問題児たちと少年魔法剣士(凍結)   作:モグモグラ

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なるたけ早めに主人公戦わせたい。


エピソード❾ ”ノーネーム”へ

ギフト鑑定と白夜叉とのゲームを終え、”サウザントアイズ”を後にしようとし、白夜叉に呼び止められた。

「黒ウサギ。 すまぬが、少しこやつと話がしたい。 なに、終わればすぐに”ノーネーム”に連れていく。」

「は、はい。 ではハルさん”ノーネーム”へ寄り道せずに来てくださいね。」 いや大丈夫だよ。 イザヨイみたいな真似はする気無いから。

 

「で、話って?」

再び、和室へと戻った。(途中、あの女性店員に睨まれた。いやさ、恨まれるような事をした覚えはあるよ? でもストレートに敵意送らないで欲しい。)

「うむ、単刀直入に聞く。 その”死徒”はどうやって手に入れた。」

「‥‥ああ、それか。」聞かれるとは思ったよ。そう小さく苦笑して答える。

「さあ?」

「さあ?」

「少なくとも物心ついた頃にはもうあったな。 親父に聞いたが知らないと首を振られたし、最近再度調べたんだが俺には”死徒”になる原因がない。」

「なっ‥‥!? 原因が無いだと? ”死”を経験したわけでもなく、物心ついた頃にはあっただと? ありえん、原因もなく成るような存在ではないはず。」考え込む白夜叉。

確かに俺も不自然だから自身の過去、トレヴァース家の歴史と母さんの家の歴史の二つを調べあげたが何の成果も無し。

白夜叉に言ったとおり俺のこれは物心ついた頃にはもう備わっていた。

「物心ついた頃には、と言ったな? つまりは生まれつきという事か?」

「そうなるんじゃないか?」物心つく前の記憶は無いが。

「何か、おぬしの血筋に”死徒”と関連のある者はいるか?」

「いや、”死徒”関連は先祖にいなかったと思う。 」実際、何の情報も無かったのでそう答える。

「そうか。ならば分からないな。すまぬ、時間を取らせてしまって。」

 

 

結局、”死徒”に関して何一つ判明しないまま、白夜叉から貰った地図を頼りに”ノーネーム”へ向かう。

「‥‥っ!?」 門をくぐり抜け、目に広がる一面の廃墟に息を呑む。

「これは‥‥」これはひどいな。と近くの柵の残骸を手に取る。

少し握れば木製のそれは乾いた音を立て崩れた。 その粉を風に飛ばしてもう一度廃墟を見る。

「魔力が根こそぎ奪われてるな。」物体に宿っているはずの魔力が消失している。だから、ここまでの急激な劣化が進んだのだろう。

本来なら時間の経過と共に消失するはずの物がごっそりと減った結果がコレか。初めて見たが、これは‥‥

「恐ろしいな。ここまでの事をやらかせる奴の顔が見たいものだな。」おそらくは”魔王”とか呼ばれる連中の仕業だろうけどな。どれだけ、ぶっ飛んだ存在なんだよ、魔王は。

 

廃墟をしばらく眺め、小さく溜め息をつく。

「ったく、ここまでやらかすとは‥‥」ほんと、恐ろしい奴だな。魔王は。

「楽しませてくれそうだな。」つぶやき、くくくと笑い声を抑えながら道に沿って歩いていく。

 

朽ち果てた街路を歩いていると、徐々に外観が整った家が並ぶ場所に出た。

「いないな。 もう少し先か?」黒ウサギ達の姿が見つけられなかったのでそのまま通り過ぎ、なんとなく枯れた水路沿いに歩いていると声が聞こえてきた。

「ねえねえ、新しい人達って誰!?」

「強いの!? カッコいい!?」

「Yes! とても強くて可愛い人達ですよ! 皆に紹介するから一列に並んでくださいね。」

耳をすましたらそんな会話が聞こえてきた。

(ふむ、子どもばかりだな。半数は亜人のようだが。)

黒ウサギの言葉で横一列に並んだ子ども達を見てそう考えながら近づいていく。

「右から逆廻十六夜さん、久遠飛鳥さん、春日部耀さん、それと今は席を外してますが、ハル=トレヴァースさんがいま「呼んだか?」‥‥え?」

名前呼ばれたから声を掛けたら驚かれた。

「ハ、ハルさん? いつの間にいらっしゃったんですか?」

「おう、ハル。 早かったじゃねえか。」

「ここに着いたのはさっきだな。」黒ウサギの質問に答えつつ、十六夜達に手を振る。

「そ、そうですか‥‥。では改めまして、こちらがハル=トレヴァースさんです。皆も知っている通り、コミュニティを支えるのは力のあるギフトプレイヤー達です。ギフトゲームに参加できない者達はギフトプレイヤーの私生活を支え、励まし、時に彼らの為に身を粉にして尽くさなねばなりません。」

「あら、別にそんなのは必要ないわよ? もっとフランクにしてくれても」

「駄目です。 それでは組織は成り立ちません。」

飛鳥の申し出に黒ウサギは今日1日の中で一番真剣な表情と声音で断じた。

「飛鳥、そんなんじゃこいつらの為にならない。 ガキの頃から苦労させないと将来こいつらが苦労することになるからな。」飛鳥にそう言う。

「ハルさんの言うとおりです。コミュニティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きていく以上、避ける事が出来ない掟。子どもの内から甘やかせばこの子達の為になりません。」

「‥‥そう。」黒ウサギと二人で言ったからか飛鳥は口を閉ざした。

やはり黒ウサギの言葉には重みがあるな。理解してたつもりだったが、己に課せられた責任はかなりの重い物だな。俺ら四人の行動で子ども達を路頭に迷わせかねないな。責任重大だな。

「此処にいるのは子ども達の年長組です。ゲームには出られないものの、見ての通り獣のギフトを持っている子もおりますから、何か用事を言いつける時はこの子達を使ってくださいな。みんなも、それでいいですね?」

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

耳鳴りがするほどの大声で二十人前後の子ども達が叫んだ。耳が痛い‥‥。比喩ではないほうで。

「ハハ、元気がいいじゃねえか。」

「まあ、子どもだしこのぐらいは、な?」

「そ、そうね。」

ヤハハと笑う十六夜と微笑を浮かべる俺と対照的に、飛鳥と耀は複雑げな顔をしていた。

この感じだと、子どもに慣れてるのは俺とイザヨイだけみたいだな。俺は、魔法剣士が人気な職業な訳で子供たちにあこがれの的になってたおかげで慣れたが、十六夜はどうなんだろうか?

「さて、自己紹介も終わりましたし! それでは水樹を植えましょう! 黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」

「あいよ。」

ああ、そういえば水樹は十六夜が持ってるのか。

水路を見てみると骨格は残っているが、所々ひび割れしており、砂が要所に溜まっている。

これ全てを綺麗にするのは大変そうだな。

 

十六夜がまたずふ濡れになりそうというハプニングがあったがそれ以外は特に何も起きずに水樹は植えられた。

その後、屋敷についた頃には既に夜中になっていた。

月明かりで浮かぶ屋敷はホテルを思わせる巨大さだが、正直、トレヴァース家の本家より小さいせいか、そこまで感嘆は出来そうにない。本家はこの屋敷の数倍はあったし。

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