プロローグ
魔法剣士とはおそらく、多くの人間が憧れ、なりたいと考える職業だろう。
魔法と剣術、そして自分の場合は拳銃を用い、盗賊退治や行商人の護衛を行っていた。
幼少期から憧れ、目指していた職になれたときは、歓喜したものだ。
やっと、父のような魔法剣士としてのスタートに立てた。と。
ふと、数年前、魔法剣士になったばかりの事を思い出しながら仕事で遠征し、その帰り道でとった野宿の後始末をしていた。
「んっ?」
魔物や獣よけのための焚き火後を片付けたりという野宿の後始末を終え、荷物の確認を行っていた俺ことハル=トレヴァースは、見覚えのない一通の手紙を見つけた。
とりあえず探査の魔法で罠の類が無いと確認してから、それでも慎重に手に取る。
「差出人は‥‥無しと。」
誰かのいたずらが荷物に入ってただけか、と手紙を炎で焼却しようかなぁ。
そう考えたとき、手紙の裏側、そこに書かれた自分の名前を見つけ、焼却はやめておく。
(誰だろうか?)
疑問を感じつつ、封を開けることにした。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界のすべてを捨て、
我らの”箱庭”に来られたし』
そんな文章が書かれていた。
「‥‥はっ?」
訳がわからないな。
小さく呟き、やっぱ、焼却しようか。
そう決め、初級魔法である”ファイヤーボール”を使おうと、詠唱の為に口を開く。
だが、それは無駄となってしまった。
「へっ?」
間の抜けた声と共に詠唱の為に生み出した魔力が雲散霧消する。
さっきまでいた草原よりもはるかに開けた視界。
浮遊感というべき感覚。
視界を動かし、そこで状況を把握する。
「―――なんでっ、空中なんだぁぁっ!?」
俺は突如空中へ投げ出されていた。
(っ、どうなってんだ? 転移魔法? いや、確かに魔力は感じなかったぞ。)
感知できない程の上位魔法か?
いや、だが。と即座に否定する。
他の、魔法に携わる者達に負けず劣らず魔法の知識は有ると自負してるが、こんな魔法は知らない。
なら‥‥と、ほかの可能性を模索しようとし、自分の他に自分と同じように空に投げ出された3人、それと落下しようとしている場所が目に入った。
世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁の地平線。
縮尺を見間違うほど巨大な天幕に覆われた未知の都市。
3人に関してはおそらく落下地点は同じだろうし、と意外と冷静に除外して、一言。
「‥‥どこだ、ここ?」
そうつぶやきながら、落下地点に用意されてあった緩衝材のような薄い水膜を幾重も通り、湖へ投げ出される事となった。
※主人公の世界は限りなく現代に近いです。 主人公の紹介編を作るときに詳しく載せます。