問題児たちと少年魔法剣士(凍結)   作:モグモグラ

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エピソード⒁

門を蹴り破った音で騎士達が動き始めたので、飛鳥とは別れ、柱の陰に隠れながら移動する。

「人が来る。隠れて」

耳を澄まして気配を探っていた耀がそう言った。

「二人か。右はやる。」

「分かった。」

短く言葉を交わして、透明化している敵に奇襲を掛ける。

「な、なんッ!?」

「おい、どうしッ!?」

騒がれる前に意識を奪う。状況を理解される前に失神させた騎士から兜をはがす。

「やっぱり、これが不可視の元か。」

透明化が解けた騎士を見下ろしつつ呟いて、兜を十六夜の方に投げる。

「とりあえず、二人の分は確保できたし、後は、まあ。先に進んでてくれ。」ゲームマスターであるジンとルイオスとの戦闘役の十六夜の分の不可視のギフトは確保出来たので、こっちは事前の打ち合わせ通り、適当に騎士をかく乱させとく。

「悪いな、いいとこ取りみたいで。これでもハルや春日部達にはソレなりに感謝しているぞ。今回のゲームなんかは、ソロプレイで攻略出来そうにないし」

「だから気にしなくていい。」

「そうだな。どこかの機会に埋め合わせで勘弁してやるってとこだ。」

「ヤハハ。おう。楽しみにしてろ。」

「それでは、お願いします。」

ジンと十六夜が兜を被り、姿を消した状態で先へ行くのを見送った後、耀に目をやる。

「一応、病み上がりなんだし無理はしないでくれよ?」

「分かってる。」

「ならいいな。これ以上、耀にケガされたくないからな。」

「‥‥う、うん。」

‥‥ふむ? 少し顔が赤い気もしなくもないが、やはりまだ全快ではないのだろうか。なら早めに見張りを減らして耀休ませてやらないとな。

柱の陰から出て、囮としての役割りを果たすために片手に浮かべたピンポール大の大きさに圧縮した炎の球体、ファイアーボールを宮殿の壁に投げつける。飛鳥が暴れているのとは別の轟音を鳴らし、周囲一帯の騎士を呼び寄せる。

「いたぞ! 名無しの娘と小僧だ!」

「これで敵の残りは三人だ!」

「よし、そいつらを捕えろ! 人質にして残りの奴らを炙り出せ!」

いや、もう二人は先に進んだんだが、まあ言う必要はなし。

わらわらと集まってきた騎士達を耀と二人であしらい、無力化させていく。

 

「さてと‥‥、こんなとこか?」集まってきた騎士達を無力化させ、周囲に警戒を向けたままつぶやく。

「後は‥‥、と。」パチンと指を鳴らし、匂いも音も熱すらも消して耀に忍び寄っていた騎士に拘束魔法を使う。

「!」

「へえ。これは、オリジナルみたいだな。音も熱も消せるとは。」

遅れて、気づいた耀の無事を確認してから騎士の兜を外す。

「‥‥驚いたな。気づかれて、手のひらで踊らされていたとはな。」

「まあ、俺も持ち前の直感と、”死徒”が無ければ気づくのが遅れてたな。」

そう答えると、その騎士は苦笑をもらした。

「それで、こっちの勝ちでいいかな? 不満ならもう一回しきり直そうか?」

「いや、いい。敵に情けをかけられては恥だ。降参だ。」

変に足掻かずに負けを認める。彼はおそらく真の騎士だと思う。

「さてと‥‥、後は」ここら近辺の相手は片付けたな。

「 耀 。聞こえたりするか?」

耀にも確認をとる。

「ううん。飛鳥が暴れている音は聞こえるけど、それ以外は」

それじゃ、ここら辺の騎士は片付けたのか。

「ここは大丈夫そうだし、どうする?」

「私は何でもいい。それより、質問いい?」

「質問? まあ。答えられることなら。」

「さっき、どうやって感知できたの?」

ああ、あのオリジナル持ちか。

「あの騎士にも言ったが、直感と、俺のギフトの”死徒”で得られた生命感知で見つけただけだ。」相手が死人でなければ、透明になっていようとその生命を認識できる。だから気づいた。

「‥‥」呆然とされた。まあいいけど。

「悪いが、説明は苦手だ。それに、俺自身もあまり把握はできてないんだ。」

ほんとに、”死徒”に関しては把握しきれてない力の方が多い。わかってることといえば、ごくごく僅かな事だけだ。

「うん。分からないけど分かった。」

自分が把握できてないことを誰かに説明するのは琉難しいからな。まあ、そのうちバレることだし近いうちに十六夜達にも話そうか。知ってる範囲で。

 

 

 

場所は変わり、箱庭の外、ハル達がこの世界に降り立った場所。

バシャーンと水柱を立て、二つの影が着水した。

「っああ! なんでこんな水に落とすんだよ!!」

影の一人は水から上がり、もう一人へ怒鳴っていた。

「いやいや。仕方ないじゃないか。彼の魔力をたぐり寄せただけなんだからね。細かい操作はできないよ。」

もう一人はそう答え、肩をすくめる。

「‥‥チッ。んで、ここにいんのか?」

「そうみたいだね。まあ、じっくり探そうよ。」

その言葉にいらただしげに舌打ちをした銀髪に赤い目を持つ少年は飄々としているもう一人へ言った。

「オレは魔力は分かんねえし、手前が頼りなんだよ。ふざけたりすんなよ。」

「了解了解。善処するよ。」あえて、神経を逆撫でさせる声色で言い、深く被ってるフードをおろした。

青い髪に青い目を持つ中性的な顔の少年はグルリと辺りを見回し、小さく微笑みを浮かべた。

「ここが、箱庭、ね。彼を、ハルを招待したんだ。さぞかし退屈しない場所なんだろうね。」




一体、この二人は誰なんだろう?(棒)
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