問題児たちと少年魔法剣士(凍結)   作:モグモグラ

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エピソード⑿

檻を解除した後、縄で縛り上げた騎士の一人を起こして聞き出したり、黒ウサギから聞いた結果、この不届きな来客は”ペルセウス”というコミュニティの連中らしい。後、石化してる吸血鬼は元”ノーネーム”メンバーと分かった。

確か”ペルセウス”ってゴーゴンを倒した英雄の名前だったか。そんな名前を持つコミュニティのクセにやる行為は‥‥、よし、決めた。

「”ペルセウス”か。そこにちょっと行ってくるか。」色々と話し合い、最悪崩壊手前にしとく必要性がありそうだし。

「駄目です! いくら不届きものとはいえ”ペルセウス”は”サウザントアイズ”の幹部を務めているコミュニティです。揉め事を起こせば白夜叉様にご迷惑がかかります。」

ああ、そうなんだ。

「なるほど。ならやめとこう。」白夜叉に迷惑をかけると結果的に”ノーネーム”の不利益になりそうだし。

あっさりと答え、騎士達の所持品でも物色する。

「‥‥へえ。」騎士達の被っていた兜を手にとってみたが面白いものを持ってるな。

「なんかおもしろい物でもあんのか?」興味深そうに聞いてきた十六夜に兜を投げ渡す。

「透明になれる兜とは初めて見たが結構おもしろいな。」

「まじかよ。まあ”ペルセウス”ってコミュニティが俺の知るモノと同じなら、有り得なくはないが。」 十六夜も知ってるのか。

「何をやってるのですか! 御二人様!!」怒られた。なので兜を放り捨てて肩をすくめる。十六夜は悪びれず笑っていた。

「それはそうとよ。ハル。さっきの電撃と檻も魔法ってやつか?」

「電撃と土を盛り上げたのは西洋魔法ってもので、土を金属にしたのは錬金術だ。」

「へえ。錬金術ってのは確か、金属を生み出すとかいうやつだよな?」

「まあ、そんな解釈でいいな。」俺の使ってる錬金術は少しばかり、本家の錬金術師達のとは違うんだけどな。

「へえ?」言い方に何か引っかかったみたいだが、それ以上は聞いてこなかった。

「それで、勝手に敷地に入られたのに黙っとくわけにはいかないだろうし、どうする?」

ただ泣き寝入りするのは俺の腹の虫がおさまらないし、何かしらできるだろうし。

 

三人で話し合った結果、白夜叉なら事情に詳しいだろう、となったので”サウザントアイズ”に向かうことに決めた。

行くメンバーだが、黒ウサギ、十六夜、飛鳥、俺となった。最悪その場でのギフトゲームになるのを想定した布陣だ。

行くメンバーも決まったので、俺らは”サウザントアイズ ”二一〇五三八〇外門支店を目指し、出発する。

「こんなにいい星空なのに、出歩いてる奴はほとんどいないな。俺の地元なら金とれるぜ。」

十六夜の言葉に空を見上げてみると確かに星空が綺麗だ。

「星か。よく見上げていたが、箱庭の星も中々のものだな。」

などという会話をしながら歩いていると”サウザントアイズ”の門前に着いた。

「お待ちしておりました。中でオーナーとルイオス様がお待ちです。」迎えてくれたのは、昨日の女性店員だ。

「黒ウサギ達が来ることは承知の上、ということですか? あれだけの無礼を働いておきながらよくも『お待ちしておりました』なんて言えたものデス。」

「‥‥事の詳細は聞き及んでおりません。中でルイオス様からお聞きください。」

女性店員の定例文のような言葉に憤慨しそうになった黒ウサギだが、彼女に文句を言っても仕方がないと分かっているのか、黙って店内に入った。

中庭を抜け、離れの家屋に向かう。

中にいた男、こいつがルイオスだろうか? そいつは黒ウサギを見るなり盛大に歓声を上げた。

「うわお、ウサギじゃん! うわー実物初めて見た! 噂に聞いていたけど、本当に東側に黒ウサギがいるなんて思わなかった! つーかミニスカにガーターソックスって随分エロいな! ねー君、うちのコミュニティに来いよ。三食首輪付きで毎晩可愛がるぜ?」

本性丸出しで黒ウサギを舐め回すように見るルイオスの視線から隠すように飛鳥が黒ウサギの前に出る。

「これはまた‥‥分かりやすい外道ね。先に断っておくけど、この美脚は私達のものよ。」

「そうですそうです! 黒ウサギの脚は、って違いますよ飛鳥さん!!」

「そうだぜお嬢様。この美脚は既に俺のものだ。」

「そうですそうですこの脚はもう黙らっしゃいッ!!!」

「よかろう、ならば黒ウサギの脚を言い値で」

「売・り・ま・せ・ん! あーもう、真面目なお話をしに来たのですからいい加減にして下さい! 黒ウサギも本気で怒りますよ!!」

「馬鹿だな。怒らせてんだよ。」

ハリセンが一閃した。

「何このコント?」俺も乗ればよかったの?

 

なんかこの後、白夜叉とイザヨイが同士を見つけた、と言った感じのこともあった。どうでもいいわ。

仕切り直しで場所を変え、”サウザントアイズ”の客間に移動する。

”サウザントアイズ”幹部二人と向かい合う形で座る。

そろそろその下品な目やめろよ。ルイオス。黒ウサギに迷惑だろ。

黒ウサギが白夜叉に対する説明を終えるのを待つ。

「―――”ペルセウス”が私達に対する無礼を振るったのは以上の内容です。ご理解いただけたでしょうか?」

「う、うむ。 ”ペルセウス”の所有物・ヴァンパイアが身勝手に”ノーネーム”の敷地に踏み込んで荒らした事。それらを捕獲する際における数々の暴挙と暴言。確かに受け取った。謝罪を望むのであれば後日」

「結構です。あれだけの暴挙と無礼の数々、我々の怒りはそれだけでは済みません。”ペルセウス”に受けた屈辱は両コミュニティの決闘を持って決着をつけるべきかと。」

これは捏造だ。あの吸血鬼、レティシアを文句を言わせずに取り戻すための策だ。

「”サウザントアイズ”にはその仲介をお願いしたくて参りました。もし”ペルセウス”が拒むようであれば”主催者権限”の名の下に」

「いやだ。」

唐突にルイオスは拒否の言葉を言った。

「‥‥はい?」

「いやだ。決闘なんて冗談じゃない。それにあの吸血鬼が暴れ回ったって証拠があるの?」

「それなら彼女の石化を解いてもらえば」

「駄目だね。アイツは一度逃げ出したんだ。出荷するまで石化は解けない。それに口裏を合わせないとも限らないじゃないか。そうだろ? 元お仲間さん?」

このルイオスという男。ただの七光りと思ったら、頭の回る七光りのようだ。

筋が通っているから、言い返そうにも言い返せない。

「そもそも、あの吸血鬼が逃げ出した原因はお前達だろ? 実は盗んだんじゃないの?」

「な、何を言い出すのですかッ! そんな証拠が一体何処に」

「事実、あの吸血鬼はあんたのところに居たじゃないか。」

黙り込む黒ウサギ。その点を突かれては言い返せない。

「まあ、どうしても決闘に持ち込みたいというならちゃんと調査しないとね。‥‥もっとも、ちゃんと調査されて一番困るのは全く別の人だろうけど」

そう言って視線を白夜叉に移した。それによりこちらは手を出せなくなる。

っていうのが狙いだったのかな?

「じゃ、さっさと帰って「ああ。待ってくれ。」まだ何かあるのか?」

今まで存在を薄くしていたからか、「居たんだ。」という目を向けられた。居るからな?

「その困る奴ってのは、そっちにもいるんじゃないか?」

「どういう事だ?」怪訝な表情で聞いてきた。話には乗ったな。

「仮に、吸血鬼が暴れ回ったのは嘘だとしても、そっちの騎士が勝手に敷地に踏み込んだ事は調査で明らかになるからな。もっとも、あの吸血鬼が暴れたのは事実。信じられないなら見に来たらどうだ? いくつか壊された建物があるからさ。」別に壊されてはいないが、偽装のために用意したのはあるからな。

「何!?」

「まあ、どうせ『”ペルセウス”が所有している吸血鬼を名無し風情が盗み出したからその正当な攻撃』とか言って”ノーネーム”を潰す気だったんだろう。」

「ッ!? な、何を馬鹿なでっち上げを」

「言葉に詰まった。図星だろ? まあ、残念な知らせだが、あんたのとこの騎士は全員気絶させて吸血鬼と一緒に預かっているよ。」

多分俺、すごい愉しそうな顔してるんだろうな。

「なっ!? ‥‥あの役立たずども。」

仮にもあんたのために尽くした奴らを役立たず呼ばわりするのはどうかと思う。

「嘘の名目をでっち上げて不法に侵入した挙句、罵詈雑言。これじゃ、あんたらの”サウザントアイズ”の傘下としての立場も危ういな。」

苦々しげに顔をゆがめるルイオスに続ける。

「せっかく、穏便にゲームで収めようとしてたんだが‥‥、仕方ない。白夜叉。箱庭に衛兵、警察の類のコミュニティはあるか?」

白夜叉にそう聞くと、質問の意図を察してくれてニヤリと笑みを浮かべて答えた。

「もちろんある。治安を守る物が無ければその地は荒れるからな。」

「んじゃ、そこに通報して捕まえた騎士達を引き渡すとするか。」

「ま、待ってくれ! 分かった。受ければ良いんだろ。」

乗ってくれて安心したよ。それがどうした、って蹴られたらお手上げだったからな。

「受ける。受けるから通報はやめてくれ!」

そこから先は黒ウサギ達に一任して、俺は一足先に本拠に戻らせてもらった。

眠いからさっさと眠りたい。なので帰る。

(そういや。フェンリル呼べたし、他も呼べるんだろうか? どう思う?)

(いや、知らない。明日にでも試せば良いだろう。)

へいへい、わかりましたよ。フェンリルと思念で会話しながら屋敷の中に入り、自分の部屋に向かう。

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