「―――あ、有り得ない 有り得ないのですよ。 まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。 というか、そこの方! 眺めてないで助けてくれませんか!」
ようやく開放された黒ウサギが涙を瞳に浮かべながら俺にそううったえてきた。
「ああ、悪い。 見てるのが面白すぎてな。」
近くの岩の上で胡座をかきながら応える。
「なんでですか!? この中で一番マトモそうと思った黒ウサギが間違いでしたヨ!」いやいや、俺のどこを見てまともと判断したのか、聞きたい。
「いいからさっさと進めろ。」
十六夜がそう言い、他二人も黒ウサギの前の岸辺に座り込み、俺も岩から降りて適当に座る。
全員が彼女、黒ウサギの話を『聞こうか 』程度になる。
黒ウサギが気を取り直したように咳払いをして両手を広げた。
この箱庭に関しての説明をされ、それを軽くまとめる。
その一、俺らばギフドなるものを与えられた者たちだけが参加できる『ギフトゲーム』とやらの参加資格をプレゼンされるために呼ばれた。
その二、この箱庭は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージで、ここには俺らの他にもギフト保持者が暮らしてる。
その三、 そのギフト保持者達は生活のために゙コミュニティ゙に必ず所属してもらう。
その四、『ギフトゲーム』に勝つと
主催者には色々いて、命の危険があるゲームも存在してるっぽく、その賞品で新しいギフトがもらえることもある。
その五、『ギフトゲーム』に負けると人権を簡単に奪われるかもしれないゲームも存在する。
と、こんな感じか?
頭の中でまとめ終える。
「さて。 皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。 が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。 新たな同士候補である皆さんをいつまでも野外に出しておくのは忍びない。 ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが‥‥よろしいですか?」
黒ウサギがそう言うと、今まで清聴してた一と俺が口を開く。
「待てよ。 まだ俺が質問してないだろ。」
「俺も、ちょっと聞いときたいことがある。」
十六夜の顔には軽薄な笑みが消えてたので重要な事だろう。と察し、先を譲る。
「‥‥どういった質問です? ルールですか? ゲームそのものですか?」
黒ウサギも十六夜の真剣さに気づき、構えるように聞き返した。
「そんなのはどうでもいい。 腹の底からどうでもいいぜ。 ここでオマエに向かってルールを問いだたしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。 世界のルールを変えるのは革命家の仕事であって、プレーヤーの仕事じゃねえ。 俺が聞きたいのは‥‥たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ。」
十六夜は黒ウサギから視線を外し、こっちの3人を見まわし、巨大な天幕に覆われた都市に向けた。
そして何もかも見下すような視線で一言、
「この世界は‥‥ 面白いか?」
その言葉に俺、飛鳥、耀も無言で返事を待つ。
確か、手紙には、
『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い。』と。
そう書かれていたが、それに見合う催し物があるか否か、それは重要な事だ。
「―――yes。 『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。 箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
黒ウサギの返答に内心歓喜の声をもらす。
「それでハルさんでしたか? 貴方はどう言った質問を?」
「一つ目は先越されたから一つしかないが、あくまでただの興味なんだが、
この世界から帰る手段ってのはあるのか?」
「‥‥yes。 しかし、それほどのギフトはかなりの上層でなければ手に入りません。 ま、まさか、帰るなんて言いませんよね?」
焦ったような感じで言う黒ウサギに首を横に振り、否定する。
「いや? ここがつまんないってなら即刻帰ろうかと考えてたが、面白いと保証してくれるなら帰るつもりはない。」
そう答えると黒ウサギは安堵の息をついた。