた白夜叉にそう返す。
「何だ? その死徒ってのは?」
黒ウサギ達四人もこっちに目を向けてきた。
「゙死徒゙ というのは、そうだな。 人為的に超人的な力を得た人間って感じだな。」そう説明する。
「へえ。 にしては物騒な響きじゃねえか?」
まぁ、゙死゙ って文字使ってるし。
「それはまあ、その方法がな‥‥」色々とアウトなんだよな。 そう言葉を濁す。
さっきの反応からして多分知ってるであろう白夜叉は苦笑交じりに話題を切り替えた。
「そのギフトカードは、正式名称を”ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。 そこに刻まれるギフトネームはおんしらの魂と繋がった”恩恵”の名称。 鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体は分かるというもの。」 なるほどな。 その理屈なら”死徒”がギフト扱いに納得はできそうだ。
「へえ? じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」
十六夜の言葉に白夜叉が十六夜のギフトカードをのぞき込み、顔色を変えた。
俺も覗いてみると十六夜のギフトカードには”正体不明”という文字がある。
それに不可解とばかりに呟く白夜叉を見つつ考察。
(”正体不明”、つまりは”ラプラスの紙片”とやらでは鑑定ができなかったのか。 あるいは俺の月影のように無効化させられるのか?)もっとも月影は害意のあるもののみに作用するが十六夜のはどうなんだろうか。
店前に移動し、白夜叉へ礼をする。
「今日はありがとう。 また遊んでくれると嬉しい。」
「あら、駄目よ春日部さん。 次に挑戦するときは対等の条件で挑むのだもの。」
「ああ。 吐いた唾を飲み込むなんて、格好つかねえからな。 次は懇親の大舞台で挑むぜ。」
「今回は降りたが次はやらせてもらうよ。」 グリフォン以外が良いけど。 グリフォンは、まあその、昔に色々とあったからな。
”黒火”はハルの着ている上衣の名称です。